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円筒状固体電解質型燃料電池構成材料の高性能化に 関する研究

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

円筒状固体電解質型燃料電池構成材料の高性能化に 関する研究

相澤, 正信

https://doi.org/10.11501/3130942

出版情報:Kyushu University, 1997, 博士(工学), 論文博士 バージョン:

権利関係:

(2)

第3章 空気極材料の研究

(3)

第1節 緒言

第1章に示したように燃料電池の内部抵抗は、 電解質、 インタコネクタおよ び電極などに起因する電気抵抗(純抵抗成分)や電解質/電極界面での電極反応 に起因する分極抵抗に大別される。 電解質、 インタコネクタの高性能化 (例え ば薄膜技術の進展など)が図られるにつれ電池の内部抵抗中の分極抵抗の比率 が増加し、発電性能におよぼす電極反応の効果が増大する。空気極での反応は、

酸素分子をが酸素イオンに還元し電解質内に移動させる反応であるため、 この 還元反応を効率よく行う必要がある。 先に述べたように、 この還元反応はバル クと表面が関与するため多くの素過程から成り立っており、 その律速過程や酸 素種の挙動や反応サイトにたいする知見を得ることは電極材料の設計に極めて 有意義なことであり、 そのためには様々な反応段階を見極め律速段階を同定す ることが必要となる 1)。 これまで空気極反応についての報告された研究の多く は400 oC'"'"'800 oCの温度範囲の白金電極に関するものであった2)-6)。白金電極 上の酸素還元の律速段階は、 酸素分圧、 温度範囲、 過電圧範囲および電極特性 などの条件に依存して変化する。 しかし今日に至るまで反応の速度論的解釈に ついてまだ統ーした見解が得られていなし、。 この理由の1っとして、 研究者に よって白金電極の組織、 形態が異なっていることが挙げられる。 白金電極に比 べると、 酸化物電極での酸素の還元反応はそれほど広範に研究されていなし、。

分極過程が電極物質に大きく依存するため、 酸化物電極の挙動は白金電極のそ れと異なるものと考えられる7),8)0 1000 OC8)およびそれより低い温度9),10)での YSZ上の数種の金属および酸化物電極に対して行われた広い範囲での電流条 件下における研究において、 酸素極反応の速度論的性能について、 電極物質の 効果が示されてきた。 異なる酸化物材料を用いると、 酸素還元に対し異なった 反応機構を示し、 異なった触媒作用を示すことが指摘されている11)。 例えば 800 oCで、 酸化物電極の活性は、 次の通りである。

LaCo03 > LaMn03 > LaFe03 > LaCr03

電極によって活性の相違があるのは、 酸素分子の解離に対し、 異なる触媒作 用があるためとされている11)。固体電解質型燃料電池の作動条件下で、LaMn03 電極上の酸素還元に関して最も可能性の高い律速段階は、 酸素分子の解離吸着 であるが、 反応機構の詳細については未だはっきりしていない. 同じ様な律速 段階が他の酸化物電極に対しでも提案されている12),13)。 欠陥を扱う化学は、 ープしたベロプスカイト電極の活性を考える上で重要である14)。

45

(4)

酸素吸着サイト量は電極での欠陥濃度に大きく影響を受ける。 ドープされた ベロプスカイトには一定レベルの酸素空孔が存在するため、 材料表面で酸素の 交換lめが行われ、 反応速度が影響を受けるものと推測されている. カソーディ

ック側に大きく分極すると、 ドープLaMn03の電気化学的活性は顕著に増加す ることが報告されている15)。 このような条件下では、 電極物質が部分的に還元 され、 電極内部での酸素空孔濃度が増大することがその原因とされている.

また、 先に述べたように電極反応は三相界面のみならず、 電極表面において もKrりger- Vinkl6)の記号を用いた次式で示される様に生じる。

1!202+VÖ(m叩ganaite)+2e - =00 X (manganai陀)

00 X (manganaiganaite) te) + V T Y O(e1ecrro1yte)叶 一OonX(e1ectro1yte) T Y +VO(mang Ö(manl1:

3-(1 )

3-(2)

したがって、 電極の活性が増大するのは、 電極物質中に電子と酸素空孔( 電子 およびイオン混合伝導)があることによると報告されている17)。この様にドープ されたLa基ペロブスカイト型酸化物電極では、 電極微構造と電気化学的性質 との間には密接な相関性があるため、 たとえ同一組成の酸化物を用いてもその 電極性能は、 作製条件に依存することが推測される。 たとえば、 電極の焼成温 度が高い場合、 電極表面では平滑な粒子となるので、 電極粒子と電解質との接 触が増し、 より大きな容量を持つことになる. また平滑な粒子のために、 三相 界面の境界が短くなり、 反応サイトが減少することが予想される。

このように、 ペロブスカイト型酸化物の電気化学的性質は、 合成の出発物質 の特性や調製条件、 とくに焼成条件によって変化することが予想され、 研究に よるこの様な電極のモルフォロジーの差が電極反応の速度論的性質についてま だ統ーした見解が得られていないことの主な要因となっていることが考えられ る。 また、 ペロプスカイト型酸化物の電極活性を向上するため、 Bサイトへの 他元素による置換効果に関する研究がされている。 Inoueら9)は、(La,Sr)Co03 にNiを微量添加した酸化物電極を用いることで、 酸素センサーの作動温度を

白金電極よりも低温化できることを報告した。

そこで本研究では、 第2章で述べたように、 調質な組織の酸化物の合成が可 能である硝酸塩の熱分解法を用いて、 BサイトにNi, Alなどを添加した (La,Sr)Mn0318)�こついて組成や焼成温度などの電極作製条件が、電極活性や速度 論的な特性に影響をおよぼす効果についてカレントインタラプション法および 交流インピーダンス法を用いて評価、 検討を行った。 また、 電極反応速度にお よぼす酸素分圧の効果や低温作動特性についても評価を行った。

46

(5)

第2節 電極反応評価法

2-1 電極反応現象

一般的に電極/電解質界面には電極側の電子およびイオンと電解質側のイオ ンによっていわゆる電気二重層が形成され、 電極反応はこの層を通しての電子

やイオンの移動を伴って進行すると考えられる。

ここで次式で与えられる電極反応を考える。

O+ne- dk R

k

3-( 1 )

ここでに、 kc はカソーディックおよびアノーディックな反応の速度定数であ る。 3-(3)式の反応が物質O、 Rに対して1次である場合、 一般的な化学反応と 同じように、 カソード反応およびアノード反応の速度はそれぞれに対応する電 極での表面濃度に比例するため、 物質iの電極表面からの距離(x)、 時間(t)で、の 物質濃度をCj(x,t)で、定義すると、 カソード方向およびアノード方向の電流密度 は次式で与えられる。

Ic=nF {kcCo(O,t)}

Ia = nF {�CR (0, t)}

3喧(2) 3-(3)

ここでIc、Iaはカソード方向およびアノード方向の電流密度であり、Fはファ ラデ一定数である。 実際に測定される電流密度(1)は、 それぞれの電流密度の差 であるため、 Iは次式で与えられる。

I=Ic -Ia =nF {kcCo(O,t) - �CR(O,t)} 3-(4)

反応定数が、 平衡状態でArrheniusの式にしたがうならば、 次のように与え られる。

kc=Ac exp(ームGc /RT) ka=Aaexp(ームGa/RT)

3-(5) 3-(6)

ここでムGc' ムGaはカソード反応およびアノード反応の活性化エネルギー、

Ac' Aaはそれぞれの頻度因子であり、 R, Tはそれぞれガス定数 , 絶対温度で ある。 通常の均一化学反応の活性化エネルギーは広い範囲で一定値をとること が知られているが、 電極反応では電極のおかれる電位に依存して変化する19),20)。

