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マスト細胞による細胞外マトリックスの修飾とその意義

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Academic year: 2021

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Title

マスト細胞による細胞外マトリックスの修飾とその意義( 内

容の要旨 )

Author(s)

田中, あかね

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(獣医学) 甲第100号

Issue Date

2001-03-13

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2154

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏 名(本籍) 学 位 の 学・位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 田 中 あかね (東京都) 博士(獣医学) 獣医博甲第100号 平成13年3月13日 学位規則第4条第1項該当 連合獣医学研究科 獣医学専攻 東京農工大学 マスト細胞による細胞外マトリックスの修飾 とその意義 主査 東京農工大学 副査 帯広畜産大学 副査 岩 手 大 学 副査 東京農工大学 副査 岐 阜 大 学 授 授 授 授 授 教教 教 教教 久志 助 珍一

義貨車

浩成 根 藤 田 田 森 山 舞岡 松小 論 文 の 内 容 の

骨髄を起源とするマスト細胞の生存・増殖・分化は、インターロイキン(IL)一3

やIL-4などのT細胞由来のサイトカイン、およびstem

cellfactor(岳CF)や神経成長

因子(NGF)など、主として線維芽細胞に由来する成長因子によって制御されてい

る。胎生期に未分化な前駆細胞として末梢循環に放出されるマスト細胞は、到達し

た各組織中で、細胞内顆粒を豊富に含む成琴細胞へと分化する。しかし、前駆細胞

の組織への浸潤および分布機構の詳細は不明のままとなっていた。他方、成熟した

マスト細胞は通常組感に固着し運動性を持たないが、免疫学的あるいは非免疫学的

に活性化すると、脱顆粒した後に脱分化して細胞学的に未分化な状態に戻る。この ようなマスト細胞が局所で増殖および違走し、病変部におけるマスト細胞の集族を

もたらすと考えられている。さらに、アトピー性皮膚炎など重篤なアレルギー性疾

患やは、病変部におけるマスト細胞の増殖に加ぇて、血中からマスト斉耶包前駆細胞

が供給される可能性が示唆されている。骨髄から放出されるマスト細胞の前駆細胞

は、標的組続に到達するまでに数回基底膜を通過しなければならない。その後組織

中を移動するときには、細胞外マトリックス(ECM)をくぐり抜ける必要性がある。

そこで本研究では、マスト細胞前駆細胞の末梢循環への放出や血管外遊走、および

組織浸潤を制御する因子として、▲ECMの構成成分を特異的iこ分解するマトリックス

メタロケ由テアーゼ(MMP)に着日した。

MMPはガン細胞の浸潤・転移を助長する強力なエンドペプチダーゼであるが、特 にMMP-2やMMP-9は、基底膜の構成成分を特異的に分解することから、腫瘍細胞の

(3)

-220-みならず、炎症性細胞浸潤にも関与している。本研究では、未分化なマスト細胞で

あるマケス骨髄由来培養マスト細胞(BMCMC)およびその株化細胞であるIC-2細胞

がMMP-9産生能を有することを、ゼラチンザイモグラフイ一法によって証明した。

また、MMP-9に特異的なジゴキシゲニン標識オリゴcDNAプt]'-ブを用いたノーザ ンプロット法で、BMCMCおよびIC-2細胞におけるMMP-9のmRNA発現を検出した。 これらの結果から、未分化なマスト細胞が皿P-9を産生していることが明らかとなっ た。また、通常マスト細胞のMMP-9は他の細胞同様前駆体で放出されるが、細胞表 面の高親和性レセプターに結合したIgEを特異抗原で架橋し、マスト細胞の脱頼粒を 誘導すると、MMP-9は生物学的な意義を持つ活性型の酵素へと変換された。阻害剤 を用いた実験から、顆粒中に含まれるセリンプロテアーゼがこの反応を媒介してい ることが明らかとなり」炎症の局所で刺激を受けたマスト細胞がみずからMMP・9を 活性化し、酵素活性を獲得した叩dP-9が周囲の細胞外マトリックスの分解や再構築、 細胞遊走などに寄与する可能性が示唆された。さらに、マスト細胞のMMP-9の発現

