学 位 論 文 審 査 要 旨 公開審査日 2015 年 1 月 28 日(水)
報告番号:乙 第 2084 号 氏名:萩原 優
論文審査
担当者 主査 教授 石川 孝 印
副査 教授 土田 明彦 印
副査 教授 徳植 公一 印 審査論文の題目:
High-quality 3-dimensional image simulation for pulmonary
lobectomy and segmentectomy: results of preoperative assessment of pulmonary vessels and short-term surgical outcomes in consecutive patients undergoing video-assisted thoracic surgery
著 者:
Masaru Hagiwara, Yoshihisa Shimada, Yasufumi Kato, Kimitoshi Nawa,
Yojiro Makino, Hideyuki Furumoto, Soichi Akata, Masatoshi Kakihana,
Naohiro Kajiwara, Tatsuo Ohira, Hisashi Saji, Norihiko Ikeda
掲載誌:European Journal of Cardio-Thoracic Surgery
46 (6): 120-126 (2014)
論文要旨:胸腔鏡下肺葉切除および胸腔鏡下区域切除術を施行した 124 症例に対し 3D-CT を用いた肺血管の分岐パ ターンをシミュレーションした後に、手術を行い、その所見との対比を行った。その結果、15 例(12%)
の破格の肺動脈分岐と 5 例(4%)の肺静脈の破格分岐を正確に描出でき、手術中に同定した肺動静脈と の一致率は 97.8%であった。また、3D-CT を用いない場合と比較して、手術の合併症も明らかに少なく、
手術時間も短縮していた。以上の結果から高精度 3D-CT 画像を用いることによって、肺血管の解剖学的 構造を詳細に確認することが可能であり、安全で効率的な胸腔鏡下手術を行うことができることが証明 された。
審査過程:
3D-CT ガイドによる胸腔鏡下肺切除術の実際のビデオを交えながら、本研究の意義を説明した。審査員 から、1)肺の気管支分布の同定と肺の切除ライン、2)術者の技量による影響、3)同定しにくい部 位や心臓の動きの影響に関する質問があった。この研究および現時点での CT の機種による限界について 回答し、今後の展望についても触れていた。Retrospective study であり、統計処理をするためには限 界があり、有意差検定は難しい点もあるが、その点は理解した上での報告であり、現状を把握した上で、
次の Prospective study を考えるための基礎になる研究という評価であった。
価値判定:
胸腔鏡下肺葉切除は、肺動静脈の処理を誤ると重大な合併症を起こす難易度の高い手術であり、術者の 経験と解剖学的な知識が必要である。従来は 2D の画像を術者の頭の中で再構築していたが、今回の研究 で示された MD-CT による 3D 構築画像の有用性は明らかである。本研究は、3D-CT が血管造影なしで術 前に得られる脈管の解剖学的情報の正確性を証明した点、および現時点での問題点を明らかにした点に おいて新規性があり、今後の臨床に重要な情報を報告しているため、学位論文としての価値を認めると 判断した。