図3-1にポテンンャルエネルギー曲線を模式的に示す。 太線は平衡電位 (1=0)におけるポテンシャル曲線で、細線は平衡電位からEだけ電位を動かした 時の曲線である。

47

(6)

ðGO

h b E

E=O

(1・a)nFE

包』ω58hwm》』雨宮gm

O+ne R

民action c∞rdinate

電荷移動過程におけるポテンシャルエネルギー曲線 Fig. 3-1

ここでポテンシャル曲線は電位が変っても形状は変らないものとする。 図中 ムGcO、 ムGaOは平衡状態で、の活性化エネルギーを示す。 電極電位をE だけ変化 させた場合、 界面の電子ポテンシャルはnFEだけ変化する。 ここですべてのエ ネルギ一変化のうち、 αの割合だけ活性化エネルギームGc が平衡より高くなっ たとすると、 次の関係が得られる。

3-(7) 3-(8) ムGc==ムGcO+αnFE

ムGa==ムGaO_(1-α)nFE

ここでαは移動係数と呼ばれ、 ポテンシャルエネルギーの障壁の対称性を示 し、 0<α<1 の範囲にある。

これらを用いて次に示す電極電位と電流密度(I )の一般的な関係が得られる。

I=nFkO CCo(O,t)exp(ーαnF(E-EO)IRT)-CR(O, t)exp( (1-α )rùF(E-EO)IRT)] 3-(9)

EOは、 CO(O,t)= CR(O, t)の時の電極電位で、あり、 この値はカソード反応、 アノー ド反応の容易さの尺度と 考えられ、 例えば正で値が大きいほどカソーディック な反応が良く進む。 また、 k。は標準速度定数と呼ばれる反応速度パラメータの

1つである。

ここで電荷移動過程が律速となるような場合を考えると、 ここでは物質移動 は容易に生じるため物質濃度は電極表面からの距離に依存しない。 この様な律 速過程の反応の平衡状態で、の電流密度をとくに交換電流密度(10)と呼ぶ。 九は、

電荷移動過が律速となる電極反応において平衡状態にあるときのカソード方向

48

(7)

あるいはアノード方向の電流密度である。

電流密度(I)の電流を流したときの電極電位の平衡電位からの差、 すなわち過 電圧をηとすると、 次の関係が得られる。

I=Io[exp(ーαnFη/RT)-exp((1-α)nFη/RT] 3-(10)

この式はButler-Volmerの式21)と呼ばれ、 電荷移動過程に対し物質移動過程 が影響をおよぼさない場合の電流密度と過電圧の関係を示し、Lが大きいほど 同じ過電圧で得られる電流密度が増大し、 したがって電極反応の抵抗が小さい ことが分かる。 これらのことから、 固体電解質型燃料電池用の空気極材料を開 発するにあたり、Lが大きい電極材料を開発することが重要であることが分か る。

子(10)式において、

|

η

I

<<

、 かつ

|

η

1

<< i1-

f

が成り立つよう

なηが小さい場合、 次のように Iとηの聞に比例関係が得られる。

竹H1F一Tnτ点Ih可一一 3-(11 )

ηが正負いずれにしても大きい場合、 3-(10)式の右辺のどちらかの項が無視 できる値となり、 次の関係が得られる。

η=α+ b .lnl 3-(12)

3-(12)式はターフェルの式21)とも呼ばれ、 係数aはLを示し、 係数bは温度 と反応が決まれば一定の値となる。 このターフェルの式が成り立つ範囲でのη は一般に活性化過電圧と呼ばれる。

一方、 電極反応が進むにつれて電極表面付近の反応物質が消費され、 沖合に 比べて電極近傍の反応物質の濃度は小さくなる。 この濃度差を駆動力として反 応物質は拡散により電極表面に補給されるようになる。 このような物質移動過 程が無視できないような反応においては反応物質の反応場への供給の遅れや反 応生成物の散逸の遅れによって電極反応が律速される場合が多い。 反応物質の 電極表面での消費速度と拡散による補給速度が釣り合うようになるまで濃度差 は拡大し、 またこの濃度変化のある領域は電極反応の進行とともに拡大する。

この濃度変化のある領域は拡散層と呼ばれる。 反応物質の拡散は有限の速度 で生じるため電極での消費速度すなわち電流密度が増大すると沖合からの反応 物質の補給が間に合わなくなり、 電極のηが大きくなっても電流値は大きくな らず、ある一定値に近づくようになる。 このときの一定値は限界電流と呼ばれ

49

(8)

るロ このように拡散過程が律速となるときのηは、 濃度過電圧と呼ばれる。 こ のような電極反応におけるIとηの関係を図3-2に模式的に示す。

ターフェルの関係が 成り立つ領域

-正

宮山国側摺

濃度過電が発現す

領域

• • • • • • • • • • • • ・

1(0) 交換電流密度

Fig. 3-2

ln (1) I(L)

限界電流密度 電流密度(1)過電圧(η)の関係

2-3 カレントインタラプション法による電極反応の解析

カレントインタラプション法とは測定する電極を電流で定常に分極した状態 で、 電流を遮断しその直後の電極電位の変化を測定する方法であり、 オーミッ クな抵抗過電圧(IRドロップ)と電極反応に起因する非オーミックな過電圧と

を分離測定するに適した方法である。 測定回路図を図3-3に示す。

electrolyte electrolyte

Counter Working Counter

Galvanostat Galvanostat

Generator Generator

(a) 2端子法 (b) 3端子法

Fig. 3-3 カレントインタラプション法の測定模式図

50

(9)

カレントインタラプション法は、 通常は電池に矩形波のパルス電流をカレン トパルスジェネレータを用いて印可し、 その時の電位に応答をストレージオシ

ロスコープで観察する方法が良く用いられる。 電流と電位の応答の概念を 図3-4に模式的に示す。

lnteπupnon yi

+

nu 百ωとロυ

'�R-drop(

\___

ηー

の mw E E ωωS【O〉

包me

カレントインタラプション法での電流波形と電位波形

Fig. 3-4

電流密度(1)の電流を電池に流しておいて瞬間的に電流をo (遮断)にすると、

電池の端子間の電圧はある電位まで瞬間的に応答し、 その後ゆるやかに減衰す る。 すなわち電流の変動に対して瞬間的に応答する応答の速い成分と、 時間と ともに減衰する応答の遅い成分とが存在することがわかる。 電解質の厚さを変 えて電解質のオーミック抵抗を変化させた時に応答の速い部分だけがそれに比 例して変化する。 電解質の厚さを一定にして電極面積を変化させると応答の早 い成分も遅い成分も電極面積に反比例する。 電極のさらされる酸素分圧を変化 させた時に応答の速い成分は変化せず、 遅い成分のみ変化する。 以上から、 電 解質などの導電性に関する抵抗成分が応答の速い成分に、 電極反応に関する抵 抗成分が応答の遅い成分と見なすことができる。 電流変化に対する電圧の減衰 は、 抵抗と容量とが並列につながっている図3-5に示すような等価回路で説明 することができる。

RJ ;電解質の抵抗性分

R2 ;電極反応に抵抗成分 c;電極反応の容量成分 R2

C

電解質/電極の等価回路模式図

Fig. 3-5

51

(10)

応答が速い成分はオーミックな応答をする抵抗R1に、 応答の遅い成分はR2 に対応している。 IR1を抵抗過電圧、IR2を活性化過電圧と呼び、 それぞれ電流 が流れるのに必要なエネルギーに対応している。

これらのことから電解質/電極に電流を流した時の電圧降下をカレントイン ターラプション法によって電解質に起因する抵抗成分と電極反応に起因する過 電圧とに分離測定できることが分かつた。

