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博士(農学)西 隆司 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(農学)西   隆司 学位論文題名

消化管における食品夕ンパク質の認識と膵外分泌の調節機溝 学 位 論 文 内 容 の 要 旨

   摂取した食事成分は消化管を通過する際に様々な生理作用を引き起こす。JJ 梺酵素分 泌 亢進 作用 もそ の一 種で ある。 最も研究のさかんなラッ卜の場合、夕ンパク質に蛾い 分 泌亢 進作 用が 認め られ ている 。従来の説では食餌夕ンパク質による膵酵素分泌亢進 は 消化 管腔 内プ 口テ アー ゼ活性 、特にトリプシン活性に依存した負のフィードバック 機 構に より 調節 され てい ると考 えられていた。これに対して当研究室でのこれまでの 研 究か ら、 既存 の調 節系 以外の 、食餌夕ンパク質が直接消化管を刺激レて膵酵素分泌 を 調節 する 機構 が存 在す る可能 性が見いだされた。これは、消化管が栄養成分を直接 認 識す ると いっ た消 化管 の未知 なる機能の発見にっながる極めて重要な発見である。

本 研究 では タン パク 質の 消化管 への直接作用を証明することを主たる目的とレた。そ こ で 、 グア ニジ ル化 カゼ イン のペ プシ ン分 解物 (HGC) をモ デル タン パク 質と し、HGC と 小 腸 細胞 との 反応 によ って 生じ る膵 酵素 放出 因子、 中で も特 にそ の役 割の 大き な Cholecystokinin (CCK) の放出について検討した。グアニジル化カゼインはカゼイン中の り ジン 残基 をホ モア ルギ ニンに 修飾したタンパク質で、顕著な膵酵素分泌亢進作用を 示すことを既に確認している。

  1 、 HGC に よ る 小 腸 細 胞 か ら の 膵 酵 素 放 出 因 子 の 分 泌 刺 激 効 果 の 検 討    ラッ ト小 腸よ り単 離し た粘 膜細胞を用いて細胞カラムを作成した。これに大豆トリ プ シンインヒビター(SBTI) を灌流して残存トリプシンを除去した後、HGC を継流した。

湛 流液 をラ ット 膵腺 房細 胞と 反応させたところ、膵腺房細胞からのアミラーゼ放出増

加が認められた。これより、灌流時に生じるHGC と小腸細胞との反応により、小腸粛l 亅

胞 か ら の膵 酵素 放出 因子 の分泌 が刺 激さ れる こと が示 され た。 この 現象 は高 濃度 の

SBTI で も認 めら れた 。そ こで 、SBTI と同程度のトリプシン阻害能を有するアオイマメ

トリプシンインヒビ夕一(LBTI) による灌流を行った。レかし、LBTI では小JJ 昜arli 胞から

の月萃酵素放出因子の有意な分泌増加は確認されなかった。インタクトカゼインペプシ

ン 分解 物(HIC) に つい ても 同様 の検 討を 行っ たが 、膵 酵素 放出因子の分泌は認められ

な か っ た。 これ らの 結果 より、 HGC やSBn は残 存ト リプ シン 活性 に非 依存 的に 小腸 細

胞 を直 接刺 激し て膵 酵素 放出 因子の分泌を亢進させることが明らかとなった。アミノ

酸 分 析 の結 果、 HGC 及 びSBn には グア ニジ ル基 含有 アミ ノ酸 が多 量に 含ま れて いる こ

と が判 明し た。 これ より 、HGC やSBTI の 小腸 細胞 刺激 効果 にはペプチド鎖巾のグアニ

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ジル基が関与することが示唆された。

2 、 胆 J 亅 苹 液 空 腸 除 去 ラ ッ ト で の HGC に よ る 神 経 系 非 依 存 型 の CCK 放 出 刺 激 効 果    カテーテル留遣により上部消化管より胆J 傑液を除去したラットに副交感神経遮断薬

