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論文の内容の要旨 氏名:梶

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Academic year: 2021

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論文の内容の要旨

氏名:梶 原 遼

専攻分野の名称:博士(医学)

論文題名:ラット一過性脳虚血モデルにおける全身臓器のHMGBlの発現

一過性脳虚血発作は軽症の脳虚血性疾患と一般的には捉えられており、「局所的な脳、脊髄、網膜の虚 血によって発症したものの新鮮な梗塞を有さない一過性の神経症状」と定義される。近年脳虚血発作後に 疲労感、生活水準の低下などを起こすことが報告されており、これは一過性脳虚血発作において全身性の 合併症を伴う可能性を示している。今回 damage associated molecular patterns の一種である high mobility group box-1HMGB1)に注目した。虚血モデルにおいてHMGB1の全身臓器での発現が観察さ れており、今回きわめて軽度の虚血負荷を加えた一過性脳虚血モデルでHMGB1の全身性の発現が起こる かを観察した。さらにこのモデルで脳内にどのような変化が起こっているかを観察した。マイクロ血管ク リップによる一過性の総頸動脈遮断を行い、ラット一過性脳虚血モデルを作製した。片側遮断群と両側遮 断群、正常対象群として皮膚切開のみを行ったSham群を作製し、モデル作製より3日後に脳、心臓、肺、

肝臓、脾臓、大腸、小腸を摘出した。免疫染色で脳及び全身臓器の一過性脳虚血後のHMGB1の発現、脳 内の細胞応答を観察した。アストロサイトの発現定量のためにglial fibrillary acidic proteinGFAP)、

炎症細胞であるマイクログリアの発現定量のためにCD11bWestern blottingで定量した。PCRで組織 炎症の指標であるprotein kinase Cδ (PKCδ)、組織破壊の指標であるmatrix metalloproteinase-9MMP- 9)を測定した。全身臓器の免疫染色では心臓、腎臓以外の臓器で HMGB1 の発現を認めた。肺胞腔の細 胞、肝細胞、脾臓リンパ球、大腸粘膜固有層細胞、小腸の粘膜固有層細胞が HMGB1 陽性を示した。肺、

肝臓、脾臓、腎臓、大腸、小腸においてSham群、片側遮断群と比べ両側遮断群でHMGB1陽性を示す細 胞の増加を認めた。また、脳組織中にも両側遮断群においてHMGB1陽性細胞を認めた。GFAPの発現量 は大脳皮質において両側遮断群ではSham群に比べ有意に高い値を示した(p<0.05)。CD11bの発現量も 大脳皮質において両側遮断群でSham群に比べ有意に高い値を示した(p<0.001)。PKCδMMP-9も片 側遮断群、両側遮断群ではSham群に比べ多く発現する傾向が認められた。軽微な脳虚血モデルであるラ ット一過性脳虚血モデルにおいて、脳内の神経障害と炎症反応が生じるだけでなく、全身臓器でも炎症反 応が引き起こされることがわかった。今後、一過性脳虚血発作と全身臓器の障害との関連を解明するにあ たり重要な結果と考えられた。

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