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博士(工学)金丸利文 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(工学)金丸利文 学位論文題名

動画像 の高能 率符号化に関する研究

学位論文内容の要旨

  テレビ会議やテレビ電話等の新しい画像通信サーピスが登場し、現行テレピジョ ンに比 べ格段に優 れた画像 品質を持 つ高精細 テレビジョン(HDTV)の衛星放送に よる国内実用化も間近に迫り、現在画像通信の分野は急速な発展を遂げている。こ の発展を支えるためには、不足しつっある伝送路の大容量化と同時に経済化を図る 必要がある。このように伝送路の経済化を図るためには、高能率符号化による動画 像の伝送レートの削減が強く要求されている。

  本研究では、動画像の高能率符号化を目指すために、動き補償を中心に検討を 行った。動き補償は、動画像データの時間軸方向の冗長度を取り除く方法であり、

この後に行われる動き補償予測誤差の変換符号化と合わせて動画像の高能率符号 化のためには欠くことのできないものである。本研究では、滑らかで自然な動き補 償予測が符号化効率を高める上で重要であると考え、その点について詳細に検討を 行った。

  先ず、従来の動き補償方式を改良するというアプローチから始めた。従来の動き 補償方式では、固定プロック・サイズで行われていたため、プロック境界部分に歪 が生じ、これが予測誤差信号の高周波成分になり、全体の符号化効率を低下させる 要因になっていた。そこで、本研究では、小領域アフイン変換を用いた動き補償法 を提案し、実際のシミュレーションによりその有効性を確認した。この方法は、小 領域において、ブロック毎の動きべクトルから画素毎の動きべクトルをアフイン変 換で表現する。アフイン変換のパラメータは、動きべクトルが空間方向に関して連 続的であるとぃう条件から決定される。動きべクトルが空間的に滑らかになるため に、プロック歪が抑えられ高周波成分を抑圧することができた。シミュレーション の結果、既存の方法である予測値の重み付け加算による方法と組み合わせると、更 に効率の良い動き補償ができることが立証された。

  次に、 動き補償法 そのものを見直した。本研究では、指定した1フレームあた りの平均ブロック・サイズに応じた可変ブロック・サイズによる動きべクトル検出 法を提案した。動き検出には階層画像を用い、動きの状態により途中の階層で検出 を打ち切ることによってブロック・サイズを可変にする。検出打ち切りの判定は最 上位階層での検出結果を評価することにより行う。こうすると、平均プロック・サ イズ、動きべクトルの符号量及ぴ検出に要する計算量を動画像データに依らず一定 にできる。従って、伝送路に送信する動きに関する符号量の制御が容易となる。ま

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た、実時間処理を行う符号化システムの設計のためには、安定な動きべクトル検出 器の設計 が容易に なる。動 画像符号化に対する応用例を2つ挙げて、提案方式の 有効性を示した。

  また、可変ブロック・サイズ動き検出法の動き補償への新しい適用方法を提案し た。平均 ブロック ・サイズ などの諸量が検出打ち切りを決めるパラメータの1次 式で表されると仮定し、実際のシミュレーション結果からパラメータを決定するの に必要な各種係数を決定した。これを使って、パラメ一夕を平均ブロックサイズ、

計算量及び動きべクトル符号量で計算できる式を導出する。このようにして、希望 する諸量を与えて設定すべきパラメータを経験的な手法に依らず自動的に決定する ことができる。更に、実際の動画像データを対象とした符号化実験の結果により、