(アト口ピン)を経時的に投薬レて+lll 経系を遮断した。この条件下で十ニ指腸にHGC を投与レたところ、膵酵素分泌の有意な亢進と亅rLL 中CCK 濃度の有意な増加が観察され た。 この 結果 より、 HGC の小腸翁‖胞直接刺激による膵酵素放山因子(CCK) の分泌亢進 と、 それ によ って生じる膵酵素分泌訓節が全動物レベルにおいて作用していることが 1 川らかとなった。HIC ではFIGC で見られたこれらのjlF(11}JII ま観察されず、この実験から も HGC の 小 腸 翁 Il 胞 id 接 刺 激 に お け る グ ア ニ ジ ル ジ 基 の 関 与 が 示 唆 さ れ た 。

  3 、CCK 放出活性を弱 するHGCrI ・T の活性ペプチドの検索

  HGCil ニi のペプチドを極性及び分子量を指標として分画した。これらをそれぞれラッ ト小Jjli 糾I 胞と反応させ、放出するCCK 量を測定レた。その結果、複数の画分でCCK 放 出が 刺激さ れる 傾向 がIIZJ められた。これらの結果から、HGC 中には複数のCCK 放出活 性ペ プチド が存 在す ることが明らかとなった。グアニジル化カゼインのアミノ酸配列 を検索したところ、内因性CCK 放出ペプチド(monitor peptide) のCCK 産生細胞結合部位 と類 似した 構造 が各 所に認められた。これらの構造中にはグアニジル基が含有されて お り、 こ の 様 な 構 造 を 有 す るHGC 中の ぺプ チド がCCK 産生 細胞 と結 合す るこ とで CCK 放出 活性を 示す もの と推察した。又、数種の食品夕ンパク質(カゼイン、分離大豆夕 ンパ ク質、 卵白 、小 麦グルテン)のペプシン分解物をそれぞれ小腸細胞と反応させた ところ、いずれのタンノくク質でも有意なCCK 放出が観察された。特にアルギニン含量 の 高 い 分 illjt{c:: 人 豆 夕 ン パ ク 質 で 強 い CCK 放 出 効 果 が 言 忍 め ら れ た 。

以上 のこ とか ら、 FIGC のJw 酵素分 泌訓 節機椛について、HGC が直接小腸翁‖胞に作用 レて CCK の 放出 を刺 激し 、こ れが 調節 因子とレて働き膵酵素分泌が亢進することが明 らかとなった。この効果は迎常の食品夕ンパク質にも存在することが示されると共に、

これ らの 作J ,‖にはぺプチド鎖I ・IJ のグアニジル基が関与することが示唆された。

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学位論文審査の要旨 主 査    教授    葛西隆則 副 査    教授    青山頼孝 副 査    教授    本間    守 副 査    助教授    原    博

学 位 論 文 題 名

消化管における食品夕ンパク質の認識と膵夕杉瀞嶐の調節機構

本論文は総頁数117 ページの論文で、表17 、図35 、引用文献106 を含み、

6 章 で 構 成 さ れ て い る 。 別 に 参 考 論 文 3 編 が 添 え ら れ て い る 。

摂 取 し た 食 事 成 分 は 消 化 管 を 通 過 す る 際 に 様 々 な 生 理 作 用 を 引 き 起 こ す 。 膵 酵 素 分 泌 亢 進 作 用 も そ の 一 種 で あ る 。 最 も 研 究 の さ か ん な ラ ッ ト の 場 合 、 夕 ン パ ク 質 に 強 い 分 泌 亢 進 作 用 が 認 め ら れ て い る 。 従 来 の 説 で は 食 餌 夕 ン パ ク 質 に よ るJ鰈 酵 素 分 泌 亢 逃 は 消 化 管 腔 内 プ ロ テ ア ー ゼ 活 性 、 特 に ト リ プ シ ン 活1! に 依 存 し た 負 の フ ィ ー ド バ ッ ク 機 キ捲 によ り訓 節さ れて いる と考 えら れ てい た。これに対して当(DI:iX 江でのこれ までの 研 究 か ら 、 既 存 の 調 節 系 以 外 の 、 食 餌 夕 ン パ ク 質 が 直 接 消 化 管 を 刺激 してJJ半 酵索 分泌 を 調 節 す る 機 構 が 存 在 す る 可 能 性 が 見 い だ さ れ た 。 こ れ は 、 消 化 管 が 栄 養 成 分 を 逍 接 認 識 す る と い っ た 消 化 管 の 未 知 な る 機 能 の 発 見 に っ な が る 極 め て 重 要 な 発 見 で あ る 。 本 研 究 で は タ ン パ ク 質 の 消 化 管 へ の 直 接 作 用 を 証l明 す る こ と を 主 た るEl的 と し た 。 そ こ で 、 グ ァ ニ ジ ル 化 カ ゼ イ ン の ペ プ シ ン 分 解 物(HGC) を モ デ ル タ ン パ ク 質 と し 、HGC と 小 腸 細 胞 と の 反 応 に よ っ て 生 じ る 膵 酵 素 放 出 囚 子 、 中 で も 特 に そ の 役 割 の 火 き な Cholec)′stokinin (CCK)の放 出に つい て検 討した。グァ ニジル化カゼインはカゼイン1やの り ジ ン 残 基 を ホ モ ア ル ギ ニ ン に 修 飾 し たタ ンパ ク質 で、 顕著 なJw酵素 分泌 亢 逃作J・ ‖を 示 すこ とを 既に 確認 して いる 。

