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原 著 :秋田大学医短紀要
7 :6 3‑6 7,1 9 9 9.
六輪歩行車の開発 と適応
TheDe ve l o pme nta ndAda pt a t i ono fSi x‑ Whe e l e dWa l ke r
金 城 正 治*
Ma s a j i KI NJ YO *
Ⅰ. はじめに
歩行車 は,歩行が不安定で,杖歩行が困難 な 障害者や高齢者 に利用 されいる。その歩行車 は, 病院や施設ではよく利用 されているが,在宅で はあ まり利用 されてない。 これは,廊下 などの 幅が狭い ・段差があるなどにより,通行や方向 転換 などが しに くいの も原因の一つ としてあげ
られる。
そ こで,今 回廊下 などに段差 はないが廊下幅 の狭 い家屋で,高齢障害者でつか ま り歩行が可 能なケースに対 して,歩行車 を使 った歩行がで きるように,一般の歩行車 よりも大 きさを小 さ くし, また,車輪 を六輪 に した歩行車 を試作 開 発 した。そ してケースに導入 した結果,有効 に 使用で きたのでケース も紹介 しなが ら報告す る。
Ⅱ.
六輪歩行車の概要 と製作1 概 要
一般的な歩行車 は,図
1
の左 に示 した星光医療器製作所のアル コ‑歩行補助器の ように,辛 輪 に自在輪 または固定輪の
4
つ車輪が使 われて いた。構造的に自在輪の場合 には,小 回 り性 は 良いが直進性が劣 る。逆 に,固定輪の場合 には 直進性が良 く,旋 回時には支点 とな り旋 回操作 が良 くなる。 しか し,横移動が制限 される。 ま た,旋回において前後の車輪の長 さが短 ければ, 旋回半径 も小 さ くなるが,安定性が低下 して く る。そこで, この自在輪 ・固定輪の長所 と旋回半 径 を小 さ くで きる ように,車輪 を六輪 に した歩 行車 を試作 した。 この六車輪の機構 は,車椅子 や電動車椅子では,実用化 され市販 もされてい
た
1) 2) 3)02
六輸歩行車の構造 と製作開発 した六輪歩行車の基本モデルは,図 1の 右 に示す ように,一般の歩行車 よりも幅 を
5 c m
程度小 さ くし,車輪 を六輪 としたのが特徴 で あった。骨組みにはイレクタ‑ (矢崎化工株製秋田大学医療技術短期大学
*作業療法学科
Ke yWo r d s:
福祉用具,歩行器,高齢者( 74)
六輪歩行車の開発と適応図
1
四輪歩行車 (左) と六輪歩行車 (右)の鉄パ イプをコ‑テ ングした部材) を利用 した。
車輪 は,前後が直径1
0c m
の 自在輪,中間は直径7c m
の固定給 を使用 した。 また,坐位 もとれる ようにシー ト部 も取 り付 けた。 シー トは荷物運 びの台 として も利用で きるようにした。坐位の 時には,上部の握 り部 も取 り外せ るように した。3
六輪歩行串の性能比較この六輪歩行車の性能は,車輪 を六輪 に した ことによ り,中間の固定輪 を中心 に して旋回で き
, 4
輪の歩行車 よりも操作が しやす くなった。最大の旋回半径 は図
2
に示す ように,アルコ‑歩行補助券では,前輪 と後輪の対角線 に相当 し, 六輪歩行車の場合 には,中間の車輪 を中心 に旋 回するので,旋回半径 も中間輪 と前輪の対角線 の長 さとな り小 さくてすむことが分かった。 ま た,歩行車の前後や幅の大 きさも小 さくしたの で, これによって更 に旋回半径が小 さくなった。
よって,通行幅や空間が狭 くて も対応が可能 と なった。
なお,中間の車輪が固定給でな く, 自在輪 を
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図 2
最大旋回半径の比較 点線 :四輪歩行車 実践 :六輪歩行車輪輸前中
( cr T l )
金 城 正 治
取 り付 けると直進性や,旋回の操作性 の性能は 低下す るが,小回 りや横移動 も可能 となる特性 があった。
Ⅲ ケースの利用事例 1 ケースA
ケース
A
は, 77
歳の女性で,診断名は腰痛 と パーキ ンソン病であった。軽度痴呆症状 も見 ら れた。歩行 は,体幹が約6 0
