• 検索結果がありません。

型枠取外し後の各種養生の効果および施工歩掛り

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "型枠取外し後の各種養生の効果および施工歩掛り "

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

型枠取外し後の各種養生の効果および施工歩掛り

鹿島建設(株) 正会員 ○磯 秀幸 関 健吾 辻 正之 前川 陽平 国土交通省 関東地方整備局 田中 晶悟

1.はじめに

構造物の長期耐久性を確保する上で,外的な劣化作用を受けるコンクリート表層部の品質を確保することが重要 である.コンクリートが所定の強度,耐久性,ひび割れ抵抗性および鋼材を保護する性能等の品質を確保するため には,養生によってセメントの水和反応を十分に進行させる必要があり,湿潤養生をより長期間行うことが望まし い1).このようなことから,型枠の取外し後も湿潤養生を継続することを目的に,種々の養生方法が実施されてい る.しかしながら,これらの養生方法について,施工歩掛りおよび品質向上効果の観点から評価を行った事例は少 ない.そこで,本検討では,型枠の取外し後に養生材を貼り付けて養生する方法を実構造物に適用した場合につい て,その養生効果および施工歩掛りの結果を報告する.

2.試験概要 2.1 検討ケース

検討ケースを表 1に示す.型枠の取外し後の養生に用い た材料として,ポリエチレン製(厚さ 18μm)のマスカー シート,ポリエチレン製(厚さ 10μm)のストレッチフィ ルム,ポリオレフィン製の保水養生テープおよび不織布製 の養生マットとした.

2.2 対象構造物および施工方法

試験は,U型擁壁における地覆高欄(施工延長;約16m)

を対象として実施した.図 1に示すように,地覆高欄を延 長方向に4等分し,表 1に示す各種養生を実施した.地覆 高欄にコンクリート(24-8-20MKC,W/C:54.5%)を打 ち込んだ後,材齢7日の時点で木製型枠を取り外した.そ の後,各エリアに十分な水を散水した上で,ただちに各種 養生を開始した.高欄コンクリートへの各種養生材による 養生状況を写真 1に示す.その後,材齢 27 日の時点で各 種養生に用いた材料を撤去し,材齢 28 日の時点で品質測 定試験を実施した.

2.3 試験項目および試験方法

品質試験項目および試験方法を表 2に示す.材齢 28 日 の時点で,テストハンマにより反発度を測定した.また,

トレント試験機を用いて,透気係数を測定した.なお,透 気係数の測定時には,表面水分率も併せて測定した.

3.試験結果および評価 3.1 外観

型枠の取外し後に各種養生を開始してから5日後におけ キーワード 養生,表層品質,反発度,透気係数,歩掛り

連絡先 〒182-0036 東京都調布市飛田給2-19-1 鹿島建設(株) 技術研究所 TEL.042-489-6761 表 1 検討ケース

名称 内容

マスカーシート 材質:ポリエチレン,厚さ18μm ストレッチフィルム 材質:ポリエチレン,厚さ10μm 保水養生テープ 材質:ポリオレフィン(基材),厚さ110μm 不織布マット 材質:不織布

(高欄部の厚さ:250mm,地覆部の厚さ:500mm)

図 1 対象構造物(地覆高欄)

写真 1 各種養生材による養生状況

表 2 試験項目および試験方法

試験項目 試験方法

反発度 JSCE G504に準拠し,テストハンマ を用いて反発度を測定

透気係数 トレント試験機(ダブルチャンバー 方式)を用いて測定

不織布 保水養生 マット

テープ ト マスカー

シート

ストレッチ フィルム 土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

‑1227‑

Ⅵ‑614

(2)

る外観を写真 2に示す.なお,型枠取外し後の養生開始か ら,不織布マット以外については,一度も給水養生を実施 せず,降雨も無かった.しかしながら,マスカーシートお よびストレッチフィルムについては,湿潤状態を維持して いることを目視によって確認できた.なお,保水養生テー プについては,テープ内部の状況を観察できないため不明 であるが,湿潤状態を維持しているものと考えられる.