ここで図3-3(a)、 図3-4から主に電解質に起因する見掛けの酸素イオン導電 率(σ)および電極反応速度のパラメータである分極抵抗(RE)は次式で、定義で、き る。

σ 11 =一一一

RS RE η21 S

3-(13 ) 3-(14)

ただし、 REには、 電極のカソード反応とアノード反応の2つの反応が合まれ る値となるため、 過電圧( η )が小さい領域(流れる電流が交換電流密度(10)近傍 の時 )で求まるパラメータである。

一方図3-3(b)、図3-4からは同様に次式でそれらのパラメータを定義できる。

一nbv 一cu

t一Ri一ηA14-

d

E

σ σ

3-(15) 3-(16)

なお、 本論文では図3-3(a)に示す2端子法から求まる過電圧をη\図3-3(b) に示す 3端子法から求まる過電圧をηと示す。 また、 図3-3 に示した、 ストレ ージオシロスコープには理研電子製TCC-DGを、ガルバノスタットには北斗電 工製HA-501G を、 パルスジェネレータには、 北斗電工製HB-211 を組み合わ せて用いた。

2-4 交流インピーダンス法による電極反応の解析

先に述べたように電解質/電極には応答速度の速いオーミックな抵抗成分と 遅い非オーミックな抵抗成分がある。 これは電極反応に起因する抵抗は容量成 分を持っているためであることはすでに述べた。 このような素子に交流が流れ るとその容量に依存して位相が遅れて電流が流れる。 そのためいろいろな容量 成分を持つ素子では、 そのインピーダンスの交流周波数への依存性を調べるこ

とでその容量成分と抵抗成分を分離測定することができる。

水溶液系の電解質に交流法を応用した例は数多くあり、 研究の体系もほぼ確

52

(11)

立している。固体電解質に応用した例としてはBauerle22)の実験以来多くの報告 例はあるが、 電解質のイオン導電率に関する研究が多く、 とくにペロプスカイ ト型酸化物電極と電解質の界面反応についての研究例は少なく、 まだ統一的な

見解が得られていないのが現状である。

一般的にzr02系やCe02系の電解質の容量成分は酸化物電極のそれに比べて 無視できるほど小さいので、 周波数が高いときには電解質に起因するインピー ダンス成分が、 周波数が小さくなるにつれ低周波数では電解質/電極界面のイ ンピーダンス成分が、 さらに低周波数では電極の抵抗あるいは気相中の反応物 質の拡散に基ずくインピーダンス成分が測定される。 分極抵抗は、 カソード、

アノードの両電極に存在するため、 それぞれの分極を分離測定するためには、

カレントインタラプション法(図3-3)と同様に、 通常図3-6に示す方法でこ れらのインピーダンスが測定される。 測定されたインピーダンスを複素平面表 示(コールコールプロット)すると、 図3-7のようになる。

impedance加alyzer Solartron 1260

personal computer

交流インピーダンス法測定回路図

Fig. 3-6

R3

電極

Z' / Q

コールコールプロットの表示例

53 R2

粒内 粒界

Rl

Fig. 3-7

。\=Nt

(12)

ここで Rlは主に電解質に起因する抵抗成分であり、 いま参照極で測定して いる電位ポテンシャルが電解質の厚さ方向のはぼ中央部に相当すると仮定する と、 主に電解質に起因する見掛けの酸素イオン導電率(σ)は次式により定義で きる。

σ 二 一一一­

SJ 2Rls 3-(17)

ここでtは電解質の厚みであり、 Sは電極面積である。 また、 次式から電極 反応速度のパラメータである分極導電率(σE)を定義することができる。

σ r -一一一-

U J R2S 3- (18)

第1章(表1 -4)に示したように、 σ E の酸素分圧依存性を調べることで、 電 極反応の律速過程を考察することができる。

なお、 本実験では図3-6 に示したポテンシオスタットには東方技研製 2000 を、 インピーダンスアナライザーにはソーラトロン製1260 を用いた。

第3節 実験方法

3-1 試料の作製

電極反応速度におよぼす電極組成、 電極の焼成温度および酸素分圧の効果を 調べ、 また電極特性の耐久性を評価することを第一の目的として 、 次の方法で 試料を作製した。

国体電解質には酸素イオン輸率が高く、イオン導電率も高い材料が望まれる。

そこで、本研究では8 mol%Y203で安定化したzr02(YSZ;東ソー製TZ-8YB) 粉末を電解質作製の出発材料に用いることとした。 この粉末は造粒粉であり、

金型での成形性に優れている。 この粉末を金型を用い、直径20 mm、 厚さ2 mm にプレス成形(10 kgf mmうしたのち、 1450 ocで5 hの焼成を行った。 焼成体 を研削加工により、 直径17 mm、 厚さ1 mm のディスクとした。 得られたディ スクサンプルのアルキメデス法により求まる密度は、いずれも6.3g/cm3以上で あり、 理論密度の約98%以上であることを確認した。 ペロプスカイト型酸化物 の組成として、 本研究で、は(La1_XSr X)l-Z( Co1_ wMnw) 1_ Yl-Y2A1 Yl Ni Y20 3とした。 ここ でXは0.1 ---0.4 の範囲で、 Zは0--0.1 の範囲で、 Wは0.75--1 の範囲で、 Yl は0--0.06 の範囲で、 そして Y2 は0--0.09の範囲とした。 粉末は、 第2章2

-2節に示した方法に従って調製した。 得られた仮焼粉末(850 ocで10 h)に 対し、XRD法によりベロプスカイト型結晶構造単一相であることを確認した。

54

(13)

調製した粉末にテレビン油と酢酸0-プチル を適量添加し乳鉢をもちいて酸化 物ペーストを作製した。 YSZディスクの片面あるいは両面に、 スクリーン印刷 (#200のスクリーン使用) を用いて、 電極ペーストを直径7 mmで印刷した。

この印刷条件では、 1回の印刷で得られる膜厚は 10μm---15μmであり、 通 常は 1回の印刷条件を用いたが、 幾つかの組成の電極については数回印刷する ことで最大で 60 μ m の厚膜 を作製した。 印刷後、900 oC ---1400 oCの範囲で 10 h焼成することで試験極を作製した。 次に、 図3-3(b)、 図3-6に示すサンプ ルに対しては、Pt製の対極、 参照極を取り付けた。対極についてはPtペースト (田中インターナショナル製)を用いてスクリーン印刷(メッシユ#200 のスク

リーン使用)により直径7mmに印刷し、参照極については刷毛塗り し、1000 oC で1 h焼成することで作製したロ なお、 通常は試験極 を焼成したのちに、 対極、

参照極を焼成したが、 焼成温度が9000Cの試験極については、 対極、 参照極を 先に焼成することで試料を作製した。

3-2 電極反応の測定

本章2-3節、 2-4節に示したカレントインターラプション法および交流 インピーダンス法を用いて電極反応に起因する抵抗の測定を行った。 カレント インタ-ラプション法を用いて、 定常分極(過電圧η) の測定および図3-2に 示す方法で、交換電流密度 (Io)の測定 を、交流インピーダンス法用いて、3-(17) 式、

3-(18)式 から主に電解質に起因する見掛けの イオン導電率(σ)および分極導電 率(σE)を算出した。

測定に用いた装置の原理を図3-8 に示す。

電気炉 T.C

巳 〈 I⑤

巴二�三三l

酸化剤

Fig. 3-8 電極反応測定に用いた装置模式図

55

(14)

