• 検索結果がありません。

内水氾濫解析における地盤標高の取り扱いについて

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "内水氾濫解析における地盤標高の取り扱いについて "

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

内水氾濫解析における地盤標高の取り扱いについて

ニタコンサルタント㈱ 正会員○花住 陽一 ニタコンサルタント㈱ 正会員 安芸 浩資 ニタコンサルタント㈱ 正会員 三好 学 ニタコンサルタント㈱ 正会員 藤田 真人

1.はじめに

近年,計画規模を上回る集中豪雨の多発や都市の拡 大による氾濫域への人口・資産の集中により,大都市 部だけでなく地方部においても内水氾濫の被害リス クが増大している.地方部では,家屋と田畑が混在し ており,家屋の浸水を防ぐため家屋が田畑より一段高 い箇所に立地している地区が多くみられる.そのよう な地区において,一般的に用いられているメッシュ内 の既知点を平均した値を代表値として地盤標高デー タとして用いる手法は,以下の理由で解析精度が低下 する場合がある.

・ データに極端に大きなもしくは小さな値が混ざ っており,平均値がその値に引っ張られる

・ データに偏りがあり非対称である

これらの現象を回避するためには,高低差のある地 形が表現できるように,一筆程度の土地の高低差を反 映できる精度のメッシュサイズによる氾濫解析を実 施する必要がある.現在入手可能な地盤標高データの うち比較的データが整備されている国土地理院の基 盤地図情報では,最小メッシュサイズが5mとなって いる.そのため,メッシュサイズを5mとして解析す ることが望ましいが,メッシュサイズを5mに細分化 すると,計算対象時間(24時間)を計算するために76時 間/km

2

と通常(メッシュサイズ15m)の6.9倍の計算時 間となり,計算結果を得るまでに長い時間を必要とし,

業務効率が低下する問題がある.

そこで本稿では,メッシュサイズを通常(15m)のま ま妥当な計算を実施するために,地盤標高データの作 成の際に,メッシュ内における既知点の3種類の基本 統計量を代表値とした場合の内水氾濫解析を実施す る.これらの計算結果と浸水実績を比較することによ り,効率的な地盤標高データの作成手法に関する検討 を行った.

2.解析方法

(1) 内水氾濫解析モデル

本解析モデルは,二次元不定流モデル(地表面),一 次元開水路不定流モデル(排水路),一次元管水路不定

流モデル(下水路)の 3 個のサブモデルを図-1のよう に結合することにより構築されている.下水排水路モ デルでは,数値解析の不安定化を避けるためスロット モデルを採用している.また,排水路網,雨水排水用 下水路網,水門・樋門,排水機場など,実在する内水 排水関連施設の効果を考慮することが可能である.そ のため本解析モデルは,地方都市でみられるような,

下水路が整備されておらず,排水路を通して雨水を排 水している地区にも適用できる.

降雨

地表面

開水路 下水道

(堤内)(堤外)

排水路上流端

への流入 流入

溢水

マンホール への流入

流入・流出 ポンプによる

強制排水

ポンプによる 強制排水

堤防

降雨

地表面

開水路 下水道

(堤内)(堤外)

排水路上流端

への流入 流入

溢水

マンホール への流入

流入・流出 ポンプによる

強制排水

ポンプによる 強制排水

堤防

図-1 内水氾濫モデルの構成

(2) 地盤標高データの算定方法

先述した解析精度の低下を解決する方法として,地 盤標高データ作成においてメッシュ内の中央値を採 用することが考えられる.中央値を採用する理由を以 下に記す.

・ 中央値は異常値が混ざっている場合において,中 央値の算出への影響は小さい

・ 分布が対称的ならば,中央値と平均値はほぼ同値 になる

そこで本稿では,地盤標高データの作成の際に,メ ッシュ内における既知点の「平均値」,「中央値」,更 にその2つより危険側の計算結果となると考えられ る「最低値」の3種類の基本統計量を代表値とした場 合の3ケースの内水氾濫解析を,徳島市一宮地区を対 象にメッシュサイズ

15m

にて実施し,比較検討を行 った.

3.対象地区と対象降雨 (1) 対象地区

本稿で対象とした一宮地区は,徳島市の西部に位置 し,市街地近郊に位置する農村地域である.北部は鮎

55

(2)

喰川,南部は負出山山麓に囲まれた地区である.一宮 地区における排水路の分布状況を図-2に示す,また,

徳島県が公表した

H16T23

号豪雨時の浸水深の測量 箇所も図-2に併せて示す.

鮎喰川

-:排水路

■:河川

●:自然排水箇所

□:解析対象領域

■:解析対象領域外

●:浸水実績測量箇所

負出山

鮎喰川

-:排水路

■:河川

●:自然排水箇所

□:解析対象領域

■:解析対象領域外

●:浸水実績測量箇所

負出山

図-2 一宮地区における排水路分布状況と浸水実績測量箇所

(2) 対象降雨

本稿で対象とした

H16T23

号豪雨(平成

16

10

20

日)の降雨波形を図-3に示す. 24時間の総雨量は

278mm

であった.

