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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 歯 学 ) 塚 本 祐 理

     学位論文題名

    Growth and development of the cranial base of     BALB/c‑ ろ絖/ b7n mouse

     ー Histological study ―

(BALB/c‑bm ノbm マウスにおける頭蓋底の成長発育―組織学的検討―)

学位論文内容の要旨

  【 目 的 】BALBlc‑bmlbmマ ウ ス は、 先天 的に 短肢 症を 生じ るC57BL‑bmlbmマウ スとBALB/c 系マ ウス を 自然 交配 してBALB/c系 マウ スにbm (brachymorphism)遺伝子を導入し、短肢症を 生じ させ た もの であ る。 この 短肢 症は 軟骨のグリコサ ミノグリカンの低硫酸化に起因するこ と が 知ら れて いる 。こ れま で、 みm遺 伝子 をも つマ ウス の成 長発 育に 関 する 研究 はC57BL系 マウ スな ど では行われてき たが、BALB/cI加耐みmマウ スにおける頭蓋の成長発育については 報告 され て いな い。 我々 は以 前に 同マ ウスの顎顔面所 見を調査し、特に後頭蓋長径が短いこ と を 生 体 計 測 お よ び オ ト ガ イ 頭 頂法X線 写 真計 測に より 明ら かに した 。ま たこ のBALB/c_ 馴 細 マウ スの うち 約lO%の もの が不 正咬 合 (前 歯部 の水 平( 左右 )的 交叉 咬合 )を 自然 発 症す るこ と を見出した。し かしその不正咬合発症のメカニズムはおろか、BALB/c_み耐6mマ ウス の頭 蓋 顎顔 面の 成長 が劣 って いる 原因さえ未だ不 明である。そこで本研究は、顎顔面頭 蓋 部 のgmwthcenterで あ る 蝶 後 頭 軟 骨 結 合 に 着 目 し 、 ま ず は 不 正 咬 合 を 発 症 し て い な い BALB/c‐ろ耐みmマウスの蝶後頭 軟骨結合部における成長発育を観察することを目的として組 織形態学的研究を行った。

【資 料及 び 方法 】BALB/C一 十/十 マウ ス(以下、対照 マウス)、不正咬合を発症していない BALB/c ̄み刪みmマウス(以下、短肢症マウス)の2群において、各群2、4、6、8週齢(各n=5) の 頭 蓋骨 を固 定脱 灰後 、通 法に 従い パラ フ イン 包埋 し、 厚さ5ルmの矢 状断 連続 切片 を作 製 した 。ま ず 蝶後 頭軟 骨結 合と その 周囲 組織での組織形 態学的特徴を確認するために、ヘマト キシ リン ‐ エオ ジン 染色 を行 った 。光 学顕微鏡下にて 蝶後頭軟骨結合部の観察を行うととも に、後頭蓋底長径、すなわち蝶形 骨底部前後径(蝶形骨間軟骨結合‐蝶後頭軟骨結合間距離)

およ び後 頭 骨底 部前 後径 (蝶 後頭 軟骨 結合‐大後頭孔 最前方点)の計測を行い、さらに蝶後 頭軟 骨結 合 部周 囲に 形成 され た骨 形成 率(一定の骨表 面距離の骨領域に占める形成された骨 の面 積の 割 合( ゲ。 )) をMHiInageを 用い て蝶 形骨 の3か 所に て計 測した。前後径および骨 面 積 の 平 均 値 の 群 間 比 較 検 定 に は 、2群 で の unpむ edtItestを 用 い た 。 次に 、蝶 後 頭軟 骨結 合部 の軟 骨基 質の 硫酸 化の 程度 を確 認す るた めに、成長期で ある4週齢 の マ ウス (各 群n=5) を用 い、 通法 に従 い パラ フイ ン包 埋後 、厚 さ5皿mの 矢状 断連 続切 片 を作 成し 、 まず コン ドロ イチ ン硫 酸の 硫酸化の程度を 確認するためにアルシアンブルー臨界 電解 質濃 度 法染 色を 、さ らに ケラ タン 硫酸の硫酸化の 程度を確認するためにウシ睾丸ヒアル ロニダーゼ消化後および未消化の 増感高鉄ジアミン染色を行った。

