• 検索結果がありません。

拡幅掘削時のトンネル構造と 地山の挙動に関する研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "拡幅掘削時のトンネル構造と 地山の挙動に関する研究"

Copied!
90
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

2019

年度 修士論文

拡幅掘削時のトンネル構造と 地山の挙動に関する研究

首都大学東京大学院 都市環境科学研究科 都市基盤環境学域

18851507 井上 洸志

指導教授 砂金 伸治

(2)

目 次

1

序論

... - 1 -

1.1

研究背景 ... - 1 -

1.2

研究目的 ... - 1 -

1.3

本論文の構成 ... - 2 -

2

拡幅掘削の概要 ... - 3 -

2.1

拡幅掘削の施工事例

... - 3 -

2.2

拡幅掘削に関する既往研究 ... - 6 -

3

二次元載荷装置を用いた実験 ... - 7 -

3.1

概要 ... - 7 -

3.2

実験装置と地盤材料 ... - 7 -

3.3

実験ケース ... - 10 -

3.4

実験方法 ... - 13 -

3.5

実験結果および考察 ... - 16 -

4

有限要素法

(FEM)

による二次元載荷装置を用いた実験の評価

- 20 - 4.1

概要 ... - 20 -

4.2

解析手法 ... - 20 -

4.3

解析モデル ... - 21 -

4.4

解析ステップ ... - 23 -

4.5

解析結果および考察

... - 24 -

5

アルミ棒地山を用いた二次元模型実験

... - 28 -

5.1

概要 ... - 28 -

5.2

実験装置と地山材料 ... - 28 -

(3)

5.3

トンネル模型と計測機器

... - 31 -

5.4

実験ケース ... - 34 -

5.5

実験方法 ... - 36 -

5.5.1 Case-1 ... - 36 -

5.5.2 Case-2 ... - 37 -

5.6

実験結果および考察 ... - 41 -

5.6.1 Case-1 ... - 41 -

5.6.2 Case-2 ... - 45 -

6

結論

... - 51 -

参考文献

... - 53 -

謝辞 ... - 54 -

付録

... - 55 -

(4)
(5)

第1章

序 論

(6)

1

章 序論

1.1 研究背景

近年の車両の大型化や交通量の増大に伴って,トンネル内での車両のすれ違いや歩行者 の通行が困難な断面の狭いトンネルが増えてきている.また,老朽化や地山状態の変化な どにより,覆工コンクリート等に変状が発生し,覆工を打ち直すなどの改築に迫られるト ンネルなど,既設トンネルを断面拡幅・改築する必要性が高まっている.しかし,通常の トンネルの掘削におけるゆるみ領域,作用荷重といった力学的なメカニズムは多く研究さ れているが,既設トンネルの支保構造を含めて地山部分を撤去し,拡幅した場合における 地山の応力再配分等に関する挙動,地表面等を含む周辺へおよぼす影響,また,改築され るトンネルに必要と考えられる構造諸元に関しては不明確な点が多く残されている.その ため,現状での断面拡幅・改築時のトンネル支保構造は,新設トンネルの設計方法に準拠 した支保構造を採用している場合が多く,施工方法や設計方法は個々の工事で独自に検討 されており,特に定められた手法がないのが現状である.したがって,既設トンネルが存 在することによる先進導坑としての効果や,既設トンネルの掘削によりトンネル周辺部に 発生する緩み領域の存在などを考慮した,より合理的な拡幅時の設計法等の確立が求めら れている.

1.2

研究目的

以上の背景を踏まえ,本研究では,既設トンネルを拡幅する際に必要となる支保構造の 考え方を明確化することを目標とし,拡幅掘削時におけるトンネル構造や地山の挙動を把 握するために模型実験を行った.

初めに,二次元載荷装置を用いた実験によって拡幅掘削による地山のひずみを計測し地 山の挙動を確認し,その再現解析を行うことで実験結果の妥当性の確認を行った.次に,

アルミ棒地山を用いた二次元模型実験によって拡幅掘削によるトンネル構造に作用するひ ずみを計測しその挙動を確認した.

(7)

1.3

本論文の構成

本論文は,全

6

章で構成されている.

1

章では,序論として,研究背景および目的,本論文の構成について記述している.

2

章では,本研究の対象としている拡幅トンネルの施工事例および既往の拡幅トンネ ルに関する研究事例について記述している.

3

章では,地中応力が発生している条件下でトンネルの断面を拡幅する場合における 断面の力学的挙動を把握する目的で実施した二次元載荷装置を用いた実験について実験装 置や実験方法をまとめ,その結果と考察について記述している.

4

章では,第

3

章の実験結果を二次元

FEM

による静的解析を用いて再現し,第

3

で行った実験結果の妥当性の検討について記述している.

5

章では,重力場においてトンネルの断面を拡幅する場合におけるトンネル構造の力 学的挙動を把握する目的で実施したアルミ棒地山を用いた二次元模型実験について実験装 置や実験方法をまとめ,その結果と考察について記述している.

6

章では,本研究で得られた結果について考察を行い,今後の課題について記述して いる.

(8)
(9)

第2章

拡幅掘削の概要

(10)

第2章 拡幅掘削の概要

2.1

拡幅掘削の施工事例

ここでは拡幅掘削の施工事例の一部を示す.

石村ら1は,断面拡幅・改築を行うトンネルの支保構造の設計確立に必要となる基礎的 なデータ収集することを目的として,断面拡幅を行ったトンネルにおいて,既設トンネル の変形・覆工のひずみ,拡幅トンネルの支保部材に作用する応力等の計測を行った.

