ト ピ ッ ク ス
臼 歯1歯 欠 損 は イ ン プ ラ ン トか,ブ リ ッ ジか
− 臨 床 疫 学 研 究 に 基 づ く患 者 説 明 の 勧 め −
奥羽大学歯学部歯科補綴学講座 山森 徹 雄
の 点 に つ い て 口 腔 イ ンプ ラ ン ト治 療 と ブ リ ッ ジ で 大 き く異 な る とは 考 え に く い。 また 治 療 に 要 す る 費 用 は 歯 科 医療 制 度 の 影 響 を強 く受 け る た め,海 外 の文 献 は参 考 にで きず,ま た 国 内 の 状 況 に対 す る報 告 はみ られ ない 。 以 上 を ま とめ る と,こ れ ら
2つ の 治 療 法 に つ い て の 一 般 的 な 説 明 を す る際 に は,臨 床 疫 学 的 に長 期 性 や 機 能 回 復 程 度,心 理 的 影 響 につ い て,明 らか な 差 は な い こ と を述 べ な け れ ば な らな い 。 臨 床 で は,こ れ に 加 え診 察 や 検 査 で 得 られ た デ ー タ を提 示 して患 者 に選 択 して も ら
う こ と に な るが,説 明 の 内容 は 患 者 の 状 況 に応 じ て異 な る。 例 えば,欠 損 に隣 接 す る歯 の 支 持 能 力 や 強 度 に 問題 が あ る場 合 や,全 くの 健 全 歯 で あ る 場 合 は 口腔 イ ン プ ラ ン トを選 択 す る利 点 が 多 い こ と を提 示 す る と思 わ れ,外 科 的 侵 襲 を望 ま な い患 者 に は ブ リ ッ ジ を推 奨 す る こ とに な ろ う。
臨床 疫 学 研 究 で は,日 々新 しい 結 果 が 発 表 され る。 特 に,口 腔 イ ンプ ラ ン ト治 療 の よ うに 臨 床 導 入 か らの 期 間 が 短 い治 療 法 につ い て,適 切 な患 者 説 明 と治 療 選 択 を実 践 す る た め に は,常 に 情 報 を ア ップ デ ー トして お く こ と が大 切 で あ ろ う。
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社 団 法 人 日 本 補 綴 歯 科 学 会 編:− 補 綴 歯 科 診 療 ガ イ ド ラ イ ン − 歯 の 欠 損 の 補 綴 歯 科 診 療 ガ イ ド ラ イ ン2008.日 補 歯 会 誌.1;E136‑E141 2009.
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オ ッセ オ イ ン テ グ レ ー シ ョン に基 づ く口 腔 イ ン プ ラ ン ト治 療 が 臨 床 応 用 され,約50年 が 経 過 し よ うと して い る。 臨 床 的 ・基礎 的 研 究 デ ー タの 蓄 積 や 技 術 開 発 に よ って 口腔 イ ン プ ラ ン トの 予 知 性 が向 上 し,現 在 で は欠 損 補 綴 歯 科 治 療 に 不 可 欠 な 治 療 オ プ シ ョ ンの 一 つ とい え る。 しか し,数 年 前 か ら口腔 イ ンプ ラ ン ト治 療 の 問 題 点 が マ ス コ ミで 取 り上 げ られ て い る。 以 前 に 比 較 して 口 腔 イ ンプ ラ ン ト治 療 を受 け る患 者 数 が 飛 躍 的 に 増 大 した こ と に よ り,問 題 症 例 の 数 も増 えて い る と考 え られ る が,口 腔 イ ンプ ラ ン ト治 療 は他 の歯 科 治 療 に 比 較 して歴 史 が 浅 く,そ の特 性 が 広 く理 解 され て い な い た め,患 者 に 対 す る 説 明 不 足 も一 因 と思 わ れ る。 こ こで は 臼歯1歯 欠 損 を取 り上 げ,臨 床 疫 学 研 究 に基 づ い た患 者 へ の 説 明 に つ い て考 えて み た
い。
欠 損 補 綴 歯 科 治 療 に よ るQOLの 向 上 に 関 与 す る 因子 と して,長 期 性,機 能 回 復 程 度,心 理 的要 因,経 済 性 が 挙 げ られ る1)。 した が っ て 患 者 説 明 で は これ らの 点 に触 れ る 必 要 が あ る。 長 期 性 に 関 して は,日 本 補 綴 歯 科 学 会 が 編 集 した ガ イ ドラ イ ンで,主 と して 長 期 性 の観 点 か ら1歯 中 間 欠 損 に お い て イ ン プ ラ ン ト支 台 ク ラ ウ ン とブ リ ッジ を比 較 し て い る。 そ の 構 造 化 ア ブ ス ト ラ ク トに は 2007年 以 降 の5編 の シ ス テ マ テ ィ ッ ク レ ビ ュ ー が 掲 載 され て お り,「 す べ て の 条 件 で1歯 中 間 欠 損 の 治療 にお い て イ ン プ ラ ン トが ブ リ ッジ よ り有 効 で あ る とい うエ ビ デ ンス は 存 在 して い な い」 と い う推 奨 プ ロ フ ァ イル が提 示 され て い る2)。確 か に, シ ス テ マ テ ィ ッ ク レ ビ ュ ー の デ ー タで は,1歯 の 中間 欠 損 に対 す る イ ンプ ラ ン ト支 台 ク ラ ウ ン と ブ リ ッ ジ の5年 生 存 率,10年 生 存 率 に ほ と ん ど差 が な い こ とが わ か る3)。一 方,機 能 回 復 程 度 や 治 療 に伴 う心理 的 要 因 につ い て,こ れ ら を直 接 比 較 した 報 告 は な い が,臨 床 的 な実 感 か らは,こ れ ら