九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
食品成分の抗体産生調節に関する研究
山本, 万里
https://doi.org/10.11501/3063842
出版情報:Kyushu University, 1992, 博士(農学), 論文博士 バージョン:
権利関係:
食 品 成 分 の 抗 体 産 生 調 節 に 関 す る 研 究
山 本 万 里
1 992
ミ;欠
第 1章 序 論 … … … 1 0
第 2 章 食 品 成 分 の ヒ ト 型 ハ イ プ リ ド ー マ 抗 体 産 生 に 及 ぼ す 影 響
第
1
節 緒 言 … … … 16
第 2 節 実 験 材 料 及 び 方 法 : ヒ ト 型 ハ イ ブ リ ド ー マ H B 4 C 5 を 用 い た 実 験 系 に つ い て … 1 6 第 1項 細 胞 及 び 培 養
第 2 項 細 胞 増 殖 度 の 測 定 第
3
項 ス ク リ ー ニ ン グ 法第 4 項 抗 体 重 の 測 定 ( E L I S A法 〉
第
3
節 結 果 … … …20
第 1項 最 適 培 地 の 選 定
第 2 項 単 糖 類 の 細 胞 増 殖 、 抗 体 産 生 に 及 ぼ す 影 響
第
3
項 多 糖 類 〈 食 物 繊 維 〉 の 細 胞 増 殖 、 抗 体 産 生 に 及 ぼ す 影 響第 4 J頁 ロ ー カ ス ト ビ ー ン ガ ム 及 び ベ ク チ ン の 添 加 量 に よ る 細 胞 増 殖 と 抗 体 産 I
へ の 影 響
/
第
5
項 ボ リ フ ェ ノ ル 類 の ラ ッ トD N A
第 6 項
切 断 試 験 と H B Ll C 5 細 胞 を 用 い た 検 定 と の 比 較
コ ー ヒ ー 酸 の 細 胞 増 殖 、 抗 体 産 生 パ タ ー ン へ の 影 響
第 4 節 考 察 ・ ・ 第 5 節 小括・・
第 3 章 豆 乳 に よ る 抗 休 産 生 増 強 第 1節 緒言・・
第 2 節 実 験 材 料 及 び 方 法 … 第 1項 豆 乳
第 2 項 第 3 項
陰 イ オ ン 交 換 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ C 0 n A ア フ ィ ニ テ ィ ク ロ マ ト グ ラ フ ィ
第Ll
r
頁 熱 及 び ト リ プ シ ン 処 理第 5 項 ゲ ル 絡 過 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー 第 6 項 S D S ‑ P A G E
36 38
4 1 4 1
第 3 節 結 果 … … … 44 第 1項 豆 乳 の 1 P S F
(Imrnunoglobulin
Production Stimulati ng Factor)
活 性
之
第 2 項 豆 乳 の 1 P S F 活 性 画 分
第 3 項 豆 乳 1 P S F の 特 性 一 陰 イ オ ン 交 換 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に よ る 精 製 一 第 4 項 豆 乳 1 P S F の 特 性 ‑C 0 n A
に よ る 検 討 一
第 5項 熱、 ト リ プ シ ン 感 受 性
第
6
項 ゲ ル 鴻 過 ク ロ マ ト グ フ ィ ー に よ る 精 製 第 7 項 S D S ‑ P A G E第 4 節 考 察 … 56
第
5
節 小 括 … … … 58第 4 章 大 豆 外 皮 ヘ ミ セ ル ロ ー ス (S H H ) に よ る 抗 体 産 生 増 強
第 1節 緒 言 … … 59
59 第 2 節
第 1項
実 験 材 料 及 び 方 法 … . . .
大 豆 種 皮 ヘ ミ セ ル ロ ー ス (S H H ) の 調 製 法
第 2 J頁 米 ぬ か ヘ ミ セ ル ロ ー ス (R B H ) の 調 製 法
第 3 項 大 麦 ガ ム 質 (B G ) の 調 製 法
第 4 項 レ ク チ ン 結 合 ア ガ ロ ー ス ゲ ル に よ る 分 離 第 5 項 ゲ ル 漉 過 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー
︑
J第 6 項 β ー ガ ラ ク ト シ ダ ー ゼ に よ る 消 化
第
3
節 結 果 … … … 63 第 1項第 2 項
S H H の 1 P S F 活 性
S H H の 特 性 一 熱 、 ト リ プ シ ン 感 受 性 一 第 3 項 S H H の 特 性 一 レ ク チ ン と の 親 和 性 一 第 4 項 ゲ ル 漉 過 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に よ る 精 製 第 5 項 S H H 糖 鎖 部 の 酵 素 消 化 に よ る 活 性
へ の 影 響
第 6 項 各 種 ハ イ ブ リ ド ー マ に 対 す る 影 響
第 4 節 考 察 … … … 76 第 5 節 小 括 … … … 78
第
5
章 キ ト サ ン に よ る 抗 体 産 生 増 強 第 1節第 2節 第 1J頁 第 2 頁工 第
3
項 第3
節第 1項 第 2項
緒 言 … … … 7B 実 験 材 料 及 び 方 法 … … … 80
キ ト サ ン
ア セ チ ル 化 度 の 測 定 分 子 量 の 測 定
結 果 … … … 8 1 キ ト サ ン の
1 P S F
活 性溶 解 液 の 相 違 に よ る 1 P S F 活 性 へ の 影 響
4
ど第 3項 脱 ア セ チ ル 化 度 及 び 分 子 量 が 活 性 発 現 に 与 え る 影 響
第 4 項 キ ト サ ン の 抗 体 産 生 増 強 の 特 徴
第 5項 構 成 糖 に よ る キ ト サ ン 活 性 発 現 阻 害
第 4 節 考 察 … … … 92 第 5 節 小 括 … … … 95
第 6 章 ボ リ カ チ オ ン の 抗 体 産 生 増 強 第 1節
第 2 節 第 1項 第 2 項 第 3 項
緒 量
一
一一 ・ ・・・ ・・ ・・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・ .・ .. ... ... ... 実 験 材 料 及 び 方 法 …供 試 物 質
ε ー ボ リ リ ジ ン の ト リ プ シ ン 消 化 ト リ プ シ ン で 消 化 し た ボ リ リ ジ ン の 分 子 量 検 定
96 96
第 3 節 結 果 … … … 99 第 1項
第 2 J頁 第 3 項
