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(1)

氏 名 (本籍)

学位の種類 学位記番号

掌理授与の日付 学位授与の要件 学位論文題名

論文審査委員

かわはらじよう かつ   み

河原條勝 己(鳥取)

獣医学博士

乙 第 94号

口召和51益g】ユ月29日

学位規則第5条第2項該当

緑膿菌の病原性に関する実験的研究一感染におけるプロテアーゼ,エラ スターゼのぞ贈りについて一

(主査)教授吟井膏妻r』囁  ・

(副査),教授 斎 藤 保 二  教授古 泉   巌

      論 文 内 容 の 要 旨

 緑膿菌が分離された当初は,一般に本直の病原性は弱いものと考えられていたが,化学療法剤,なかでも 抗生物質の進歩普及に伴ない,臨床各科において,緑膿菌感染症は増加の傾向にある。家畜では牛,豚,犬 ニワトリ,マウス等の感染症の報告があり,最近は牛の乳房炎,ミンクの出血性肺炎がかなり.問題となって いる。

 本菌は自然界に広く分布し,正常人や実験動物の皮膚,腸管から見出され,常在緬菌としで宿主に定着し ていると考えられている。この宿主と緑膿菌のバランスは寄生体側あるいは宿主側の種々の要因によって破 られるのであって,ここにConditioned Pathogenとしての本譜の病原性が発現する。宿主側の要因とし ては感染防御機構の未熟ないし低下が考えられる。寄生体側の要因としては,出血の菌体外産生物質,また

は菌簾成成分諒燃その両方がその穂性の一部を融っている・と廟らカ・である力穂染局所礪

器組織により,または,個体差,画面,動物種によりその現わす症状も異なってくる。菌体外産生物質とし てはアルカリ性プロテアーゼ,エラスターゼをはじめ各種物質が知られ」(おり,それぞれ病原性の因子とな

りうるものである。つぎに,.菌体構醸成分であるが,一般にグラム陰性桿菌に共通のものとして,内毒素が あることはよく知られている。本菌感染痺の病因はそれらの多様な物質の組合わせの上に,環境因子が加わ り,さらに,宿主側の条件が重なって発現するのであるのであるが,緑膿菌の病原性の発現は多様であり,

本病感染症の病懲は多彩である。

 今回は緑膿繭の病原性について,寄生体,つまり脚菌学的立場から本問題についての検討を行った。本一

三生するシ・テァ鴫および弱神一ゼ渉1回覧体編観らとい舜旧誼ア讐あ実験回旋さ

れていか。しかし,菌体外産生物質は種々様々なもρが含まれているので,その個々の活性を明らかにする ためには高度に精製された標品を必要とする。この点で森原の結晶化された両酵素は極めて適当な標品とい える。

 この結晶のプ戸テアーゼ,およびエラスターゼの生体作用を調べた。その実験方法および結果は次の様で

ある。

(1) 角膜に対する作用

 プ戸テァーゼはpHス4の0・1M燐酸緩衝液1(以下PB.と略す)に溶解し・同液で20・4・および0・8μ9/

       一93一

(2)

0,01部の濃度に調製した。エラスターゼはユOM Na峨cetateおよび5mMCaCI2を添加した生理食塩水(以        A

下PSと略す)で50,1αおよび2μg/O.01m♂の濃度に調製した。麻酔を施したマウスの角膜中央部に3カ 所の傷を作り,次に,この蕩をつけた角膜上に,上記のプロテアーゼ,およびエラスターゼ溶液の0.01mJを ユ回点眼した。角膜障害は24時間後と72時間後に観察した。両酵素のOi 8〜2μ9は角膜の創傷部附近に白濁 を起こし,4〜50μgでは角膜に明らかな白濁と潰瘍が起こった。病理組織学的に,両酵素共ほぼ同様に角 膜支質の膨化,スポンジ様変化,そして嚢胞化が認められた。

(E) 皮庸に対する作用

プ・テ㌃ギで}まPBで1・00αヴ5。9125岬,/q 2騨びα4μま/α1・Zの灘鵬製した・エラス飾ゼ はPSに懸濁させ,0。ユN NaOHを徐々に加えて溶解し, PSで1,000,500,250,50,10,2および0.4μ9/

