岡 山 県 下 に 発 生 せ る 流 行 性 肝 炎 特 に そ の 病 原 体 に 関 す る 研 究
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(2) 1090. 大. 賀. 寿. 朗. 即 ち注 入10分 経 過 した 後 の もの に於 け る感 実 1.胃. 験. 成. 績. 染 は定 型 的 な 病 理所 見 を示 し,そ の 後30分,. 内に於ける病毒の運命. 60分 と時 間 の 推 移 に伴 い病 毒 の 損 傷 は 大 き く,. ビニ ー ル製 の小 管 を通 じ胃 内 に投 与 した. そ の結 果 は 表 示 した 如 くで あ る(第1表). 第1表. 胃内注 入後 の分 離 病 毒 の 消 長. 次第 に病 理 所 見 が 減少 して い る.対 無 に於 て はpH. 2.0の 場 合 に 著 しい損 傷 を 受 け て い る.. そ してpHが. 酸 性 に傾 く程 病 毒 の損 失 が 大 き. い.こ の所 見 は 時 末6)の 実 験 に 於 て 見 られ た 酸 性 で加 熱 した 場 合 に於 て,病 毒の 損 失 が大 きい と述 べ た 結 果 と一 致 して い る. 更 に 胃 内に 於 け る病 毒 の消 長 を 追 究 した. そ の 成績 は第2表 に 示 した 如 く,石 原,小 川 株 共 に 共 通 した性 格 を もつ 所 見 が 認 め られ る. 即 ち10分 後に 於 て は そ の感 染 所 見に 於 て,肝 細 胞 障碍(肝 細 胞 の 変 性 及 び壊 死)と 共 に 多. 註:病 毒は 小 川 株. 第2表. 註.. 分 離 病 毒 の 胃 液 に よ る 影 響. i) 病 毒 稀 釈 は10‑2 ii)(〓)(〓)(+)(‑)病. 変 の 程 度 を 示 す.. 種 な る細 胞 浸 潤(淋 巴様 細 胞 浸 潤 の 場 合 が多. 所 見 も多 い.両 病 毒共 に30〜60分 に 於 て,肝. い が単 球 を 含 む 場合 が あ り,変 化 が 強 い 時は. 炎 の特 徴 とす る肝細 胞の 変 性 及 び壊 死 の 像 は. 中性 多 核 白血 球 を 含 む)が 発 現 し,ま た肝 細. 漸 次減 少 し病 毒 の損 傷 を示 して い る.. 胞 の壊 死 巣 の 周 囲 に極 め て多 数 の単 球 の 集 簇 が 見 られ る場 合 が あ る.. 2,腸. 内に於げる病毒の運命. 胃 内 に注 入 され た 病 毒 が一 部 は不 活化 され. 肝 細 胞 の 変 性 は極 め て強 く発 来 す る場 合 が. た と して も,一 部 は 胃 を経 て 更 に 腸 内に 侵 入. あ り,空 胞 性 若 し くは顆 粒 性 の変 性 が あ り,. す る と考 え られ る.そ して時 間 の経 過 に伴 い. 次 第 に 好 酸 性 の 傾 向 が 見 られ,核. もま た染 色. 次 第 に 内 容物 と共 に 下行 しつ つ 漸 次 吸收 され. 性 を喪 失 す るに 至 る もの 迄 多様 の病 理 学 的 所. る と考 え られ る.そ れ で 時 間 の経 過 を 追 つ て. 見 が認 め られ た.こ れ等 の所 見 と共に 星 芒 細. 腸 を剔 出 し,切 離 した 各 部分 に就 て腸 壁 内病. 胞 の肥 大 及 び 増 殖 が 出 現 し,肝 索 の解 離 等 の. 毒 の存 在 を,マ. ウス接 種 に よ る感 染 像 か ら病.