各 種 ボ リ カ チ オ ン の 1 P S F 活 性 ε ー ボ リ リ ジ ン の 特 性
分 子 量 及 び 結 合 塩 の 異 な る ボ リ リ ジ ン の 1 P S F 活 性
第 4 項 ボ リ リ ジ ン の ト リ プ シ ン 消 化 に よ る 1 P S F 活 性 へ の 影 響
C
第 5 項 境 基 性 ア ミ ノ 酸 及 び ペ プ チ ド の 1 P S F 活 性
第 4 節 考 察 … … … 109 第 5 節 小 括 … … … 113
第 7 章 豆乳、 S H H、 キ ト サ ン の ヒ ト リ ン パ 球 抗 体 産 生 増 強
第 1節 第 2 節
第 1項 第 2 項 第 3 項 第 4 項 第 3 節
第 1項 第 2項 第 3 項 第 4 節 第 5 節
緒 言 … … … 115 実 験 材 料 及 び 方 法 … … … 115
ヒ ト リ ン パ 球 の 調 製
卵 黄 リ ボ タ ン パ ク 質 (
Y L P
) の 調 製 マ イ ト ジ ェ ン検 定 方 法
結 果 … … … 118 豆 乳 に よ る 増 強
S H H に よ る 増 強 キ ト サ ン に よ る 増 強
考 察 … … … 123 小 括 … … … 12 4
第 8 章 キ ト サ ン 及 び ボ リ リ ジ ン に よ る 抗 体 産 生 i曽 強 機 作 の 検 討
ら
第 1節 第 2 節
第 1項 第 2 J頁 第 3 工頁 第 4 項 第 3 節
第 1項 第 2 項 第 3 項 第 4 節 第 5 節
緒 言 … … … 126 実 験 材 料 及 び 方 法 … … … 1 2 6
膜外、 膜 内 抗 体 重 の 測 定
m
R N A 転 写 阻 害 剤 を 使 用 し た 実 験 タ ン パ ク 質 合 成 阻 害 剤 を 使 用 し た 実 験 ア セ チ ル コ リ ン エ ス テ ラ ー ゼ 活 性 の 測 定 結 果 … … … 128キ ト サ ン の 膜 外 、 膜 内 抗 体 重 の 変 化 ボ リ カ チ オ ン の 翻 訳 安 定 性
膜 損 傷 の 測 定
考 察 … … … 13 5 小 括 … … … 138
第 9 章 多 糖 類 及 び ボ リ カ チ オ ン に よ る イ ン タ ー ブ エ ロ ン ー β 産 生 調 節
第 1節 緒 言 … … … 140 第 2 節 実 験 材 料 及 び 方 法 … … … 142
第 1J頁 ヒ ト 骨 肉 腫 細 胞 株 を 用 い た ス ク リ 一 一 ン グ 方 法
第 2 項 E L 1 S A 法
第 3 J頁 小 麦 フ ス マ ヘ ミ セ ル ロ ー ス の 調 製
第
3
節 結 果 … … …14 4
7
第 1項 食 物 繊 維 に よ る 1 F N ‑
s
産 生 調 節 第 2 項 ε ー ボ リ リ ジ ン に よ る 1N F ‑s
産 生 増 強
第 4 節 考 察 … … . 148
第
5
節 小 括 … . 149第 1 0 章 総 括 … … … 150
謝 辞 … … … 160
引 用 文 献 … … … 161
g
E L 1 S A
1 P S F
1 T E SF B S P B S P W M
C 0 n A
L P S
S T M P H A
S B A U E A s P
e a
略 三口口五
酵 素 標 識 免 疫 測 定 法 抗 体 産 生 増 強 因 子
イ ン シ ュ リ ン 、 ト ラ ン ス フ ェ リ ン 、 ヱ タ ノ ー ル ア ミ ン 、 セ レ ナ イ ト 牛 胎 児 血 清
リ ン 酸 緩 衝 生 理 食 海 水
ポ ー ク ウ ィ ー ド マ イ ト ゲ ン
コ ン カ ナ バ リ ン A リ ボ 多 糖
サ ル モ ネ ラ チ フ ス 菌 イ ン ゲ ン マ メ レ ク チ ン 大 豆 凝 集 素
ハ リ エ ニ シ ダ レ ク チ ン ビ ー 豆 レ ク チ ン
第 1章 序 圭U岡A
KぷhI e rと門 iIsteinに よ り 1975年 に 報 告 さ れ た マ ウ ス モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 の 作 成 技 術 24 )は、 瞬 く 間 に 普 及 し 、 様 々 な 分 野 で 応 用 さ れ る よ う に な っ た 。 そ し て 、
J a m ‑
e s 1 6 ) ら に よ っ て 確 立 さ れ た い ろ い ろ な 抗 原 に 特 異 的 な モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 を つ く る ヒ ト ー ヒ ト ハ イ ブ リ ド ー
マ
1 . 5 . 46.54 . 59)は、 さ ら に 幅 広 い 利 用 が 可 能 と な っ た 。医 学 分 野 で は 、 癌 や 感 染 症 〈 肝 炎 ウ イ ル ス な ど 〉 、 後 天 性 免 疫 不 全 症 な ど の 検 査 、 診断、 治 療 2 6.4 7.63)、 癌 特 異 的 抗 原 の 決 定 、 ア レ ル ゲ ン の エ ピ ト ー プ 解 析 な ど に 使 用 さ れ つ つ あ る 。 そ の よ う な 医 学 分 野 で は 、 モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 の 精 製 が 重 要 と な る 。 そ の 中 で 無 血 清 培 養 法 は 、 高 い 血 清 を 用 い ず 、 多 種 血 清 タ ン パ ク 質 を 含 ま な い こ と か ら 、 精 製 の コ ス ト を カ ッ ト す る た め 今 後 必 要 な 技 術 と な る で あ ろ う 。 し か し 、 無 血 清 3 8)で 培 養 で き る ヒ ト 培 養 細 胞 で も 、 無 血 清 下 で は 、 血 清 添 加 培 地 に 比 べ 、 モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 の 生 産 量 が あ ま り に も 少 な く 、 実 用 に は 耐 え ら れ な か っ た 。 そ の た め 、 モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 の 大 量 培 養 を 目 的 と し 、 無 血 j青 培 養 下 で の ヒ ト モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 産 生 を 増 強 す る 因 子 〈 1 P S F : ImmunogJobul in Produclion Stimulati ng
