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博士(工学)岩佐能孝 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)岩佐能孝 学位論文題名

コジェネレーションのネットワーク化による 都市エネルギー消費削減に関する研究

学位論文内容の要旨

  京都議定書の発効に伴い,我が国では,民生部門の炭酸ガス排出量を大幅に削減する ことが重要な課題となっている.そこで,現在,有望な省エネルギーシステムとしてコジェネ レーションシステム(CGS)が注目されており,その最適設備容量や導入効果の評価に関す る研究が盛 んに行わ れている.しかし,CGSの導入効果は,建物規模や導入地域などの 様々な設定条件によって異なるため,これらを包括的かつ簡潔な形で表す評価手法が望ま れている.また,CGSを電力系統とネットワーク化して運用することによって,CGSの炭酸ガ ス削減効果を著しく向上し得ることが指摘されているが,このような運転は電力系統に様々 な悪影響を及ばすことが懸念されている.

  そこで,本研究では,まず様々な設定条件によって異なるCGSの導入効果を極力集約し て評価するためのマッピング手法の提案を行った.これにより,代表的な建物種別における CGS導入効果の基本的な特性を明らかにすることができた.次に,この結果を踏まえ,電力 制約を考慮しながら積極的にCGSの運転を行う分散協調型コジェネレーションネットワーク システム(CGNS)の提案を行い,その炭酸ガス削減効果および経済性について解析を行っ た.解析の結果,集合住宅の多い地域では,現状のシステムに比べ約2倍の炭酸ガス削減 効果が期待できることが明らかとなった.しかも,系統電カの需要変動を平準化するポテン シ ヤ ルを 有 し ,電 力 会社 に と って も 受容 し 得 るシ ス テ ムで あ るこ と が 示さ れ た.

本論文は全5章で構成されている.以下にその内容と結果の概要を示す.

第1章は序論であり,本研究の背景と目的について述べるとともに,得られた結果の概要 について論述した.また,CGSの最適設備容量や導入効果の評価,および分散型電源を組 み 入 れ た 次 世 代 エ ネ ル ギ ー シ ス テ ム に 関 す る 研 究 動 向 に つ いて と り まと め た.

第2章 で は, 建 物 規模 や導入地 域などの 様々な設 定条件に よって異 なるCGS導入効 果 を集約して評価するためのマッピング手法を提案した.本手法では,CGSによる炭酸ガスま

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たはランニングコストの年間削減率を,削減量の時間積分から電力・熱需要の二重積分に 変換した.これにより,導入効果を削減特性を示すマップと需要特性を示すマップの重ね合 わせで評価することが可能となった.その結果,代表的な建物種別における最適設備容量 や適合性を包括的に把握することができた.特に,熱需要の多い集合住宅では,余剰電カ を電力系統に逆潮流することによって,大きな炭酸ガス削減効果が得られることから,既存 の電力系統を利用した電力融通が炭酸ガス削減に有効であることが明らかとなった.さらに,

本手法を応用することによって,電力・ガス料金およびCGS効率に対する導入効果の変化 を定量的 に評価する ための手 法を提示 した.その結果,CGS導入効果は建物種別や導入 地域によ らず,需要 家の熱電 比のみに よって概 ね推定で きること が明らかとなった.

第3章 では ,前章 で指摘し た電力融 通を実現 するシステ ムとして 分散協調 型CGNSを提 案した.本システムは,電力系統への影響を考慮しながら積極的なCGS運転と余剰電カの 融通を行い,CGSの性能を最大限に引き出すものである.本システムの有効性を評価する ため ,本研究では集合住宅地域における導入効果を,余剰電カを自由に逆潮流できない 現状システムと比較した.その結果,現状のシステムでは概して炭酸ガス削減効果が小さく,

例え経済性より環境性を優先した運用を行ったとしても,電力系統に悪影響を及ぼすことと なり,期待通りの炭酸ガス削減効果が得られないことが明らかとなった.一方,本システムで は現状のシステムに比べて約2倍の炭酸ガス削減効果が得られるとともに,経済的にもメリッ トを確保できることが明らかとなった.さらに,年間を通して配電系統全体の負荷を大幅に低 減できることから,基幹系統全体の負荷状況に応じてCGSを制御することにより,火力発電 所の負荷平準化にも寄与できることを示した.

第4章では,特に需要変動が大きく,前章の解析が成立しなくなる可能性の高い住宅を対 象として,需要変動の影響およびCGSをより有効に活用するためのシステムについて検討 した.まず,10分間隔の詳細な実測需要データを用いた導入効果の解析を行い,1時間平 均で表現された需要パターンに対する結果と比較した.その結果,平均化したデータに比 べ,10分間隔データでは一次エネルギー削減率が著しく小さくなってしまうことが明らかとな った.この需要変動影響を少なくする手法のーっとして,集合住宅等における住宅聞の電 力融通お よぴ蓄熱 槽の設置 の効果に ついて解析した.その結果,住宅6戸以上の電力融 通や蓄熱 槽の設置 は需要変 動影響の 緩和に非常に有効であり,CGS導入効果を大幅に改 善できることを示した.次に,現在導入が検討されつっある天然ガス改質型燃料電池コジェ ネを含めて,種カのCGSを集合住宅に用いた場合の解析を行った.その結果,CGSと蓄熱 槽を設置した住宅群で大規模な電カネットワークを構築し,台数制御等を行うことによって,

可能な限り定格運転を行うシステムが炭酸ガス削減に対して最も有効であることが示された.

