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試験条件が膨潤圧試験結果に及ぼす影響の検討

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Academic year: 2022

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試験条件が膨潤圧試験結果に及ぼす影響の検討

(財)電力中央研究所 フェロー会員 ○田中幸久 同 上

正会員 中村邦彦

1.はじめに

放射性廃棄物処分におい ては,放射性核種の移行を 抑止するためなどの理由に より締固められたベントナ イトが用いられる.ベント ナイトの膨潤圧は過大であ れば周辺施設に力学的な影 響を及ぼす可能性があり,

過小であれば飽和後の低透 水性を確保することに支障 が生じる可能性がある.ところ が,現存のベントナイトの膨潤 圧のデータにはベントナイトの 種類と乾燥密度が同一でもバラ ツキがある 1)ため,その原因を 検討することは施設の設計上重 要である.そこで,本報告では,

ベントナイトの膨潤圧試験条件 結果におよぼす試験条件のうち,

給水方法の影響,初期含水比の 影響,初期乾燥密度不均一性の 影響について検討したので以下 に報告する.

2.試験条件と試験方法 表1,表 2 にそれぞれ本研究 で実施した試験で使用したベン

トナイトの基本的な性質と試験ケース一覧を示す.いずれのケースでもイオン交換水を使用した.また,図 1に高 さ 30mm の供試体に対する試験(試験ケース No.5a,No.5b,No.5c)に使用した装置を示す.表 2における供試体高 さ 10mm の試験ケースにおいては,図 1において 3 段重ねの供試体リングを 1 段としている.表 2における試験ケー スにおいて試験ケース No.1a,No.1b,No.1c は基本ケースであり,乾燥密度はそれぞれ約 1.2,1.4,1.6 Mg/m3, 初期含水比は自然含水比,供試体高さは 10mm である.また,飽和のために供試体内を一旦真空にした後に供試体の 下端からイオン交換水を流入させた.試験ケース No.2a,No.2b,No.2c は,飽和のための給水方法が飽和後の平衡 膨潤圧に及ぼす影響を調べるため,基本ケースと異なり給水前に供試体内を真空にすることはせず,供試体上下端

キーワード ベントナイト,膨潤圧,試験条件

連絡先 〒

270-1194

千葉県我孫子市我孫子

1646 (

)

電力中央研究所バックエンド研究センター

TEL 0471-82-1181

表 2 試験ケース一覧

試験ケ ースNo.

乾燥密度 (Mg/m3)

初期含水比 (%)

飽和度 (%)

供試体高さ (mm)

飽 和 の た め の給水条件

平衡膨潤圧 (MPa)

No.1a 1.217 11.2 24.5 10 0.347

No.1b 1.417 11.2 32.8 10 0.755

No.1c 1.612 11.2 43.8 10

供 試 体 内 真 空 後 下 端 か ら一方向

2.687

No.2a 1.210 7.855 17.0 10 0.252

No.2b 1.408 7.855 22.7 10 0.541

No.2c 1.600 7.855 30.1 10

供 試 体 内 大 気 圧 の ま ま 上 下 よ り 両

方向 1.835

No.3a 1.220 22.9 50.2 10 0.442

No.3b 1.401 19.2 54.9 10 0.769

No.3c 1.592 16.3 61.7 10

供 試 体 内 真 空 後 下 端 か

ら一方向 2.137

No.4a 1.216 35.0 76.4 10 0.462

No.4b 1.389 27.0 75.9 10 0.925

No.4c 1.617 21.2 83.5 10

供 試 体 内 真 空 後 下 端 か

ら一方向 2.464 No.5a 平均 1.399

(1.593, 1.404, 1.200)

自然含水比 30 供試体内真

空後下から 一方向

0.605

No.5b 平均 1.593 (1.683, 1.594, 1.501)

自然含水比 30 供試体内真

空後下端か ら一方向

2.191

No.5c 平均 1.598 (1.788, 1.600, 1.406)

自然含水比 30 供試体内真

空後下端か ら一方向

2.128

表 1 試験に使用したベントナイト(クニ ゲル V1)の基本的性質

土粒子の密度

(Mg/m3) 2.744

モンモリロナイト

含有率1) (%) 51.4

陽イオン交換容量

2) (meq/g) 1.057 交換性Naイオン

注3) (meq/g) 0.584 交換性Caイオン量

注3) (meq/g) 0.424 交換性Kイオン量

注3) (meq/g) 0.020 交換性Mgイオン

注3) (meq/g) 0.028 図 1 膨潤圧測定に使用した装置(供試体高さ

30mmの場合)

土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

‑39‑

CS7‑020

(2)

面から同時にイオン交換水を流入させた.