/ ρ
Factor)
の 検 索 が 行 わ れ た 。 そ の 結 果 、 数 種 の ヒ ト 培 養 細 胞 株 が 1 P S F を 生 産 す る こ と が 判 明 し 、 そ の 細 胞 性 1 P S F の 精 製 が 進 め ら れ て き た 30.31.54.55.61• 6 8)。 そ し て 、 さ ら に そ の よ う な 1 P S F を 食 品 成 分 中 に 求 め 、 カ ゼ イ ン 、 ラ ク ト フ ェ リ ン 、 卯 黄 リ ボ プ ロ テ イ ン
(Y L P)
37,6 7 . 6 9 )中 に 見 い だ し て き た 。 現 在 ま で に 報 告 さ れ て き た 1 P S F は皆、 タ ン パ ク 質 性 I P S F で あ り 、 Y L P は、 動 物 細 胞 の 無 血 清 培 養 に お い て 最 も 重 要 な 細 胞 増 殖 因 子 で も あ る 。近年、 食 品 の あ ふ れ る 世 の 中 に な り 、 消 費 者 の 晴 好 が 多 様 化 し 、 特 に 安 全 性 、 健 康 増 進 、 天 然 物 な ど の 要 因 を 重 視 す る 傾 向 に な っ て き て い る 。 そ の 中 に あ っ て 、 従来、 健 康 食 品 と 称 さ れ て き た も の が 、 厚 生 省 の 見 直
し な ど に よ り 、 よ り 明 確 に 規 定 さ れ た 機 能 を 持 っ た 食 品 と し て 再 評 価 、 新 評 価 さ れ る と い う 時 代 の 転 換 期 を 迎 え て い る 。 ま さ に そ の 中 に あ っ て 、 食 品 を 正 し く 評 価 す る と い う 研 究 の 進 展 へ の 期 待 が 高 ま っ て い る 。
では、 食 品 の 機 能 と は 何 か 。 食 品 品 質 に つ い て 、 従 来 よ り 言 わ れ て き た の は 栄 養 性 と 晴 好 性 の 2 特 性 だ け で あ っ た 。 栄 養 性 は 、 1 (欠機能、 日 書 好 性 は 2 次 機 能 と 評 価 さ れ 、 そ れ ぞ れ 生 命 の 維 持 に 不 可 欠 な も の 、 人 間 の 感 覚 〈 味 、 香り、 色 等 〉 に 訴 え か け る も の と し て 食
/1
品 の 中 心 的 な 評 価 と な っ て い た 。 し か し 、 最 近 で は 、 食 品 に 求 め る 概 念 、 も さ ら に 進 み 、 3 ~欠機能を:tí{、定する
よ う に な っ た 。 そ れ は 、 生 体 防 御 、 休 調 リ ズ ム の 調 節 に 関 係 す る 生 体 調 節 機 能 、 疾 病 の 予 防 、 病 気 の 回 復 、 老 化 防 止 、 他 の 食 品 に 機 能 を 付 与 す る 機 能 な ど が 含 ま れる。 例 え ば ど の よ う な 食 品 か と い う と 、 ア レ ル ギ ー 軽 減 化 食 品 、 免 疫 強 化 食 品 、 リ ン パ 球 刺 激 食 品 、 高 血 圧 予 防 食 品 、 糖 尿 病 予 防 食 品 、 抗 腫 蕩 食 品 、 コ レ ス テ ロ ー ル 改 善 食 品 、 血 小 板 凝 固 抑 制 食 品 、 造 血 機 能 調 節 食品、 中 枢 神 経 調 節 食 品 、 末 梢 神 経 調 節 食 品 、 摂 取 機 能 調 節 食 品 、 吸 収 機 能 調 節 食 品 、 過 酸 化 脂 質 抑 制 食 品 、 食 品 劣 化 抑 制 食 品 等 で あ る 。 現在、 代 表 的 な 機 能 性 を 有 す る 食 品 と し て は 高 血 圧 や 糖 尿 病 予 防 、 コ レ ス テ ロ ー ル 改 善 作 用 を 持 つ と し て 食 物 繊 維 、 吸 収 を 調 節 す る と し て カ ゼ イ ン ホ ス ホ ペ プ チ ド 、 過 酸 化 脂 質 発 生 抑 制 と し て ビ タ ミ ン E、 グ ル タ チ オ ン 等 が 注 目 さ れ て き て い る 。 そ の よ う な
3
次 機 能 を 意 識 し た 食 品 の 評 価 を 早 急 に 進 め る こ と が 、 特 に 強 く 求 め ら れ て き た 。食 品 は 毎 日 摂 取 す る も の で あ り 、 医 薬 と は 大 き く 異 な っ て い る 。 医 薬 品 は 高 度 に 精 製 さ れ た 物 質 で あ る が 、 食 品 は 様 々 な 要 素 (element) が 組 合 わ さ っ た 復 合 体 で あり、 1 ~欠.._ 3 ~欠機能の多機能を発揮する可能性を秘
/之
め た 物 質 群 で あ る 。 そ の た め 、 そ れ ぞ れ の 食 品 が ど の よ う な 可 能 性 を 秘 め て い る の か 正 し く 評 価 す る こ と が 、 食 品 を 研 究 す る 上 で 益 々 重 要 に な っ て く る こ と は 容 易
に 予 想 し う る 。
毎 日 摂 取 す る 食 品 に は 強 力 な 抗 原 性 物 質 や レ ケ チ ン 等 の 非 特 異 的 免 疫 細 胞 刺 激 物 質 な ど が 含 ま れ て い る 。
こ の よ う な 免 疫 系 刺 激 物 質 に 曝 さ れ な が ら 、 生 体 は 反 応 し つ づ け 生 き て い る 。 3 { 欠 機 能 の 中 で も 、 こ の 免 疫 調 節 機 能 は 、 ヒ ト の 恒 常 性 〈 ホ メ オ ス タ シ ス 〉 と 深 く 関 わ っ た 生 体 機 能 で あ る 。 免 疫 系 は 、 非 常 に 複 雑 な 反 応 を 生 体 内 で 連 鎖 的 に 繰 り 返 し て い る 。 そ れ ら の 系 を 細 か く ば ら ば ら に し て 調 べ る こ と も 必 要 で あ る し 、 そ の 機 能 を 食 品 中 に 見 い だ し て い く こ と も 大 切 に な っ て
くる。 口 に す る も の の 中 に 恒 常 性 を 保 持 で き る 因 子 が 存 在 し て い れ ば 、 ヒ ト は 感 染 症 や 癌 な ど か ら か な り 距 離 を お く こ と が で き る は ず で あ る か ら で あ る 。
そ う し た 食 品 成 分 中 の 生 理 機 能 性 成 分 の l つ で あ る 免 疫 調 節 因 子 の
1
種 で あ る 抗 体 産 生 促 進 因 子 ( 1P S