は、大腸菌由来のリボポリサッカライドや、炎症初期に産生が促進するIL-1βおよ

びNGFによって克進した。;れらのことから、マスト細胞が関与する病態の初期病

変の形成に、MMP・9が何らかの役割を果たしていることが推察された。 SCFはマスト細胞の分化と生存に必須の因子で、SCFの欠損やレセプターの機能

不全を有すろ動物では、マスト細胞の増殖や分化が抑制される。本実験では、SCF

のレセプターに自己活性化をもたらす遺伝子変異を持つマスト細胞株で、MMP-9が 産生されないことが判明し、同様の遺伝子変異を移入したIC-2細胞においてMMP-9 産生が抑制されることを明らかにした。さらに、正常なマスト細胞にSCFを作用さ せると、MMP-9の発現が低下した。このこと・によってSCFの新たな機能が明らかと なるとともに、マスト細胞の分化・成熟とMMP-9の産生能とが相反する制御を受け ている可能性が示唆された。 以上、本研究から得られた結果により、未分化なマスト細胞前駆細胞は、MMP・9 の産生能を有することセ血管外に遅出し組織に侵入するが、やがて線維芽細胞など

に発現するSCFの影響を受け分化および成熟するとともにMMP-9の産生は抑制され、

組織に定着するのではないかという仮説が提起された。また、炎症の横転において、 SCFはMMP:9め産生を抑制することで、マスト細胞に由来する炎症の沈静化に寄与

することが推察された。その抑制メ・カニズムの詳細や生体内での動態については今

後更なる解析を必要とするが、本研究において見出された新知見は、末梢組織にお

けるマスト細胞の分化と分布横棒の解析に新たな情報を提供するものである。

審 査 結 果 の一 要 旨

胎生期に未分化な状態で末梢循環に放出されるマスト細胞はこ到達した各組鱒中で、

細胞内顆粒を豊富に含む成熟細胞へと分化する。しかし、前駆細胞め組織への浸潤およ

び分布楼構の詳細は不明のままとなっていた。他方\免疫学的あるいは非免疫学的な刺 激で活性化し脱分化したマスト細胞は、局所で増殖および遊走し、病変部におけるマス ト細胞の集族をもたらす。マスト細胞の前駆細胞は、標的組織に到達するまでに数回基 底膜を通過しなければならず、また、組織中を移動する際、細胞外マトリックス

(4)

(ECM)を分解する必要がある。そこで申請者は、未分化なマスト細胞前駆細胞の末

梢循環への放出や血管外遊走、および組織浸潤を制御する因子として、ECMの構成成

分を特異的に分解するマトリックスメタロブロテアーゼ(MMP)に着目した。MMPは

ガン細胞の浸潤・転移を助長する強力なエンドヤプチダーゼである。特にゼラテナーゼ

酵素群(MMP-2、MMP-9)は、基底膜の構成成分を特異的に分解することから、腫瘍

細胞や炎症性細胞の組織浸潤に寄与する。本論文で申請者は、マスト細胞におけるゼラ

テナーゼの検出を行うとともに\その制御械構を解明する研究を行った。

1.マスト細胞によるMMP-9の産生と放出

未分化なマスト細胞であるマウス骨髄由来培養マスト細胞(BMCMC)およびその

珠化細胞であるIC-2細胞がMMP-9産生能を有することを、ゼラチンザイモグラ

フイ一法により証明した。また、MMP・9に特異的オリゴcDNAブロープを用いたノー

ザンプロット法で、両細胞のMMP-9mRNAを検出した。このことから、未分化なマ

スト細胞はMMP-9を産生することが明らかとなった。 2.マスト細胞によるMMP・9の産生誘導と自己活性化機構 マスト維胞のMMP-9は他の細胞同様前駆体で放出される。しかし、細胞表面の高 親和性レセプターに結合したIgEを特異抗原で架橋しマスト細胞の脱顆粒を誘導する と、MMP-9は活性型の酵素へと変換された。阻害剤を用いた実験から、顆粒中に含

まれるセリンプロテアーゼがこの反応を媒介してい卑ことが判明した.。また、マス

ト細胞のMMP・9の発現は、大腸菌由来のリボポリサーッカーライドや、初期炎症を惹起 するIL・1βおよびNGFによって克進した。以上の結果から、炎症の局所で刺激を受 けたマスト紳胞がみずからMMP-9を活性化し、酵素活性を獲得したMMP-9が周囲の 細胞外マトリックスの・分解や再構築、細胞遊走などに寄与するこ.と、およびマスト 細砲が関与する病態の初期病変の形成にMMP-9が何らかの役割を果たしていること が推察された。 3.マスト細胞のMMP-9産生抑制機構 SCFはマスト細胞の分化と生存に必須の因子で、欠損やレセプターの権能不全を