本手法の有用性を立証した。

  次に、動きべクト´レの空間的及び時間的連続性を考慮した動き補償法を検討し た。この方法は求めた動きべクトルをどのように伝送するかという問題であり、こ の点につ いて2つの 方法を提 案した。最初に連続する動きべクトルの間の関係を 利用したフレーム外挿による動き補償法を提案した。最近の研究では、連続する動 きべクトル間の関係を積極的に利用したものはほとんどない。ここでは、連続する 動きべクトルは余り大きな変化はないと仮定して、次のフレームの動きべクトルの 予測に使用する。これにより、動きべクトルを送らずに予測誤差のみの伝送により 効率の良い動画像の伝送が可能となった。次に、動きべクトルの符号化法について 新しい方法を提案した。従来方式では、1つ前のブロックの動きべクトルとの差分 を可変長符号化している。即ち、動きべクトルの空間的連続性を利用している。本 研究では、動きべクトルの空間的連続性ばかりでなく、時間的連続性も考慮した。

動きの単純な動画像データでは、動きべクトルは空間方向ばかりでなく時間方向に も連続している。このことを考慮にいれて動きべクトルの差分を取れば、効率の良 い動きぺクトルの符号化を行うことができる。

  最後に、動き補償後の予測誤差信号の符号化について検討を行った。動き補償後 の予測誤差信号には、エッジ成分などの高周波成分が残りやすい。通常は、低周波 成分を重点的に符号化し、高周波成分を除去することにより高能率な符号化を達成 している。しかし、低レートでの符号化においては、高周波成分の除去が目に付く 画質の劣化となる。従って、エッジ成分を良く保存する符号化方法を考える必要が ある。本研究では、画像をウェープレット変換することによルクラス分けし、エツ ジ・パターンを当てはめる方法を提案した。エッジ・パターン符号化を平均値分離 正規化ベクトル量子化の一種と見なし、最適なピット割り当てを検討した。このこ とにより、今までエッジ・パターン数を経験的に選んで来たのに対し、自動的に設 定できるようになった。

  以上のように本研究でfよ、動画像の符号化に関して全般的に検討を行い、高能率 符号化を行うための幾っかの手法を提案し、その有効性を数値実験により明らかに した。

(3)

学位論文審査の要旨 主 査 , 教 授    小 川 吉 彦 副 査    教 授    栃 内 香 次 副 査    教 授    北 島 秀 夫 副査    助教授   三木信弘

学 位 論 文 題 名

動 画像の 高能率符号化に関する研究

  マ ル チ メ デ ィ ア やHDTVな ど の 進 展 と 共 に 、 膨 大 な デ ー 夕 量 を 育 す る 動 画 像 の 伝 送 あ る い は 蓄 積 の た め に 、 画 像 の 高 品 質 性 を 保 ち ナ ょが ら 大 幅に デ ー夕 量 を 圧 縮 す る 高 能 率 符 号 化 の 要 求 が 一 段 と 厳 し く な っ て き て い る 。   本 論 文 は 上 述 の 要 求 を 満 た す べ く 、 動 画 像 の 冗 長 度 除 去 に 不 可 欠 の 動 き 補 償 法 を 中 心 に し て 動 画 像 の 高 能 率 符 号 化 の 研 究 を 行 っ た も の で あ り , 特 に 滑 ら か で 自 然 な 動 き 補 償 予 測 を 行 う こ と が 符 号 化 効 率 を 高 め る た め に 重 要 で あ る と の 観 点 を 重 視 し て い る 。