F ) の 検 索 及 び 作 用 機 作 の 解 明 に 、 前 述 し た モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 を 産 生 す る ヒ ト 型 ハ イ ブ リ ド ー マ が 使 え る の で は な い か と 筆 者 は 考 え た 。
元来、 こ の ヒ ト 型 ハ イ ブ リ ド ー マ は 、 癌 特 異 的 モ ノ
/:ヨ
ク ロ ー ナ ル 抗 体 の 大 量 生 産 を 目 的 に 、 高 い 融 合 効 率 を 持 つ ヒ ト 型 親 細 胞 株 で あ る N A T ‑ 3 0 と、 肺 ガ ン 患 者 の リ ン パ 球 と を 融 合 さ せ る こ と に よ り 作 製 さ れ た 細 胞 で あ り 、 無 血 清 培 養 が 可 能 で あ っ た 。 浮 遊 細 胞 で 継 代 も 容 易 で 培 養 コ ス ト も 低 い 。 し か し 、 血 清 下 で 培 養 し た マ ウ ス 型 ハ イ ブ リ ド ー マ に 比 べ 、 抗 体 産 生 量、が 著 し く 低 い 。 そ の た め 、 抗 体 産 生 増 強 因 子 が 培 養 液 中 及 び タ ン パ ク 質 中 に 検 索 さ れ て き た こ と は 前 述 の と お り で あ る 。
本 論 文 は 大 き く は 、 次 の 3 つ の 主 題 を 明 ら か に す る こ と を 目 的 と し て い る 。
第 ー は 、 抗 体 を 産 生 す る ヒ ト 型 ハ イ ブ リ ド ー マ を 食 品 成 分 の 効 率 的 な 安 全 性 の 検 定 や 生 体 調 節 機 能 因 子 の ス ク リ ー ニ ン グ に 応 用 す る こ と が 可 能 で あ る か と い う こ と で あ る 。 まず、 毒 性 物 質 と し て フ ェ ノ ー ル 類 を 用 いて、 ほ 乳 類 D N A 切 断 試 験 と 比 較 し な が ら 、 ヒ ト 型 ハ イ ブ リ ド ー マ H B 4 C 5 細 胞 が 簡 易 な 安 全 性 検 定 に 用 い る こ と が 出 来 な い か を 検 討 す る 。 つ ぎ に 、 い く つ か の 食 品 成 分 に つ い て 、 抗 体 産 生 増 強 効 果 を 検 討 し 、 効 果 の 認 め ら れ た 因 子 に つ き 、 よ り 生 体 に 近 い 系 で あ
る ヒ ト リ ン パ 球 に よ る 試 験 を 行 い 、 ヒ ト 型 ハ イ ブ リ ド ー マ で の 検 索 と 比 較 す る 。
/~ど
第 二 は 、 現 在 ま で に 多 く の 生 理 活 性 の 報 告 さ れ て い る 多 糖 類 を 中 心 に し て 抗 体 産 生 増 強 因 子 の 検 索 を 行 い 、
そ の 活 性 物 質 の 特 性 を 解 明 す る 。
第 三 は 、 抗 体 産 生 増 強 因 子 の 作 用 機 作 を 考 察 す る 。 ボ リ カ チ オ ン の 中 の キ ト サ ン 及 び ボ リ リ ジ ン が 現 在 ま で に 報 告 さ れ て い る タ ン パ ク 質 1 P S F と は 異 な っ た 増 強 パ タ ー ン 〈 細 胞 増 殖 を 伴 わ な い 抗 体 産 生 増 強 ) を 示 し た の で 、 そ の
2
つ の 物 質 に つ い て 解 析 を 行 う 。 特 lこ、 ボ リ カ チ オ ン は 細 胞 膜 に 対 す る 作 用 が 大 き い と さ れ る の で 、 そ の 点 、 を 中 心 に 検 討 す る 。本 研 究 は 、 抗 体 産 生 を 調 節 す る 食 品 成 分 を 検 索 し 、 そ れ ら の 特 性 を 明 ら か に し て 、 食 品 成 分 に よ る 生 体 防 御 に 関 す る 基 礎 的 知 見 を 得 ょ う と し て も の で あ る 。
/合
第 2 章 食 品 成 分 の ヒ ト 型 ハ イ プ リ ド ー マ 抗 体 産 生 に 及 ぼ す 影 響
第 1節 緒 百
食 品 成 分 の 機 能 性 や 安 全 性 を 明 ら か に す る こ と は 多 大 の 時 間 や 労 力 を 要 す る 作 業 を 伴 う 。 特 に 実 験 動 物 を 用 い た 試 験 は 、 動 物 愛 護 の 立 場 あ る い は 、 効率、 再 現 性 の 点 、 で 一 次 ス ク リ ー ニ ン グ に は 適 さ な い 。 初 期 ス ク リ ー ニ ン グ だ け で も も っ と 簡 便 で 効 率 的 な 方 法 の 使 用 が 可 能 で あ れ ば 、 か な り の 多 検 体 を 扱 う こ と も 容 易 に なる。
抗 原 特 異 的 モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 を 産 生 す る ヒ ト 型 ハ イ ブ リ ド ー マ は 、 ヒ ト が ん 細 胞 株 と ヒ ト B リ ン パ 球 細 胞 の 融 合 に よ り 得 ら れ 1 6)、 ヒ ト 型 モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 の 大 量 生 産 に 用 い ら れ て き た 3 6)。 そ し て 、 無 血 清 培 養 も 可 能 に な り 3 4)、 血 清 タ ン パ ク 質 に 妨 害 さ れ ず 、 抗 体 産 生 増 強 因 子 の 検 索 5 5・6 1)、 精 製 が 容 易 に な っ て き た 。
こ れ ま で 報 告 さ れ て い る 抗 体 産 生 促 進 国 子 の 多 く は タ ン パ ク 質 様 物 質 6 7 • 6 9 ) で あ る が 、 糖 類 に 注 目 し 、 抗 体 産 生 促 進 因 子 の よ う な 機 能 性 成 分 の 検 索 を 行 う 際 、 各 種 市 販 糖 類 が 供 試 細 胞 で あ る ヒ ト 型 ハ イ ブ リ ド ー マ
H
/ 6
B 4 C 5 細 胞 に 与 え る 影 響 を 明 確 に す る 必 要 が あ る と
考 え た 。
食 品 成 分 の 生 体 調 節 機 能 の 1 つ で あ る 抗 体 産 生 増 強 作 用 を ヒ ト 型 ハ イ ブ リ ド ー マ で 検 索 す る こ と、 また、
同 じ ハ イ プ リ ド ー マ を 使 用 し て 毒 性 検 定 を 行 う こ と の 2 点 に つ い て 検 討 し た の で 、 以 下 に 述 べ る 。
第 2 節 実 験 材 料 及 び 方 法 : ヒ ト 型 ハ イ ブ リ ド ー マ H B 4 C 5 を 用 い た 実 験 系 に つ い て