0.01田め濃度に調製した。こ乳ら溶液を前もって聾毛しておいたウサギの背部皮内に三種した。皮膚障害は

.2時閻後と20時間後に観察した。両酵素の50μ9は接種局所とその皮下に出血を起こし,250μ9.では潰癌 と皮下に広範囲な出血が起こった。また,500〜1,000μ9では皮膚の広範囲な潰瘍と壊死,そして皮下に激 烈な出血が起こり.,腹部に多量の血液が認あられた。病理組織学的に,両酵素の2〜10μgは皮下と筋肉層

・に細胞浸潤と出血を起こした。』

・(皿) 内臓々器に対する作用

 プ戸テアーゼほPBでO.2m1またはO.1螂あたり4◎0,3QO,200,100,50,25,および12.5μ9の濃度に調 製した。・エ畝タ㌔鵬37525α・87.5・2593.8、6踊4616,3・.3および、5.7μ9の灘に調製した。

これら溶液の:適当の濃度を選び,マウスの静脈内(0.2m∫),腹腔内(0.2嵐 ),胸腔内((L工皿Z),および鼻腔 内(O.加」)に接種し,24時間後のそれぞれの死亡率を観察し,、剖検した。、50%致死量は静脈内接種の場合,

プロテアーゼが250μ9,ニラスターゼが265μ9,腹腔内接種の場合,プロテアーゼがユ41μ9,エラスター ゼが10149,.胸腔内接種の場合,.プ胃テアーゼが・35μ9,ニラ・スターゼが38μ9であった。鼻腔内接種の場 合,、一定量を肺胞内に吸入させることが困難のため,,50%致死量は不明であった。剖検ではプ召テアーゼの 静脈内接種の場合,脆頭頂間骨部の皮下,腎臓髄蜘こ,腹腔内接種の場合,脆横隔膜,.胃腸管の漿膜に 胸腔内および鼻腔内接種の場合,肺に出血が認められた。また,.ニラスターゼの静脈内接種の場合,肺,.腎 臓髄質,脳質,胃壁に,、腹腔内接種の場合,肺,横隔膜、腹膜,胃脇管の漿膜に,胸腔内接種の場合,肺,

横隔鵬肋膜に,鼻腔内接種の揚合,、肺に出血が認められた。

(恥 さらに,これら両酵素の病原性における役割を明らかにするために,プロテアーゼ,エラスターゼ産 生株と非産生株をエラ冬チソ,またはカゼインを含む普通寒天平板法によって選択し,この両菌株の角陳に1 対する菌力を比較検討したひ,、、.、、.『』「烈.∫.ゼ㌻_...』   「 一骨聾 ∴

 プ冒テアー・ゼ,.エラスタービ産生株として,Pseud6mona$aerughユos亀1工D 1,210株とNO−5株の2菌 株,および両酵素非産生株としてP・ae取ginosa NG−5株, N−10櫟およびPA−103株の3菌株の合計5菌 株を普通寒天斜面培地で37℃,20時間培養した後,燐酸緩衝生理食:塩水(以下PBSと略す)に浮遊させ,

同液で107,105,103および101個/0.01mZに調製した。麻酔を施したマ ウス角膜の中央部に3ヵ所の傷を作

製し,上記の各細菌浮遊液の0.01mZ.をこの簿聖つけた角膜の上に1回点眼した。角膜障害は7日間観察し層

た。プロテアーゼ,エラスターゼ産生梅の・一P.aerugi加sa工工D 1,210株および NO−5株は105〜107個で

激烈な潰瘍と膿癌を起こし,病理組織学的に,角膜は崩壊して肥厚し,多数の細胞浸潤が認められた。一方

       一94一

(3)

両酵素非産生株のP.aeruginosa NC−5株およびN−10殊は107個の点眼でも白濁程度の障害に止まつ rた。・しか し, NG−5株はプロテアーゼの一定量(単独では病変を起こさない)と一緒に点眼すると,」時的一

に化膿を起こした.酵素非産生株と考えられているP,aeruginosa PA一ユ03殊は角膜潰瘍は起こさなかった が,ブドウ膜炎を起こした。

(V)森原によればプロテアーゼのin vitroでの産生は培養条件によって培養液14あたり1gにも達す るという。この事実から考えても,これら両酵素の病原的意義は大きいと言わねばならない。