しかも第3章で提案 したよう な分散協調型CGNSが可能となれば,集合住宅単独で達成で

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きるより以上の省エネルギー効果が得られることが明らかとなった.

第5章 は本研究 の結諭 であり, 得られた 結果の 概要を示した.

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学位論文審査の要旨

     学位論文題名

コジェネレーションのネットワーク化による 都市エネルギー消費削減に関する研究

  民生部門の有望な省エネルギーシステムと してコジェネレーションシステム(CGS)が注 目されており,その最適設備容量や導入効果を評価する研究が盛んに行われている.しかし,

CGSの導入効果は 様々な設定条件によって左右されるため,その効果は充分に明らかにされ ていなぃ.そこで本研究では,CGSの導入効果を包括的に評価するためのマッピング手法 の提案を行うほか,系統電カと協調的な運用 を行うCGSネットワークシステムの提案を行 い , そ の 炭 酸 ガ ス 削 減 お よ び 経 済 性 に 及 ば す 効 果 を 明 ら か に し た も の で あ る .   CGSは導入地域 や建物種別,あるいは電力・ガス料金などの様々な設定条件によって炭酸 ガス削減効果および経済性が異なるが,これを極力集約して評価するためのマッピング手法 を提案した.本手法では,CGSによる炭酸ガスまたはランニングコス卜の年間削減率を,削 減率の時間積分の形から電力・熱需要の二重積分に変換している.これにより,削減特性を 示すマップと需要特性を示すマップの重ね合わせで効果を評価することが可能となった,そ の結果,代表的な建物種別における最適設備容量や適合性を包括的に把握することができた.

特に,熱需要の多い集合住宅では,余剰電カを系統に戻す逆潮流を許容することによって,

大きな炭酸ガス削減効果が得られることから,既存の電力系統を利用した電力融通が民生部 門の炭酸ガス削減に有効であることが明らかとなった.また,CGS導入効果は建物種別や導 入地 域に よらず,需要家の熱電比のみによって概 ね推定できることが明らかとなった.

  次にこの結果を踏まえ,分散協調型コジェネレーションネットワークシステム(CGNS)の提 案を行い,配電系統の電力制約を考慮しながらその炭酸ガス削減効果および経済性について 解析を行った.この分散協調型CGNSは,熱需 要の多い建物でCGSを優先的に運転し,余剰 電カを既存の電力系統を介して融通することを可能とするシステムである.解析の結果,集     ―1158−

勲 彦

武  

  一

久 藤

藤 川

工 工

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

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合 住宅の多 い地域 に本システムを導入すると現状のシステムに比べ約2倍程度の炭酸ガス 削減が期待できることが明らかとなった.しかも,系統電カの需要変動を平準化するポテン シ ャ ル を 有 し , 電 力 会 社 に と っ て も 受 容 し得 る シ ステ ム で あ るこ と が 示さ れ た .   一方,需要変動が大きく前章の解析が成立しなくなる可能性の高い住宅を対象として,需 要変動の影響およぴCGSをより有効に活用するためのシステムについて検討した.その結果,

1時間間隔で平均化した負荷データに比べ,10分間隔データではー次エネルギー削減率が著 しく小さくなってしまうことが明らかとなった,この需要変動影響を少なくする手法のーつ として,集合住宅等における住宅聞の電力融通および蓄熱槽の設置の効果について解析した その結果,住宅6戸以上の電力融通や蓄熱槽の設置は需要変動影響の緩和に非常に有効であ り,CGS導入効果を大幅に改善できることを示した.このほか,現在導入が検討されつっあ る 天然ガス 改質型 燃料電池コジェネを含め,種々のCGSを集合住宅に用いた場合の解析を 行った.その結果,CGSと蓄熱槽を設置した住宅群で大規模な電カネットワークを構築し,

台数制御等によって可能な限り定格運転を行うシステムが炭酸ガス削減に対して最も有効 であることが示された.しかも上述したような分散協調型CGNSが可能となれば,集合住宅単 独 で 達 成 で き る よ り 以 上 の 省 エ ネ ル ギ ー 効果 が 得 られ る こ と が明 ら か とな っ た .   これを要するに,著者は,都市エネルギー消費削減に有効なコジェネレーションシステム のネットワーク化に関する新知見を得たものであり,熱工学ならびにエネルギー工学の発展 に対して貢献するところ大なるものがある,よって著者は,北海道大学博士(工学)の学位 を授与される資格あるものと認める.

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参照

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