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学 位 論 文 内 容 の 要 旨

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Academic year: 2022

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学 位 論 文 内 容 の 要 旨

尿酸はヒトにおけるプリン化合物の最終代謝産物であり,体内において強力な抗酸化物 質として全身で働いている一方で,痛風や神経変性疾患の発症リスクファクターであるこ とが知られている。従って,体内において尿酸値が常に一定に保たれていることは生体の恒 常性維持に重要である。血中の尿酸濃度は,腎臓及び小腸においてトランスポーターを介し た経細胞輸送により調節されている。これまで,ATP-binding cassette(ABC)型のトラン スポーターは尿酸排泄に関与していることが報告されていたが,solute carrier(SLC)型 の尿酸排泄トランスポーターは同定されていなかった。さらに最近,尿酸トランスポーター は尿酸排泄部位以外における働きも注目されており,SLC 型尿酸トランスポーターは不明 であった。

2010 年に当研究室は,SLC17 ファミリーに属するNPT1 が腎臓における尿酸排泄トラ ンスポーターであることを明らかにした。NPT1はNPT4,NPT homologue,NPT3とと もにNPTサブファミリーを形成しているが,NPT homologue及びNPT3の発現と機能は 明らかにされていなかった。そこで,本研究において,NPT homologue及びNPT3の局在 と機能を解明し,尿酸輸送の新たな側面を拓くことを目指した。

発現部位は,RT-PCR法,あるいは,リアルタイムPCR法によって遺伝子レベルの発現 を解析した。ヒトとマウスの各トランスポーターのアミノ末端30~50 アミノ酸残基を精製 し,家兎に注射して特異的な抗体を調製し,ウェスタンブロット法及び免疫組織化学法によ

氏 名

外川 奈津子 授与した学位

博 士 専攻分野の名称

薬 科 学 学位記授与番号

博甲第

5333

号 学位授与の日付

平成

28

3

25

学位授与の要件

医歯薬学総合研究科 薬科学専攻

(学位規則第5条第1項該当)

学位論文の題目

尿酸輸送機構におけるNPT homologue及びNPT3の発現と機能に関す る研究

論 文 審 査 委 員 教 授 田中 智之(主査)

上原 孝 准教授

古田 和幸

(2)

りタンパク質レベルの発現と局在を解析した。その結果,NPT homologueは小腸絨毛上皮 細胞の刷子縁膜に発現していた。一方,NPT3は腎臓尿細管のアピカル膜,肝臓胆管の管腔 側に発現していることに加え,胎盤合胞体栄養細胞のアピカル膜(母体血液側),甲状腺濾 胞細胞のアピカル膜,肺気管上皮,脳の血管の周りのアストロサイトに発現していた。輸送 活性測定は,トランスポーターの精製・再構成法を用いた。すなはち,各トランスポーター を大量発現させて精製し,凍結融解希釈法を用いて人工膜小胞に再構成して輸送活性を測 定した。NPT homologue及びNPT3は共に,膜電位及び塩素イオン依存的に,尿酸,パラ アミノ馬尿酸,親水性NSAIDsを輸送した。また,SLC17ファミリーに保存されているナ トリウム依存的リン酸輸送活性は,両者に保存されていた。

以上の結果から,NPT homologue は小腸,NPT3 は脳をはじめ全身に広く発現する SLC 型の尿酸及びアニオン性薬物排泄トランスポーターであると結論した。本研究成果に より,これまで不明であった小腸,胎盤,脳のSLC型の尿酸排泄トランスポーターを同定 し,NPT全ての機能と局在を解明するに至った。

論 文 審 査 結 果 の 要 旨

申請者はNPT homologue,およびNPT3について生化学的解析を実施し,前者が主に 小腸における尿酸排泄に関わること,後者が腎臓,肝臓,胎盤,甲状腺,肺,脳における 尿酸輸送に関わることを強く示唆する結果を得た。また,NPTは有機アニオン性の薬物を 輸送することから,これらの薬物と高尿酸血症との関わりを明らかにする上で,薬学的に 重要な基礎的知見を与えている。生体内の尿酸輸送システムの全体像が分子的に明らかに なったことにより,今後生理的な尿酸の機能の解析をはじめとする,関連研究の飛躍的な 発展が期待できる。本研究は生理学領域の有力な専門誌である

Am. J. Physiol.

誌に二報 の論文として掲載された。審査では学位論文として二つの論文をまとめる上で重要な総括 や展望について議論が行われ,説明が不足している箇所についていくつかの指摘が審査員 より行われた。申請者はこれらに対して丁寧に対応し,本論文を修正した。以上の理由を もって本学位論文を合とする。

参照

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