  1、 HGCに よ る 小 腸 細 胞 か ら の 膵 酵 素 放 出 因 子 の 分 泌 刺 激 効 果 の 検 討   ラ ッ ト 小 腸 よ り 単 離 し た 粘 膜 細 胞 を 用 い て 細 胞 カ ラ ム を 作 成 レ た 。 こ れ に 大 豆 ト リ プ シ ン イ ン ヒ ビ タ ー(SBTI)を 灌 流 し て 残 存 卜 リ プ シ ンを 除去 レ た後 、HG(邊 灘流 した 。 灌流液をラットJ膵 腺房細胞と反応させたところ、J讎腺房kl‖胞からのアミラーゼ放fl;よゞ 加が 認め られ た。 これ より 、灌 流時 に 生じ るHGCと 小腸 純I胞 との 反J´ ふに より 、小 腸荊1 胞 か ら の 膵 酵 素 放 出 因 子 の 分 泌 が 刺 激 さ れ る こ と が 示 さ れ た 。 こ の 現 象 は 高 濃 度 の SBTIで も 認 め ら れ た 。 そ こ で 、SBTIと 同 程 度 の 卜 リ プ シ ン 阻 害 能 を 有 す る ア オ イ マ メ

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卜 リ プ シ ン イ ン ヒ ビ ク ー(LBTI)に よ る 離 流 を 行 っ た 。 し か し 、LBTIで は ノJ¥)jjj荊u胞 か ら の 膵 酵 素 放 出 因 子 の 有 意 な 分 泌 増 加 は 碓 言 忍 さ れ な か っ た 。 イ ン タ ク ト カ ゼ イ ン ペ プ シ ン 分 解物(FtIC)に っ しヽ て もlI様 の 検 討 を行 っ た が 、JJ苹酵 素放|1:;因 子の分 泌は言 忍めら れ な か っ た 。 こ れ ら の 結 果 よ り 、 HGCやSBTIは 残 存 ト リ プ シ ン 活 性 に 非 依 存 的 に 小 腸 細 胞 を 直接 刺 激 し てJJ苹 酵 素放 凵 , ;因子 の分泌 を).LiLL‑させる ことが1爿らか となっ た。ア ミノ 酸 分 析 の7!f果 、I‑IG C及 びSBTIに は グ ア ニ ジ ル 基 含 有 ア ミ ノ 酸 が 多 量 に 含 ま れ て い る こ と が 小|JlリJした。 これよ り、l‑IGCやSB'FIの小Jj易翁II胞 刺激効 果には ぺプチ ド鎖叫 |のグ アニ ジ ル)に が |刈f| す る こ とが カ ミ 峻 され た 。

2、JJ LiJ膵f皮 坐 腸 除 去 ラ ッ ト で のHGCに よ る キIい 経 系 非 依 存 型 のCCK}jj(出 刺 激 効 果   カ テ ー テ ル 翻i鼈 に よ り 上 部 消 化 管 よ り 胆J膵 液 を 除 去 し た ラ ッ ト に 剛 交 感+iI経 遮 断 薬

