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Surveillance study on singing activity that makes the best use of regional teaching material in elementary school music department: Mainly Ujo Noguchi

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Academic year: 2021

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(1)

小学校における地域教材を生かした歌唱活動の調査研究

―― 野口雨情を中心に ――

三次摂子

*

・藤田文子

**

(2010 年 11 月 30 日受理)

Surveillance study on singing activity that makes the best use of regional teaching material in elementary school music department:

Mainly Ujo Noguchi

Setsuko M ITSUGI * and Ayako F UJITA **

(Received November 30, 2010)

はじめに

 平成 20 年に告示された新学習指導要領における音楽科の改善点の一つとして「国際社会に生き る日本人としての自覚の育成が求められる中,我が国や郷土の伝統音楽に対する理解を基盤として,

我が国の音楽文化に愛着をもつとともに他国の音楽文化を尊重する態度等を養う観点から,学校や 学年の段階に応じ,我が国や郷土の伝統音楽の指導が一層充実して行われるようにする。」1)という ことがあげられている。

 また,音楽科の内容の一つである「A 表現」が,「歌唱」「器楽」「音楽づくり」の三つに分け 示され,その部分には全学年を通じて「思いや意図をもって」という文言が入ることで,「A 表現」

で指導する事項としては「主体的・創造的に音楽にかかわることの大切さ」が一貫して強調されて いると坪能は述べている2)

また,指導計画作成上の配慮事項として「(5)第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に 示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す 内容について,音楽科の特質に応じて適切な指導をすること。」3)があげられ,それについて音楽科 の目標と関連させて,「音楽を愛好する心情や音楽に対する感性は,美しいものを尊重する心につ ながるものである。また,音楽による豊かな情操は,道徳性の基盤を養うものである。」4)としてい る。そして,「音楽の共通教材は,我が国の伝統や文化,自然や四季の美しさや,夢や希望を持っ

茨城大学大学院教育学研究科(〒

310-8512

水戸市文京

2-1-1; Graduate School of Education, Ibaraki University, Mito 310-8512 Japan)

茨城大学教育学部音楽教育研究室(〒

310-8512 水戸市文京 2-1-1; Laboratory of Education, College of Education, Ibaraki University, Mito 310-8512 Japan)

*

**

(2)

て生きることの大切さなどを含んでおり,道徳的心情の育成に資するものである。」5)ということに より,音楽科と道徳とが関連し合い相互に作用しながら効果をあげていくという方向性を明確に示 しているといってよい。

 坪能のいうところの「主体的・創造的に音楽に関わることの大切さ」は音楽科の教育活動全般に おいて最も重要視するべきものの一つであると筆者は思っている。このことを常に念頭に置き,教 材も精選していきたいものである。

 そして,それに関連するキーワードとして「我が国の郷土の伝統音楽」,「道徳的心情の育成との 関連」,「主体的・創造的に音楽に関わること」を考えたとき,筆者の脳裏に浮かんだのが茨城県に なじみの深い作詞家野口雨情である。残念ながら,現在音楽科の共通教材として野口雨情の作品は 取り上げられていない。だが,前述のキーワードを満たし,茨城県の郷土性を兼ね備えた教材とし て野口の作品は優れたものであるとはいえないだろうか。

 そこでここでは,野口の作品が茨城県の教育現場においてどのように取り扱われているかをアン ケート調査により現状を把握し,野口雨情の作品の教材化の有効性を考察していくことにする。

研究方法

 アンケート調査は①教師対象のものと,②児童対象のものと,2種類行った。

○アンケート① 教師対象のもの 1 調査数   

  調査数は,茨城県内の小中学校から無作為に抽出した 80 校である。

2 調査対象  

  調査対象は音楽科の授業を担当している教師である。

3 調査内容  

  調査内容は野口雨情に関する9項目について5件法あるいは自由記述での回答するものとした。

  項目を分類すると以下の2つとなる。

 ・① -1, ① -2, ① -3, ① -4

   野口雨情に関する知識(名前,出身地,職業,主な作品)について  ・① -5, ① -6, ① -7, ① -8, ① -9

   野口雨情の作品の授業実践について(音楽科における実践,音楽科と道徳とを関連させた実    践,実践することについての重要性の認識,今後の実践予定)