第 1項 細 胞 及 び 培 養
実 験 に は 、 ヒ ト 型 ハ イ ブ リ ド ー マ H B 4 C 5細 胞 を 主 に 用 い た 。 H B 4 C 5 細 胞 は 、 高 い 融 合 率 を 持 つ ヒ ト 型 親 細 胞 株 で あ る N A T ‑ 3 0 と、 肺 ガ ン 患 者 の リ ン パ 球 と を 融 合 し て 作 製 さ れ 3 5)、 肺 癌 細 胞 35)及 び 組 織 7 1 ) に 特 異 的 な 免 疫 抗 体 1 g M を 産 生 す る 。 本 細 胞 は 、
ヒ ト 肺 ガ ン 特 異 的 モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 1 g M を 産 生 す る。 培 養 に は 、 1 0μg/mlイ ン シ ユ リ ン 、 35μg/mlト ラ ン ス フ ェ リ ン 、 10m門 エ タ ノ ー ル ア ミ ン 、 2.3m門 亜 セ レ ン 酸 ナ ト リ ウ ム
(1 T E S )
34)を 添 加 し たE R D F
培 地〈 極 東 製 薬 〉 を 用 い 、 培 養 は 、 3 7
o c
、 C 0 2 5 % の イ/ ケ
ン キ ユ ベ ー タ 内 で 行 っ た 。
第 2 項 細 胞 増 殖 度 の 測 定
細 胞 数 は 細 胞 計 測 機 (Ce11 Counier; Cou 1 ter cou‑
nter ZBi)を 用 い て 計 測 し た 。 生 細 胞 率 は 、 ト リ バ ン ブ ル ー で 染 色 さ れ る も の 生 細 胞 と し 、 そ の 総 細 胞 数 に 対 す る 割 合 で 求 め た 。
第 3 項 ス ク リ 一 ン グ 法
通 常 の ス ク リ ー ニ ン グ は 、 P B S に 溶 解 後 、 適 宜 希 釈 し た サ ン プ ル を 24ウ エ ル プ レ ー ト に 100μl、 400μ│
の E R D F培 地 を 分 注 、 さ ら に 1.OX 105cells/ mlの 密 度 に 調 製 し た 細 胞 500μiを ま き こ ん で 、 1 T E S を 添 加 し た 後 、 C 0 2イ ン キ ユ ベ ー タ 内 で 3 7
o c
、 2 日 間 培養 す る こ と で 行 っ た 。 培 養 終 了 後 、 培 養 上 清 の 抗 体 量 を 後 述 の E L 1 S A 法 で 測 定 し 、 細 胞 数 を 計 測 し て 、 コ ン ト ロ ー ル と の 相 対 細 胞 数 、 相 対 抗 体 重 、 相 対 抗 体 産 生 量 を 求 め た 。
カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ 一 等 で 精 製 し た 微 量 の サ ン プ ル に つ い て は 、 蒸 留 水 で 溶 解 し 、 9 6 ウ エ ル プ レ ー
/ C Z '
ト に
100μ!
ず つ 分 注 、2X 10 5 cel ls/ m l
密 度 の 細 胞 (1 T E S ‑ E R D F ) 100μl
を ま き こ ん で6
時 間 情 養 後 、 抗 体 重 の み E L 1 S A 法 で 測 定 す る 方 法 で 検 定 し た 。第 4 項 抗 体 重 の 測 定 (E L 1 S A 法 〉
抗 体 は 、 抗 ヒ ト 1 g M 抗 体 ( T
a
g 0 4 3 0 2 )、 ベ ル オ キ シ ダ ー ゼ 標 識 抗 ヒ ト 1 g M 抗 体 (Ta
g 0 45 0 2 ) を 用 い た 。 まず、 9 6 ウ エ ル の E L 1 S A プ レ ー ト に
50mM
炭 酸 緩 衝 液 (p H
9.6) で1 000
倍 希 釈 し た 抗 ヒ ト1 g M
抗 体 を100μl
ず つ 分 注 し て 37 o c
に1
時 間 保 温 し て 抗 体 を 結 合 さ せ た 後 、 余 分 の 抗 体 を 捨 て 、
0.05%
のT
we e n 20
を 含 む 生 理 リ ン 酸 緩 衝 液 (T P B
S ) で 3 回 洗 浄 し た 。 つ ぎ に 、 非 特 異 的 吸 着 を 防 ぐ た め、 4 倍 希 釈 し た プ ロ ッ ク エ ー ス 〈 雪 印 乳 業 〉 を 各 ウ エ ル に300μl
ず つ 添 加 し 、 37 o c
に1
時 間 保 温 し た 。 つ い で T P B S で 3 回 洗 浄 後 、 各 サ ン プ ル の 培 養 上 清 を 適 宜 希 釈 し て50μ│
ず つ 添 加 し 、1
時 間 保 温 し た 。 そ の 培 養 上 清 を 捨 て T P B S で 3 回 洗 浄 し て 、 ブ ロ ッ ク エ ー ス で 1 0 0 0倍 希 釈 し た ベ ル オ キ シ ダ ー ゼ 標 識 抗 ヒ ト1 g M
抗 体 を 各 ウ エ ル に100μ│
ず つ 添 加 し 、1
時 間 保 温 し た 。T P B S
で 3 回 洗 浄 し 、 基 質 溶 液 (0.03
% H 2 0 2お よ び 0.3mg/mJ p‑2
,
2'‑azino‑di ‑(3‑ethyl‑benzotiazol i ne‑6・sulfonic acid)‑diammonium sulf自 ate含 有 0.1M ク エ ン 酸 緩 街 液 〉 を 各 ウ エ ル に 100μ l添 加 し て 3 7
o c
で 発 色 さ せ 、 1 .5%シ ユ ウ 酸 で 反 応 、 を 止 めた後、 マ イ ク ロ プ レ ー ト 用 分 光 光 度 計 を 用 い て 4 1 5
n m
に お け る 吸 光 度 を 測 定 し た 。 保 温 の 際 に は 乾 燥 を 防 ぐ た め 、 Fa
1c
0n
3 0 7 3で シ ー ル し た 。 標 準 品 と し て ヒ ト 血 清 gM
( ミ ド リ 十 字 社 〉 を 用 い 、 検 量 線 (0‑‑‑ 80ng/ m 1) を 作 成 し 、 培 養 上 清 中 の 抗 体 量 を 求 め た 。第 3 節 結 果
第 1項 長 適 培 地 の 選 定
4 種 類 の 培 地 ( E R D F、 D ‑ M E M、 D F、 H
a
立1 S F 1 2 ) を 用 い て 、 H B 4 C 5 細 胞 生 育 最 適 培 地 を 選 定 し た 。 E R D F 培 地 以 外 の 培 地 は 日 水 製 薬
〈 株 〉 製 を 用 い た 。 D F 培 地 は 、 D ‑ M E M と F 1 2 を 1: 1に 混 合 し た も の 、 E R D F j:音地は、 R P M
