• 検索結果がありません。

 感染に澄けるプロテアーゼ,

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア " 感染に澄けるプロテアーゼ,"

Copied!
7
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

緑膿菌の病原性に関する実験的研究

 感染に澄けるプロテアーゼ,

   エラスターゼの役割について

河原條 勝 巳

要 旨

(2)

 緑膿菌が分離さ典た当初は・一般に本菌の病原性は弱いものと考えられていた

が,幽

サ学療法剤,なかでも抗生物質の進歩普及に伴ない.臨床各科において,緑 膿菌感染症は増加の傾向にある。家畜では牛,豚.犬.ニワトリ.マウス等の感 染症の報告があり,最近は牛の乳房炎,ミンクの出血性肺炎がかなり問題となっ

ている。

 本門は自然界に広く分布し,正常人や実験動物の皮膚,腸管から見出され,常 在細菌として宿主に定着していると考えられている。この宿主と緑膿菌のパラソ スは寄生体側あるいは宿主側の種々の要因によって破られるのであって,ここに Conditioned Pathogenとしての本暦の病原性が発現する。宿主側の要因とし ては感染防御機構の未熟ないし低下が考えられる。寄生体側の要因としては.本 菌の菌体外産生物質・または菌体構成成分,またはその両方がその病原性の一部を 荷なっていることは明らかであるが,感染局所の臓器組織により,または,個体 差,週令.動物種によりその現わす症状も異なってくる。菌体外産生物質として はアルカリ牲プロテアーゼ.エラスターゼをはじめ各種物質が知られており.そ れぞれ病原性の因子となりうるものである。つぎに,菌体構成成分であるが,一 般にグラム陰性桿菌に共通のものとして,内毒素があることはよく知られている。

物干感染症の病因はそれらの多様な物質の組合わせの上に,環境因子が加わり,

さらに,宿主側の条件が重な?て発現するのであるが。緑膿菌の病原性の発現は 多様であり,本菌感染症の病像は多彩である。

 今回は緑膿菌の病原性について.寄生体 ,つまり細菌学的立場から本問題につ いての検討を行った。本門の産生するプロテアーゼ,およびエラスターゼが強い 生体作用をもつというこ・とぽ二,三の実験から推定されていた。しかし,菌体外        セ 産生物質は種々様々なものが含まれているので,その個々の活性を明らかにする

ためには高度に精製された標品を必要とする。この点で森原の結晶化された両酵 素は極めて適当な標品といえる。

 この結晶のプロテアーゼ,およびエラスターゼの生体作用を調づた。その実験

方法および結果は次の様である。      、

(3)

(1) 角膜に対する作用

  プロデア一且はPH7.4の0.1M燐酸緩衝液(以下PBと略す)に溶解し.同  液で20.4,および0.8μ£/0.Oh4の濃度に調製した。エラスターゼは10mM  Na−acetateおよび5mMCaC12を添加した生理食塩水(以下PSと略す)で  50.10.および2μ9/0.Oh6の濃度に調製した。麻酔を施したマウスの角膜  中央部に3ケ所の傷を作り,次に,この傷をつけた角膜上に,上記のプロテア  ーゼ,およびエラスターゼ溶液の0.Oh6を1回点眼した。角膜障害は24時間  後と72時間後に観察した。両酵素の0.8〜2μ9は角膜の創傷部附近に白濁を  起こし.4〜50μ9では角膜に明らかな白濁と潰瘍が起こった。病琿組織学的  に,両酵素共ほぼ同様に角膜支質の膨化.スポンジ様変化,そして嚢胞化が認  められた。

α)皮膚に対する作用

  プロテアーゼはPBで1000,500,250,50.10.2および0.4μ9/

 0.h4の濃度に調製した。エラスタ一中はPSに懸濁させ.0.1NNaOHを徐々  に加えて溶解し,PSで1000,500.250,50,10,2および0.4μ9/

 0.01認の濃度に調製した。これら溶液を前もって勇引しておいたウサギの背  部皮内に接種した。皮膚障害は珍時間後と20時間後に観察した。両酵素の  50μ9は接種局所とその皮下に出血を起こし,250μ9では潰瘍と皮下に広範  囲な出血が起こった。また,500〜1000μ9では皮膚の広範囲な潰瘍と壊死,