4 調査方法と調査時期  

  調査法は郵送による5件法あるいは自由記述で回答する質問紙調査法である。調査時期は   2010 年7月 24 日~ 2010 年8月 10 日で,53 件の回答が得られた(アンケート回収率 66.3%)。

○アンケート② 児童対象のもの 1 調査対象

  調査数は筆者の勤務校である取手市立永山小学校4~6年生児童 206 名(4年生 61 名,5  年生 80 名,6年生 65 名)である。

(3)

2 調査内容

  調査内容は,野口雨情に関する6項目について,複数選択あるいは自由記述で回答するものと  した。項目を分類すると以下の3つとなる。

  ・② -1, ② -2, ② -3, ② -4  野口雨情に関する知識(名前,出身地,職業,主な作品)

  ・② -5    野口雨情の作品の歌唱経験

  ・② -6    主な野口雨情の作品を聴いた時の感想 3 調査方法と調査時期

  調査方法は質問紙調査法で,2010 年7月 12 日~ 2010 年7月 16 日の間に,クラス担任の教師  が実施した。

結果と考察

○アンケート①について(教師対象のアンケート)

    

図1①―1 野口雨情を知っていますか   図2 ①―2 野口雨情の出身地を知っていますか

図3 ①―3野口雨情の職業を知っていますか

(4)

 野口雨情の名前,及び出身地についてはよく知られていることがわかる。茨城県北茨城市という 回答が 28 人,茨城県北茨城市磯原という回答が5人あった。野口雨情の職業については「よく知っ ている」と「だいたい知っている」を合わせて 51%であり,詩人,童謡作家の他に新聞記者,公 職という回答が2通みられた。つまり,野口雨情についての知名度は高いが,それ以上の情報はあ まり得られていない傾向にあることがわかる。

 ① -4 の野口雨情の作品についての知識を問う設問だが,「青い目の人形」「雨降りお月さん」「しゃ ぼん玉」「俵はごろごろ」「七つの子」「証城寺の狸囃子」の童謡は比較的よく知られていることが わかる。特に「しゃぼん玉」「七つの子」は「よく知っている」「だいたい知っている」を合わせて ほぼ 100%である。同じく童謡で,大阪にある信田山の白狐が美女となって人間と愛しあって陰陽 師 安部清明を生んだという伝説を基に作られたという6)「信田の藪」については,ほとんど知ら れていない。筆者も知らなかった。また,昭和初期の流行歌である「波浮の港」はテレビで時折放 送されることもあり「よく知っている」「だいたい知っている」を合わせたものが 24 名,それに対 して創作民謡または新民謡といわれる「磯原節」については「あまり知らない」と「全く知らない」

を合わせたものが 38 名であった(下図)。

図4 ①―4 次の雨情の作品をどの程度知っていますか

(5)

 次に① -5 音楽の授業で取り上げたことがあるか,という設問では「しゃぼん玉」は 42 名,「七 つの子」は 38 名が取り上げていると回答している。「青い目のお人形」「雨降りお月さん」「俵はご ろごろ」「証城寺の狸囃子」「磯原節」については少数ではあるが「取り上げている」という回答が あった(以下図)。これらの曲はすべて,教科書に掲載されているものではない。いわゆるポケッ ト歌集等にもすべてが掲載されているわけではない。その中で,音楽の授業にどのような意図を持っ て,どのように取り入れていったかということは今後,焦点を当てていきたいところである。

図5 ①―5 音楽の授業で取り上げたことがありますか

 ① -6 道徳と音楽を関連づけた授業実践をしたことがあるかという設問には,24%が「ある」と 回答している。次に自由記述でかかれた授業実践の内容を以下に記述する。

<授業実践の内容>

・道徳「走れメロス」と音楽劇「走れメロス」が共通の話だった。特に道徳で関連づけたわけではない。

・曲が作られた背景(作曲者・作詞者等の生きた時代や考え方,意図する内容等)について触れ ながら,曲想や演奏について考えた。

・クラスの中で育む人間関係(自分の学級において)

・「輝く茨城の先人たち」の教材を使って道徳を行い,野口雨情,西条八十,坂本九等を取り上げた。彼 らの作品を聴かせたり,詩を朗読したりして授業を進めた。

・宮城道雄やベートーヴェンの資料をもとに,人の可能性や強い意志について学ぶ授業を計画した。

・オペレッタ「たなばた」で「友情」をテーマに演奏した。3年生で3つのグループに分け(1グルー プ 10 人ぐらい)台本をもとに,せりふ,歌,合奏を入れたもので発表した。

