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巻頭言 歯学部教育のパラダイムシフトと学会の役目

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Academic year: 2021

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(1)Vol. 24 No. 1. 1. 巻 頭 言. 歯学部教育のパラダイムシフトと学会の役目. 一般社団法人 日本有病者歯科医療学会. 編集査読委員 喜久田利弘. 歯科医療の対象疾患は,歯牙疾患,歯肉粘膜疾患,咬合異常,先天性発育異常,顎骨病変,唾液腺疾患,良性・悪性 腫瘍や顎運動に関連する疾患など,多岐にわたっています.30 年前頃までの患者さんに全身的疾患(Systemic disease) があまり多くない時代なら,歯科医師は前記の口腔疾患の治療学に専念し,実践すれば良かったのですが,現在の日本 の超高齢者社会では,全身医学を熟知していないと患者さんの治療は困難です. 医学部の歯科口腔外科においては,20 数年前ころから基礎疾患を持つ,いわゆる有病高齢者を対象とした外科手術 が年々増加しています.消化器外科,呼吸器外科や整形外科などの外科系各科は自科の手術に際して内科的疾患の配慮 が必要になってきました.そこで医学部病院では消化器センター,心臓センター,呼吸器センターなどの内科と外科が 一緒に患者さんの治療を検討するセンター構想が始まりました.現在,ほとんどの医学部病院や大規模な総合病院はセ ンターシステムに変化したと思います.この考え方自体は歯科外科手術においても全く同様です.当科の週 2 回の症例 カンファレンスでは,循環器疾患,膠原病,糖尿病,腎疾患などの多くの基礎疾患を複数持ち,10 数種類もの薬剤を 服用している症例が多く提示されます.心電図,心エコー,胸部 X 線写真や血液検査所見を充分に理解,把握して, モニター下で単なる残根の局麻下の普通抜歯を行う症例が毎日のようにあります.若い研修医は歯科治療学より,患者 さんの内科的基礎疾患の把握,検査所見の理解や服用薬剤の内容確認に追われています.全国の病院歯科も同様であろ うと想像できます. 歯科医師は口腔・顎・顔面領域の専門医であるとともに,内科疾患の治療を行わない総合内科医でもあるべきかもし れません.この考え方のニーズは今後,さらにクローズアップされることになるでしょう. 歯科の外来でバイタルも計らず,エピネフリン添加の局麻薬の注射後に冠動脈の発作が起こることも結構あります. もちろんラポールが充分で無く,患者の恐怖心も加わってのこととも予想される事態です.バイタル(体温,血圧,脈 拍数など)を必ず確認して,モニター装着を行って抜歯,歯肉剥離掻爬術,切開排膿術などの歯科外科手術を行うべき であると歯学部では教育しているのでしょうか.教育はしていても,それを卒後に実践している開業歯科医院はどれ程 でしょうか. 今,歯学部教育は根本的に医学部教育に近づけないと歯科医療は不可能になると言えます.大きな医療の中に歯科医 療があるのです.歯科医療は独立した医療ではない時代となっています.技術的な実習ばかりで無く,歯科治療に必要 な全身的内科疾患とその救急処置を含む対応まで教育していただきたいと願うこの頃です. 今後の日本において,患者さんの全身状態を読んで口腔疾患の診断・治療を行うことのできる歯科医師が必要とされ ています.今こそ(一社)日本有病者歯科医療学会の会員の先生方や関係者の皆様の力で,国民の期待する歯科医師に なるべく生涯教育の 1 つとして本学会で学び,討論し,良き歯科医療のレベルアップをすべき時期なのでしょう.歯科 に各種専門医制度はあっても,それは専門領域の知識とスキルに限定した認定がほとんどです.医科歯科が連携した医 療を行うことが難しいのが現状です. 今後,医科各科と歯科が連携した卒前と生涯教育を受けて安全な歯科医療が行えるようになることが希望されます..

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