 本間の緑膿菌のOrigi且al End。toxin Pr。teiロ(以下OEPと略す)は本源の局所での増殖とそれに伴う

齢症・勲は難症め予防.、繭簸立つ、甑瀧緑膿菌期して強・航齢を持・た抗生擁饒・・

見されている。

 、一般に,園生物質は宿主側のさまざまな防御反応,ことに免疫との協力作用により細菌に対して著しい作 用が発揮できるが,免疫不全時の患者には無効である。したがって,そのような患者には血清療法,すなお ち,.抗血清の投与が必要となる。実験的マウス感染に対して,抗生物質と微量の抗血清を併用すれば著しく 抗生物質の効果が増強されることはすでに知られている。しかしながらもし,病巣局所での本菌の増殖可鱒 の場合にはプPテアーゼなり.,エラスターゼなりの代謹産物が産生され宿主生体に吸収され障害作用を及ぼ すことが考えられる。これに対して、OEPワクチン,または抗血清はまったく無効であるが,これら代謝 産物による障害作用はそれぞれの抗体によって中和されることから,上述の血清療法に,それぞれの代謝産 物に対する抗血清を追加併用すれば局所感染症の予防治療に有効であることが考えられる。この併用効果を 実験的に確かめるために,乳房炎の牛から採取した抗血清より抗QEP,プロテアー,ゼ,エラスターゼ抗体 価を高単位に示す2つのガンマグロブリン分画 (Fr・H一工,Fτ・1−2)を採取し,.』これを用いて,プロテア ーゼ,エラスターゼが緑膿菌の病原性に重要な役割を果していることが明らかとなった角膜潰瘍に対する治 療効果について検討した。以下実験方法および結菊こついて項を追って概要を述べる。

 角膜感染め方法はP・aerugin。sa∬D 1,210株を普通寒天培地に37。c,20時間培養後、 PBsでユ05個/

0.01孤Z.

ノ調製した。つぎに,傷をつけたマウス角膜に上記菌液の0.01mZを1回点眼した。

V−1).抗生物質単独の感染防御試験

 3〜4−Dide畔ykanamycin B(以下DKIBと略す)は生理食塩水で1,000,750,500,250および100μg/

O.2皿Zの濃度に調製した。感染の直前に,その各抗生物質溶液の0・2皿」をマウス筋肉内に注射したところ,

50鬼有効量(以下ED5。と略す)は620μ9であった。

V−2) 免疫ガンマグ冒プリン単独の感染防御試験

一期の・8時間前に・三直馨響筆・.・魎それぞれのマ・・の皮下に翻簾ど・ろ,垂膿諭麟

は阻止され・角膜の白濁程度に留まらせる防御ゆ果が認められた。このFL皿一月過よびFr・H−2の防御 効果は対照の抗QEP,プロテアーゼ…エラスターゼ抗体を含まない仔ウシ血清と比較して有意に優れてい

るととカミ明らかとなった。

V−3)抗生物質と免疫ガンマグロブリンとの併用による感染防御試験

 さらに、実験的角膜潰瘍に対すろ完全な防御効果を得るために,FがE−1およびFr. H−2とDK:Bと の併用効果を検討した。

 D耳Bは生理食:塩水で80α40α200,100,5(L2臥および12.5μg∠0.2m1の濃度に調製した。感染の18時間

       一95一

(4)

前にFr. H−1またはFr. H−2をマウスの皮下に注射しておき,さらに,感染の直前に前記の各二二物質 溶液を同マウスの筋肉内に注射した。感染による角膜障害は6日間観察した。FL H−1を併用したDKB のED5。は34μ9であり, Fr. n−2と併用したDKBのED5。は73μ9であった。また,対照とした抗 OEP,プロテアーービ,エラスターゼ抗体を含まない仔ウシ血清と併用したDI(BのED5。は480μ9であっ た。実験的角膜潰瘍に対して,免疫ガンマグロブリンを併用したDKBは対照のDI(B単独,あるいは抗 体を含まない血清と併用したDKBより有意に優れた感染防御効果を示した。

 このように,角膜潰瘍に対して,免疫ガンマグロブリンと抗生物質との併用は感染の予防治療に著しい効 果を示したが,とのような方法を旧いるに当たっては一まず対象となる個浸の難溶感築症あ本質〜を知 ると、ど.