 そして皮下に激励な出血が起こり,腹部に多量の血液が認められた。病理組織  学的に,両酵素の2〜10μ9は皮下と筋肉層に細胞浸潤と出血を起こした。

伍)内臓々器に対する作用

  プロテアーゼはPBで0.2雇または0.h4あたり400,300.200,100,

 50,25,および12.5μ9の濃度に調製した。エラスターゼは500.375,

 250,187.5,125.93.8.62.5,46.9,31.3,および15.7μ9の濃度に調

 製した。これら溶液の適当の濃度を選び,マウスの静脈内(0.2認),腹腔内

 (0,2配4).胸腔内(0.h4),および鼻腔内(0.h4)に接種し,24時間後のそ

 れぞれの死亡率を観察し.剖検した。50%致死量は静脈内接種の場合,ブロ

(4)

 テアーゼが250μ9,エラスターゼが265μ9,腹腔内接種の場合,プロテア  ーゼが141μ9.エラスターゼが101μ9,胸腔内接種の場合,プロテアーゼ  が35μ9.エラスターゼが38μ9であった。 鼻腔内接種の揚合.一定量を肺  胞内に吸入させることが困難のため.50%致死量は不明であった。剖検では  プロテアーゼの静脈内接種の場合.肺,頭頂間二部の皮下.腎臓髄質に.腹腔  内接種の場合,肺,横隔膜,腹膜,胃腸管の漿膜に.胸腔内および鼻腔内接種  の場合,肺に出血が認められた。また,エラスターゼの静脈内接種の場合,肺,

 腎臓髄質,脳質,胃壁に,腹腔内接種の場合,肺,横隔膜,腹膜,胃腸管の漿  膜に,胸腔内接種の場合,肺,横隔膜,肋膜に,鼻腔内接種の場合,肺に出血  が認められた。

(m さらに,これら両酵素の病原性における役割を明らかにするために,プロテ  アーゼ,エラスターゼ産生株と非産生株をエラスチン,またはカゼインを含む  普通寒天平板法によって選択し,この両菌株の角膜に対する菌力を比較検討し

 た。

  プロテアーゼ,エラスターゼ産生株として,Pseudomonas aeruginosa  IID 1210株とNO−5株の2菌株,および両酵素非産生株としてP.aeru−

 ginosa NC−5株、N−10株およびPA−103株の3菌株の合計5菌株を普

 通寒天斜面培地で37℃,20時間培養した後,燐酸緩衝生理食塩水(以下PBS

 と略す)に浮遊させ,同液で107,105,103および101個/0.Oh4に調製し

 た。麻酔を施したマウス角膜の中央部に3ヶ所の傷を作製し,上記の各細菌浮

 遊撃の0.Oh4をこの傷をつけた角膜の上に1回点眼した。角膜障害は7日間

 観察した。プロテアー,ゼ,エラスターゼ産生株のP.aeruginosa IID1210

 株およびNO−5株は105〜107個で激烈な潰瘍と膿瘍を起こし,病理組織学

 的に,角膜は崩壊して肥厚し,多数の細胞浸潤が認められた。一方,両酵素非

 産生株のP.aeruginosa NC−5株およびN−10株は107個の点眼でも白濁

 程度の障害に止まった。しかし,NC−5株はプロテアーゼの一定量(単独では

 病変を起こさない)と一緒に点眼すると,一一時的に化膿を起こした。酵素非産

 生株と考えられているP。aeruginosa PA−103株は角膜潰瘍は起こさなか

(5)

 つたが,ブドウ膜炎を起こした。

Gの 森原によればプロテアーゼのinvitroでの産生は培養条件によって培養液  14あたり19にも達すると言う。この事実から考えても,これら両酵素の病  原的意義は大きいと言わねばならない。

  本間の緑膿菌のOriginal EndotoxinProtein(以下OEPと略す)は

 本菌の局所での増殖とそれに伴う菌血症,または敗血症の予防,防御に役立つ。

 また,最近緑膿菌に対して強い抗菌力を持った抗生物質が発見されている。

 一般に.抗生物質は宿主側のさまざまな防御反応,ことに免疫との協力作用に  より細菌に対して著しい作用が発揮できるが,免疫不全時の患者には無効であ  る。したがって,そのような患老には血清療法,すなわち,抗血清の投与が必  要となる。実験的マウス感染に対して,抗生物質と微量の抗血清を併用すれば  著しく抗生物質の効果が増強されることはすでに知られている。しかしながら  もし,病巣局所での本四の増殖可能の場合にはプロテアーゼなり,エラスター  ゼなりの代謝産物が産生され宿主生体に吸収され障害作用を及ぼすことが考え  られる。これに対して,OEPワクチン,または抗血清はまったく無効である  が,これら代謝産物による障害作用はそれぞれの抗体によって中和されること  から,上述の血清療法に,それぞれの代謝産物に対する抗血清を追加併用すれ  ば局所感染症の予防治療に有効であることが考えられる。この併用効果を実験  的に確かめるために,乳房炎の牛から採取した抗血清より抗OEP,プロテァ  ーゼ,エラスターゼ抗体価を高蛍位に示す2つのガンマグロブリン分画(Fr.