アルミナ製(ニッカト一、 SSA-S) の炉心管を用い、 測定 温度が700 oC __

1000 oCの範囲で、行った。 また、 酸素分圧の電極反応への効果を調べるため、

酸化剤に純酸素、 空気および種々の濃度のN2+02混合ガスを用い、 ガス の入り 口および出口側に酸素センサー(東レ、 LC700H)を取り付けそれぞれの酸素 濃度がほぼ等しいことを確認しながら測定を行った。

3-3 微構造および結晶相の観察

作製したペロブスカイト型酸化物粉末のおよび電池サンプル特性のキャラク タリゼイションを行うために、 SEM観察ÆDX分析およびX線回折(XRD )測定 を行った。

実験結果 および考察 第4節

4-1 電極組成および焼成温度の効果 4-1-1 2端子法を用いた電極組成の効果

図3-9に1300 oCで焼成したMn基、およびCo基酸化物の電池特性におよぼ すSr添加量(x)の効果について、2端子法を用いて大気中1000 oCで測定 した結 果を示す。

NEQα

\

C出 0.5

0.4

0.3

0.2 0.1

0.08

0.02 0.06

-'Eυ∞

\ 0.04

b

X

Fig. 3-9 1300 oCで、焼成電極を用いた電極/電解質の1000 oCでの

見掛けの酸素イオン導電率σil(0,ム)と 分極抵抗RE (・,企)

0,・, (Lal-xSrx)o.9Mno.94Alo.o603' ム,Â.; (Lal-xSrx)o.9Coo.94Alo.o603

0.1 0.3 0.4

0.1

見掛けの酸素イオン導電率 ( σil)および分極抵抗( RE)は Sr量(X)に複雑に依存 した。 Xが0.1以下ではCo基酸化物電極が高いσilを示したが、Xが0.1以上 ではMn基酸化物電極が高いσilを示した。 またXが増加するにつれMn基酸

56

(15)

化物のσilは増加し、 Xが約0.3 で飽和するのに対し、 一方Co 基酸化物ではX が増加するにつれσilは低下した。 また、 REについては、 いずれの電極におい てもXが増加するにつれて低下し、Xが0.2から0.3 の範囲で、最小値を示した。

図 3-10 に同様に 1300 ocで焼成した MnとCo の複合酸化物電極における Mn/Coの配合比(W)とAl 添加量(Y1 )、 Ni添加量(Y2)の大気中、 1000 ocでの σilにおよぼす効果を示す。

o Yl =0.01 5,Y2=0

・Yl =0.03, Y2=0 ムY1 =0.06, Y2=0 企Yl =0, Y2=0.06 ロYl =0, Y2=0.09

・Yl =0, Y2=0.1 5 o Yl =0.015,Y2=0.09

nu

0.08

b

0.02

0.06

0.04

-85 υ∞

\

0.8

w

0.2

Fig. 3-10 YSZ電解質/ (Lao.6Sr0.4)O.9(COI_WMnW )1_YI_Y2AIYI Niy203電極の 見掛けの酸素イオン導電率(σil)と電極組成の関係

Wについては増加するほど、 σilは増加する傾向を示し、 Wミ0.75のMn基 酸化物において、 高いσilが得られた。 W=lのMn基酸化物において、 Y1 は 0.015で、 Y2については0.06,....,0.09の範囲で高いσilが得られた。 またAl、

Niを同時に添加した(Y1 =0.015, Y2=0.09)酸化物電極も高いσilを示した。

本実験から得られたσilは、 高いものでも例えばW=1,Yl=0.015,Y2=0.09の 酸化物電極で0.84S cm-1、 W=0.75, Y1 =0 , Y2=0.09の酸化物電極で0.086S cm-1 であり、報告されている YSZの導電率と比較して、 いずれも低いものであった。

図3-11に同様に1300 ocで焼成したこれらの複合酸化物電極の組成(W, Y1,

Y2)と分極抵抗(RE)の関係を示す。 測定条件は大気中、 1000 ocである。

57

(16)

0.5

0.4

E

tJ

0.3

、、、

4

02

0.1

o Yl =0.015,Y2=0 ・Yl=0.03, Y2=0 ムYl =0.06, Y2=0 企Yl =0, Y2=0.06 ロYl =0, Y2=0.09園Yl =0, Y2=0.1 5 o YI =0.015,Y2=0.09

w

Fig. 3-11 YSZ 電解質/(L�.6Sr0.4)O.9(COl-wMnw)I_Yl_Y2AlYl Niy203電極の 分極抵抗(RE)と 電極組成の関係

Wが増加するにつれてREは減少する傾向を示した。Y1=0.015,._,0.06でY2=0 およびY1=0.015, Y2=0.09の酸化物電極では、 Wミ0.75でREは最小とな った が、 それ以外の酸化物電極ではW=lでREは最小となった。

Y1 =0.015, Y2=0.09の複合酸化物電極の REが最も低く、W=lで0.136 Q cm2 、 W=0.75で0.145 Q cm2であった。

以上の結果から、酸化物電極の組成としてX は0.2,._,0.3の範囲で、Wについ ては0.75以上で、 Y1 については約0.015で、またY2 については約0.09の組 成が適正で、あることが考えられる。

4-1-2 3端子法を用いた電極組成の効果

4-1-1節に示したような組成 を因子とした実験では、 Aサイト およびB サイトの組成問の 交互作用を評価できないため、 組成の 最適化を図るためには 最終的には実験計画法としてマトリックス法を用いて評価することが重要と 考 えられる。 そこで、 Z=0.1の酸化物において、 X=O.1, 0.25, 0.4 、 Y1=0, 0.015 、 Y2=0, 0.09またW=0.75, 1.0 をマトリックスの水準値に選んで電極特性を評 価することとした。 こ こでは図3-3(b) および図3-6 に示す3端子法によるカレ ント インタラプション法および交流インピーダンス法を用いて測定を行い、 電 解質/ 電極聞の見掛けの酸素イオン導電率(σi3) および分極導電率(σE) を評価し た。 前者では固体電解質型燃料電池の定格出力条件として一般に考えられてい る電流密度(0.3 A cmうに相当する電流を遮断することで、 電極反応速度パラメ ータを算出した。

58

(17)

一方後者では、純粋なカソード反応を測定するため、試験極とYSZディスク 側面に取り付けた参照極聞に10 mVの分極を印加し、 振幅電圧を約7 mVの 条件で、行った。

3- (15)式-- 3- (18)式に従って、 焼成温度が1300 ocの電極について大気中 1000 ocで測定した電極反応の速度パラメータを表3-1 に示す。

Table 3-1 1300 ocで焼成した(LaI_XSrX)O.9(COI_wMnw)I_YI_Y2AIYINiY203 電極について、 大気中1000 ocで測定した電極反応の速度パラメータ w

0.75 0.75 0.75

カレントインタラフ。ション法 交流インピーダ ン

X Y1 Y2 0・i2 σE2 σi3 0・E3

/Scm-I /Scm-2 /Scm-I /Scm-2

0.1 。 。 0.064 4.54 0.074 4.26

0.1 0.015 。 0.075 4.01 0.073 4.56

0.1 。 0.09 0.052 9.12 0.054 6.49

0.1 0.015 0.09 0.065 13.88 0.075 7.03

..・・・・・・・・・・・・ー・・・・・4・ーー・・_... ・・...・・・・・・・・ー・・・・・・・・・・・・ ・ーーー・・・・ ・・・ー・・・・・ー・・・・・・・・・・ー・・・ー・・・・・・・ー...・・・・・・・・・・・・・・・・・・..._...・・ リ

0.25 。 。 0.053 3.05 0.061 6.50

0.25 0.015 。 0.048 1.67 0.060 4.41 0.25 。 0.09 0.046 2.93 0.059 7.88 0.25 0.015 0.09 0.092 17.78 0.085 18.59