・「しゃぼん玉」で命の大切さ,はかなさなどで取り上げ,野口雨情の人生についても少しふれた。

(人)

(6)

・道徳の価値に迫る手立てとして,歌曲の歌詞の内容考えさせた,等々

・盲目のピアニストが夢に向かって生きていく内容を取り上げ,困難に負けず目標に向かって努 力する大切さを学習させた。

・合唱曲の歌詞の内容を用いた授業。「決意」では生き方を考えさせた。「聞こえる」では環境か ら様々なことを考えさせた。「信じる」では思いやりの心や戦争や紛争の事実から,人間のある べき姿を考えた。

・共通教材を中心に,歌詞の内容をもとに。

・盲目のピアニストの演奏CDをきき,資料を通して話し合う。どんな気持ちだったか話し合う。(目 が見えなくなったとき,ピアノコンクールで入賞したとき)説話を聞く(辻井伸行さんの話)

・道徳ではないが,しゃぼん玉の歌詞に込められた意味について児童に話したことがある。

 以上が① -6 について回答された内容をそのまま記述したものである。

 音楽と道徳を関連づけた授業実践ということで,少数ではあるが前述の「音楽の共通教材は,我 が国の伝統や文化,自然や四季の美しさや,夢や希望を持って生きることの大切さなどを含んでお り,道徳的心情の育成に資するものである。」5)ということをふまえた実践例の回答があった。

 ① -7 郷土の音楽の教材として野口雨情を取り上げることは重要だと思うか,という設問には 49 名が肯定的回答をしているが,① -8 今後,野口雨情を授業で取り上げる計画はあるかという設問 ではそれが21名に減り,① -9 今後,野口雨情を道徳の授業で取り上げる計画はあるかという設 問に対してはさらに7名に減っている(図6)。

図6

(人)

(7)

○アンケート②について(児童対象のアンケート)

図7 ②―1 野口雨情を知っていますか

図8 ②―2 野口雨情が何県の人か知っていますか

図9 ②-3 野口雨情の職業は何か知っていますか

(人)

(人)

(人)

(8)

 ② -1, ② -2, ② -3, ② -4 の設問は教師対象のアンケートと同じ,野口雨情についての知識に関する 項目である。5年生児童の回答が他学年より抜きんでている。これは,この学年の児童が4年生の 時に社会科の学習で郷土になじみの深い人物として野口雨情にふれたためと考えられる。6年生児 童も4年生時に同様に学習しているはずであるが,時間を経ているため多くの児童が忘れてしまっ たものと考えられる。

図 10 ②―4 次の野口雨情の作品のうち知っているものを選んでください

図 11 ②―5 歌ったことのある曲を選んでください

 ② -4 の,次の野口雨情の作品のうち知っているものを選ぶという設問,② -5 の,歌ったことの ある曲を選ぶ設問では,どちらも「しゃぼん玉」が一番多く,「七つの子」がそれに続いている。

音楽科の教科書に位置づけられてないのだから,歌ったとすると就学前の保育園あるいは幼稚園で のこととなろう。

 ② -6 の,次の曲を聴いて,どのような気持ちになったか(しゃぼん玉,七つの子,青い目の人形,

十五夜お月さん,など)という設問の自由記述での回答を<自分の感情><想像したこと><郷愁 的な心情><その他>の4つのカテゴリーに分け,以下に記述する。

(人)

(人)

(9)

<自分の感情>

・悲しい気持ち ( 2名 )  ・楽しくなる,うきうきする,わくわくする(24 名)

・いい気持ちになる(3名)  ・優しい気持ち(7名)

・おだやかになる,温かい気持ち,落ち着く,ゆったりする,安心する(14 名)

・明るい気持ち(2名) ・優雅な気持ち  ・おもしろい ・うっとりなめらかな気持ち

・むずかしい  ・こわい  ・なるほどと思う  ・ねむくなりそう

<想像したこと>

・しゃぼん玉が本当に浮いているみたい  ・しゃぼん玉をきくと空に行った気持ち(2名)

・「屋根まで飛んでこわれて消えた」という歌詞が屋根までふっとんでこわれて消えちゃうのかと 思った(3名)