 ∬一1,Fr。皿一2)を採取し,これを用いて,プロテアーゼ,エラスターゼが緑  膿菌の病原性に重要な役割を果していることが明らかとなった角膜潰瘍に対す  る治療効果について検討した。以下実験方法および結果について項を追って概  要を述べる。

  角膜感染の方法はP。aeruginosa I ID 1210株を普通寒天培地に37℃,

 20時間培養後,PBSで105個/0.01認に調製した。つぎに,傷をつけたマウ

 ス角膜に上記菌液の0.Oh6を1回点眼した。

(6)

v一・1抗生心窩独の感応御試験

    ぎ,4 一Dideoxykanamycin B(以下DKBと略す)は生理食塩水で    1000,750,500,250 ,および100μ〃℃.2雇の濃度に調製した。

   感染の直前に、その各抗生物質溶液の0.2認をマウス筋肉内に注射したと    ころ,5.0%有効量(以下ED50と略す)は620μ9であった。

V−2)免疫ガンマグロブリン単独の感染防御試験

    感染の18時間前にFr.皿一1およびFr.H−2をそれぞれマウスの皮下    に注射したところ、重篤な膿瘍や潰瘍は阻止され、角膜の白濁程度に留ま    らせる防御効果が認められた。このFr。∬一1およびFr.∬一2の防御効果    は対照の抗OEP、プロテアーゼ,エラスターゼ抗体を含まない仔ウシ血清    と比較して有意に優れていることが明らかとなった。

V−3)抗生物質と免疫ガンマグロブリンとの併用による感染防鋤試験

    さらに,実験的角膜潰瘍に対する完全な防御効果を得るために,Fr.H    −1およびFr.皿一2とDKBとの併用効果を検討した。

    DKBは生理食塩水で800,400,200,100,50,25,および

   12.5μ9/0.2肛4の濃度に調製した。感染の18時間前にFr.H−1または    Fr.皿一2をマウスの皮下に注射しておき,さらに,感染の直前に前記の各    抗生物質溶液を同マウスの筋肉内に注射した。感染による角膜障害は6日    間観察した。Fr.H−1を併用したDKBのED50は34μ9であり、Fr.

   H−2と併用したDKBのED50は73μ9であった。また,対照とした抗    OEP,プロテアーゼ,エラスターゼ抗体を含まない仔ウシ血清と併用した    DKBのED50は480μ9であった。実験的角膜潰瘍に対して,免疫ガソ    マグロプリンを併用したDKBは対照のDKB蛍独,あるいは抗体を含まな    い血清と併用したDKBより有意に優れた感染防御効果を示した。

    このように、角膜潰瘍に対して,免疫ガンマグロブリンと抗生物質との

   併用は感染の予防治療に著しい効果を示したが,こあような方法を用いる

   に当たっては,まず対象となる個々の難治感染症の本質を知ることが必要

   であり.その上で明らかとなった病因物質に対して,積極的な対策を確立

(7)

︑U

することが重要である。

,層一「目層 一

参照

関連したドキュメント

 アクリフラビン法は広義の血宿膠質反応に属し,次

存在が軽視されてきたことについては、さまざまな理由が考えられる。何よりも『君主論』に彼の名は全く登場しない。もう一つ

(実被害,構造物最大応答)との検討に用いられている。一般に地震動の破壊力を示す指標として,入

免疫チェックポイント阻害薬に分類される抗PD-L1抗 体であるアテゾリズマブとVEGF阻害薬のベバシズマ

平素より、新型コロナウイルス感染症対策に御尽力、御協力を賜り、誠にありがと

「A 生活を支えるための感染対策」とその下の「チェックテスト」が一つのセットになってい ます。まず、「

はい、あります。 ほとんど (ESL 以外) の授業は、カナダ人の生徒と一緒に受けることになりま

・蹴り糸の高さを 40cm 以上に設定する ことで、ウリ坊 ※ やタヌキ等の中型動物