-・・・・・...・・..._...ーー・...・・・・・・・・ー・・・・・・・ー一一-...・一一..._... ..._...ー・・・・,ー・・・・・・ー・・ ・・・・・・・...・・一一一

0.4 0.015 。 0.061 1.42 0.067 5.77

0.4 。 0.09 0.061 1.38 0.068 4.19

0.4 0.015 0.09 0.064 1.31 0.069 7.22 0.4 0.015 。 0.047 0.75 0.074 3.32

0.4 。 0.09 0.043 1.88 0.076 4.06

0.4 0.015 0.09 0.042 1.40 0.064 3.90

カレントインタラプション法と交流インピーダンス法を比較すると、 後者の 方がσi' σEともに高い値が得られることが分かる。 これは、 カレントインタ ラプション法では電流密度が0.3 A cm-2と比較的高い通電条件下で測定された ため、 とくに σEに濃度過電圧の影響も寄与したためと推測される。 一方交流 インピーダンス法では、 低い分極条件下で測定したため、 電解質/電極界面近 傍の電極反応のみを測定し、 濃度過電圧の影響は合まれないため比較的高い反 応速度値が得られたものと推測される。 しかしながら、 電極組成と反応速度パ

ラメータ値の序列は、 両者でほぼ符合していることから、 これらの方法で電極

59

(18)

反応速度におよぼす電極組成の効果を検討することが十分に可能であることが 分かる。とくに交流インピーダンス法での測定結果は次のようにまとめられる。

例えばσi3については、 W=1の場合、 Xに依らず、 Y1=0.015, Y2=0.09の電極 が高い値を示す。 その中でもとくにX=0.25, Y1 =0.015, Y2=0.09の電極が最

も高いσi3を示した。 σi3の序列は、 次のようになった。

Y1=0.015,Y2=0.09> Y1 =0.015,Y2=0> Y1 =0,Y2=0> Y1=0,Y2=0.09

また、 W=0.75のBサイトにCoと M nの複合酸化物を電極に用いた場合、

W=1の電極に比べてσi3は総じて低下した。 また、 W=1の場合では高いσi3 を示したY1=0.015,Y2=0.09の電極が、 この場合最も低いσi3を示した。

一方、 σE3については、 W=1の場合、 Xに依らずY1=0.015,Y2=0.09が高い 値を示し、 σi3と同様とくにW=1, X=0.25, Y1 =0.015, Y2=0.09の電極が最

も高いσEを示すことが分かつた。 σE3の序列はσi3の場合と異なり、 概ね次 のような関係が得られた。

Y1 =0.015, Y2=0.09 > Y1 =0, Y2=0.09 > Y1 =0, Y2=0> Y1 =0.015, Y2=0

しかしながらW=0.75のCoがBサイトに複合された電極では、 Y1=0,

Y2=0.09の電極が、 Y1=0.015, Y2=0.09の電極よりもσE3が高くなる傾向が得 られた。 σi3およびσE3ともに高い値を示すY1=0.015, Y2=0.09の電極におい

て電極反応速度におよぼすXの効果を図3-12に示す。

0.1 20

18

g ()

0.08 16 N

E

Q

14

αj 0.06

\

0.04

て「】

b 0.02

0σi3

• σE3

12 10

8

2

o

I I I I

0

o 0.1 0.2 0.3 0.4

、、、

ぞ凶

b

Fig. 3-12 YSZ電解質/(Lao.7 sS r O.2S)O.9MOo.089SA1o.olsN iO.0903電極の見掛けの 酸素イオン導電率(σi3)と分極導電率(σE3)とSr添加量(X)の関係

60

(19)

図3-12より 、 この電極ではσE3はXに大きく依存し、とくにX=O.25で高い 電極反応速度が得られることが分かつた。

4-2 電極焼成温度の効果

幾つかの組成の酸化物について、 1050 ocおよび9000Cで焼成した電極の反 応速度について交流インピーダンス法により大気中1000 oCで測定した結果を 表3-2、 表3-3に示す。

Table 3-2 1050 oCで焼成した(La1-XSrX)O.9(COl_wMnw)I_Yl_Y2AlYI Niy203 電極について、 大気中1000 oCで測定した電極反応の速度パラメータ

交流インピーダンス法 w X Yl Y2 σ i3 σ E3

/Scm /Scm・2 0.25 0.015 0.09 0.092 16.67

一一………

0.4 0.015 。 0.076 5.78

0.4 。 0.09 0.069 3.51

0.4 0.015 0.09 0.056 8.33 0.75 0.4 0.015 。 0.065 3.61

0.75 0.4 。 0.09 0.086 9.28

0.75 0.4 0.015 0.09 0.056 4.01

Table 3-3 900 oCで焼成した(Lal_XSrX)O.9(Col_wMnw)1・YI_Y2A1YlNiy203 電極について、 大気中1000 oCで測定した電極反応の速度パラメータ

交流インピーゲンス法 w X Y1 Y2 σ i3 σ E3

/Scm-1 /Scm -2

0.1 。 。 0.074 16.42

0.1 0.015 0.09 0.091 23.63

一一

0.25 0.015 。 0.066 19.99

0.25 。 0.09 0.076 21.19

0.25 0.015 0.09 0.082 20.67

一一

0.4 0.015 。 0.080 11.30

0.4 。 0.09 0.067 8.66

0.4 0.015 0.09 0.081 8.66 0.75 0.4 0.015 。 0.085 5.65

0.75 0.4 。 0.09 0.058 3.25

0.75 0.4 0.015 0.09 0.048 3.88

61

(20)

1050 oc焼成の電極において、 W=l の酸化物の場合、 X=0.25, Y1 =0.015,

Y2=0.09の電極が最も高いσi3およびσE3を示すことが分かつた。また 、X=0.4 の電極では、 σi3はY1, Y2にあ まり依存せず、また σE3はY1=0.015, Y2=0.09 の電極で高い値を示す傾向は 1300 oc焼成の場合と同様であった。 一方、

W=0.75のBサイトにCoと Mnを複合した酸化物では、 Y1=0, Y2=0.09の電 極が最も高いσi3およびσE3を示し、 またこれらの 値は1300 oc焼成の電極の それ よりも高い値を示すことが分かつた。

また、900 oc焼成の電極において、W=lの場合1050 oc焼成 と同様な傾向に あるが、 とくに X豆0.25の電極は、 いずれも高いσE3を示す傾向にあることが

分かった。

一方W=0.75の酸化物では、Y1, Y2に依ら ずいずれの電極も 比較的高いσi3 を示し、 またY1=0, Y2=0.09の電極が最も高いσi3およびσE3を示す傾向は 1300 ocおよび1050 ocで焼成 した電極の場合と同様であった。

これらの結果から 、比較的高い電極性能を示した Y1=0.015, Y2=O.09の電極 においてσi3およびσE3におよぼす焼成温度の効果を図3-13 、図3-14に示す。

0.1

0.08

g u 0.06

""

0.04

0.02

ーら- W=l,X=O.1

-・- W=1,X=0.25 一目- W=l,X=O.4

-・- W=0.75,X=0.4

点二,。

0

800 900 10001100120013001400

Temperature(C

Fig. 3-13 YSZ電解質j(La1_XSrX)O.9( COl-wMnw)O.89SAlo.OlSNio.0903電極の 大気中1000 ocでの見掛けの酸素イオン導電率(σi3)と電極焼成温度 の関係

62

(21)