現場計測は表 2-1に示す

4

本のトンネルで実施した.いずれも既設トンネルの断面拡幅 工事であり,A~Cトンネルでは車両を通しながらの活線施工である.A・Bトンネルは,

断面拡幅掘削時の既設覆工への影響把握のため覆工表面ひずみ,天端および内空変位測定 を,また,拡幅トンネルの支保構造の挙動を把握するための鋼アーチ支保工応力,吹付け コンクリート応力ならびにロックボルト軸力の計測を行った.さらに,Bトンネルにおい ては,一部側壁部に斜めにロックボルトを打設した区間での計測を実施し,斜め打設の影 響を把握した.さらに,C・Dトンネルは事前補強として断面拡幅掘削前に打設したロッ クボルトについて,その効果を確認するためのロックボルト軸力測定を行った.

(11)

表 2-1 計測トンネル一覧1)

以下,各トンネルの施工事例を具体的に示す.

・Aトンネル

A

トンネルは,

1973

年に在来工法によって施工されたトンネルであり,坑口部

170m

間を現在の

2

車線から

3

車線に断面を拡幅するものである.トンネル周辺の地質は,砂岩,

頁岩,凝灰岩の互層からなる.坑口

150m

付近のボーリングコアによる地山の圧縮強度は

16~30N/mm

2が得られている.なお,拡幅トンネルの支保構造は,新設トンネルの

3

車線断面に適用される標準支保パターンに準拠して決定された.

拡幅トンネルの支保構造の計測結果より,土被りが薄い部分で鋼アーチ支保工応力,吹 付けコンクリート応力の一部が高くなる場合があるが,ある程度の土被り以上の場合には,

各支保の応力は小さく,また,ロックボルト軸力も小さいことから,支保構造の規模とし ては耐力に十分余裕があるといえる.

(12)

・Bトンネル

B

トンネルは,1950年に在来工法によって施工された幅員

6m

程度の狭隘断面のトンネ ルであり,大型車のすれ違いが困難なことから,断面を拡幅するものである.トンネル周 辺の地質は,塊状の泥岩が主体であり,全体的に弱風化となっている.ボーリングコアに よる地山の圧縮強度は

1~9N/mm

2が得られている.施工手順は,上半掘削,下半左掘削,

下半右掘削,下半左下掘削,下半右下掘削の順に実施した.また,試験的にトンネル延長 方向

10m

の区間に両側壁部

5

本のロックボルトを通常のロックボルトと同じ材質・長さの ボルトを斜め前方

45

度に打設し,垂直に打設した場合との比較を行った.

拡幅トンネルの支保構造の計測結果より,側壁部のロックボルトを斜めに打設した場合 でも,鋼アーチ支保工応力に一部で高い値が発生したものの支保部材の耐力に対して十分 余裕のある状態であり,ロックボルトの軸力も壁面に垂直に打設した場合と斜めに打設し た場合とで顕著な差が認められないことから,本トンネル条件下では側壁部の一部を斜め に打設してもその影響は小さいものと考えられる.

・Cトンネル

C

トンネルは,1962年に在来工法によって施工された幅員

6m

程度の狭隘断面のトンネ ルであり,大型車のすれ違いが困難なことから断面を拡幅するものである.トンネル周辺 の地質は,安山岩を主体とした地山の圧縮強度が平均

150N/mm

2程度の塊状であり,地山 の一部に平均

13N/mm

2程度の破砕・風化部が介在している.施工は既設トンネルの舗装お よび路盤砕石を全線に渡り撤去した後に,トンネルの拡幅掘削を実施した.また,掘削前 に天端部に補強目的で全線に渡り長さ

3m

FRP

製のロックボルトを打設した.ロックボ ルトの軸力は,計測断面のみに打設した長さ6m

3

本のロックボルトに対して測定した.

ロックボルト軸力の計測結果から,路盤掘削とともにすべてのロックボルトで引張力が 発生している.これは,路盤掘削により覆工が下方に変形したことに対応したものと考え られる.一方,トンネル拡幅掘削時はほぼ全体に切羽が近づくに伴い圧縮力が発生した.

切羽との影響を詳しく見ると,切羽が

10m

(1D)程度の接近をした段階から軸力に有意な 変化が見られ,圧縮力が増加している.さらに,

2.5m

(0.25D)程度からはその変化は急激 に増加し,拡幅に伴う既設トンネルの影響範囲は

1D

程度と考えられる.

・Dトンネル

D

トンネルは,1938年に在来工法によって施工された幅員

6m

程度の狭隘断面のトンネ ルであり,大型車のすれ違いが困難なことから,トンネル拡幅するものである.トンネル 周辺の地質は,塊状の泥岩が主体であり,全体的に弱風化となっている.ボーリングコア による地山の圧縮強度は

4~10N/mm

2が得られている.

ロックボルト軸力の計測結果から,当初は切羽の進行に伴って大きな軸力の変化は認め られないが,その後,切羽通過後に引張軸力が増加し,

10m~20m

程度切羽が通過後にある

(13)

一定の値に収束している.この軸力の変化は,事前にロックボルトを打設することで,切 羽掘削時に天端から肩部にかけて地山掘削に伴う地山の変形を抑制できる効果などが期待 できることを示しているものと考えられる.

2.2

拡幅掘削に関する既往研究

北田ら2は,在来工法で建設された道路トンネルの断面を建設から約

35

年後に拡幅し た際に観測されたトンネル周辺地山の変形挙動の分析を試みた.その結果,建設時には比 較的大きな塑性変形を生じた断面付近においても,覆工背面の地山は比較的安定しており,

拡幅工事が安全に行えるような状態が存在したことが判明した.これらの事実はトンネル 建設時の周辺地山の状態(応力,ひずみ分布,グランドリングの存在など)が時間の経過 とともに変化したことを示唆するものである.