    ―600f

(2)

【 結 果 】 (1) 対 照 マ ウ ス の 蝶 後 頭 軟 骨 結 合 で は 、 い ず れ の 週 齢 に お い て も 、 中 央 よ り 両 側 性 resting zone,proliferative zone,hypertrophic zone,calcifying zoneと順次移行する軟骨柱構造が認 め ら れ 、 活 発 栓 軟 骨 内 骨 化 が 営 ま れ て い た 。 ま た 、 週 齢 が 増 す に っ れ て 、 軟 骨 結 合 部 の 前 後 的 な 幅 が 小 さ く な っ て い た 。 一 方 、 短 肢 症 マ ウ ス の 蝶 後 頭 軟 骨 結 合 で は 、 個 々 の 軟 骨 細 胞 は 大 き さ も 配 列 も 不 規 則 で あ り 、 対 照 マ ウ ス で 認 め ら れ た よ う な 軟 骨 柱 構 造 は 認 め ら れ な か っ た 。 ま た 、 対 照 マ ウ ス と 比 べ 、calcifying zoneお よ び 骨 梁 は 乏し く、 正常 な 軟骨 内骨 化は 認め ら れ ず 、 軟 骨 部 分 の 外 形 及 ぴ 厚 み は 不 規 則 で あ る と と も に 、 軟 骨 結 合 部 の 上 下 辺 縁 部 は 骨 質 で 覆 わ れ て い た 。 ま た 週 齢 を 増 す に っ れ 、 軟 骨 結 合 部 が 上 下 的 に 長 く な っ て い た 。(2)対 照 マ ウ ス に 比 べ 、 短 肢 症 マ ウ ス で は 、 す べ て の 週 齢 に お い て 蝶 形 骨 底 部 前 後 径 お よ び 後 頭 骨 底 部 前 後 径 が 有 意 に 短 く 、 蝶 形 骨 で の 単 位 面 積 当 た り の 骨 形 成 量 が 有 意 に 少 な か っ た 。 ま た 、3 つ の 部 位 間 で の 骨 形 成 量 の 差 は 対 照 マ ウ ス 、 短 肢 症 マ ウ ス と も に 認 め ら れ な か っ た 。(3)対 照 マ ウ ス に 比 べ 、 短 肢 症 マ ウ ス で は 、 蝶 後 頭 軟 骨 結 合 部 の コ ン ド ロ イ チ ン 硫 酸 と ケ ラ タ ン 硫 酸 の染色性は弱かった。

【 考 察 】BALB/c‑bm/bmマ ウ ス の 蝶 後 頭 軟 骨 結 合 で は 、 軟 骨 基 質 が 低 硫 酸 化 し て い た こ と 、 軟 骨 の 細 胞 の 大 き さ や 配 列 が 乱 れ て お り 、 正 常 な 軟 骨 内 骨 化 が 営 ま れ て い な か っ た こ と によ り、

軟 骨 結 合 で の 成 長 が 正 常 に 起 こ ら ず 、 頭 蓋 の 前 後 的 成 長 が 劣 っ て い た と 考 え ら れ た 。 ま た 、 軟 骨 結 合 部 の 上 下 辺 縁 部 が 骨 質 で 覆 わ れ て い た こ と は 、 軟 骨 結 合 部 で の 軟 骨 内 骨 化 の 方 向 が 乱 れ て い た た め に 、 前 後 方 向 だ け で な く 、 軟 骨 結 合 部 を 中 心 と し た あ ら ゆ る 方 向 に 向 け て 軟 骨 内 骨 化 が 起 こ っ た こ と を 示 唆 す る 。 ま た 、 結 合 部 の 上 下 辺 縁 部 が 骨 質 で 覆 わ れ て い た こ と が 、 頭 蓋 の 前 後 的 成 長 を 二 次 的 に 抑 制 し た と 推 測 さ れ る 。 ま た 、 蝶 後 頭 軟 骨 結 合 の 周 囲 の 骨 形 成 率 が 有 意 に 少 な か っ た こ と よ り 、 頭 蓋 底 の 膜 性 骨 化 も 正 常 に 行 わ れ て い な い 可 能 性 も 示 唆された。

