354 (116) 氏名(生年月日)
本 1 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
オオ タ ケイ コ子(昭和3
博士(医学) 乙第1364号平成5年3月19日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
瞬目反射の臨床的研究一特に健常者における加齢変化,および脳血管障害と神 経変性疾患における評価一 (主査)教授 丸山 勝一 (副査)教授 高倉 公朋,新田 澄郎論文内 容 の 要 旨
目的 健常成人における瞬目反射(BR)の加齢変化につい て検討し,さらに,脳幹部血管障害(BVD)と脊髄小 脳変性症(SCD)におけるBR所見をMRI所見と対比 し,脳幹部病変の局在ならびに脳幹各部の断面積と BRの関連について検討し,BRの臨床上の有用性を検 討した. 対象および方法 対象は健常成人群68例(20~73歳),BVD群25例, およびSCD群48例である. BRは,眼窩上神経を左右別個に電気刺激し,両側の 眼輪筋より表面筋電図を記録した,刺激と二五に早期 に出現する成分をR1,それより遅れて両側に出現する 成分のうち,刺激と同側の成分をIR2,対側の成分を CR2とし,各成分の起始部潜時と振幅を測定した. MRIは,磁場強度0.15テスラにより, SR法で脳幹 部を撮像し,画像上で面積,縦径を測定した. 結果 1.健常成人群において,BR二成分り潜時,三値刺 激強度のそれぞれと年齢間とに推計学的に有意な正の 相関がみられた.また,R1とCR2の各振幅,および刺 激強度を上げた際のR1とCR2の振幅の変化率と年齢 間とに有意な負の相関がみられた.2.BVD群では,25例中BR, MRIそれぞれ16例
(64.0%)で異常を呈した.部位別にみると,橋病変5 例中,BR, MRIそれぞれ4例(80%)で異常であり,BRとMRIのいずれかもしくはいずれも異常の症例
は,5例全例(100%)であった.延髄病変10例中,BR, MRIの異常はそれぞれ5例(50%),両者のいずれかも しくはいずれもが異常であるのは,10例中7例(70%) であった, 3.SCD群では, BR各成分の潜時,および振幅とも MRI上の各計測値との間に有意な相関はなく,48例中 8例(16.7%)にBR異常が認められ,異常例には脳 幹萎縮のないものも含まれていた. 考察 健常成人群におけるBR潜時の延長には,末梢およ び中枢における伝導遅延が,また,閾値の上昇と振幅 の低下には,加齢に伴う神経線維の脱落などが関与し ていると考えられた. BRは, BVDにおいて特に橋・延髄病変の検出に有 用であり,また,MRI正常例でもBRに異常がみられ ることがあり,MRIに併用することでさらに局所異常 の検出率が上がると考えられた. SCDにおいては, MRI上脳幹萎縮がない場合にも BRの異常がみられることから,本疾患の脳幹部病変 の評価には,MRIにBRを併せ検討する必要があると 考えられた. 結論 BRの臨床応用には,その加齢変化を考慮すべきと 考えられた.また,BRは脳幹,特に橋・延髄に病変の ある場合,その機能評価に有用であり,MRIによる形 態学的な評価に併せ考慮すべきものと考えられた. 一988一355