この研究から,地山のゆるみ域,グランドリングなどの構造特性が既設トンネルの拡幅・

改修工事に様々な影響を及ぼすことが分かる.したがって,拡幅工事においては,グラン ドリングの存在位置を特定する調査方法の確立とそれを生かした拡幅設計が重要になると 考えられる

(14)
(15)

第3章

二次元載荷装置を用いた実験

(16)

第3章 二次元載荷装置を用いた実験

3.1

概要

本章では,地中応力が発生している条件下でトンネルの断面を拡幅する場合における断 面の力学的挙動を把握する目的で実施した二次元載荷装置を用いた実験について実験装置 や実験方法をまとめ,その結果と考察について述べる.この実験では,二次元載荷実験装 置を用い,装置内に貧配合モルタルを充填して地山を模擬し,小口径の円形の掘削に続く 形で大口径の円形を拡幅する形で掘削を行い,各掘削時の地山内のひずみの分布や載荷重 等を測定して拡幅掘削による地山の挙動を把握した.地山には荷重として,載荷装置上方 に設置した

3

本の油圧ジャッキにより一定の荷重(20kN×3台=60kN)を作用させ地山 の条件を模擬した.

3.2

実験装置と地盤材料

本節では,二次元載荷装置実験で使用した実験装置の詳細や地山材料について述べる.

本実験で使用した載荷装置概要図を図3-1に,アッパーヘッド枠拡大図を図3-2に示す.

図 3-1,図 3-2に示す載荷装置のアッパーヘッド枠に設けられた

φ300mm

の円形孔を塞ぐ 蓋 1 を製作してアッパーヘッド枠に固定することで円形孔を閉塞する.また,この

φ300mm

の蓋 1 には中心を一致させた

φ180mm

の円形孔を設け,φ180mmの蓋 2 を蓋 1 に固定して 円形孔を塞ぐ構造とする.

(17)

図 3-1 載荷装置概要図

図 3-2 アッパーヘッド枠拡大図

表 3-1に示す試験練り結果から

0.7N/mm

2の貧配合モルタルで地山を作成する.

実験装置内の1210mm×1210mm×300mmの空間に載荷装置内の深さ150mmまでモルタルを 充填し,その後,図 3-3 に示すように放射状(45°間隔)の4側線上に,埋め込み型ひずみ 計を設置した後,残りのモルタルを充填し,強度発現に必要な養生期間を確保して模擬地 山を作成する.

(18)

実験は

4

ケース分の地山を製作する.製作時には管理用供試体(直径の

2

倍の高さをもつ 円柱形)を載荷ケース毎に各

12

体以上を採取して,供試体の一軸圧縮強度を確認した後に 実験を行う.また,管理供試体から弾性係数を計算する.

表 3-1 貧配合モルタルの試験練り結果

図 3-3 センサ設置位置図

(19)

3.3

実験ケース

図 3-3に示す,載荷装置上方に設置した 3 本の油圧ジャッキにより一定の荷重(20kN×3 台=60kN)まで載荷する.一定荷重の決定は載荷実験を行いながら監督職員が決定。(図 3-4 参照)この荷重は実験を通じて掘削終了までは常に一定値を保持するように制御(荷 重制御)するものとする.掘削終了後に荷重を

280kN

(280kN×3台=840kN)まで載荷(試 験機能力)して終了する.載荷実験ケースを表 3-2に示す.

図 3-4 荷重-経時変化図

表 3-2 実験ケース

予定地盤強度 地盤強度 掘削時荷重

(3台合計)

掘削終了後の荷重

(3台合計)

試験機制 御方法

φ 180㎜ φ 300㎜ N/mm2 N/mm2 kN kN

Case 1 1回目 2回目 0.5 0.578 60 840kNまで

荷重制御

Case 2 --- 1回目 0.5 0.630 60 840kNまで

荷重制御

Case 3 1回目 2回目 0.7 0.677 60 840kNまで

荷重制御

Case 4 --- 1回目 0.7 0.345 60 840kNまで

荷重制御

掘削方法

(20)

掘削は以下に示す

2

通りの方法によるものとし,4ケースの掘削を行う.

(掘削方法

1)始めに,蓋 2

を外して

φ180mm

の円形孔の形状のとおりに,深さ

300mm

掘削を行い,次に,蓋

1

を外して

φ300mm

の円形孔の形状のとおりに,深さ

300mm

まで の掘削を行う(Case1,Case3対象)

(掘削方法

2)蓋 1

を外して1度に

φ300mm

の円形孔の形状のとおりに深さ

300m

の掘削 を行う(Case2,Case4対象)

一連の掘削作業の開始前から終了後までを通じて,以下に示す測定項目の測定を連続的 に実施する(10秒間隔).チャンネル対応表を表 3-3に示す.

(1)

荷重

12

(2)

載荷板の変位

12

(3)

ひずみ

9

合計

33

(21)

表 3-3 チャンネル対応表

No. Ch 測点 センサー センサ 係数 単位 表示 符号

記号 モード

1 001 D-01s 載荷変位(制御用) 載荷点:北面西 電圧(CDP-100) 64V 10 mm 2 圧縮作用:+ 50mm/5V

2 002 D-02s 載荷点:北面中央 mm

3 003 D-03s 載荷点:北面東 mm

4 004 L-01 載荷荷重 載荷点:北面西 電圧(荷重計) 64V 58.84 kN 1 圧縮:+ 294.2kN/5V

5 005 L-02 載荷点:北面中央 kN

6 006 L-03 載荷点:北面東 kN

7 007 L-04 反力側荷重 載荷対面:西 荷重計 4G 0.1238 kN 2

8 008 L-05 載荷対面:中央 0.1242 kN

9 009 L-06 載荷対面:東 0.1240 kN

10 010 L-07 東面:北 0.1237 kN

11 011 L-08 東面:中央 0.1223 kN

12 012 L-09 東面:南 0.1248 kN

13 013 L-10 西面:北 0.1238 kN

14 014 L-11 西面:中央 0.1238 kN

15 015 L-12 西面:南 0.1248 kN

16 016 17 017 18 018

19 019 D-04 反力側変位 載荷対面:西 mm

20 020 D-05 載荷対面:中央 mm

21 021 D-06 載荷対面:東 mm

22 022 D-07 東面:北 mm

23 023 D-08 東面:中央 mm

24 024 D-09 東面:南 mm

25 025 D-10 西面:北 mm

26 026 D-11 西面:中央 mm

27 027 D-12 西面:南 mm

28 028 29 029

30 030 E-1 埋め込みひずみ 90度 KM-50F 4G 0.684 μ 0 引張ひずみ:+ G.F.=2.00

31 031 E-2 埋め込みひずみ 90度 0.685 μ

32 032 E-3 埋め込みひずみ 90度 0.685 μ

33 033 E-4 埋め込みひずみ 90度 0.691 μ

34 034 E-5 埋め込みひずみ 90度 0.687 μ

35 035 E-6 埋め込みひずみ 135度 0.678 μ

36 036 E-7 埋め込みひずみ 135度 0.677 μ

37 037 E-8 埋め込みひずみ 135度 0.700 μ

38 038 E-9 埋め込みひずみ 135度 0.685 μ

チャンネル対応表

計測項目 備考

(22)

3.4

実験方法

以下に

Case1,Case3

の実験方法を示す.