1 6 4 0、 D ‑ M E M、 F 1 2 を 2: 1 に 混 合 し 、 ア ミ ノ 酸 、 ビ タ ミ ン を ヲ 虫 イ ヒ し た 培
t
也 で あ る 。J 乙 ρ
第 1 図は、 1 T E S 添 加 培 地 、 第 2 図 は F R S 5 % 添 加 培 地 の 細 胞 増 殖 お よ び 抗 体 産 生 量 の 経 日 的 変 化 を 示 し た 。 1 T E S 添 加 で は 、 最 小 基 礎 栄 養 培 地 で あ る
D ‑ M E M が 細 胞 増 殖 、 抗 体 産 生 と も 最 も 低 か っ た 。
E R D F
は、 ま き こ み 初 期 の 細 胞 増 殖 、 抗 体 産 生 と も 最 も 高 い 値 を 示 し 、 H B 4 C 5 細 胞 を 用 い た 検 定 を 行う 際 に は 適 し た 培 地 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 5
%
F B S 添 加 で は 、 細 胞 増 殖 に お い て E R D F が ま き こ み 初 期 の 増 殖 を 促 進 し た が 、 他 に 培 地 に は 大 き な 差 異 は 認 め ら れ な か っ た 。 1 g M 量 で は D ‑ M E M が 最 も 低 く、 細 胞 数 に 比 例 し てE R D F
が 最 も 高 い 値 を 示 し た 。動 物 細 胞 の 培 養 に は 通 常 グ ル コ ー ス が 添 加 さ れ て い るが、 細 胞 の 増 殖 や 抗 体 産 生 に グ ル コ ー ス が 最 適 で あ る か ど う か は 不 明 で あ る 。 そ こ で 、 供 試 細 胞 の 糖 質 利 用 性 を 調 べ る た め 、 各 種 糖 類 を 10111門 及 び 20m門 と な る よ
う に グ ル コ ー ス フ リ ー 培 地 及 び グ ル コ ー ス 半 量 生 (10m門〉 培 地 に そ れ ぞ れ 加 え て 細 胞 を ま き こ ん だ 。 数 値 は 、 対 照 区 に 対 す る 相 対 細 胞 数 、 相 対 1 g M 童、 相 対 1 g M 生 産 量 〈 細 胞 10 5個 当 り の 1 g M 量 ) で 表 示 し た 。 第 1 表 に 示 す よ う に 、 グ ル コ ー ス に 比 べ 、 供 試 し た 糖 類 は す べ て 、 増殖、 抗 体 産 生 支 持 能 が 劣 っ た が 、 そ の な か で、 フ ラ ク ト ー ス を 添 加 し た 場 合 は 抗 体 産 生 支 持 能 が
2/
ト4
C
コ
.t.ト4
し心
ト‑4
0
ト4
(J..)
C e l l d e n s i t y ( c e l l s / m l )
円 ︒
日()
(﹀ )
り・ 玄何 去
り司 間河 口問 り
HH{
一
Nγ口UA
IgM c o n c e n t r a t i o n ( n g / m l )
目 ︒ 円 ︒
第 1図 ITES
添加各種培地での
HB4C5細胞の増殖及び抗体産生の経目的変化
(A):細胞数、
(B):抗体重
C e l l d e n s i t y ( c e l l s / m l )
日O
目 ︒
..̲.o
、 。
ト4
(﹀ )
υa
IgM c o n c e n t r a t i o n ( n g / m l )
目 ︒
戸
HO N
HOU
ト4
(切 )
(J..)
υ1
︑ 刈
(凶印﹀アω
第
2図 FBS5%添加各種培地での HB4C5細胞の増殖及び抗体産生の経目的変化
(A) :細胞数、 (B) :抗体重
O:ERDF 、 ・ :MEM 、ロ: D‑ " MEM 、 6:F12 、 . A DF 培地。
之
3
第
1
表 ヒト型ハイブリドーマflB4C5
細 胞 の 増 殖 及 ひ 1 g M抗 体 産 生 に 与 え る 糖 頬 の 影 響相 対 細 胞 数 * 相対抗体亙:*
1 1 1
対 抗 体生産量本( 1 0
5 '1出当りの抗体蛍〉( G l c ‑ f r e e m e d i a )
G l u c o s e 2 0 m
門 1.0 0
1.0 0
1.0 0 G a l a c t o s e 2 0 m
門0 . 6 4 0 . 3 3 0 . 5 1
ト
1 a n n o s e2 0 m
卜1 0 . 4 5 0 . 7 6 1 . 6 8 A r a b i n o s e 2 0 m
門0 . 4 4 0 . 1 3 O .
:2D X y l o s e 2 0 m
門0 . 4 1 0 . 1 2 0 . 2 0 F r u c t o s e 2 0 m
↑卜0 . 8 2 0 . 9 3
1.1
~S 門a l t o s e2 0 m
門0 . 5 0 0 . 1 1 0 . 2 2
R h a m n o s e 2 0 m
ト1 0 . 4 9 0 . 1 7 0 . 3 ' 1 S a c c h a r o s e 2 0 m
門0 . 4 4 0 . 1 0 0 . 2 2 G a l a c t u r o n i c a c i d 2 0 m
門0 . 6 1 0 . 3 4 0 . 5 5
ト
1 a n n i
.10120m
門0 . 4 8 0 . 1 0 0 . 2 0 ( G l c 1 0 m
門m e d i a )
G l u c o s e 1 0 m
門 1.0 0 1 . 0 0 1 . 0 0 G a l a c t o s e 1 0 m
門 1.0 6 0 . 9 f i 0 . 0 1
ト
1 a n n o s e1 0 m
門0 . 8 7
,]1 5
1.1 8 A r a b i n o s e 1 0 m M
1.1 0
1.2 3
1.1 1 X y l o s e 1 0 m
門 1.0 7
1.1 8
1.1 0 F r u c t o s e 1 0 m
門 1.1 1
1.2 6
1.1
:S門
a l
.1o s e 1 0 m
ト1
1.0 4 O . D G 0 . D 2 R h a m n o s e 1 0 m
門 1.0 8 0 . 8 D 0 . 8 2 S a c c h a r o s e 1 0 m
門0 . 9 G O . D O 0 . D 3 G a l a c t u r o n i c a c i d 1 0
lJtM
1.0 0
1.; : ) 3
1.5
:1 ト1 a n n i t o I 1 0 1 1 1
門 1.0 8
1.4 5 1 . 3 4
一 一 一 一 一 一