試験ケース No.3a,No.3b,No.3c,No.4a,No.4b,No.4c は 供試体作成時の含水比(初期含水比)が飽和後の平衡膨潤圧 に及ぼす影響を調べたものである.試験ケース No.3a,No.3b,

No.3c では供試体作成後の初期飽和度が 50%~60%程度,試験 ケース No.4a,No.4b,No.4c では供試体作成後の初期飽和度 が 75%~85%程度となるように初期含水比を調整した.

試験ケース No.5a,No.5b,No.5c は供試体内の乾燥密度の 不均一性が飽和後の平衡膨潤圧に及ぼす影響を調べたもので あり,図 1中に示す 3 段重ねのリング内のベントナイトの乾 燥密度を表 2に示すように変化させている.

3.試験結果

図 2 は,乾燥密度と平行膨潤圧の関係に及ぼす供試体飽和 のための給水方法の影響を示したものであり,試験ケース No.1a,No.1b,No.1c の試験結果と試験ケース No.2a,No.2b,

No.2c の試験結果を比較して示している.供試体内を大気圧の まま,供試体上下端から給水した方が平衡膨潤圧が小さく,そ の差は乾燥密度が大きくなるほど大きい.ただし,既往の文献 の膨潤圧測定結果 1)では,同一種類,同一乾燥密度でもベント ナイトの膨潤圧は 2~3 倍のバラツキがあるが,図 2の結果だ けでそのバラツキを説明することは困難である.

図 3は,平衡膨潤圧に及ぼす初期飽和度の影響を乾燥密度毎 に示したものである.今回試験を実施した範囲では平衡膨潤圧 に及ぼす初期飽和度の影響は小さい.一方,鈴木・藤田(1999) が,乾燥密度 1.7Mg/m3ならびに 1.8 Mg/m3のクニゲル V1 に対し て実施した試験結果によれば,初期飽和度が大きいほど飽和後 の膨潤圧は小さい.両者の試験結果の差の原因は,クニゲル V1 の乾燥密度の差にあると思われる.

図 4は,供試体作成時の供試体内の乾燥密度の不均一性が飽 和後の平衡膨潤圧に及ぼす影響を調べた結果である.平均乾燥 密度が一定の場合,供試体内の乾燥密度が不均一な場合の方が 平衡膨潤圧はやや小さくなる傾向があるが顕著でない.いずれ にしろ,図 4の結果だけで既往の文献の膨潤圧測定結果1)のバ ラツキを説明することは困難である.

4.まとめ

試験条件が平衡膨潤圧に及ぼす影響を調べた結果,給水方法と供試体内の乾燥密度不均一性が平衡膨潤圧に影響 を及ぼしていることがわかった.しかし,影響程度から判断して,それらの要因だけで既往の文献の膨潤圧測定結 果バラツキを説明することは困難である.

参考文献 1)例えば,(社)土木学会(2008):余裕深度処分の安全評価における地下水シナリオに用いる核種移行評 価パラメータ設定の考え方,p.268.2)鈴木・藤田(1999):緩衝材の膨潤特性(研究報告), 核燃料開発機構東海事業 所,JNC TN8400 99-038.

3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0

平衡膨潤圧(MPa)

1.6 1.4

1.2 1.0

乾燥密度 (Mg/m3)

供試体真空後下端から給水 No.1a,No.1b,No.15c 大気圧のまま両端から給水

No.2a,No.2b,No.2c

図 2 乾燥密度と平行膨潤圧の関係に及ぼす供試体飽 和のための給水方法の影響

4

3

2

1

0

平衡膨潤圧 (MPa)

100 80 60 40 20 0

初期飽和度 (%)

1.210~1.220 Mg/m3(No.1a,No.3a,No.4a) 1.489~1.417 Mg/m3(No.1b,No.3b,No.4b) 1.592~1.617 Mg/m3(No.1c,No.3c,No.4c)

図 3 乾燥密度毎の初期飽和度と平行膨潤圧の関係

3.0

2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0

平衡膨潤圧(MPa)

1.6 1.4

1.2 1.0

乾燥密度 (Mg/m3)

初期乾燥密度均一供試体 No.1a,No.1b,No.15c 初期乾燥密度不均一供試体

No.5a, No.5b No.5c

図 4 平均乾燥密度と平衡膨潤圧の関係に及ぼす供試 体内の乾燥密度の不均一性の影響

土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

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参照

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