載荷装置内の深さ

150mm

までモルタルを充填し,その後,埋め込み型ひずみ計を設 置した後,残りのモルタルを充填し模擬地山を製作する.(写真 3-1参照)

載荷装置上方に設置した3本の油圧ジャッキにより一定の荷重(20kN×3台=60kN)ま で載荷する(荷重制御)

蓋2を外して

φ180mm

の円形孔の形状のとおりに,深さ

300mm

の掘削を行う.(写真 3-2参照)

蓋1を外して

φ300mm

の円形孔の形状のとおりに,深さ

300mm

までの掘削を行う.(写 真 3-3参照)

掘削終了後に荷重を

280kN

(280kN×3台=840kN)まで載荷(試験機能力)して終了す る.

写真 3-1 実験の様子(方法①)

(23)

写真 3-2 実験の様子(方法③)

写真 3-3 実験の様子(方法④)

以下に

Case2,Case4

の実験方法を示す.

載荷装置内の深さ

150mm

までモルタルを充填し,その後,埋め込み型ひずみ計を設 置した後,残りのモルタルを充填し模擬地山を製作する.

載荷装置上方に設置した3本の油圧ジャッキにより一定の荷重(20kN×3台=60kN)ま で載荷する(荷重制御)

蓋1を外して

φ300mm

の円形孔の形状のとおりに,深さ

300mm

までの掘削を行う.(写 真 3-4参照)

掘削終了後に荷重を

280kN

(280kN×3台=840kN)まで載荷(試験機能力)して終了す る.

(24)

写真 3-4 実験の様子(方法③)

(25)

3.5

実験結果および考察

本節では,二次元載荷装置を用いた実験の結果について述べる.

図 3-5

Case-1~Case-4

の掘削前の初期作用ひずみ分布の結果を示す.なお,載荷装置 中心から半径

220mm

の円周上のひずみの値を検討する.

図 3-5 初期作用ひずみ分布

図 3-5より,初期作用ひずみにばらつきがみられる.これにより,本実験では載荷装置 上方に設置した

3

本の油圧ジャッキにより一定の荷重(20kN×3台=60kN)まで載荷し,

実験を行っているが,この荷重が模擬地山全体に均等に作用していないことがわかる.こ

(26)

れは,模擬地山が掘削の際に崩れないように設定した荷重の大きさが小さいことが要因だ と考えられる.これより,地山は概ね弾性挙動を示す状態であったと考えられる.本実験 では,以後の結果についても地山が弾性挙動を示す状態である条件下として議論を進めて いく.

次に,掘削を行っていった際の

Case-1~Case-4

の作用ひずみ増分を図 3-6~図 3-9に示 す.なお,ここでは初期作用ひずみを

0

としてそこからの掘削によるひずみの増分を載荷 装置中心から半径

220mm

の円周上と半径

320mm

の円周上で検討する.

図 3-6 Case-1 増分ひずみ分布

図 3-7 Case-2 増分ひずみ分布

(27)

図 3-8 Case-3 増分ひずみ分布

図 3-9 Case-4 増分ひずみ分布

(28)

図 3-6~図 3-9より,拡幅掘削である

Case-1, Case-3

と,通常掘削である

Case-2, Case-4

のひずみの値に明確な差はなかった.したがって,実際のトンネル施工の場合も地山が弾 性状態である条件下では,拡幅トンネルの支保構造は,その掘削後の断面積を有する新設 トンネルに適用される標準支保パターンを使用すれば構造上の問題は少ないと考えられる ことが明らかになった.

(29)

第4章

有限要素法(FEM)による

二次元載荷装置を用いた実験の評価

(30)

第4章 有限要素法(FEM)による二次元載荷装置を用いた実験の評価

4.1

概要

本章では,第 3 章の実験結果を二次元 FEM による静的解析を用いて再現し,第 3 章で行 った実験結果の妥当性の検討について記述している.実験結果のモデル化は,載荷点にお ける荷重と変位の関係が実験結果と解析結果で概ね等しくなるように,模擬地山の解析モ デルとして用いた平面ひずみ要素の物性値をトライアルで設定した.

4.2

解析手法

本節では,FEM解析に使用した解析ソフト

GTS NX

について述べる.

GTS NX(Geotechnical and Tunnel analysis System)は有限要素法を用い,施工段階を考慮

した応力解析と浸透流解析・耐震解析など地盤及びトンネル工学分野の数値解析に必要な 諸般機能を集積して開発された静的解析ソフトである.数多くの非線形材料をサポートし ており,難しい接続部のトンネル解析,地下水浸透解析,軟弱地盤の盛土および圧密解析,

掘削および仮設解析など地盤分野の解析で主に取り扱われている.

GTS NX

を使用した解析の手順について図 4-1に示す.

図 4-1

FEM

解析手順

(31)

4.3

解析モデル

本節では,前章の模擬地山を二次元

FEM

で再現した解析モデルについての概要を述 べる.

解析に用いたモデルの全体図とその寸法について図 4-2に示す.地山の解析モデルには 平面ひずみ要素を用いた.寸法は実験の模擬地山と同様の値を用いた.