HB4C5
細 胞( 5
X1 0
4個I m l )
は、lTES‑EHDF
培地中で2 r J
間 出 義ーした。*サンプルの替わりに
PBS
を 添 加 し た コ ン ト ロ ー ル に 対 す る 相 対 値。ユ 4
高 く 保 持 さ れ 、 細 胞 当 り の 抗 体 産 生 は か え っ て 増 大 し た。 こ の 傾 向 は 、 マ ン ノ ー ス に お い て さ ら に 顕 著 で あ り、 相 対 1 g M 産 生 量 は 高 か っ た が 、 細 胞 増 殖 の 阻 害 : が 大 き い の で 実 際 の 使 用 に は 適 さ な い と 判 断 さ れ た 。
グ ル コ ー ス 半 量 培 地 で は 、 増 殖 に 影 響 を 及 ぼ す 糖 質 は 見 い だ さ れ な か っ た が 、 ガ ラ ク ツ ロ ン 酸 及 び マ ン ニ
ト ー ル 添 加 で 抗 体 産 生 が 約 30‑‑‑ 50%増 強 さ れ た 。
第 2 J頁 単 糖 類 の 細 胞 増 殖 、 抗 体 産 生 に 及 ぼ す 影 響
単 糖 類 は 、 平 日 光 純 薬 〈 株 〉 製 を 用 い た 。 単 糖 類 は 、 1お よ び 10m門 の 濃 度 で 添 加 し た E R D F 培 地 に 細 胞 を ま き こ み 、 細 胞 増 殖 お よ び 抗 体 産 生 に 与 え る 影 響 を 調 べ た。
結 果 は 第 2 表 に ま と め た 。 各 種 糖 類 を 20m門 グ ル コ ー ス を 含 む E R D F 培 地 に 1m、門 10m門 濃 度 で 添 加 し た 場 合 、 多 く の 糖 類 は H B 4 C 5 細 胞 の 増 殖 お よ び 抗 体 産 生 量 に は 影 響 を 与 え な か っ た 。 た だ し 、 10m門 グ ル ク ロ ン 酸 添 加 が 、 細 胞 数 を 、 1 m門 及 び ガ ラ ク ト ー ス 及 び 10m門 マ ン
ノ ー ス の 添 加 が 抗 体 産 生 を わ ず か に 増 強 し た 。
z r ;
第2表 各 種 糖 類 のHB4C5細 胞 に お け る 増 殖 及 び 抗 体 産生へ の 影響
一 一 一 一 一 一
添加重 相支
1 * ‑
llIl f
包数 相 対jJ[1本当士 相対抗体外ミ1不当;( m
〉門Glucose 1.11 1.12 1.00 10 1.11 0.96 0.8G Galactose 1.10 1.28 1.16 10 1.05 1.28 1. 21 Mannose 1.00 1.09 1.06 10 1.05 1.32 1.24 Arabinose 0.97 1.03 1.06 10 1.10 0.90 0.81 Xylose 0.D4 0.87 0.D3 10 1.07 0.D6 0.8D Rharnnose 1.07 1.00
o .
a~~10 1.1G 0.D1 0.78
Fucose 1.10 0.81 0.7~
10 1.14 0.84 0.74 Fructose 0.99 1.02 1. 0 1
10 1.04 0.91 0.86 Sorbitol 0.D1 1. 0 1 1. 10 10 1.05 1.25 1.18 ト1anni to I 1.05 1.18 1.11 10 1.05 1.19 1.12 Du I c i to I 0.95 0.86 0.90
10 1.03 0.7~ 0.71
Gluconic acid 1.00 0.88 O.BO 10 1.02 0.90 O.QO Glucuronic acid 0.88 0.68 0.78 10 1.33 0.95 O. 7:~
Galaturonic acid 1.00 0.89 0.81 10 1.01 0.74 0.74
Cellobiose 0.98 0.85 0.88
10 1.08 0.82 0.77 Raffinose 1 .04 0.72 0.70 10 1.05 0.67 0.65 Trehalose 1.05 O.Dl 0.88 10 1.04 0.86 0.84 D‑glucosarnine 0.98 0.D6 0.9D 10 0.74 0.81 1. 11 Sorbose 1.01 0.9D 1.00 10 0.84 0.87 0.94
一 一 一 一 一 一 一 一 一 一一 一
ュ ら
第 3 項 多 糖 類 、 食 物 繊 維 の 細 胞 増 殖 、 抗 体 産 生 に 及 ぼ す 影 響
ア ル ギ ン 酸 ナ ト リ ウ ム 、 κ ー カ ラ ギ ー ナ ン 、 入 ー カ ラ ギ ー ナ ン 、 カ ー ド ラ ン 、 シ ト ラ ス ベ ク チ ン 、 デ キ ス ト ラ ン 硫 酸 カ リ ウ ム は 和 光 純 薬 ( 株 〉 、 ガ ラ ク ツ ロ ン 酸、 ア ラ ビ ア ガ ム 、 ロ ー カ ス ト ビ ー ン ガ ム 、 ベ ク チ ン 酸 ナ ト リ ウ ム は Sigma社、 グ ル コ マ ン ナ ン は General N u t r i t i 0 n 社、 ア ラ ビ ノ ガ ラ ク タ ン は Extrasynthese社、 ガ ラ ク タ ン は Aldrich Chemical社、 キ サ ン タ ン ガ ム は Jungbunzlauer社 製 を 用 い た 。 キ ト サ ン は 加 ト 吉 ( 株 ) よ り 提 供 を 受 け た 。
第 3 表 に 示 し た よ う に 、 多 糖 類 は 、 顕 著 な 細 胞 増 殖 は 示 さ な か っ た 。 一方、 抗 体 産 生 は カ ド ラ ン 、 デ キ ス ト ラ ン 硫 酸 、 ア ル ギ ン 酸 ナ ト リ ウ ム 、 キ シ ラ ン で 阻 害 さ れ 、 ロ ー カ ス ト ビ ー ン ガ ム 、 シ ト ラ ス ベ ク チ ン 、 キ サ ン タ ン ガ ム 、 キ ト サ ン で 促 進 さ れ た 。
第 4 項 ロ ー カ ス ト ビ ー ン ガ ム 及 び ベ ク チ ン の 添 加 量 に よ る 細 胞 増 殖 と 抗 体 産 生 へ の 影 響
第 3 項で、 1 P S F 活 性 の 認 め ら れ た 、 ロ ー カ ス ト
2 7
第3表 各種多熔類のHBLIC5細 胞 に お け る 増 姑 及 ひ 抗 体 産 生への 彫誉
一 一 一 一 一 一
添加重 相 対 細 胞 数 相 対 抗 体 量 相対抗体生産量:
〈μg/ml)
一 一 一 一
Arab i c gum 100 1.10 0.81 O.日2 1000 1.09 1.23 1.12 Arab i noga I actan 100 1. 00 0.9Q O.リ!1 1000 1. 07 0.80 0.74 κ‑carrageenan 100 0.94 O.Q!) 1.0;‑) 1000 0.97 0.90 0.Q2