一一γーゴ

25 20

-65υ∞

15

\

10

Fず3民j

5

b

0

800 1 000 11 00 1200 1 300 1400

Temperature / oc

Fig. 3-14 YSZ電解質j(La1_XS r X)O.9( Co1_ wMnw )o.89sAlo.olsNio.o90 3電極の 大気中1000 oCでの分極導電率(σE3)と電極焼成温度の関係

o W=l,X=O.l, ・W=l,X=0.25, W=1.X=0.4, . W=0.75.X=0.4

900

電極の焼成温度が低い( 900 oC )場合、 W=l, X=O.lの電極が最も高いσi3お よびσE3を示し、 次にW=l, X=0.25の電極が高い性能を示した。 しかしなが ら焼成温度が高くなるにつれ、 電極性能は逆転しW=l, X=0.25の電極が最も 高い電極反応速度を示すことが分かる。

またW=0.75, X=0.4, Y 1 =0.015, Y 2=0.09の電極では、 焼成温度に依らず、

σi3やσE3は低い値を示した。

これまでの結果から、 σi3やσE3などの電極反応速度は電極の組成および焼 成温度に複雑に依存することが明らかとなった。 前述したように本研究で用い ているペロプスカイト型酸化物とYSZには反応物の生成が懸念され、これが電 極反応速度に影響をおよぼすことが予測される。 また、 電極反応速度は電極の 微構造にも依存することが予測されるため、 そこで本研究に用いた電解質材料

と電極材料の化学的安定性を評価することとした。

4-3 電解質材料と電極材料の化学的安定性

SEM/EDXを用いた微構造、 元素分析およびXRD法を用いた反応相の同定 を行った。 図3-15---図3-18にX=O.l, 025, 0.4およびW=0.75, 1の電極に対

し、 1300 oCで焼成した電解質/電極の断面のSEM像およびZr, La, S r, Mn のEDX分析結果を示す。 いずれの電極においても、 組成に関わらず比較的綴 密な組織であることが観察された。

63

(22)

Fig. 3-1 5 1300 ocで焼成した(LaO.9SrO.1 )O.9:t\心10.89sAlO.OlSNio.0903電極とYSZ電解質の 断面のSEM像およびEDX分析結果

(a)Zr,LaのEDX強度、(b)Zr,MnのEDX強度

(23)

Fig. 3-16 1300 ucで焼成した(�ao.75Sro.25)o.9MI1o.895Alo.0l5Nio.o903電極とYSZ電解質の 断面のSEM像およびEDX分析結果

(a)Zr,LaのEDX強度、(b)Zr,SrのEDX強度、(c)Zr,MnのEDX強度

(24)

Fig. 3-1 7 1300 ocで焼成した(LaO.6Sr0.4)O.9MnO.895AlO.015Nio.0903電極とYSZ電解質の 断面のSEM像およびEDX分析結果

(a)Zr,LaのEDX強度、(b)Zr,SrのEDX強度、(c)Zr,MnのEDX強度

(25)

Fig. 3-18 1300 ocで焼成した(�O.6SrO.4)O.9( COO.25Mno.・75)O.895AlO.0l5Nioω03電極とYSZ電解質の 断面のSEM像およびEDX分析結果

(a)Zr,LaのEDX強度、(b)Zr,SrのEDX強度、(c)Zr,MnのEDX強度

(26)

EDX分析より、W=l, X豆0.25 の電極ではいずれの元素についても相互拡散 は顕著には観察されなかった (図3-15、 図3-16)。 しかしX=0.4の電極では W値に関わらず、 電解質/電極界面にSrの著しい偏析が観察された(図3-17、

図3-18)。 また、 界面近傍の電解質にコントラストの異なる領域が観察され、

その領域ではZrのX線強度も電解質から電極に向けて緩やかに減衰している ことから、 これらの電極では電解質と電極間に何らかの反応相が生成している ことが考えられた。 図3-19、 図3-20にはW=1 でX=0.25, 0.4の電極に対し、

1050 ocで焼成した場合のSEM/EDX分析結果を示した。 いずれの電極も 1300 ocで焼成した場合と比べて多孔質であることが確認された。

また、 図3-20 に示すように、 X=0.4の電極で1300 ocで焼成した場合に観察 されたSrの偏析などの元素の相互拡散の特徴は観察されなかった。電極の焼成 温度を低下させたことで反応相の生成が抑制されたものと推測された。

そこで、 各種電極とYSZとの化学的な安定性を調べるために、 ペロプスカイ ト型酸化物粉末とYSZ粉末とを等重量分取し、エタノール中で、ボ-/レミル混合 した後、1100 ocあるいは1300 ocで、熱処理を行った。 これらの混合粉末に対し、

XRD法による反応相の同定を行った。

表3-4にMn基, Co基およびそれらの複合酸化物とYSZとの各種混合粉末 の熱処理後のXRD法を用いた結晶相の同定結果を示す。

Table 3-4 (La1_XSr X)O.9( COl-wMnw)O.89SAlo.015Nio.0903とYSZの反応生成物 のXRD法による結晶相の同定結果

co口和sition Annealing condition

11∞OC for 10 h 13∞OC for 10 h 13∞OC for 1∞h X=O.4, W=l not detected SrZr03 SrZr03

X=O.4, W=O.75 SrZr03,La2Zr207 SrZr03, La2Zr207 SrZr03,La2Zr207 X=O.4, W三0.5 SrZr03, La2Zr2 07 SrZr03,La2Zr207 SrZr03, La2Zr2 07 X=O.4, W=O SrZr03, La2Zr2 07 SrZr03,La2Zr207 SrZr03, La2Zr2 07 X=O.25, W=l not detected not detected SrZr03

X=O.25, W=O.75 SrZr03 SrZr03 SrZr03

Xご0.1, W=l La2Zr207 La2Zr207 La2Zr207

68

(27)

Fig. 3-19 1050 ucで焼成した(Lav.7sSro.2s)o.9MI1o.89sAlo.OlsNio.o903電極とYSZ電解質の 断面のSEM像およびEDX分析結果

(a)Zr,LaのEDX強度, (b)Zr,SrのEDX強度, (c)Zr,MnのEDX強度

(28)

Fig. 3-20 1050 ucで焼成した(�ao.6Sr 0.4)0. gMno.895A10.0l5N io.ω03電極とYSZ電解質の 断面のSEM像およびEDX分析結果

(a)Zr,LaのEDX強度, (b)Zr,SrのEDX強度, (c)Zr,MnのEDX強度

(29)

また、 図3-21に幾つかの代表的な酸化物について、 1300 ocでのアニール時 間と反応生成物のX線回折強度の関係を示した。

X=0.4

W =0.75

100

ト r

- - . =

X=O.4, W=I.O

30

10-1

�/

X=O.l, W=I.O }

10-2

o 20 40 60 80 100 120

Annealing time / h

Fig. 3-21 (Lal-xSrX)O.9(Col-wMnw)O.89SAlo.olsNio.0903とYSZの反応生成物 のX線回折強度と 1300 ocでのアニール時間の関係

10 ;

LaMn03の(110)ピークの強度

。口・ 1

;

SrZr03の(103)ピークの強度

1

;

La2Zr207の(222)ピークの強度

Mn基酸化物においてX<0.25の酸化物では La2Z乃07相が、X>0.25の酸化 物ではSrZr03相の生成が確認され、 これらの傾向は既報23)とほぼ同様であっ

た。Syskasisら 24)により W=0.8, X=0.3の酸化物ではYSZとの反応生成物は観 察されないとの報告がされているが、 本実験ではCoが複合 (例えばW=0.75) されることで、 YSZとの反応性が助長されとくに La2Zr207相の生成が顕著と なった. また、図3-21に示す様にBサイトにCoが複合され(W=0.75)、 X=0.4 の電極で反応生成物のX線回折強度が最も高く、次に Mn基(W=l)でX=0.4の