図 4-2 解析モデル全体図

模擬地山の解析モデルに用いた平面ひずみ要素の解析物性値を表 4-1に示す.

載荷点における荷重と変位の関係が実験結果と解析値で概ね等しくなるように,平面ひず み要素のパラメータである弾性係数

E,ポアソン比 ν,粘着力 c,内部摩擦核 φ

の物性値を トライアルで設定した.本研究で行った二次元載荷装置を用いた実験において,重力によ る影響は無視できるため,平面ひずみ要素の単位体積重量は

0kN/m

3とした.また,構 成式は弾塑性体とした.

(32)

表 4-1 地山の解析物性値

境界条件および荷重条件を図 4-3に示す.

境界条件は,底面を水平ローラー支持,側面を鉛直ローラー支持とした.

荷重条件は,実験と同様に模擬地山の上部にジャッキによる軸力を等分布荷重として与 えた.

図 4-3 境界条件および荷重条件

(33)

4.4

解析ステップ

本節では,再現解析における解析ケースについて述べる.

本解析では

2

種類の解析ステップを実施した.それぞれの解析ステップを図 4-4,図 4-5 に示す.

図 4-4 解析ステップ①

図 4-5 解析ステップ②

(34)

4.5

解析結果および考察

本節では,再現解析の結果および考察について述べる.

図 4-6に実験と再現解析における荷重と変位の関係の結果を示す.

図 4-6 荷重と変位の関係

図 4-6より,実験値と解析値は概ね一致しており,実験の再現が概ねできていると考え られる.

また,解析ステップ①,解析ステップ②における有効塑性ひずみ図,合成変位コンター 図,最大主応力コンター図,最小主応力コンター図を図 4-7,図 4-8,図 4-9,図 4-10 示す.

(35)

図 4-7 有効塑性ひずみ図

図 4-8 合成変位コンター図

(36)

図 4-9 最大主応力コンター図

図 4-10 最小主応力コンター図

(37)

図 4-7より,いずれの解析ステップにおいても塑性領域が存在していないことが分かる.

したがって,解析ステップ①と解析ステップ②での最終的な変位や応力の結果に差は出な かった.

この解析結果は前章の実験結果とも同様の傾向であり,前章の実験結果に妥当性がある ことを示した.

(38)
(39)

第5章

アルミ棒地山を用いた二次元模型実験

(40)

第5章 アルミ棒地山を用いた二次元模型実験

5.1

概要

本章では,重力場においてトンネルの断面を拡幅する場合におけるトンネル構造の力 学的挙動を把握する目的で実施したアルミ棒地山を用いた二次元模型実験について実 験装置や実験方法をまとめ,その結果と考察について述べる.拡幅掘削の模擬は,アル ミ棒積層体を地山材料として用い,直径

60mm

のトンネル模型を設置し,その模型に巻 いたテフロンシートを引き抜くことで既設トンネルの掘削を模擬した後,直径

89mm

トンネル模型をアルミ棒地山に押し入れることで断面拡幅を再現した.そして,押し入 れた直径

89mm

のトンネル模型に巻いたテフロンシートを引き抜くことで掘削を模擬 し,掘削時のトンネル模型に作用するひずみを測定することで拡幅掘削によるトンネル 構造のひずみの傾向を把握した.

5.2

実験装置と地山材料

本実験で使用した実験槽を写真 5-1,図 5-1に示す.

写真 5-1 実験槽

(41)

図 5-1 実験槽概略図

実験槽は十分に剛な鋼製である.また,トンネル模型を配置しても側壁による影響を 受けないように横幅

450mm

とし,アルミ棒を敷設した場合に所定の土被りを十分確保 することが出来るように高さ

780mm

とした.

地山材料としては,粒状体の地山モデルとして長さ

100mm

の円形アルミ棒を用いた.

アルミ棒を用いる利点としては以下のことが挙げられる.3

・アルミ棒の層は自立するため前後面を壁体などで支える必要がなく,試料と前後の 壁体間の摩擦の影響が皆無である.

・積み上げられた棒の端点に標点などを設置することにより,棒の移動(地盤の変形 状態)を容易に観察し,記録することができる.

・アルミ(比重:2.69)を用いることで積層の比重が砂や礫などの比重に近くなる.

・アルミ棒積層体のせん断試験の結果,内部摩擦角が一般の砂の内部摩擦角に近い結 果となる.

・径の異なった棒の配合比を変えることにより種々の粒度組成のものに類似させるこ とが出来る.

これらの利点により,砂を用いた場合の実験によって発生する,砂と容器壁面の摩擦 による実験精度の低下などの欠点を取り除くことが出来る.

また,アルミ棒の重量配合比についてはアルミ棒を地盤材料とする既往の研究を参考 にし,直径

φ=1.6mm

および

3.0mm

のものを重量混合比

3:2

で混合した.単一粒径の アルミ棒による地盤では地盤内に粒子が規則配列となる大きな領域がいくつか発生す る.この領域線が弱線となり,亀裂性岩盤のようなすべりが生じる.この規則列のすべ りが発生することにより本来の未固結粒状体地山の挙動とならず,データが不安定にな

(42)

4そこで,弱線の原因である規則配列の境界を取り除くために

2

種類の径を混合し,

不規則配列の地盤となるようにした.

アルミ棒の径については,アルミ棒を用いた既往研究3で示されている直径

9, 5, 3

および

1.6mm

のアルミ棒の地盤モデルによる研究結果を基にした.この研究では,直

φ=1.6mm

および

3mm

のアルミ棒の組み合わせによって良い実験結果を得ており,

この研究結果に基づいた直径

φ=1.6mm

および

3mm

のアルミ棒の混合地盤を用いた実 験が多く行われているため,本実験においてもこれらの研究と整合性を持たせられるよ うに同様の径を用いた.

本実験で使用したアルミ棒の諸元について表 5-1に示す.また,アルミ棒の配列状況 などを写真 5-2,5-3に示す.