(3) 岡 山県 下 に 発 生 せ る流 行 性肝 炎特 にそ の病 原 体 に関 す る研 究 毒の 分 布 を 追 究 した.. 1091. 即 ち3時 閥に 於 け る感 染 程 度 を 見 るに,十. 即 ち 病 毒 を 胃 内 に注 入 した 後, 3, 5, 12時. 二 指 腸 で は 陰性 で あつ た が そ の他 は 感 染程 度. 間 と夫 々時 間 を お き,十 二 指 腸,空 腸,廻 腸,. に優 劣 は な い. 5時 間, 12時 間 で は 何 れ の部. 結 腸 を 截 り取 り,細 挫 後 粗 乳 剤 と し抗 生 物 質. 分 か ら も病 毒の 存 在 が認 め られ た.而. して 腸. を混 和 して,マ ウ スに 接 種 した 後 の病 理 所 見. 内 容物 中 に存 在 す る病 毒に よつ て,腸 各 部 分. を 観 察 す る方 法 に よつ た.そ の成 績 は 第3表. の 汚染 も考 え られ るの で,こ の 成績 が直 ちに. に 示 した.. 各 部 腸 壁 に 吸 收 さ れ た病 毒 に よる もの と断 定 せ ん とす る もの で は ない が,腸 か らの病 毒 の. 第3表. 分 離 病 毒 時 腸 管 よ りの吸 收 状 況. 吸收 され る事 は 明 か で あ る. と もあれ 此等 の マ ウ スの 示 す病 理 所 見 を 更 に詳 細 に 追 究 した結 果 を 表 示 した(第4表), 即 ち3,. 5時 間 に於 け る所 見 では,腸. の各 部. 位 に 於 け る病 毒 の存 在 は 少 い もの の 如 く,病 註.. 理 所 見 殊 に肝 臓 に於 け る所 見 は乏 しい.肝 細. i) 病 毒 株 は 小 川 株. 胞 障 碍 等 の所 見 が殆 ん ど見 られ ず,軽 度 の 細. ii) 投 与 の 病 毒 稀 釈 は10‑2 iii) (〓)(〓)(+)(‑)は. 病変 の 程 度 を示 す.. 第4表. 註.. 胞 浸 潤 を散 見す るに 過 ぎ な い事 は,病 毒 の存. 腸 壁 よ り の 吸 收 状 況. i) 病 毒 稀 釈 は10‑2 ii) (〓)(〓)(+)(⊥)(‑)病. 変 の程 度 を 示 す.. 在 の乏 しい 証 左 と もな ろ うと思 う, 5〜12時 総括及び考 察. 間 と経 過 す るに 伴 い 梢 病 変 の 増強 が 見 られ る が,先 の 胃内 容 物 の 場 合 に 比 し弱 い所 見 で あ. 流行 性肝 炎病 毒の 伝 染 経 路 に就 て消 化 器 感. る.こ れ は 恐 ら く胃そ して腸 に移 行 す る間 に. 染 が 重視 さ れて い るが,岡 山 県 下 に爆 発 的 に. 減 毒 され る もの で あ ろ う と推 測 され る.. 発 生 した肝 炎の 流 行 に つ い て も,そ の感 染 経 路 はFecal. oral Routeが. 挙 げ られ て い る4)5)..
(4) 1092. 大. 賀. 寿. 朗. 著 者 は 村 上等 の分 離 病 毒を 用 い て 経 口感 染 結. を 行 い,そ の感 染 ば極 め て容 易 に 而 も確 実 に. 論. 成 立 す る もの で あ り,累 代 も完 全 に行 わ れ る. 流 行 性 肝 炎 患者 よ り分 離 した 病 毒 を用 い て. 事 実 を 実 証 した.こ の事 実 を 更 に詳 細に 検 討. 経 口感 染 の 成 立 及 び累 代 の 可能 性 を第 一 編 に. す る意 図 の も とに,胃 内 に 注 入 さ れ た病 毒及. 於 て 検討 し,他 の接 種 方 法 と比 較 し容 易 に 而. び 腸 内 に於 け る病 毒 の運 命 に就 て実 験を 反 復. も確 実 な 感染 方法 で あ る事 を報 告 した.本 編. し た.著 者 の経 口感 染 に 就 て の 意 図 は,兎 に. で は 更 に 引続 い て消 化 器 を経 て肝 臓 に至 る殊. 角 胃内 に注 入 され た後 病 毒 が 胃 内 容物 と混 和. に 胃及 び 腸 に於 け る病 毒 の運 命 につ い て 吟味. され,而. し次 の 結 果 を 得 た.. も次第 に 稀 釈 され 胃 液 の混 入 が あつ. 1)胃. た 場 合 に もそ の一 部 の 病 毒 は不 活 化 され ず,. 内に 注 入 され た病 毒は,時 間 の経 過. 腸 に 送 られ吸 收 され,親 和性 臓 器に 定 着 増殖. に伴 い一 部 は 不 活 化 され るが,一 部 は 残存 し. を 営 む に至 る間 の 運 命 を,可 及 的 感 染 とい う. て 腸 内に 下 行 して い く もの と考 え られ るが,. 現 象 の 中 で把 握 した い との念 願 で あつ た.こ の 目的 が完 全 な 形 で 把 え られ たか ど うか 疑 問. 胃 内容 物 よ りの 病 毒 の復 原 は 可 能 で,マ ウ ス. は あ る が,兎 に 角 一応 の消 化 器 内に 於 け る病. はpHが. 毒 の消 長 に 就 て 論 及 した.著 者 の 実 験成 績 か. 