  始 め に 、 固 定 ブ ロ ッ ク ・ サ イ ズ で 行 わ れ て い る 従 来 の 動 き 補 償 方 式 で は 、 ブ ロ ッ ク 境 界 部 分 に 生 じ る ブ 口 ッ ク 歪 が 予 測 誤 差 信 号 の 高 周 波 成 分 を 増 や し 、 全 体 の 符 号 化 効 率 を 低 下 さ せ て い る 問 題 点 の 解 決 を 試 み た 。 こ の た め に 小 領 域 ア フ イ ン 変 換 手 法 を 用 い て プ ロ ッ ク 単 位 の 動 き べ ク ト ル か ら 画 素 毎 の 動 き べ ク ト ル を 表 現 し 、 動 き べ ク ト ル の 空 間 的 滑 ら か さ を 強 調 し て 高 周 波 成 分 を 抑 圧 す る 手 法 を 提 案 し て い る 。 ま た 、 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ ル ブ ロ ッ ク 歪 の 改 善 を 立 証 し て い る 。   次 に 、 従 来 の 固 定 ブ ロ ッ ク ・ サ イ ズ 手 法 で 目 立 っ ブ ロッ ク 歪 ナょ ど を減 少 さ せる た め に 、 画 像 内 の 動 き の 度 合 い に 応 じ て ブ ロ ッ ク ・ サ イ ズ を 適 応 的 に 変 え る 可 変 ブ ロ ッ ク ・ サ イ ズ 動 き べ ク ト ル 検 出 法 を 提 案 し て い る 。 動 き の 度 合 い の 判 定 に は 画 素 を 間 引 き し て 作 成 し た 複 数 の 階 層 画 像 を 用 い 、 動 き の 状 態 に 応 じ 途 中 の 画 素 数 の 少 な い 階 層 画 像 で 検 出 打 ち 切 り を 行 う 。 こ の 手 法 で 、平 均 ブ ロッ ク ・サ イ ズ 、 動 き ベ ク ト ル 符 号 量 お よ び 検 出 に 要 す る 計 算 量 を 動 画 像 の 種 類 に 依 ら ず 一 定 に で き る 。 こ れ に よ り 、 送 信 す る 動 き に 関 す る 符 号 量 の 制 御 が 容 易 に な る 。 ま た 、 実 時 間 処 理 を 行 う 符 号 化 シ ス テ ム の 設 計 上 で 、 安 定 な 動 き べ ク ト ル 検 出 器 の 設 計 が 容 易 に ナ ょ る 。 こ の 可 変 ブ ロ ッ ク ・ サ イ ズ 手 法 の 有 効 性 はシ ミ ュ レー シ ョン に よ り 実 証 さ れ て い る 。 さ ら に 、 こ の 手 法 で 必 要 と な る 検 出 打 ち 切 り に 関 す る し き い 値 を 画 像 の 種 類 に 依 ら ず 自 動 的 に 設 定 で き る 適 応 手 法 を 提 案 し 、 そ の 有 効 性 を 立 証

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している。加えて、この自動しきい値設定手法はシステムハードウェア作成上、

極めて有用とナょる。

   続いて、動きべクトルの空間的連続性のみを考慮した従来の動き補償法に対し、

空間的および時間的連続性を考慮した 2 っの動き補償法を検討している。最初に 時間的に連続するフレーム間では動きべクトルの変化は小さいと考えて、次のフ レームの動きべクトルの予測に前フレ―ムを使用する、フレーム外挿による動き 補償法を提案している。これにより、動きべクトルを伝送することナょく予測誤差 の伝送のみで効率の良い動画像伝送を可能にした。今一っは動きべクトルの符号 化法に関するものである。すなわち、 1 つ前のプロックの動きべクトルとの差分 を可変長符号化している従来法に対し、さらに時間方向の差分化も加えて高効率 動きべクトル符号化を行い、効果を確認している。

   最後に、動き補償後の予測信号は、エッジ成分などの高周波成分が多く含まれ、

通常の DCT による変換符号化ではこの高周波成分が捨てられる問題点に着目し た。そこで、エッジを良く再現するためにウェーブレット変換を使用したエッジ

.パターン符号化を提案し、各ウェーブレット領域に対する最適なビット割当の 検討をしている。これにより、エッジ.パターン数を経験的に選んできた従来法 に対し、これを自動的に設定できるようにナょった。

   以上のように本論文は、今後益々要求が厳しくなる、画質の高品質性を維持し つつ大幅なデー夕圧縮が要求される動画像の高能率符号化のための新たな手法を 幾っか提案し、その有効性を計算機実験で確認したものであり、画像処理工学の 発展に寄与するところ大なるものがある。

   よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認 める。

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