が必要であ,り,その上で明らかとなった病因物質に対して,積極的な対策を確立することが重要である。

       論文審査の結−果の.要旨

 緑膿菌に原因する人の感染症はすでに古くから知られており,また抗生物質などによる化学療法の進歩,

普及によりこの種の感染症が人のほか,牛,豚犬,鶏,ミンクなどの動物にまで漸次その感染に基づく被 害も増加の一途をたどり,決:して震過できない趨勢に至っている。著者は,このような本菌の病原性発揮に 参画すべき因子として,本菌の産生する酵素であるプ冒テアーゼとエラスターゼの.2つにつぎ,「 タ験的に例 えばマウスを使用して,潰膜潰癌の発現性の程度を観察したが,しかもまた,この様な酵素を産生しない菌 株も存在するところがら,改めて両酵素産生株と非産生株との病原作用の相異を比較検討したり.,あるいは さらに両酵素による病変の発現阻止を目的として,特定な抗生物質また瞳これら酵素に対する抗血清の使用 を試みて,その効果を観察するなど,,本菌感染症の治療方法にまで実験的に開拓の道をたどって来た経過に つき,ここに首題の事項として約8年間に亘る研究成果を報告するに至ったものである。

 以下,実験計画の大綱と,その成績を概説する。       t

 従来,緑膿菌の病原性の発揮には,山側の因子,宿主側の素因(感染性を支配する条件),、さらに宿主を 取囲む環境的条件など,いわゆる多因子性疾患とかダ条件つき病原体とかの呼称で,その病像も極めて多様 なものを人やそのほかの動物に呈して来たが,著者は実験的には,菌側の条件を重視し,その為には:本菌の 産生する2つの酵素であるプロテアーゼとエラスターゼの役割を第一義的に取上げて,,これら両酵素による 生体作用(biological acti嘘yDご本格的に検討の歩を進めた。

正 マウスの角膜に対する両酵素の作用

プ・元㌃驚⇒H一μの0・1Mリ・酸緩衝液(以下PBと略記)・・解レこの液で2α4およ鶴8

μg/0。01認の濃度に調製したもみ。 

 エラスターゼ: 10mMのNa−acetateおよび5mMのCaC12を添加した生理食塩液(以下PBと略記)

で50,10回目び2μg/0.01mZの濃度に調製したもの。

 マウス:角膜(cornea)に3ヵ所切創をつける。ここに上記両物質の0.01m1を1回点眼し,その結呆の 角膜障害は24時二三と72時間後に観察する。      

 両酵素とも0.8心2μgでは角膜の創傷部附 近に白濁を起し,4〜50μgでは角膜に明らかな白濁と潰瘍を 呈した。病理組織学的セこは,両酵素ともほぼ同様に角膜支質の膨化,スポンジ様変化1ぎた嚢胞化を認め

た。、

      一96一

(5)

 ∬ 皮膚に対する両酵素の作用

  プ脊テァーゼ=PBでユ,000,500,250,50,10,2およびO.4μg/0.1η11の濃:度に調製したもの。

  エラスターゼ:PBに懸濁させ,0.1NのNaOHを徐々に加えて溶解し, PSでユ,OOO,500,250,50,10,

 2および0.4μ9/0.01加」の濃度に調製したもの。

  ウサギニこれら両酵素の溶液を,あらかじめ勢毛しておいた背部皮内に接種する。以後2時間目と2Q時間  飼.に皮膚障害を観察する。

 両酵素ともそれぞれ50μgでは接種局所とその皮下に出血を皇し,250μ9では潰瘍と共に皮下に広範囲.

・諏出血を起:レ秘ま撫150qlγ1・qo949では皮膚の広範囲な潰蕩と壊死皮下の激烈な串卑」鷹超頓多面9奥.

液滲出を認めた。顕微鏡的には,両酵素の2〜ユ0μgによる病変として皮下と筋肉層に細胞漫潤と出血を見

た。

斑 内臓口器に対する両酵素の作用

  プ戸テアーゼ、:PBで0.2躍または0.1mZあたり400,300,20Q,100,50,2与および12.5μ9の濃度に調

製。

 エラスターゼ=500,375,250,187.5,125,93.8,62.5,46.9,31。3および15.7μ9の濃度に調製。

 マウス・:これら溶液の適当な濃度を選び,静脈内(O.2血Z),腹腔内(0.2阻Z),胸腔内(0.1mZ)および鼻 腔内(0.1斑Z)に接種し,24時間後の死亡率を観察し,また剖検する。