表 5-1 地盤材料(アルミ棒)の物性値

写真 5-2 本実験で用いたアルミ棒

単位体積重量(N/mm

3

アルミ合金 100 1.6:3.0

3:2 30

0 2.15×10

-5

材質

長さ(mm)

径(mm)

重量比 内部摩擦角(°)

粘着力(N/mm

2

(43)

写真 5-3 アルミ棒の配列状況

5.3

トンネル模型と計測機器

本実験で使用したトンネル模型を写真 5-4に示す.

写真 5-4 トンネル模型(左:既設トンネル 右:拡幅トンネル)

トンネル模型の寸法については図 5-2に示す.本実験で用いたトンネル模型は弾性係

数が

2802N/mm

2の硬質塩化ビニル管を用いており,奥行

100mm,直径は既設トンネル

では

60mm,拡幅トンネルでは 89mm

で,3/4 円に加工してある.また,トンネル模型

には図 5-3のようにひずみ計測箇所にそれぞれ角度を設定した.

(44)

(a)既設トンネル (b)拡幅トンネル 図 5-2 トンネル模型寸法

図 5-3 トンネル模型の角度

ひずみゲージには,東京測器「FLG-02-11-1LE」を使用しており,接着剤には「CN

ADHESIVE」を使用している.

図 5-4に使用したひずみゲージ,写真 5-5に使用した接

着剤を示す.

(45)

図 5-4 ひずみゲージ

写真 5-5 接着剤

(46)

本実験では,計測機器としてデータロガーを使用した.データロガーには,TDS-303

(東京測器研究所製)を用いた(写真 5-6参照)

写真 5-6 データロガー(TDS-303)

5.4

実験ケース

本実験では,掘削は以下に示す

2

通りの方法によるものとし,2ケースの掘削を各3 回ずつ行った.

(通常掘削)トンネル模型(直径

89mm)を実験槽中央に配置し,内空変位を与えるた

めのテフロンシートを引き抜くことで掘削を模擬する.(Case-1対象)

(拡幅掘削)始めに,トンネル模型(直径

60mm)を実験槽中央に配置し,内空変位を

与えるためのテフロンシートを引き抜くことで掘削を模擬する.次に,トンネル模型(直

89mm)を実験槽中央に押し込み,テフロンシートを引き抜くことで掘削を模擬する.

(Case-2対象)

土被りについては,全てのケースにおいて

3D(D:トンネル模型直径 89mm)で一定と

した.

トンネル掘削の模擬として内空変位を与える方法を採用した.本実験では,トンネル 外周部に設置したテフロンシートを引き抜くことにより内空変位を与え,掘削による地 山挙動を再現した.この内空変位は,NATMにおいて一般的にトンネル直径の

2~3%と

されている.そのため今回はその値を参考にした.トンネル模型(直径

89mm)には,

0.3mm

テフロンシート(写真 5-7)を

6

枚重ねたもの(合計内空変位:1.8mm トンネ

(47)

ル模型直径の約

2%)とトンネル模型(直径 60mm)には,0.3mm

テフロンシートを

4

枚重ねたもの(合計内空変位:1.2mm トンネル模型直径の約

2%)の 2

種類を実施し た.

以下の表 5-2に実験ケースをまとめる.

写真 5-7 使用したテフロンシート(厚さ 0.3mm)

表 5-2 実験ケース

(48)

5.5

実験方法

5.5.1 Case-1

以下に

Case-1

での実験方法を示す.また,図 5-5にフロー図を示す.

トンネル模型(直径

89mm)を実験槽の中央に配置し,内空変位を与えるためのテ

フロンシートをトンネル外周部に巻きつける.

データロガーの起動および設定を行った後に,

3D(実験槽底面部より 76mm)の高

さまでアルミ棒を敷設する(写真 5-8参照).

アルミ棒の敷設が完了したときの作用ひずみ(初期ひずみ)を計測する.

テフロンシートを

1

枚ずつ引き抜き,テフロンシート

1

枚の内空変位ごとに作用ひ ずみを計測する.なお,テフロンシートの引き抜きやすさを確保するために最外部

0.05mm

テフロンシート

1

枚を配置した.このテフロンシートについては放置し,

トンネル模型表面に残留させた.

全てのテフロンシートを引き抜くこと(最外部に

0.05mm

テフロンシート

1

枚放置)

で掘削終了とする(写真 5-9参照).

写真 5-8 実験の様子(方法②)

写真 5-9 実験の様子(方法⑤)

(49)

図 5-5 実験の流れ(Case-1)

5.5.2 Case-2

以下に,Case-2での実験方法を示す.また,図 5-6に掘削ステップ図,図 5-7にフロ ー図を示す.

トンネル模型(直径

60mm)を実験槽の中央に配置し,内空変位を与えるためのテ

フロンシートをトンネル外周部に巻きつける.

3D(実験槽底面部より 76mm)の高さまでアルミ棒を敷設する(写真 5-10

参照).

トンネル模型(直径

60mm)に巻きつけたテフロンシートを 1

枚ずつ引き抜いてい く.なお,テフロンシートの引き抜きやすさを確保するために最外部に

0.05mm

フロンシート

1

枚を配置した.このテフロンシートについては放置し,トンネル模 型表面に残留させた.

データロガーの起動および設定を行った後に,内空変位を与えるためのテフロンシ ートをトンネル外周部に巻きつけたトンネル模型(直径

89mm)を実験槽の中央部

分に押し込み設置する(写真 5-11参照)

トンネル模型(直径

89mm)の設置が完了した時の作用ひずみ(初期ひずみ)を計

測する.

トンネル模型(直径

89mm)に巻きつけたテフロンシートを 1

枚ずつ引き抜き,テ フロンシート 1 枚の内空変位ごとに作用ひずみを計測する.なお,テフロンシート の引き抜きやすさを確保するために最外部に

0.05mm

テフロンシート

1

枚を配置し た.このテフロンシートについては放置し,トンネル模型表面に残留させた.