度前屈 し,前方か ら 介護者 の両手 をつかまっての小刻み歩行であっ た。立位や椅子か らの立 ち上が りは,つかまっ て可能であったが,立位バ ランスの能力 は少 し 低下 していた。家屋 は廊下 ・部屋入 口な どに段差 はないが, 廊下幅が狭 く,最 も狭 い箇所 は
5 9 c m
であった。また,直角に曲がる箇所 もあった。廊下 には退 院後部分的に手す りをつけてあったが利用 して いなか った。
そ こで,屋内歩行や坐位保持,身体機能維持 の為 の歩行訓練,介護者の介護負担軽減 を目的
として, この歩行車の導入 を検討 した。
導入 した六輪歩行車の大 きさは,図
3
(歩行 場面) に示 す ように,前後長 を5 5 c m
,横 幅 を4 8 c m
,上部の握 り部 までの高 さを体幹前屈 も考図3 ケースAの歩行場面
( 75)
慮 して
6 5 c m
,座面の高 さは3 8 c m
とした。特 に坐 位での使用 も考慮 して,横移動 も出来るように, 中間の車輪 は固定輪でな く自在 とした。導入の結果,図
3
に示す ように狭い幅の廊下 での移動や室内での小回 りが可能 となった。体 調が悪い場合は,図4
に示す ように坐位で両足 駆動 にて移動 していた。 この足駆動での操作性 も良好であった。居間ではいす として も利用 し ていた。介護者 も歩行での介助が見守 りとなっ た。そ して,ケース自身 も自分で動 けることに より,食事や トイレでの移動や休憩での居間や 寝室への移動がで き,生活活動の広が りも出てきた。
2
ケースB
ケース
B
は,8 5
歳の女性で,診断名 は脳梗塞 で右片 まひであ った。既往歴 と して糖尿病 も あった。ブル ンス トロームステージは上下肢 と もにVで,四肢の筋力 も低下 していた。歩行 は 杖歩行であったが,転倒 して腰 を打撲 し,杖歩 行が困難 となっていた。現在 は介護者 (娘)の 手 を借 りて移動 していた。立位バ ランス能力 も 軽度低下 し,下肢 に軽度の固縮,体幹の軽度前 屈 もあった。家屋 は,寝室や居間にはカーペ ッ トが敷いて
図4 ケースAの坐位位置
( 7 6 )
六輪歩行車の開発と適応 あ り, 5 mm
程度の段差があったが,廊下や部屋入 口に大 きな段差はなかった。 しか し, トイ レや洗面所 までの廊下幅が
6 3c m
と狭 く,直角 に 曲が った箇所 もあった。そ こで,室内移動や歩行 による適度な運動, 介護者の介護負抵軽減 を目的に, この歩行車の 導入 を検討 した。
導入 した六輪歩行車の大 きさは,図
5
(歩行 場面) に示す ように前後長 を6 0c m
,横幅 を5 8c m
, 上部の握 り部 までの高 さを90c m
とした。座面の 高 さは立上が り易い ように5 0C
汀Ⅰとした。結果 として, この歩行車 を図
5
に示す ように 各部屋間の移動, トイレや洗面所 などへの移動, 身体機能維持のための歩行訓練や,図6
に示す ように訓練途中での休息のためのいす として利 用 していた。 これによ り,介護者 につかまらな くて も移動が可能 とな り, 自分で体 を動かす こ とが多 くなった。図
5
ケースB
の歩行場面Ⅳ 考 察
最近の住宅はバ リヤフリー仕様が多 くな り, 段差 はな くなって きたが,廊下幅や空間は敷地 の狭 さとも関連 して,あま り大 きくとれてない の もある。今 回の両ケース もこの ような家屋構 造であ り,廊下や部屋入口に大 きな段差 はなっ かたが,通路 幅が狭 く,直角 に曲が る箇所 も あった。 よって,一般の
4
輪歩行車では大 きく, 利用 で きなか った。市川4)窪 田
5)らも,在宅 で歩行車 を利用す る場合,敷居や段差の解消, 回転スペースが必要であることを指摘 している。ケースによっては,台所用 ワゴン車 を利用 し ている場合 もあるが,安全性 に欠けるところ も ある。今 回製作導入 した六輪歩行車 は,廊下幅 や体格 に合わせて,大 きさを小 さ くしたので通 行幅や旋 回半径 も小 さ くて済 むことがで きた。
旋回で も中間の車輪 を中心 に して回ることがで きたので操作が しやす くなっていた。
ケース
A
の場合 は,体幹が前屈 した (腰が曲図