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 降雨継続時間(hour)

降雨量(mm/hour)

平成16年10月20日(時刻) 0

5 10 15 20 25 30 35 40 45

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 降雨継続時間(hour)

降雨量(mm/hour)

平成16年10月20日(時刻)

図-3 対象降雨波形(徳島地方気象台観測)

4.計算結果と考察 (1) 浸水深

計算結果と徳島県が公表した浸水実績の浸水深の 比較を表-1 に示す.計算結果と浸水実績との差の総 和は地盤標高を作成する際に中央値を採用した場合 がもっとも小さく,最低値を採用した場合がもっとも 大きい.

表-1 計算結果と浸水実績の浸水深の比較

平均値

中央値

最低値

平均値

⑤=①-④ 中央値

⑥=②-④ 最低値

⑦=③-④ A 0.25 0.36 0.46 0.46 -0.21 -0.10 0.00 B 0.12 0.11 0.11 1.00 -0.88 -0.89 -0.89

C 0.39 0.52 0.74 0.40 -0.01 0.12 0.34

D 0.21 0.18 0.11 0.17 0.04 0.01 -0.06

E 1.05 1.16 1.56 1.34 -0.29 -0.18 0.22

F 0.21 0.14 0.17 0.15 0.06 -0.01 0.02

Σabs(⑤,⑥,⑦)= 1.49 1.31 1.53 計算結果

地点名 浸水実績

(計算結果)-(浸水実績)

(2) 最大浸水深分布による浸水範囲

計算結果による最大浸水深分布と徳島県が公表し

H16T23

時の浸水実績の浸水範囲を図-4 に示す.

浸水実績は

787

m 2

の浸水範囲があり,計算結果と 浸水実績を比較すると,浸水範囲は3ケースとも計算 結果の方が小さい.計算において鮎喰川へ自然排水す る排水路下流端の水位は3ケースともに同一である ため,最低値を採用した場合の浸水範囲がもっとも大

きい.しかし,最低値と平均値,最低値と中央値の浸 水実績との割合の差は

2.3%,5.8%であり.3ケースの

浸水範囲に大差はない.

<平均値> 浸水範囲:565千m2 浸水実績との割合:71.8%

<中央値> 浸水範囲:593千m2 浸水実績との割合:75.3%

<最低値> 浸水範囲:611千m2浸水実績との割合:77.6%

0.01m以上0.2m未満 0.2m以上0.5m未満 0.5m以上1.0m未満 1.0m以上

浸水深凡例

浸水実績(H16T23豪雨時) 0.01m以上0.2m未満 0.2m以上0.5m未満 0.5m以上1.0m未満 1.0m以上

浸水深凡例

浸水実績(H16T23豪雨時)

<浸水実績> 浸水範囲:787千m2

<平均値> 浸水範囲:565千m2 浸水実績との割合:71.8%

<中央値> 浸水範囲:593千m2 浸水実績との割合:75.3%

<最低値> 浸水範囲:611千m2浸水実績との割合:77.6%

0.01m以上0.2m未満 0.2m以上0.5m未満 0.5m以上1.0m未満 1.0m以上

浸水深凡例

浸水実績(H16T23豪雨時) 0.01m以上0.2m未満 0.2m以上0.5m未満 0.5m以上1.0m未満 1.0m以上

浸水深凡例

浸水実績(H16T23豪雨時)

<浸水実績> 浸水範囲:787千m2

図-4 計算結果と浸水実績の浸水範囲の比較 5.まとめと今後の課題

本稿では地盤標高データの作成の際に,メッシュ内 における既知点の「平均値」,「中央値」,「最低値」の 3種類の基本統計量を代表値とした場合の内水氾濫 解析を実施した.計算結果と浸水実績を比較すると,

浸水深の差は中央値がもっとも小さく,最低値がもっ とも大きかった.浸水範囲を比較すると,最低値がも っとも差が小さいものの平均値と中央値ともに大差 はなかった.そのため,内水氾濫解析の地盤標高デー タ作成の際に,メッシュ内既知点の中央値を代表値と して採用することは,一宮地区では計算精度を向上さ せることに有効であると考えられる.しかし,本稿で は一宮地区のみを対象としていることから,中央値を 代表値として採用することにより,計算精度を一般的 に向上させることができるとは言い難い.そのため,

他地区での更なる検証が必要と考えられる.

56

参照

関連したドキュメント

高木研究室では,高知県各地で地上型 LiDAR による地形測量を行っている.LiDAR

近年,都市化に伴う雨水流出係数の増加により,都市の洪 水氾濫の危険性が増している.氾濫現象を解析する方法と

1.はじめに 近年,集中豪雨による洪水氾濫が頻発している.近年の水害の多く

Information Systemのデータベースが毎年更新され、 管路の敷設年が残されていない事、対象排水区におけ

1漁業 に就業で きる糠会が多い下流域 とい う立地条件 ダウ ドカソデ ィの漁業者の収入は 高 く,漁業 に就業す る楼会が限定 される漁業専従 者や農業

 地盤高線は、主として低地を対象とし、高距1

The used ground level data are 50m, 10m and 5m mesh data that are provided at Geospatial Information Authority of Japan. Another ground level data is point data on manholes

11-1.SIPONDに解析パラメータをダウンロード①