全てのテフロンシートを引き抜くこと(最外部に

0.05mm

テフロンシート

1

枚放置)

で,掘削終了とする(写真 5-12参照).

(50)

写真 5-10 実験の様子(方法②)

写真 5-11 実験の様子(方法④)

写真 5-12 実験の様子(方法⑦)

(51)

図 5-6 Case-2 掘削ステップ

図 5-7 実験の流れ(Case-2)

(52)

また,Case-2においては,画像解析を用いたアルミ棒地山の変位測定を行った.図 5-8にマーカー配置図を示す.

図 5-8 マーカー配置図

図 5-8に示す点において,トンネル模型(直径

60mm)設置時点を基準点として,そ

の後のトンネル模型(直径

60mm)のテフロンシート引き抜き,トンネル模型(直径 89mm)

設置,テフロンシート引き抜きごとのアルミ棒の変位を測定した.

(53)

5.6

実験結果および考察

5.6.1 Case-1

ここでは,Case-1での二次元模型実験結果について述べる.Case-1

3

回実施した.

圧縮ひずみ分布の結果を図 5-9~図 5-11 に示す.なお,Case-1圧縮ひずみ分布①の

45°はひずみゲージの接触不良のため初期ひずみの値のみを示す.

図 5-9

Case-1

圧縮ひずみ分布①

図 5-10

Case-1

圧縮ひずみ分布②

(54)

図 5-11

Case-1

圧縮ひずみ分布③

図 5-9~図 5-11よりトンネル掘削ステップが進むにしたがって,トンネル模型に作 用する圧縮ひずみは初期ひずみより減少していることがわかる.圧縮ひずみが減少する 原因としては,図 5-12に示す支保工に作用する荷重(支保圧)とトンネル内空変位の 相互作用機構を示している地山特性曲線の理論より地山に変位が生じること(内空変位)

でトンネル壁面に作用する内圧が減少するからである5.今回の結果においても,トン ネル掘削により内空変位が増加することで地山自体が支保構造として機能し,地山荷重 を地山自身が負担したためにトンネルに作用する圧縮ひずみが減少したと考えられる.

図 5-12 地山特性曲線の概要

また,テフロンシート引き抜きごとの圧縮ひずみの推移の結果を図 5-13~図 5-15 示す.

変位 初期 圧

の 合の 変位 値

作用 圧

作用 圧

(55)

図 5-13

Case-1

圧縮ひずみ推移①

図 5-14

Case-1

圧縮ひずみ推移②

(56)

図 5-15

Case-1

圧縮ひずみ推移③

図 5-13~図 5-15より,ある程度内空変位を与えると圧縮ひずみの減少が緩やかにな っていることが分かる.図 5-16 に示す支保工と地山の相互作用の図より,トンネルの 安定は地山特性曲線と支保工の特性曲線が交わった点で得られることが示されている

6.今回の結果においても,ある程度内空変位を与えた段階で支保圧が収束する点があ り,そこから内空変位を与えても圧縮ひずみが変化しなかったと考えられる.

図 5-16 工と地山の相互作用

(57)

5.6.2 Case-2

ここでは,

Case-2

での二次元模型実験結果について述べる.

Case-2

Case-1

と同様に 3回実施した.

圧縮ひずみ分布の結果を図 5-17~図 5-19に示す.

図 5-17

Case-2

圧縮ひずみ分布①

図 5-18

Case-2

圧縮ひずみ分布②

(58)

図 5-19

Case-2

圧縮ひずみ分布③

図 5-17と図 5-19より,天端部においてはトンネル掘削の進行に伴い圧縮ひずみが増 加している.これは,本実験では重力場で実施したため内空変位がある程度の大きさに なると重力場が卓越し,内空変位に偏りが発生することで局所的な応力集中が生じたこ とが原因として考えられる.

また,テフロンシート引き抜きごとの圧縮ひずみの推移を図 5-20~図 5-22に示す.

図 5-20

Case-2

圧縮ひずみ推移①

(59)

図 5-21

Case-2

圧縮ひずみ推移②

図 5-22

Case-2

圧縮ひずみ推移③

図 5-20~図 5-22より,Case-1において起こっていた内空変位を与えることによる圧 縮ひずみの減少が起こっておらず,ひずみが平坦になっていることが分かる.これは,

トンネル模型(直径

60mm)の掘削模擬と,トンネル模型(直径 89mm)を押し入れた

ことによって圧縮ひずみの減少が起こり,トンネル模型(直径

89mm)の掘削の段階で

はそれ以上の減少がなかったと考えられる.また,Case-1

Case-2

の内空変位

1.8mm

の時点の圧縮ひずみには明確な差異はなかった.

(60)

つまり,既設トンネルの掘削によるゆるみ領域の発生によって,拡幅トンネルの支保 構造に働く応力は減少されるが,その減少される値は,その断面積の新設トンネルの掘 削により減少される支保構造に働く応力の値と大きな差はないと考えられる.

また,Case-2におけるアルミ棒変位の結果を図 5-23に示す.

図 5-23

Case-2

アルミ棒変位

(61)

図 5-23より,トンネル模型(直径

60mm)に内空変位 1.2mm

を与えた際に,0.6mm 程度のアルミ棒の変位がみられる.このことから,内空変位を与えることでアルミ棒が トンネル中心方向に移動し,実際のトンネルの掘削挙動を再現できていることが確認で きた.

また,トンネル模型(直径

89mm)設置時にはトンネル模型(直径 60mm)を掘削し

た後,およそ

1.5mm

程度のアルミ棒の変位がみられる.このアルミ棒の変位から,ト ンネル模型(直径

89mm)を押し込み設置することによって,掘削挙動の模擬がされて

いると考えられる.

トンネル模型(直径

89mm)掘削時には,トンネル模型を設置した後,およそ 1.5mm

程度のアルミ棒の変位がみられる.これは,トンネル模型(直径

60mm)の掘削時と同

様に,掘削挙動が再現できていることが確認できた.