【 結 論 】BALBlc‑bmlbmマ ウ ス で は 、 蝶 後 頭 軟 骨 結 合 部 で の 軟 骨 基 質 の 低 硫 酸 化 が 認 め られ た。

こ れ は 、 両 極 性 の 軟 骨 柱 構 造 が 失 わ れ 正 常 な 軟 骨 肉 骨 化 が 営 ま れ な い こ と に 関 連 し て お り 、 そ の 結 果 と し て 頭 蓋 底 の 前 後 的 成 長 が 劣 っ て い る と い う こ と が 示 唆 さ れ た 。

601

(3)

学位論文審査の要旨

     学位論文題名

    Growth and development of the cranial base of     BALB/c‑bnz7bnz mouse

     ―Histological study ―

(BALB/c‑bm ノ bm マウスにおける頭蓋底の成長発育―組織学的検討一)

  審 査 は 全 審 査 担 当 者 と 申 請 者 が 一 同 に 会 し て 口 頭 試 問 の 形 式 に よ っ て 行 わ れ た 。   ま ず 論 文 の 概 要 の 説 明 を 求 め る と と も に 適 宜 解 説 を 求 め、 次い でそ の 内容 およ び関 連 分 野について試問した。

  申請者から、まず以下のような説明がなされた。

  BALBlc‑bmlbmマ ウ ス は 先 天 的 に 短 肢 症 を 生 じ 、 軟 骨 の グリ コサ ミノ グ リカ ンの 低硫 酸 化 に 起 因 す る こ と が 知 ら れ て い る 。 我 々 は 以 前 に 同 マ ウ ス の顎 顔面 所見 を 調査 し、 特に 後 頭 蓋 長 径 が 短 い こ と を 生 体 計 測 お よ ぴ オ ト ガ イ 頭 頂 法X線 写 真 計 測 に よ り 明 ら か に した 。 し か しBALBlc‑bmlbmマ ウ ス の 頭 蓋 顎 顔 面 の 成 長 が 劣 っ て い る 原 因 は 未 だ 不 明 で あ る 。   そ こ で 本 研 究 は 、 顎 顔 面 頭 蓋 部 のgrowth centerで ある 蝶後 頭軟 骨結 合 に着 目し 、同 部 に おける成長発育を観察することを目的として組織形態学的研究を行った。

  BALB/cー→,/ +マウス(以下、対照マウ ス)、BALB/c‑ろmlbmマウス (以下、短肢症マウス)

2群 に お い て 、 各 群2468週 齢 ( 各n=5)の 頭 蓋 骨 を 固 定 脱 灰 後 、 通 法 に 従 い パ ラ フ イ ン 包 埋 し 、 厚 さ5mの 矢 状 断 連 続 切 片 を 作 製 し た 。 ヘマ トキ シリ ン ‐エ オジ ン染 色 、 ア ル シ ア ン ブ ル ー 臨 界 電 解 質 濃 度 法 染 色 、 ウ シ 睾 丸 ヒ ア ルロ ニダ ーゼ 消 化後 およ び末 消 化 の 増 感 高 鉄 ジ ア ミ ン 染 色 を 行 い 、 光 学 顕 微 鏡 下 に て 蝶 後 頭軟 骨結 合部 の 観察 と軟 骨基 質 の 硫 酸 化 の 程 度 の 確 認 を 行 う と と も に 、 後 頭 蓋 底 長 径 、 す なわ ち蝶 形骨 底 部前 後径 (蝶 形 骨 間軟 骨 結合 ‐蝶 後頭 軟 骨結 合間 距離 )お よ び後 頭骨底部前 後径(蝶後頭軟骨結合|大 後頭孔最 前 方 点 ) の 計 測 を 行 い 、 さ ら に 蝶 後 頭 軟 骨 結 合 部 周 囲 に 形成 され た骨 形 成率 (一 定の 骨 表 面 距 離 の 骨 領 域 に 占 め る 形 成 さ れ た骨 の面 積 の割 合( %) ) をNIH imageを用 いて 蝶形 骨 の 3か所にて計測した。そして以下の結果を得た。

