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[博士論文審査要旨]

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Academic year: 2021

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[博士論文審査要旨]

申請者:宍戸 拓人

論文題名「多次元的視座に基づくコンフリクトの要因・結果の検討」

審査員 沼上 幹 軽部 大 守島 基博

本論文は,組織内で発生するコンフリクト(紛争)を3つの次元で捉え,その各次元が それぞれ異なる原因変数および結果変数と関連していることを実証的に明らかにしていく ことを目指している.ここでコンフリクトの 3 次元とは,①タスク・コンフリクト(何を なすべきかについての紛争),②エモーショナル・コンフリクト(人間関係の良い悪いとい う感情的な紛争),③プロセス・コンフリクト(どのように行なうべきかという手続きや手 段に関する紛争)の3つである.本論文は,既存のコンフリクト研究について広範な文献 レビューを丁寧に行なった上で,日本企業の 139 個のビジネス・ユニットから構成される データベースを用いて,3種類のコンフリクトとその原因との関係,またそれがもたらす 結果との関係を実証的に明らかにする作業を行ない,いくつかの重要な知見を提出してい る.たとえば,原因側に注目するならば,タスク・コンフリクトは,リーダーが具体策を 発信しているほど減少するという傾向が見られるのに対し,エモーショナル・コンフリク トは,リーダーが組織メンバーの声に耳を傾けるほど低下する傾向が見られる,という知 見などがその典型であろう.また,結果側に注目するならば,エモーショナル・コンフリ クトとタスク・コンフリクトは組織メンバーの職務満足度を下げるが,プロセス・コンフ リクトは組織メンバーの満足度とは関係がない,という点も本論文の生み出した知見の1 つである.

本論文の優れた点は,まず第 1 に,組織内のコンフリクト研究に関して包括的なレビュ ーが行なわれ,丁寧な整理が出来ている点である.第 2 に,コンフリクトの諸次元の確証 的因子分析等,丁寧な実証作業が行なわれている点もあげられる.本論文には問題点も存 在する.最も重要な問題点は,変数間の統計的な関係が,どのような社会的プロセス・メ カニズムによって生み出されているのか,という社会科学的思考の部分が弱い点であろう.

背後のメカニズムを深く思考することで,本来取り込むべき変数をモデルに含めることが 出来ていたら,更に説得力の高い議論や魅力的な議論が展開できたのではないかと思われ る.また,構成概念妥当性の問題が見られる箇所や,因果関係ではなく同語反復的な変数 間関係が疑われる部分も残されている.

しかし,このような問題があるにもかかわらず,これらは本論文が生み出している知的 貢献を打ち消すほどのものではなく,本論文は一定レベルの学術的貢献を生み出している と審査員一同は考えている.よって,審査委員一同は,所定の試験結果をあわせて考慮し て,本論文の筆者が一橋大学学位規則第5条第1項の規定により一橋大学博士(商学)の 学位を受けるに値するものと判断する.

参照

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