博 士 ( 理 学 ) 片 桐 隆 廣 学 位 論 文 題 名
Synthetic studies on GoniodominA
Goniodomin A
( ゴ ニ オ ド ミ ンAの 合 成 研 究 )
学 位 論 文 内 容 の 要 旨
ゴ ニ オ ド ミ ンA (GDA)は 村 上 ら に よ っ て 渦 鞭 毛 藻Alexandrium hira口甜より単離されたポリエー テルマクロライドである。詳細な NMR解 析が 行わ れ 平面 構造が提出さ れているが、全体の相対配置およ び 絶 対 配 置 は 未 決 定 で あ る 。 申 請 者 はGDAのDE環 部 、BC環 部 お よ びABC環 部 の 推 定 立 体 構 造 を 合 成 し 、天 然物 のNMRデー タと 比較 検 e討 す る こ と に よ り 合 成 化 学 的 に 相 対 配置 を推 定し た。 さ らにABCDE e環 部合 成に 必要 な セグ メン トの 合成 を行 った 。
GDAのDE環 部 で は 、 以 下 に 示 すNOE情 報 か らDは シ ス 構 造 、E はトランス 構造が推定された。しかし、それぞれの環同士の相対関係が不明であったため、2種類の ジアステレ オマー(l‑a、l‑b)をそれぞれ合成し、天然物のNMRと比較してこれを解明しようとした。
実際 にl‑a、1‑bを それぞれ合成し、天然物とNMRデータを比較したところ、l‑a、l‑bともに天然 物 と 同 様 の NOE挙 動 を 示 し 、 D環 、 E環 の 個 々 の 環 の 相 対 配 置 を 確 認 し た 。 ここ でD環E環 の間 の 相対 関係 を明 らか にす るた めに 、天 然物 とH20‑H21の結合定数を比較した が 、天 然物 は9.4 Hzで ある のに 対し 、l‑aは5.9 Hz、l‑bは6.6 Hzであり判断がっかなかった。こ れは、鎖状 モデル化合物は大環状構造をもつ天然物とは異なり、C20‑C21結合軸の回転が自由に起こ るためであ ると考えられ、天然物との結合定数に違いが現れたと推定された。従ってl‑a,bをそれぞ れ 大 環 状 構 造 に 組 み 込 み 、 天 然 物 と 同 様 の 束 縛 効 果 を 与 え る こ と に し た 。 実際にl‑a,bにそれぞれ3つの大環状 構造に組み込んだ化合物を合成した。合成した大環状化合物 ではH20‑H21の結合定数についてl‑a,bの間に大小の差が現れた。また環の員数が減少するに従いそ の傾向が強 くなり、16員環モデルではa‑Seriesが7.5 Hz,b‑Seriesは2.9 Hzとぃう値であった。以 上 より 天然 物の 大き な結合定数を再現するa‑senesが天然物と同じ相対配置をもっと推定された。
OH J20‑21 = 5.9 Hz 1‑a
nn=6 n=4n=2
1‐b
O
村 上 ら の 報 告 に よ る と 、BC環 部 に は9‑Meと15‑Hお よ び7‑Hと15‑Hの 間 にNOEが 観 測 さ れ て −1463ー
』〜 セセ セ
…
―
=
=
』 ー…
……
い る。 そこ で、 推定 配置 を持つ3を 実際 に合 成し たと ころ、3は7‑Hと15‑HのNOEを再現し た 。 一 方 、9‑Meと15‑HのNOEは 再 現 し な か っ た 。7‑Hと9‑MeのNOEが 観 測 さ れ、3の9 位 の適 切な 立体 化学 が確 認され た一 方で 、7‑HとlO‑HaにもNOEが観測されたため、3のB環 はイス形配座とポー卜形配座の平衡混合物と考えられた。この平衡は、9‑Hと10‑Hの結合定数 がイス形配座とポート形配座の値の中聞値を示すことからも支持された。天然物も同様の結合定 数 を 示 し て お り 、 天 然 物 のBC環 部 の 相 対 構 造 は3と 同 様 の も の と 推 定 さ れ た 。
B H
GDAのA環 部の 相対配置は、既に合成モデル4と同一と確認されている。そこで、次にA環 とBC環 の立 体化 学の 相対 関係 の解 明に着 手し た。2種類のABC環モデル5、6を合成し、GDA と H6‑H7間 の 結 合 定 数 を 比 較 し て 天 然 型 相 対 配 置 を 明 ら か に し よ う と 考 え た 。 その結果、H6‑H7間の結合定数は、5では1.7 Hz、6では7.7 Hzを示した。天然物では8.6 Hz を示しており、6が一致した。モデル間の結合定数の違いは、5位の水酸基とB環内の酸素との 間に水素結合が生じていること、及び5位の水酸基と8位のエキソメチレンとの間に立体障害が 生じ、C6‑C7軸における各回転コンホマーの分布に差が生じた結果と考えられる。大環状構造を 持つGDAがこの分布に反する回転コンホマーを持っとすると、5位の水酸基と8位のエキソメ チレンとの間に深刻な立体障害が生じ、それを避けるためにB環部が変形せざるを得ない。しか し 、天 然物 と5及 ぴ6は、H6‑H7間を除く結合定数とNOEに関して天然物とほぼ同様の挙動を 示していた。従って、大環状構造の有無に関わらず、GDAが6と同じ相対配置を持ち、同様の コンホマー分布を持っと考えるのが妥当である。
さらに、上記のDE環部およびABC環部の結果を基に、ABCDE環部の相対配置を推定し、その 確 認 の た め モ デ ル8合 成 研 究 を 行 い 、 重 要 な 合 成 中 間 体9,10の 合 成 に 成 功 し た 。
− 1464―
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