少 す る. 2)胃 を経 て腸 に 移行 した病 毒 の一 部 は 損. らす れ ば,胃 内 に 注入 され た病 毒 は少 く と も 1時 間 以 上 感 染 力 を保 有 して い る.そ して3 〜12時 間 後 の検 索 に よ る と,こ の時 期 に 腸 壁. に接 種 す る事 に よ り感 染 を 確 め た.な お 病 毒 酸性 側に 移 動 す るに つ れ抵 抗 性 は 減. 失 を 蒙 る もの と考 え られ る が,大 略3〜12時 間 で 十二 指 腸,空 腸,廻 腸,結 腸 等 の 腸 壁 内. (空,廻 腸)に 病 毒 が検 出 され る事 を 確 め た.. に 充分 証 明 され る.病 毒 の腹 壁 よ りの 吸 收 は. 爾 後 肝臓 そ の他 の臓 器 に定 着す るに 至 る迄 に,. 主 に空,廻 腸 に 於 て行 わ れ る 様 に 推 測 さ れ. 腸 壁 そ の他 の関 係 臓 器 内 で 病 毒が 一 度 増殖 す. た.. る もの で あ るか,或 は た だ通 過 す るだ け の も. 稿を終 るに臨み,終 始御懇篤な る御指導 と御援助. の で あ るか,是 等 の点 に就 て は 次 編 で 述 べ. を与え られ御校閲の労を賜つた恩師村上栄教授に深. た.. 甚な る謝意を表する.. 文 1) Neefe,. J. R. and Stokes,. 128, 1063, 2) Murphy, S. D.:. Am.. and Paul,. J. A. M. A.. 1945. W., J.. 3) Havens,. J. Jr.:. J.. Publ.. W. P., Jr. J.. Pat ie L. M.. R.:. Hlth. Wand,. Proc.. 36,. 献. and. Work,. Med.. Soc. Exp.. V. A. Biol.. 206, 206,. 1944.. 小 坂 淳 夫:日. 本 臨 床,. 5). 石 田 立 夫:日. 本 公 衆 衛 生 雑 誌,. Vol. 12,. No. 133, Vol. 3,. 1956.. 169, 1946.. R., Drill,. 57,. 4). 6). 時 末 聰:岡. 医 誌 第69巻4号,. 1957.. 1954. No.. 7,.
(5) 岡 山 県 下 に 発 生せ る流 行 性肝 炎 特 に そ の 病 原体 に 関 す る研 究. Studies. on. the. Pathogenic In. II:. The. course. Agent. Okayama. of Infectious. 1093. Hepatitis. Prefecture. of infection. by. the. alimentary. canal. By Toshio Department (Director:. of Microbiology, Professor. Ohga. Okayama Dr. Sakae. University. Medical. School. Murakami). In the preceding part, the author reported that the alimentary canal was the most favorable and the most certain site for the establishment of infection as compared with others. In the present part, the author studied the course of infection from the administration of virus to its fixation in the liver, paying special attention to that in the stomach and intes tine. Mice were used as the test animal. The results were as follows: 1) Some of the virus injected into the stomach were inactivated as the time elapsed, but the rest, not inactivated in the stomach, descended to the intestine. It was possible to recover the injected virus from the stomach. The further the environmental pH went to the acid side, the severer the virus was inactivated. 2) In about 3 to 15 hours after the injection, the virus was clearly proved in the wall of duodenum, jejunum, ileum and colon, through which the invasion of the virus seemed to be carried out..
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