電極の反応生成物のX線回折強度が高く、 W=l, X=0.25の電極の反応生成物 のX線回折強度が最も低い値を示した。 また、X=O.l, 0.4の電極ではアニール

初期より反応相が生成されたのに対し、 W=l, X=0.25の電極では 1300 ocで 70hの処理後から反応相の生成が観察された。 反応相のX線回折強度はアニー ル時間には依存せずほぼ一定であることから、 その反応相の生成量は、 生成後

ほぼ一定であることが推測された。

W=l, X=0.25の電極が高い電極反応速度を示した理由として、 この電極で は低イオン導電率である La2Zr207相やSrZr03相が反応物として殆ど生成せず、

YSZとの界面近傍の電極が本来の高い性能を有しているものと推測された。

71

(30)

4-4 定常分極、 コールコールプロットの測定による電極反応速度の検討

4-4-1 電極添加元素(Y1, Y2)の効果

これまでの交流インピーダンス法の測定は、 低電流領域の測定であったが、

固体電解質型燃料電池の実用的な作動条件で、は、 さらに高い電流密度域で運転 される。そこでカレントインタラプション法を用いて、電極焼成温度が1300 oc のもとで、定常分極(η)におよぼすYl,Y2の効果について、電流密度が1A cm-2

までの範囲で測定した結果を図3-22�図3-25に示す。

400

1; Yl =0, Y2=0 2; Yl =0.015, Y2=0 300卜3; Y1 =0, Y2=0.09

4; Yl =0.015, Y2=0.09

〉 8 200

100

0

o

0.5 1 1.5 2 2.5 3

log 1

/ mA cm-2

Fig. 3-22 1 300 ocで焼成した(LaωSrO.1)0.9Mnl-Y1-Y2A1Y1 Niy203電極 の大気中1000 ocでの定常分極(η)測定結果

400

1; Yl =0, Y2=0 2; Yl =0.015,Y2=0 300ト 3; Yl =0, Y2=0.09

4; Yl =0.015,Y2=0.09

〉 8 200

に・100

log 1

/ mA cm-2

Fig. 3-23 1300 ocで焼成した(Lao.75SrO.25)0.9Mn1・YI_Y2A1YINiy203電極の 大気中1000 ocでの定常分極(η)測定結果

72

(31)

400 300

1; Y1

=0.0 1

5

Y2

=0

2

;

Y1

=0

Y2

=0.09

3; Y1 =O.01 5Y

2

=O.09

〉 a 200

〔h

0

o

0.5

1

1.5 2 2.5 3

log 1 / mA cm-2

Fig. 3- 24 1 300 ocで焼成した(Lao.6Sr0.4)O.�nl_YI_ Y2A1YI Niy203

電極の大気中1000 ocでの定常分極(η)測定結果

Y1, Y2の効果は、Xに依存し、W=l, X豆0.25の範囲( 図3-22、 図3-23) ではY1, Y2の効果は顕著であり、Y1=0.015, Y2=0.09の電極でηが最も低下

し、Y1=0.015, Y2=0の電極でηが増大する結果が得られた。X=0.4ではY1,

戸の効果は小さくなり、ほとんど同じ分極曲線が得られた。固体電解質型燃料 電池の実用的な作動条件を考慮すると、 通常その電流密度は、 高々1A cm-2 以 下である。W=l, X豆0.25でY1=0.015, Y2=0.09の電極では、実用的な電池作 動条件の電流域においても良好な電極特性を示した。 これらのηの測定結果か ら得られる電極性能の序列は、W=lの電極では以下の通りである。

Y1 =0.015, Y2=0.09 > Y1 =0, Y2=0.09 > Y1 =0, Y2=0 > Y1 =0.015, Y2=0

Y1, Y2の効果が顕著であったW=lでX=0.25の電極について交流インピー ダンス法により求めたコールコールプロットを図3-25に示す。この酸化物では、

Y1 =0.015, Y2=0.09の電極を除いて、 低周波数側に2番目の円弧が観察され、

これらの電極ではこの第2円弧のインピーダンス成分によりηがY1=0.015,

Y2=0.09の電極 よりも増大したことが明らかとなった(第2円弧の出現のメカ ニズムについては4-4-3節で 考察する )。

73

(32)

Yl=O,Y2=0 Vp=IO mV

6.66 Hz 0.2

O

m

3.0 4.0 Vp=lOmV

Yl =0.01 5, Y2=0 2.95 Hz

0.2

α

2.0

\

::: Yl =0, Y2=0.09 Vp=lO mV

N 8.73 Hz

0.4

0.4

AU 「ノ』

ハU

3.0 4.0

Yl =0.015, Y2=0.09 Vp=lO mV

2.58 kHz

1.0 2.0 3.0 4.0

Z' / g

Fig.

3-25

1300 ocで焼成した(Lao.75SrO.25)O.9Mol-Yl・Y2AIYINiY203電極の 大気中1000 ocでのコールコールプロット

9000Cで焼成した電極のηの測定結果およびコールコールプロットの一例

を図3-26、 図3-27に示す。

50

1; Y1 =0.015,Y2=0 2: Y1=0 Y2=0.09

3;

Y1 =0.015, Y2=0.09

〉 E

30

、、、

20

2・

10 0

o

0.5 1 1.5 2 2.5

3

log 1 / mA cm-2

Fig.

3-26

900 oCで焼成した(Lao.75SrO.25)O.9Mnl-Yl-Y2AlYlNiy203電極の 大気中1000 oCでの定常分極(η)測定結果

74

(33)

0.15 r- y1 ::::().01 5, Y2=O

α

\且15

1

Y1::::(),Y2=O.仰 1.5 kHZ N a1o5l lト・ Y1::::()., 0

11 f

Y 52 7 K 4

\ Hz 凹

1.5 1.8

Vp=IO mV 1.5 kHZ

Vp=10 mV

Vp=10 mV

21 24

z' / Q

Fig.3-27 900 ucで焼成した(Lao.75SrO.25)O.9Mnl札Y2AIYINiY203電極の 大気中1000 oCでのコールコールプロット

図3-26より、Y1, Y2に伴う電極性能の序列は、 図3-23に示した高温焼成 (1300 OC)の結果と一致したが、それらの差は 低湿で焼成することで著しく減少 し、 総じて電極性能が大幅に向上したことが分かつた。

図3-27に示す様に9000Cで焼成した電極では、 1300 oCで焼成した電極 (図3-25)に観察された第2円弧が消失し、 そのため円弧より求まるインピー

ダンス成分が減少することが、 低温(900 OC)で焼成することで ηが大幅に低下 したことの一因であることが分かつた。

4-4-2 電極組成(W, X)の効果

以上の結果から、 電極性能に優れていると考えられたY1=0.015, Y2=0.09 の電極について、 ηやコールコールプロットとW, Xおよび電極焼成温度の関

係について測定した結果の一例を図3-28,_図3-31に示す。

400

1; W=l, X=O.l 2; W=l, X=0.25 3003; W=l, X=O.4

4; W=0.7 5, X=O.4

〉a 200

、、、

100

log 1 / mA cm-2

Fig. 3-28 1 300 oCで焼成した(Lal-XSrX)O.9(COl-wMnw)O.895Alo.015Nioω03電極 の大気中1000 ocでの定常分極(η)測定結果

75

(34)

2.0 3.0 4.0 5.0

Z' / Q

Fig. 3-29 1300 ucで焼成した(La1_XSr X)O.9( Co1_ wMnw )O.89SA1o.olsNioω03電極 の大気中1000 ocでのコールコールプロット

電極焼成温度が 1300 ocと高い場合、 図3-28に示す様に、 ηはW, Xに大 きく依存し、 とくにX=O.4の電極性能はX豆0.25の電極に比べ著しく低下し た。