・広い世界でしゃぼん玉を人に例えると新しい世界に旅立っていく感じがする

・自分が浮かんでいる感じ ( 2名 )  ・しゃぼん玉はおもしろい歌

<郷愁的な心情>

・小さい頃を思い出したくなるような気持ちになった ( 3名 )

・自然を感じる  ・しゃぼん玉が消えたときのむなしさ  ・いろいろなことを思い出す

<その他>

・しゃぼん玉をしたくなる  ・よく聴く曲

 以上が② -6 について回答された内容をそのまま記述したものである。

 <自分の感情><郷愁的な心情>については,野口雨情の作品が児童の心情に柔らかく作用し,

児童の穏やかでほのぼのとした感情を揺り起こしていることがうかがえる。

 <想像したこと>では児童がそれぞれ自由に思いを想像の世界に遊ばせ,リラックスして曲の世 界にひたっていることがうかがえる。「屋根まで飛んで」という歌詞を屋根がこわれて吹き飛んで しまうということに結びつけているのは,子どもの想像力の豊かさ,奔放さによるものであろう。

大人には考えもつかないことである。また,素直にしゃぼん玉に自分が同化し,空に飛んでいくと いうのも,純粋でいかにも子どもらしい発想である。

 <郷愁的な心情>では,自然に今よりもっと幼かった頃のことに思いを寄せ,穏やかになったり,

現在の自分との違いを感じてもの悲しくなったりする児童の様子が容易に想像される。

金田啓子による野口雨情の教育観および童謡についての考え

 金田啓子が「野口雨情の童謡論における<教育>の検討-『童謡と児童の教育』を中心に-」の 中で,雨情は「子供の心を子供のままに発露させる」こと,「子供をして大空に無心のまま叫ぶよ うに叫ばしめる」ことを童謡の特徴としていると述べている7)ように,上記のような児童の感想を

(10)

みてみると,現代においても変わらず野口雨情の童謡は,子ども達の心情にそのように作用してい るといえる。

 また金田は,雨情が当時の「理智・物質教育の欠陥の目立つ修身教育では,童謡教育による情操・

人格的・精神的教育が必要であるが,理智・物質教育の方法を続行しなければいけない学科も存在 し,それ学ぶ児童にとっては童謡を与えられることによって心がやわらげられると考えていると捉 え得るのではないだろうか」8),「雨情の考えでは理智・物質教育が自然に反するものであり,童謡,

つまり歌うというその自然な行動がストレスをやわらげるとされている」9), としているように現代 においても童謡はそのような効果を有しているといえる。

 金田は雨情の考える真の教育は,情操教育・人格的教育・精神的教育であるとし,以下のように まとめている。

 「素直な良い感情がもともと子どもの中にあると捉え,それを引き出す形で導くのが童謡であり,

それを実現したものが情操教育・人格的教育・精神的教育である。・・(後略)」10)

 確かに,本アンケート調査の結果によれば,童謡を聴いたり歌ったりすることで自然に子どもの 中の素直な良い感情が引き出されているし,作詞者の意図とは大きくかけ離れた勘違いをしつつも

(「屋根まで飛んで」をしゃぼん玉が屋根まで飛んだのではなく,屋根自体が吹き飛んで家が壊れて しまったというような「しゃぼん玉」についての解釈の間違い)その曲の良さを,違った意味合い ではあれ,味わうことができるといった伸縮自在な特性を童謡はもっているといえる。その特性ゆ えに,大人から子どもまでそれぞれの人生観を反映させた味わいかたが可能となる豊かなキャパシ ティを有しているのである。

 また,「日本は近い将来『棲みいい国,暮らしやすい国』にならなければなりません。童謡教育 の力によってこはばつた児童の心はやはらげられ,健全なる国民の涵養と共に愛郷の強い精神を培 うことができるのであります。」11)と雨情は述べ,「童謡とは郷土童謡であり童心を通してみた故郷 の謡であり土の自然詩である。」12)としている。雨情は郷土の土の上に立ち,民衆に視点をおいて 童謡を創作したのである , と金田は述べている13)

地域教材としての野口雨情の作品

 茨城県に生まれ,農村の自然と人情を民謡に歌い始めた民謡詩人野口雨情であるが,大正7~8 年から童謡をつくり出している。当時の童心とあまりにかけ離れた唱歌の歌詞に対する批判から始 まった童謡運動において,雨情は童心を流れ出るままに歌う童心芸術としての童謡を強く主張した と矢沢はいう14)

