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5.10
t-Y203 Content / mol%
合成したZr02-Y203膜の格子定数とY203固溶量の関係
Fig. 4-12
111
いずれのTdepでも合成された膜はほぼ同ーの関係を示し、 Y203固溶量の増加 にともない格子定数が増大することが確認された。
伊藤ら23)はZr のアルコキシドとMgのß-ジケトン錯体を原料に用い析出温 度が450 oc ---700 ocにおいてZr02-MgO系膜を作製したところ、 MgOが 8 mol%以上で立方品が安定化された膜が得られることを報告した。 この立方晶 のMgO 固溶領域の下限濃度は、 報告されている状態図によると約 2000 ocで の下限領域に対応することが指摘された。 本実験の結果でも、 Stubicanら26)が 報告した状態図によると、Y2033 mol%で立方晶が存在で、きる温度が約2300 oc となっている。 平衡相境界からのずれは、 結晶粒径の効果27)の他に成膜速度や 膜の組織などの影響によるものと思われる。
膜組織と成膜速度の析出温度依存性
図4-13 にVyNzr=1 .5 で立方晶が得られる条件下で、 Tdepが620 oC、 6400C qο
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および6600Cで合成した試料のXRDパターンを示す。
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Fig. 4-13 合成したZr02-Y203膜のXRDパターン (a)Tdep=620 oC, (b)Tdep=640 oC, (c)Tdep=660 oC
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Tdep=620 oCで得られた膜では特定の結晶配向は認められなかったが、 Tdepが 上昇するにつれて(100)面が基板面に平行に配向することが確認された。7000C 以上の温度で合成された膜のXRDパターンは6600Cで得られた膜の(100)面配
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向の回折パターンにほぼ一致した。 伊藤ら23)が作製した膜は結品配向性 が認め られず結晶性の低いものであったが、 本実験ではTdepが6600C以上で(100)面 が基板面に平行に配向し、XRD回折パターン も比較的シャープなピークを示す 膜が得られた。 また、 Kamataら20)が0ージケトン 原料を用いて735 oCで 合成
した YSZ 膜では本研究と同様(100)面 が優先配向することが報告され、 ハライ ド原料を用いたCVD法においても、 1100 oCで(100)面配向したYSZ膜 が合成 されている12)。 このような膜の 結晶性におよぼす原料の効果については、 今後 の検討が必要である。
図4-13にXRDパターンを示した試料の破断面のSEM像を図4-14に示す。
Fig. 4-14 合成したZr02-Y203 膜の破断面のSEM像
(a)Tdep=620 oC, (b)Tdep=640 oC, (c)Tdep=660 oC
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Tdepが6200Cで作製された無配向膜は微粒多結晶からなっており、膜組織は、
Tdepの上昇とともに柱状品組織から樹枝状組織ヘ変化した。
Y203固溶量が 5 mol%,._,8 mol%で析出相が立方品となる条件における Tdep とVdepの関係を図4-15 に示す。
0.8 0.9 1.0 1.1 1.2
1000Tdeil/K-l
Zr02-Y203膜の成膜速度と析出温度の関係
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Fig. 4-15
Tdep=600 oC ,._,650 oCの範囲では、 Vdepの対数がTdepの逆数に比例して成膜速 度は温度とともに増加した。図中の直線の傾きから求めた活性化エネルギーは、
127 kJ/molでTdepが6500C以上ではVdepは減少した。
これまで、 Y203安定化 zr02 膜の成膜速度に関する活性化エネルギーの報告 はされていないが、 先に述べたようにZrCI4、 YC13とO2を原料としコールドウ オール型反応炉を用いたCVDでは、 析出温度700 oC,._, 1 000 oCの範囲でzr02 およびY203の成膜速度について、 それぞれ33 kJ/molと406 kJ/molの値が報 告されている8)。 これらの値はいずれも化学反応律速とされている。
本研究でTdepが600 oC,._, 650 oCで得られたY203安定化zr02膜のVdepの活性 化エネルギーは、 zr02膜の活性化エネルギー(3 - 1節)と同様この中間に位 置している。 また、 Zr(DPM)4、 O2を用いたCVDにおいて、 627 oC以下の表面 反応速度の活性化エネルギーは約188 kJ/molであることが報告されている19)。
膜の微構造についても化学反応が律速段階となる CVD において一般に観察
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される微粒多結晶組織25)になっていることから、 Tdep が 600 oC""'650 oCでは zr02膜の合成と同様に化学反応が律速過程になっているものと推測される。
Tdepミ�650 oCの Vdepの低下は、本実験ではホットウオール型CVD炉を用いて いることから、 原料が基板に到達する前に熱分解や反応により消費されること によって基板に到達する原料濃度が低下したためと推測された。 また、 膜の組 織も原料拡散律速過程に特徴的に見られる樹枝状組織25)であることが確認され たことから、この温度域ではYSZ膜の合成に対し拡散が律速段階であることと 推察した。
第4節 本章のまとめ
。ージケトン金属錯体を原料に用いたzr02膜のCVDにおいて、高混合成を第 1の目的に 酸化ガス種(02, H2-C02) および析出温度や炉内全ガス圧力の効果 について検討した。 また Zr とY のß-ジケトン金属錯体および O2を原料とし たCVD法によりZr02-Y203膜の合成を第2の目的として、 それぞれの原料気 化量や析出温度の効果について検討した。 結果を以下に要約する。
(1 )酸化ガスにH2-CO}を用い、 炉内全ガス圧力を低減することで、1000 oC程度 の高混での薄膜合成が可能であることを確認した。
(2)酸化ガスにH2-C02を用い、 炉内全ガス圧力が10 To汀、 析出温度が950 oC から1000 oCの条件下で、単斜晶と正方晶の混相からなるzr02微粒多結晶膜 が、 約10 μm/hの析出速度で成膜された。 析出温度が850 oC--1000 oCの 範囲で、 成膜速度の活性化エネルギーは約47 kJjmolであり、 CVD合成過程 において化学反応が律速段階と推察された。
(3)Zr(DPM)4およびY(DPM)3の気化温度によって気化量とzr02およびY203析 出量を制御できることが明らかになった。
( 4 )zr02-Y 203 膜の合成において、 Zr(DPM)4 と Y(DPM)3 の気化量比によって zr02-Y203系膜中のY203固溶量を約2 mol%から12 mol%まで変化させるこ とができた。 また、 膜の格子定数は、 5.11Âから5.15Âの範囲で変化した。
(5)析出温度が620 oCで析出した膜の生成速度は、 約1.8μm/hであり、その組 織は無配向で微粒多結晶よりなっていた。析出温度が660 oCで析出した膜の 生成速度は約9.0μm/hであり、 また、 これ以上の析出温度で合成した膜の 組織は、 (100)面が基板面に平行に配向した樹枝状組織であった。
(6)析出温度が600 oCから650 oCの範囲では、 成膜速度の活性化エネルギーは 約127 kJjmolであり、 zr02膜の場合と同様、 CVD合成過程において化学反 応が律速段階と推察された。
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