とくに高電流密度側で、Coが複合された電極(W=0.75)が、Mn系の電極(W=1 ) に比べ、 ηが増大した。

電極性能の序列は次の通りであった。

W=1 ,X=0.25> W=1 ,X=0.1 > W=1 ,X=0.4> W=0.75,X=0.4

この関係は、 交流インピーダンス法より求められた関係(表3-1 )とほぼ符 合した。 図3-29 に示したようにX=0.4の電極ではコールコールプロットにお いて低周波数側に第2円弧が観察され、 またその大きさもW=0.75の電極が、

W=lの電極に比べて大き いことが分かった。 これらのことから、 コールコール プロットの第2円弧の出現の有無およびその大きさがηとくに高電流密度側の

ηに大きく影響を与えることが明らかとなった。

図3-30、 図3-31 には9000Cで焼成した電極についてカレントインタラプシ ヨン法によるηおよび交流インピーダンス法によるコールコールプロットの測 定結果を示す。

76

(35)

40

1; W=1, X=O.1 2; W=1, X=0.25 303; W=1, X=O.4

〉E

20

4; W=0.75, X=O.4

、、、

写ご 10

0

o 0.5 1 1.5 2 2.5 3

log

1 /

mA cm-2

Fig. 3-30 900 ocで焼成した(La1_XSr X)O.9( Co1_ wMnw )o.89sA1o.01sNioω03電極 の大気中1000 oCでの定常分極(η)

W=I,X=O.l

0.15

。0.15

\ 0.15

:

N

0.15

2.0

Vp=lO mV

1.6 1.8

2.4

Vp=IO mV

Vp=lO mV

2.95 kHz

2.1 2.4

Vp=lO mV

z' /

Q

Fig. 3-31 900 ocで焼成した(La1_XSr X)O.9( Co1_ wMnw )o.89sA1o.olsNioω03電極 の大気中1000 ocでのコールコールプロット

図3-30に示す様に、 焼成温度が9000Cの場合、 高温(1300 OC)の焼成の電極 と比べてηは総じて大幅に低下し、 電極性能は著しく向上した。 この場合も前 述の電極性能の序列がほぼ維持されたが、 とくに W=lの酸化物では図3-28で 観察された様なηのXへの依存性が低下し、低電流密度域では同様な値を示し た。また、 これらと比べてCoが複合された電極(W=0.75, X=O.4)のηは大きい 値を示した。

77

(36)

図3-31に示す様に、 低温(900 OC)で焼成した電極には、 高温(1300 OC)で焼成 した電極で観察された第2円弧が消失しており、 これがとくにX=0.4の電極で 電極反応速度が向上したことの一因であることが分かつた。

すべての組成の電極で、 ηは焼成温度に依存し、 焼成温度が低下するにつれ てηが低下する傾向を示したが、 最も焼成温度依存性が小さかった電極はW=l,

X=0.25の電極であり、 最も温度依存性が高かった電極は、 W=0.75, X=0.4の 電極であった。

4-4-3 電流密度と電極厚みの効果

これまで述べたように、 電解質/電極の見掛けの酸素イオン導電率(σi3)、 分 極導電率(σE3)などの電極反応速度は電極の組成、 焼成温度に複雑に依存する ことが分かつた。 またカレントインタラプション法を用いた定常分極(η )の測 定から、 電極反応速度は電流密度にも依存することが分かった。 とくにηの測 定から、 例えば1300 oCで焼成した電極では、W=O.1, X=O.l, Y1 =0.015, Y2=0 (図3-22)の電極において、 またW=l, X=0.25の酸化物ではY1とY2の内少な

くとも一方がo(図3-23)の電極において、そしてWやYl, Y2に依らずX=0.4 (図3-28)の電極において、 高電流密度域でηが急激に増大する傾向が観察さ

れた。 そしてこれらの電極では、 交流インピーダンス法によるコールコールプ ロット測定の結果、 低周波数側に第2円弧が出現し、 これによるインピーダン スの増加がηの増大の原因であることが明らかとなった。

既に述べたように、 電極反応は荷電粒子(ここでは酸化物イオン)の移動を 伴う反応であり、 電流はこの荷電粒子の流束を反映する。 したがって上述のη が高電流密度域で急増する原因として、 このような荷電粒子の流束が高い状態 では、 気体の移動(拡散)が大きな影響をおよほし、 これがηの増大の原因と なることが考えられる。

そこで、 上記の種々の電極に対し、 交流インピーダンス法を用いてインピー ダンスにおよぼす電流の効果を調べることとした。

試験極から対極に種々の直流をバイアスした状態を得るための電流の制御法 として、 試験極/参照極間の分極 (以降Vpと略記)を制御することで行うこ ととした。 これまでの測定条件が Vp =10mV であるのに対し、 本実験では最大 で200mVまでのVpが生じるように種々の直流を印加した状態で交流インピー

ダンス法(振幅電圧は約7mV ) を用いた測定を行った。 求めたコールコールプ ロットの一例を図3-32�図3-36に示す口

78

(37)

0.1

。0.1 '" 0

N 0.1

0.1 0

1.2 1.4

Vp=10 mV

Vp=50 mV

Vp=1∞mV

Vp=200 mV

1.6 1.8 2.0

Z' / Q

Fig. 3-32 1300 ocで焼成した(Lao.75SrO.25)0.9MI\J.895Alo.015Nioω03 電極の大気中1000 ocでのコールコールプロット

0.4 Vp=lO mV

338 Hz

0.4 Vp=50 mV

、、、

:、、 0.4 Vp=1∞mV

N

0.4 7.6 Hz Vp=2∞mV

1.5 2.0 2.5 3.0 3.5

Z' / Q

Fig. 3-33 1300 ocで焼成した(Lao.9Sr 0.1 )O.9MI\J.895Alo.015Nioω03 電極の大気中1000 ocでのコールコールプロット

図3-32に示したように、電極性能が最も優れていたW=l, X=0.25, Y1 =0.015,

Y2=0.09の電極では、 Vpが200mV範囲まで R1 (図3-7参照)はVpにほとん ど依存せずほぼ一定であり、R2 (図3-7参照)がVpが200mVの時に僅かに増 加しただけであった。 ま た、 第2円弧は出現しなかったロ 一方、 W=l, X=O.l,

Y1=0.015, Y2=0の電極では、 図3-33に示す様に、 Vpの増加に伴ってR2が 増大し、 Vp>100ではRlが増大するとともに第2円弧が出現し、 R3 (図3-7 参照)も Vpにつれて増大することが分かつた。

79

(38)

図3-34、 図3-35に示す様にW=l, X=0.25, Y1 =0, Y2=0.09およびW=l,

X=0.4, Y1 =0.015, Y2=0.09の電極では、 Vpの増加とともにR2, R3が増加し、

いずれの電極においてもVp=200mVの条件では、第2円弧は収束せず低周波数 側で発散し、 いわゆるWarburgインピーダンスプロットを示した。

Vp=10 mV

8.73 Hz 0.2

Vp=50 mV

0.2

\ Vp=I00 mV

:、、 0.2

N

Vp=200 mV

0.2

Z' / Q

Fig. 3-34 1 300 ocで焼成した(Lao.7SSrO.2S)0.9MI1o.91Nio.0903 電極の大気中1000 oCでのコールコールプロット

Vp=) 0 mV

6.6 Hz

I 258 Hz _,-ーー-

0.2

0.2

\

N 0.2

0.2

2.0 3.0 4.0 5.0

Z' / Q

Fig. 3-35 1300 oCで焼成した(Lao.6Sr0.4)0.9Mno.89SAlo.OlsNioω03 電極の大気中1000 oCでのコールコールプロット

80

参照

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