 その結果,50%致死量は静脈内接種においては,プロテアーゼ250μ9,エラスターゼ265μ9に相当し,

腹腔内接種,においてはプロテアーゼユ41μ9,.エラスターゼ101μ9に当り,胸腔内接種ではプ質テアーゼ 35μg,エラスターゼ38μgに相当した。鼻腔内接種では,一定量を肺胞内に吸みさせることが困難のため 50%致死量は不明であった。

 剖検上では各接種法に共通所見として両酵素ともに,肺の出血を皇していた。このほか腎の髄質,胃壁,

胃腸管の漿膜,脳室などにも出血が生じているのが前三法によって証明できた。

W プロテアーゼ,エラスターゼ産生株と両酵素非産生株との病原性の比較

  このような酵素産生能の有無は,エラスチンまたはカゼインを含む普通寒天平板法によって緑膿菌の培養 を行なって判定でぎるので,酵素産生株を2株,非産生株を3株の計5株につぎ,それぞれの37℃,20時間 寒天斜面培養からPBS(リン酸緩衝生理食塩液)にて浮遊菌液を調製し,107,105,103およびIO・個/2. OmZ の如く菌数を区分して,これら菌液はマウス角膜(麻酔後の)の中央部に,既述の三把3ヵ所に切創して,

0.0王皿 つつを1回点眼した。のち7日間の観察を行なった5

 その結果角膜障害として,デゴテァーとゼ及びニラスターゼの両酵素産生株で1瓢05〜ユ07個で激烈な潰蕩、

と膿瘍を起し一九両酵素非産生株は・o順の点眼でも蝸程度の轄を与えるのk止まった,しかし,

酵素非産生株の一つは角膜潰瘍を呈しなかったにも拘わらずブドウ膜炎を生ずる能力を示していた。

 V 実験的角膜感染に対する予防  (a).抗生物質単味による防御実験

 酵素産生株の培養ユOl個/O・01血Zをマウスの角膜に切創・点眼により接種する直前に,抗生物質の一つで ある3 ,4 一D三deoxykana耳ユycin B(以下DKBと略記)の1・pOO,750,5GO,250および100μ9/0.2m∫の濃 度のものをそれぞれ0・2mZつつマウスの筋肉内注射し・50%有効量(以下ED50と略記)を測定した結果,

      一97一

(6)

620μgと判明した。

 (b)免疫グロブリン単味による防御実験

 マウス皮下に,菌投与日の18時間前にFr. H一ユ, FLロー2と称するガンマグロブリン分画(但し,乳房 炎牛から採取した抗血清から抽出した抗OEP,抗プロテアーゼ,抗エラスターゼの各抗体価を高単位に示 すもの)をそれぞれ注射したところ菌接種による重篤な膿瘍や潰瘍は阻止され,角膜の白濁程度にとどまる 防御効果を示した。すなわち,この様な抗体を含まない対照子牛血清の注射を受けたマウスに比して有意に 優れた予防効果と見られた。なお,OEPとは本間氏考案の緑膿菌由来の精製菌体内毒素蛋白の略号である。

 (c)抗生物質と免疫グロブリγ≧の併用匹ζ.る璋琴i肺御諌舞. .,、      ..._

 マウスの実験的角膜潰瘍に対する完全な防御効果をテストするために,FL H−1およびFr.π一2と の併用効果を検討した。すなわち,菌投与の18時間前に両グロブリン分画を皮下に注射し,さらに菌感染の 直前に抗生物質DKBの各量(800,4GO,200,ユ00,50,25および12.5μg/0,2皿Zの濃度)の溶液を筋肉内に注 射してみた。その結果,FI. E−1とDK:B併用によるEDδ。は34μ9であり, F圭.五一2とDK:Bとの併 用によるED5・は73μ9・となった。これに比し℃対照群の抗体を含まない子牛血清とDKBとρ併用に おけるED・。は480μ9であった。このように,前記(・),(ら)の両実験の如き免疫グ冒ブリソ単味とか抗生物 質単味による予防効果に比して,この(c)の如くガソマグロブ リンと抗生物質との併用による緑膿菌感染の予 防効果が極めて顕著であった。

 以上,著者の本研究の示唆するとこうは,緑膿菌り保有する病原因子の活動程度と,それに対抗する感染 防御の手段とを開発することの可能性を指向するものとして,.今後,人体のほか,動物の本菌感染症の治療 予防にも貢献し得る業績として,獣医学博士の学位を受けるのに値するものと評する。

一98一

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