入‑carrageenan 100 0.99 0.63 0.63 1000 0.86 0.64
0 . 7
L} Chitosan 1. 23 7.30 5.8310 0.67 4.41 6.58 Curdlan 50 0.99 0.59 0.59 500 0.83 0.55 0.s6 Dextran sulfate 100 1. 01 0.59 0.58 1000 1. 04 0.44 0.42 Galactan 100 0.95 0.9;) 1.00 1000 0.85 1.04 1.22 Glucomannnan 50 0.94 0.87 0.87 500 0.84
o . r m
1.04 LocustLJean gum 100 1. 35 2.51 1.85 1000 1. 72 5.43 :S. 15 Pect i n 100 0.94 1 . 1/1 1. 21 1000 0.97 2.33 2.40 Pect i c ac i d 100 0.Q2 0.71 0.77 1000 0.8D 0.72 0.80 Sodiuln alginate 100 1. 03 0.70 0.68 1000 1.03 0.7G 0.7 3: Xanthan gum 100 0.93 1.56 1.67 1000 0.B6 1. 51 1.57 Xylan 100 0.98 0.630 . 5
L}1000 0.83 0.53 0.47
2g
ビ ー ン ガ ム 及 び ベ ク チ ン の 添 加 量 に 対 す る H I3 4 C 5 細 胞 増 殖 お よ び 抗 体 産 生 量 を 調 べ た 。 第
3
図 に 示 し た よ う に 、 ベ ク チ ン は 、 ほ と ん ど 細 胞 増 殖 作 用 を 示 さ ず 、 500μg /m
1以 上 の 添 加 で は じ め て 抗 体 産 生 の 増 加 が 認 め ら れ 、 lmg/ ml 添 加 で 無 添 加 の 約 2. 5 倍 の { 直 を 示 し た。 ロ ー カ ス ト ビ ー ン ガ ム は 、 高 濃 度 で わ ず か な 細 胞 増 殖 促 進 作 用 を 示 し た 。 また、 200μg /m
1以 上 の 添 加 で 抗 体 産 生 の 増 強 が み ら れ 、 1 m g / m 1の 添 加 で 無 添 加 の 3倍 強 の 値 を 示 し た 。第 5 項 フ ェ ノ ー ル 化 合 物 類 の ラ ッ ト D N A 切 断 試 験 と H B 4 C 5 細 胞 を 用 い た 検 定 と の 比 較
山 田 ら は 、 精 製
D N A (
i n v i t ro ) 及 び 培 養 ほ 乳 類 細 胞 を 用 い て ボ リ ブ エ ノ ー ル 類 の D N A 切 断 試 験 を 行 い、 多 く の ブ エ ノ ー ル 化 合 物 が D N A 切 断 能 を 有 す る こ と を 確 認 し て き た 3 2 • 3 3 • 5 6 • 6 6) 。 そ こ で 、 ヒ ト 型 ハ イ ブ リ ド ー マ 細 胞 を 用 い て 、 D N A 切 断 試 験 と の 比 較 を 行 い 、 ヒ ト 型 ハ イ ブ リ ド ー マ を 用 い た 検 定 法 の 物 質 の 安 全 性 検 定 代 替 へ の 可 能 性 を は か っ た 。1
共 試 物 質 は 、 カ テ コ ー ル 、 レ ゾ ル シ ノ ー ル 、 ハ イ ド ロ キ ノ ン 、o
‑ア ミ ノ フ ェ ノ ー ル 、 旦二一ア ミ ノ ブ ヱ ノ ー ル 、 立 二 フ ェ ニ レ ン2 f
/
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( μ g / m l )
胞
絢5 C 4 B H る よ
ン
チhノベ び 及 ム
ガン
ピ' h
ス
aカ
一量
生 るロ産
体 な 抗 異 び量 の及 殖
加 増 添 の図
つ り
第
6: ベクチン添加時の細胞数、.A:ローカストビーンガム添加
11寺の細胞数
0: ベクチン添加時の抗体重、・:ローカストビーンガム添加時の抗体量
ジ ア ミ ン 、 旦二ブ エ ニ レ ン ジ ア ミ ン 、 旦二ブ エ ニ レ ン ジ ア ミン、 ビ ロ ガ ロ ー ル 、 没 食 子 酸 、 コ ー ヒ ー 酸 、 o
‑クマ
リ ン 酸 、 フ ヱ ル ラ 酸 、
L
‑ドーパ、 ド パ ミ ン 、 エ ビ ネ プ リ ン 、 ノ ル エ ビ ネ プ リ ン 、 メ タ ネ プ リ ン (Sigma)。 基 本 骨 格 は 、 第 4 図に、 官 能 基 は 第 4 表 中 に 示 した。結 果 は 、 第 4 表 に 示 し た 。 単 純 ボ リ ブ ヱ ノ ー ル 類 の 中 では、 o ‑ 及 び 旦 二 誘 導 体 、 例 え ば カ テ コ ー ル や ハ イ ド ロ キ ノ ン と い っ た 物 質 は 、 強 い D N A 切 断 活 性
v
i V 0 ) を 刀 て し た が 、 m ‑ 誘 導 体 〈 レ ゾ ル シ ノ ー ル 〉 は 切 断 活 性 は 示 さ な か っ た 。 ア ミ ノ フ 工 ノ ー ル や フ ェ ニ レ ン ジ ア ミ ン の D N A 切 断 活 性 も 立 二 及 び 旦二誘 導 体 で 見 ら れ た が 、 そ の 活 性 は ジ フ ェ ノ ー ル に 比 べ て 低 い も の だ った。 し か し 、 H B 4 C 5 細 胞 で の 細 胞 増 殖 や 1 g M 産 生 の 阻 害 効 果 で は ジ ブ ヱ ノ ー ル 類 と 同 等 の 強 さ が 観 察 さ れ た 。 ビ ロ ガ ロ ー ル や 没 食 子 酸 と い っ た ト リ ブ エノ ー ル は 、 H B 4 C 5 細 胞 に は 非 常 に 毒 性 が 強 く 、 '、,‑ヲ‑ れ は
D N A
切 断 試 験 (in
V i tr o
) で 得 ら れ た 結 果 と 同 様 で あ っ た 。 カ テ コ ー ル ア ミ ン の 場 合 、 す べ て の ジ フ ヱ ノ ー ル 類 は 強 い D N A 切 断 能 (in v
i tr o
) を 有 す る 。 そ の 中 で も 、 エ ビ ネ フ リ ン や ノ ル エ ビ ネ プ リ ン は ラ ツト 胎 児 肺 細 胞 の D N A も 切 断 す る が 、 L ‑ ド ー パ は 切 断 し な い 。 こ の カ テ コ ー ル ア ミ ン 類 の 細 胞 D N A 切 断 能