有する動物では†■アスト細胞の増殖や分化が抑制される。本実験で申請者は、遺伝

子変異によりSCFのレセプターが自己活性化するマスト細胞株で、・叫MP-9が産生さ

れないことを見出し、同様の遺伝子変異を移入したIC-2岸田胞においてMMP-9産生が 抑制されることを明らかにした。さらに、●正常なマスト細胞にSCFを作用させると、 MMP・9の発現が低下した。これによってSCFの新たな模能が明らかとなり、マスト

細胞の成熟とMMP・9の産生能とが相反する制御を受けている可能性が示唆された。

本研究により、未分化なマスト細胞前駆細胞は、MMP-9を利用して血管外に造出

し組織に侵入するが、やがて線維芽細胞などに発現するSCFの影響を受け分化・成

熟するととも◆にMMP-9の産生は抑制され、組織に定着するとの仮説が提起された。

また、炎症の模転において、SCFはマスト細胞のMMP-9産生を抑制し、炎症の沈静

化に寄与することが推察された。これらの知見は、末梢組織におけるマスト郷胞の

分化と分布機構の解析に新たな情報を提供した。・

・以上について、審査員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究科の学 位論文として十分価値あるものと認めた。

(5)

-222-学位論文の基礎となる学術論文

Tanaka,A.,Arai,K.,Kitamura,Y.,andMatsuda,H.(1999)Matrixmetal]oproteinase-9

pぬduction,aneWlyidentifiedfunctionofmastcellprogenitors,isdownreguIatedby

C-kitreceptoractivation.Blood 94:2390-2395

Tanaka,A・,Yaman?,Y・,andMatsuda,H・(2001)Mast cellMMP-9 production

enhanCed by bacteriaJlipopolysaccharide・TheJoumaJof VeterinaryMedicalScience inpress 既発表学術論文 Tanaka,A.,Sato,H・,andMatsuda,H.(1997)Nervegrowthfactorcaninhibit transfbrming growthfactor-β1-inducedapoptosisofratperitonealmastcells・Kinases andPhosphatasesinLymphocyteandNeuronalSignaling・Springer-Verlag 363-364 Susaki,Y.,Tanaka,A.,Honda,E.,andMatsuda,H.(1998)NervegrOWthfactor modulates FcgammareceptorexpressiononmurinemacrophageJ774A・lceJIs・The JournalofVeterinaryMedicalScience 60:87-91 Matsuda,H.,Koyama,H.,Sato,H.,Sawada,J・,Itak叫ra,A・,Tanaka,A・,Matsumoto, M・,Konno,・K・,Ushio,H・,andMatsuda,K・(1998)Roleofnervegrowthfactorip ?utaneO山SWOundhealing‥Acceleratlngeffbctsinnormalandhealing-1mPaireddiabetic mice.JournalofExperimentalMedicine187:297-306 Kanbe,N.,Tanaka,A.,Kanbe,'M.,Itakura,A.,Kurosawa,M.,andMatsuda,H. (1999)Humanmastcellsproducematrixmetalloproteinase9.EuropeanJournalof Immunology29:2糾5-2649 Sawada,J.,Itakura,A.,Tanaka,A.,Furusa桓,T二,andMatsuda,H・(2000)Nerve growthfactorfunctiopsasachemoattractantfbrmastcellsthroughbothmitogen-activatedproteinkinaseandphosphatidylinositoI3-kinaseslgnalingpathways・Blood 95:2052-2058 Mitsuhashi,M.,Tanaka,A.,F山jisawa,C.,Kawamoto,K・,Itakura,A・,Takaku,M・, Hironaka,T.,Sa料ada,S.,andMatsuda,H.(2001)NecessityofthromboxaneA2fbr

(6)

initiatio汀OfpJatelet-mediatedcontactsensltlVlty:DuaJactivationofplateletsand VaSCularendotheJiaJcel)s.JournaIof・Immunologyinpress

参照

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