 知識基盤社会,大量消費社会といわれる現代において急速に変化してきた生活様式や自然環境の 中で,わたしたちはそれによって得た物質的な豊かさ,便利さとはひきかえに,従来当たり前であっ たはずの,人間が人間らしく生きていく楽しみや心の安らぎを与えてくれていた美しい自然を失い つつある。その中で,日常に埋没して忘れかけている心の柔らかい部分に働きかけ,時代や年齢を 分かたず心に安らぎやあたたかい思いを揺り起こす力を童謡は持っていると筆者は思う。

(11)

 雨情の童謡は茨城県人にかぎらず,日本人であれば何かしらその良さを味わうことのできるもの であろう。しかし,わたしたち茨城県人は童謡に込められた雨情の茨城の郷土や民衆への思いを,

茨城県人ならではの感覚で共感的に感じている部分もあるのではないかと思うのである。茨城とい う郷土が育んだ抒情,すなわち雨情が表現しようとしたものの中には,茨城県に住むもののみが感 じることのできるものがあるはずであると筆者は思いたい。地域教材として雨情の童謡を歌唱活動 に取り入れていくことで,子ども達が自分たちを育んできた郷土のやさしさやあたたかさ,美しさ 等を自然に心の中に育むための一端を担うことができると,筆者は考えるのである。

おわりに

 本稿では,野口雨情の作品の取り扱いについての茨城県の教育現場における現状をアンケート調 査により把握し,野口雨情の作品の教材化の有効性を考察してきた。

 アンケートの結果によれば,大部分の教師が,雨情の作品を郷土の音楽として取り上げることが 重要であると回答しているにもかかわらず,実践の計画まで至っている教師となると大きく減って しまうことがわかった。それには雨情の作品が教科書に掲載されていないことがまず,実践計画 に至らない理由の一つになると思うが,茨城県教育研究会音楽教育研究部の編集による合唱曲集15) には,雨情の作品が多く掲載されている。そちらの使用例としては,筆者が参加した平成 18 年度 第 48 回関東音楽教育研究会茨城大会や平成 20 年度第 30 回県南ブロック音楽教育研究大会にてす ばらしい研究演奏が披露され,参加した多くの教職員がそれを耳にしている。

 郷土の音楽というと上記のように大きなイベントのために特別に企画するという傾向がある。イ ベントのために力を入れて完成度の高い演奏を目指すのもすばらしいことである。しかし通常の教 育活動の一環にこそ雨情の作品が多く取り上げられ,日常的に児童がそれらを口ずさみ,心を潤す ような授業実践のあり方を筆者は望むものである。今後は,「道徳的心情の育成との関連」,「主体的・

創造的に音楽に関わること」等を念頭に,より具体的な実践のあり方を考案していくのが課題であ る。

(12)

1) 文部科学省.2008.『小学校学習指導要領解説 音楽編』(教育芸術社).3.

2) 佐藤日呂志・坪能由紀子 .2009.『小学校 新学習指導要領の展開』(明治図書).14.

3) 1) 前掲書 .69.

4) 1) 前掲書 .70.

5) 1) 前掲書 .70.

6) 山本良久の音楽(歌声入りの童謡,唱歌,民謡,流行歌,外国曲)・動画    http://14.studio-web.net/~yamahisa/index.html

7) 金田啓子 .2004.「野口雨情の童謡論における<教育>の検討-『童謡と児童の教育』を中心に-」現代社 会文化研究№ 31( 新潟大学大学院,現代文化社会研究科 ).13-31.

8) 前掲書 . 9) 前掲書 . 10) 前掲書 .

11) 野口雨情 . 大正 12.『童謡と児童の教育』(イデア書院)『定本 野口雨情』第7巻(未来社,1986)所収 12) 前掲書 .

13) 7) 前掲書 .

14) 矢沢保 .1980.「美しい日本のうた 抒情歌の系譜 -- 野口雨情・中山晋平 / 北原白秋・山田耕筰から井上陽水・

さだまさしまで ( うたにあらわれた日本の抒情 < 特集 >)」日本音楽舞踊会議編『音楽の世界』(音楽の世界社)

19,4, 2-6.

15) 茨城県教育研究会音楽教育研究部編 .2010.『ひびけ歌声4訂版』(教育芸術社).329-334.

参照

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