(: ア ト ロ ピン ) を 経 ‖寺fl′ 、Jに投 薬 し て ネlII経系 を遮断 した。 この条 件下で 十二指腸 にHGC を 投 与 し た と こ ろ 、 膵 酵 素 分 泌 の 有 意 な 亢 進 と 血 中CCK濃 度 の 有 意 な 増 加 が 観 察 さ れ た 。 こ の 縦f果 よ り 、HGCの 小 亅 亅昜 翁 ‖ 胞 直接 刺 激 に よるj亅 萃 酵 素 放出 囚 子(CCK)の 分 泌 亢進 と 、 そ れ に よ っ て 生 じ るJw酵 素 分 泌 訓 節 が 全 動 物 レ ベ ル に お い て 作JHし て い る こ と が 1リJら か と な っ た 。HICで はHGCで 見 ら れ た こ れ ら の 増 加 は 観 察 さ れ ず 、 こ の 実 験 か ら も HGCの 小 J以 荊 ‖ 胞 血 接 刺 激 に お け る グ ア ニ ジ ル 基 の 関 与 が 示 唆 さ れ た 。

  3、CCK放凵 .;活 性を有 するHG Ci.l二iの活 セ1:ペ プチド の検索

  HGCi. い の ぺ プ チ ド をfi{‑fAiI! 及び 分 予 量 を指 標 と レ て分 画 し た 。こ れ ら を それ ぞ れ ラ ッ ト 小J以 翁 | |JJ包 と 反 応 さ せ 、 放fnす るCCK量 を 測 定 し た 。 そ の 結 果 、 複 数 の 画 分 でCCK放 fItが−!IJ激され ろfiilii'iJが ;認め られた 。これ らの結架から、FIG Ci||には複数のCCK放出活 1! にぺ プチド かイrイ にする ことが1リJらか となっ た。グ アニジ ノレ化 カゼイン のアミ ノ酸配 歹I亅 を 検 索 し た と こ ろ 、i)、J区l性CCK}i凵.1ペプ チ ド(monitor pcptidc)のCCK産 生 細 胞結 合 部 位 と 類 似 し た 榊 辻 が 秤 所 に 認 め ら れ た 。 こ れ ら の 柵 造 中 に は グ ア ニ ジ ル 基 が 含 有 さ れ て お り 、 こ の 様 な キ 謄LLを 有 す るHGCiliの ぺ プ チ ド がCCK産 生 糸 ‖ 胞 と 結 合 す る こ と でCCK 放f.I.I活1tI: を 示 す もの とj他 察 レ た 。又 、 数 穏 の食l吊 夕ンパ ク質( カゼイ ン、分 韻1大豆 夕 ン パ ク 質 、9¨ | !I、 小 麦 グ ル テ ン ) の ぺ プ シ ン 分 解 物 を そ れ ぞ れ 小 腸 糸 ‖ 胞 と 反 応さ せ た と こ ろ 、 い ず れ の タ ン パ ク 質 で も 有 意 なCCK放 ; .uが 観 察 さ れ た 。 特 に ア ル ギ ニ ン 含 量 の高い 分離大豆 夕ンノ くク質 で強いCCK)jf.I. ;効果 が言忍 められた 。

以 上 の こ と か ら 、HGCのJ膵 酵 素 分 泌 調 節 機 椛 に つ し ヽ て 、HGCが 直 接 小 腸 細 胞 に 作 用 し てCCKの 放 出 を 刺 激 し く こ れ が 劃 .9飾 因 子 と レ て 働 き 膵 酵 素 分 泌 が 亢 進 す る こ と を 明 ら か に し た 。 こ の 効 果 は 通 常 の 食 品 タ ン パ ク 質 に も 存 在 す る こ と が 示 さ れ た 。 こ の 様 に、 外|刈ゼ1:夕ンノくク質の消化管へのぬ接刺激による′.ニト剄!作J『J発現を報告した例はほと んどJ!〔い。小MI:究でその‑ ‑.lul,をIリJらかにしたことは;巧くi,'I; tilliされる。よって審査員一 If恥よ、lJql條i‖ がI竹. .1;( 股,2)のqと1れを 受ける に‑1.分 な資格 を有す るもの と認め た。

参照

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