トンネル模型(直径

89mm)設置時点のアルミ棒変位が 1.2mm

以上の範囲を表した図 を図 5-24に示す.

図 5-24 トンネル模型(直径

89mm)設置時アルミ棒変位

図 5-24の赤線の内側の範囲は,トンネル模型(直径

60mm)の内空変位として与え

1.2mm

以上の変位を起こしている.

(62)

よって,トンネル模型(直径

89mm)掘削時には,トンネル模型周辺には図 5-24

赤線の内側の範囲にゆるみ領域のようなものが形成されていると考えられる.

したがって,既設トンネルのゆるみ領域内で拡幅掘削を行うと判断できる場合の支保 の規模は,同じ断面の新設トンネルを掘削する場合に適用される標準支保パターンを使 用すれば構造上の問題は少ないことが明らかになり,この結果は第

3

章の検討結果とも 整合することが分かった.

(63)

第 6 章

結論

(64)

第6章 結論

本研究では,既設トンネルを拡幅する際に必要となる支保構造の考え方を明確化するこ とを目標とし,模型実験を通じて,拡幅掘削時におけるトンネル構造や地山の基本的な挙 動を把握することで,拡幅トンネルの支保の設計の考え方を提案した.

以下に本研究の結論をまとめた.

a) 二次元載荷装置を用いた実験から,塑性領域が存在しないような条件下では,拡幅ト ンネルの支保構造は,その掘削後の断面積を有する新設トンネルに適用される標準支 保パターンを使用すれば構造上の問題は少ないと考えられることが明らかになった.

言い換えれば,このような条件下では,既設トンネルが存在することによる拡幅トン ネルに施工する支保を軽減させられる効果は乏しいことが明らかになった.

b) アルミ棒地山を用いた二次元模型実験から,テフロンシートの引き抜きにより内空変 位を与えることで,地山材料として用いたアルミ棒地山がトンネル中心方向に変位し,

掘削の再現が可能であることが確認できた.

c) その際の支保工にかかる応力の値の推移も再現が可能であることが確認できた.

d) 通常掘削と拡幅掘削では,掘削による支保構造にかかる応力の推移には差異があるこ とが分かった.

e) しかし,通常掘削と拡幅掘削の最終的な支保構造に働く応力の値に大きな差はないこ とが分かった.

f) 既設トンネルのゆるみ領域内で拡幅掘削を行うと判断できる場合の支保の規模は,同 じ断面の新設トンネルを掘削する場合に適用される標準支保パターンを使用すれば構 造上の問題は少ないことが明らかになり,この結果は二次元載荷装置を用いた実験の 検討結果とも整合することが分かった.

(65)

以下に,今後の課題について示す.

a) アルミ棒地山を用いた実験における拡幅掘削の再現の整合性に関しては検討する 必要がある.

b) 著しく塑性化した領域を掘削する場合の影響を把握する必要がある.

c) 先行掘削にともなう

3

次元的な効果による影響を把握する必要がある.

表 2-1  計測トンネル一覧 1)    以下,各トンネルの施工事例を具体的に示す.  ・A トンネル  A トンネルは, 1973 年に在来工法によって施工されたトンネルであり,坑口部 170m 区 間を現在の 2 車線から 3 車線に断面を拡幅するものである. トンネル周辺の地質は, 砂岩, 頁岩,凝灰岩の互層からなる.坑口 150m 付近のボーリングコアによる地山の圧縮強度は 約 16~30N/mm 2 が得られている.なお,拡幅トンネルの支保構造は,新設トンネルの 3 車線断面に適用される標準支保
図 3-1  載荷装置概要図  図 3-2  アッパーヘッド枠拡大図  表 3-1 に示す試験練り結果から 0.7N/mm 2 の貧配合モルタルで地山を作成する.  実験装置内の1210mm×1210mm×300mm の空間に載荷装置内の深さ150mm までモルタルを 充填し,その後,図 3-3 に示すように放射状(45°間隔)の4側線上に,埋め込み型ひずみ 計を設置した後,残りのモルタルを充填し,強度発現に必要な養生期間を確保して模擬地 山を作成する.
図 3-3  センサ設置位置図
表 3-3  チャンネル対応表  No. Ch 測点 センサー センサ 係数 単位 表示 符号 記号 モード 桁 1 001 D-01s 載荷変位(制御用) 載荷点:北面西 電圧(CDP-100) 64V 10 mm 2 圧縮作用:+ 50mm/5V 2 002 D-02s 〃 載荷点:北面中央  〃 〃 〃 mm 〃 〃 〃 3 003 D-03s 〃 載荷点:北面東  〃 〃 〃 mm 〃 〃 〃 4 004 L-01 載荷荷重 載荷点:北面西 電圧(荷重計) 64V 58.84 kN 1 圧縮:+ 2
+7

参照

関連したドキュメント

The behavior of cutting heat heat into chip, work and tool in high speed cutting has been investigated applying theory and experiment methods in the present study.. The heat

c加振振動数を変化させた実験 地震動の振動数の変化が,ろ過水濁度上昇に与え る影響を明らかにするため,入力加速度 150gal,継 続時間

This paper reports on the behavior of a cured-in-place pipe (CIPP) around joints of the host pipe in en- forced bending displacement that could occur in ground deformation., as a

Mapping Satoshi KITAYAMA and Hiroshi YAMAKAWA Waseda University,Dept.of Mech.Eng.,59‑314,3‑4‑1,Ohkubo,Shinjuku‑ku Tokyo,169‑8555 Japan This paper presents a method to determine

 哺乳類のヘモグロビンはアロステリック蛋白質の典

 我が国における肝硬変の原因としては,C型 やB型といった肝炎ウイルスによるものが最も 多い(図

ある架空のまちに見たてた地図があります。この地図には 10 ㎝角で区画があります。20

原子炉水位変化について,原子炉圧力容器内挙動をより精緻に評価可能な SAFER コ ードと比較を行った。CCFL