3.2 反発度

反発度の比較を図 2に示す.図より,反発度は,保湿養 生テープを用いた場合でやや小さい値となったものの,い ずれの養生方法についても,32.0~33.2 であり,ほぼ同等 の結果であった.

3.3 透気係数

透気係数の比較を図 3に示す.図中には,表面水分率の 測定結果を併記した.図より,一般的な不織布マットを用 いた場合は,透気係数のランクが「一般」であったのに対 して,その他の養生を実施した場合は,透気係数のランク が「良」となった.これは,各種養生を実施することによ って,コンクリート表層における水和が進行し,緻密な組 織が形成されたことによるものと推察される.

3.4 施工歩掛り

各養生方法における,施工歩掛りを比較した.結果を図 4 に示す.図より,歩掛りについては,一般的な不織布マッ トを用いた場合と比較すると,いずれの養生方法も悪くな る結果となった.これは,不織布マット養生以外について は,養生シートの貼付け等の作業が別途生じるためと考え られる.

4. おわりに

型枠取外し後に実施する各種養生方法について,品質向 上効果と施工歩掛りを評価した.その結果,本検討の範囲

において,コンクリート表層の品質を向上でき,かつ施工歩掛りに優れるのは,マスカーシートを用いた養生であ ることが分かった.

参考文献

1) 土木学会:2012年制定 コンクリート標準示方書【施工編】, pp.121-125, 2013. 3

養生方法 マスカーシート ストレッチフィルム 保水養生テープ 不織布

外観

写真 2 型枠取外し後の養生開始から 5 日後における外観

33.1 32.4 32.0 33.2

0 10 20 30 40

マスカーシート ストレッチフィルム 保湿養生テープ 不織布マット

反発度

図 2 反発度の比較

(5.4%)

(5.9%) (5.4%)

(4.8%)

1.E-03 1.E-02 1.E-01 1.E+00

マスカーシート ストレッチフィルム 保湿養生テープ 不織布マット 透気係数×10-16m2

ランク 一般

図 3 透気係数の比較

0 2 4 6 8 10 12 14

マスカーシート ストレッチフィルム 保水養生テープ 不織布マット

歩掛り(人・時間)

図 4 歩掛りの比較 土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

‑1228‑

Ⅵ‑614

参照

関連したドキュメント

(2)試験内容 試験では鏡面に合計4本のボルトを打設したが、それぞれの打設実績を表.1

遊泳阻害試験を実施した結果を図 1 および図 2 に 示す.さらに probit 法を用いた結果,オオミジンコの 半数遊泳阻害が生じた際の散布量EC50は,酸化 ランタン 197 mg/L,水酸化カルシウムは

土地被覆分類図の落葉樹、常緑樹部分と現存植生図 を重ねた図を図 3a)、b)に示す。土地被覆分類図の落葉

解析では,問題の対称性により供試体全体の 1/4 を要素分割した.中詰材は 1 辺約 7.5cm の 8 節点ソリッド要素で 図-2 に示すように離散化した.図において,x − z,y

コンクリート舗装の養生方法では,初期養生として希釈した養生剤の塗布を行い,後期養生として散水マットを用い

図-6 に,同様の手法により算出した亀裂の 5%超過確率値を各種要 因ごとに比較した結果を示す.図中には目安値として,前述の供試体実

図-2 に遠心模型実験の全体概要を示す.遠心模型実験は,幅 1900mm,奥行き 800mm,深さ 800mm の大型剛 土槽内に 4 ケース分の試験体を設置して遠心模型実験を実施した.模型地盤は,硅砂 7

研究方法の基本的な流れを図 2 に示す。本研究では、 スクンビット線の延伸効果を算出するためには現在 対象地域・対象路線に対して図 2 の方法で、延伸前後 の OD