  (1)対 照 マ ウ ス の 蝶 後 頭 軟 骨 結 合 で は 、 い ず れ の 週 齢 に お い て も 、 中 央 よ り 両 側 性 に resting zone,proliferative zone,hypertrophic zone,calcifying zoneと順次移行する軟骨柱構造が

602

郎 人

   

順 一

田 正

村 田

飯 田

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

認められ、活発な軟骨内骨化が営まれていた。また、週齢が増すにっれて、軟骨結合部の 前後的な幅が小さくなっていた。一方、短肢症マウスの蝶後頭軟骨結合では、個々の軟骨 細胞は大きさも配列も不規則であり、対照マウスで認められたような軟骨柱構造は認めら れなかった。また、対照マウスと比べ、calcifying zoneおよび骨梁は乏しく、正常な軟骨内 骨化は認められず、軟骨部分の外形及び厚みは不規則であるとともに、軟骨結合部の上下 辺縁部は骨質で覆われていた。

  く2)対照マウスに比べ、短肢症マウスでは、すべての週齢において蝶形骨底部前後径およ び後頭骨底部前後径が有意に短く、蝶形骨での単位面積当たりの骨形成量が有意に少なか った 。また 、3つ の部位間 での骨形成量の差は対照マウス、短肢症マウスともに認められ なかった。

  (3)対照マウスに比ベ、短肢症マウスでは、蝶後頭軟骨結合部のコンドロイチン硫酸とケ ラタン硫酸の染色性は弱かった。

  以上から、BALB/c‑bm/bmマウスでは、蝶後頭軟骨結合部での軟骨基質の低硫酸化が認め られ、それが、両極性の軟骨柱構造が失われ正常な軟骨内骨化が営まれなぃことに関連し ており、その結果として頭蓋底の前後的成長が劣っているということが示唆された。また、

軟骨結合部の上下辺縁部が骨質で覆われていたことは、軟骨結合部での軟骨内骨化の方向 が乱れていたために、前後方向だけでなく、軟骨結合部を中心としたあらゆる方向に向け て軟骨内骨化が起こったことを示唆する。また、結合部の上下辺縁部が骨質で覆われてい たことが、頭蓋の前後的成長を二次的に抑制したと推測される。また、蝶後頭軟骨結合の 周囲の骨形成率が有意に少なかったことより、頭蓋底の膜性骨化も正常に行われていなぃ 可能性も示唆された。

  以上の論述に引き続き以下の項目を中心に口頭試問を行った。

1.軟骨内骨化について

2.本マウスに不正咬合が発生する理由について

3.本マウスにおけるメッケル軟骨、下顎頭軟骨の形成について 4.軟骨基質の低硫酸化が軟骨内骨化に及ばす影響について 5.今後の展開について

  これらの試問に対して申請者は明快な回答、説明を行った。

  本研究は不正咬合を自然発生することで注目される BALB/c‑ bn:d bmマウスにおいて、頭 蓋の前後的な劣成長が生じている原因について、組織学的、組織化学的に明らかにしたも のである。本研究から得られた結果は、不正咬合の発生原因の解明に有用な実験動物の詳 細を明らかにすることにより、今後の歯科矯正学の発展のために重要な情報を与えたもの と高く評価できる。加えて、基礎歯科医学にも、軟骨内骨化に対して基質が硫酸化してい ることの重要性について、重要な情報を提供したものと高く評価できる。更に、試問の内 容から、学位申請者は、本研究に直接関係する事項のみならず、関連分野に幅広い学識を 有していると認められた。また研究の将来展望に関しても、本研究を基にして今後益々発 展して行く可能性が高いものと評価された。よって審査担当者全員は、申請者は博士(歯 学)の学位を授与される資格を有するものと認めた。

‑ 603 ‑

参照

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