博士(工学)金 贏載 学位論文題名
都市ごみ固形燃料生産に関する研究 学位論文内容の要旨
都市ごみを利用するごみ固形燃料(RDF)生産は,ごみを資源として見直し,積極的に ごみの持つエネルギーを回収しようとするものである。特に中小規模の都市においては,
RDF生産施設がごみ焼却施設の代替システムとして,また,地域における燃料供給施設と なることが期待されている。本研究では,都市ごみから生産されるRDFの性状を調査検討 すると共に,物質収支,エネルギー,コスト,環境影響の面から調査解析し,RDF生産シ ステムの評価を行った。以下に本研究の内容をまとめる。
1章 で は , 本 研 究 の 目 的 , 内容 お よ びRDF生 産技 術の概 要に つい て述 べて いる 。 2章では,日本におけるRDF生産施設の現状を明らかにするとともに,本研究の調査対 象施設および自治体の概要について述ぺている。
3章では,事業系ごみからRDFを生産するS施設を対象とし,1年半にわたって行った 調査のまとめである。調査では搬入ごみが破砕・選別・貯留・混合・成形とぃったブロセス を経てRDFが生産されるまでの各プロセスの流入・流出部におぃてサンブリング・分析を 継続的に行い,次の結果を得た。
破砕ごみの組成およびRDF性状は短時間における変動は大きい。しかし,かさ密度を除 けば年間を通して安定したRDFが生産されている。RDF性状を変動させる要因は主とし て水分,不燃物,プラスチック割合などであり,水分,不燃物(灰分)は木ラインに投入さ れる木に付着しており,その管理が必要である。さらにプラスチック割合を現状の10%か ら高めること,木と紙の混合割合を一定に保つよう管理することが良質なRDFを作る上で 重要である。また,システム内の物質収支を最小二乗法により求め,施設内の物質の流れを 明らかにする方法を示した。
4章では,原料ごみ質が異なる家庭系ごみからRDFを生産している4つの施設を対象と して,1年にわたって調査を行い,次の結果が得られた。
施設間の原料ごみ質は,分別方法の違いにより厨芥とプラスチック割合に差がある。厨芥 割合が高いと不燃物の付着が多くなるため灰分が高くなり,含水率を10%以下に抑えない と貯蔵の際に腐敗の可能性がある。厨芥混入量の指標として腐敗性炭素を提案した。ブラス チックは発熱量を高くするが,揮発性塩素畳も高くする。家庭系ごみの組成に近い原料を用 いているH,N施設では塩化水素ガス発生は問題になる水準ではないが,RDF原料ごみ中 のブラスチック割合が高いF,G施設では塩ビ混入率も 高いと推定され,塩ビ搬入をコント ロールするか,高温燃焼を避けるなどの対策が必要である。なお,各施設ともに年間を通し
て安定した燃料特性を持つRDFが生産されている。
5章では ,S施設にお けるRDF生産 ・利用シ ステムを対象として,エネルギー分析の方 法によってエネルギ一評価を行った。´
計算では単にRDF生産施設に出入りするエネルギーのみならず,ごみの収集・運搬から 埋立処分までを含めてトータル的にとらえ,他のシステムにも適用できる計算手法を整理し た。RDF生産・利用システムはエネルギーをより多く消費するが,外部へ供給できる生産 エネルギーは間接及ぴ直接投入工ネルギーを上回っている。なお,比較のため,札幌市の4 つの清掃工場についても解析した。RDF生産・利用の正味のエネルギー収率は,日本で最 もごみのエネルギー利用効率が高い厚別清掃工場とほぽ同じであり,エネルギー面からみて 有効なシステムであることが分かった。
6章では ,RDF生産・利用システムについて,物質収支,工ネルギー,コスト,環境影 響の面から現存施設の評価を行った。
各施設の物質収支は,搬入・搬出量などの実績をもとにまとめ,限られた測定データから 各プロセスにおけるごみ組成を計算する手順を示し,H,N施設において有効に適用できる ことを示した。
さらに,5章で整理したエネルギー評価の計算手順によりS施設以外の調査対象施設も評 価し,同一の尺度で比較した。RDFの持つエネルギーより,投入されるエネルギーの方が 多くなるとエネルギー論的にRDF生産の意味がなくなるので,正味のエネルギ一収率が正 か負かはひとつの目安となる。正味のエネルギー収率はN,F,S施設で正となり,エネル ギー的に有効であったが,H,G施設では負となった。Gは正常な運転状態でないためこの ような結果になった。また,H施設においては原料ごみの乾燥効率の改善が必要である。
また, 調査対象施 設につい てコスト 面から評 価を行っ た。10 t/d程度 の小規模施設 H,N,F施 設で家庭系 ごみからRDFを生産す ると,搬 入ごみト ンあたり3.3万円〜5.0万 円(イニシャル十ランニングコスト)であり,大規模施設で事業系ごみを用いるS施設では スケールメリットにより2万円/tであった。
RDF生産に よる環境影響はRDF燃焼利用時,および燃焼灰の埋立処分時に生じるため,
燃焼排ガスのばぃ煙と燃焼灰中の重金属について考察した。RDF原料ごみの家庭における 分別,および施設における不適物の除去によりRDF中,燃焼灰中の重金属含有畳はそれぞ れ可燃ごみ,焼却灰より少なく,埋立処分基準を満たしている。燃焼排ガスはサイクロン設 置で排ガス規制基準をクリアできる。また,ごみをRDFにすることにより均質な固形燃料 が生産され,安定した燃焼が可能となり,ダイオキシン類の発生が押さえられると思われる。
7章では,本論文の最終章として6章までの知見を総合化することを目的とし,原料ごみ の分別 方法の一般 的なモデ ルに基づ ぃてRDF生産 コストお よびRDF生産 ・利用のエネル ギー収率について述べた。なお,熱利用施設の形態と必要熱量を整理してRDF利用可能性 を検討し,原料ごみからブラスチック排除による揮発性塩素発生量削減の効果について述べ た。
以上のように,都市ごみから分別された,各種のごみ原料を用いたRDF生産施設につい て生産されたRDFの特性,施設の物質収支,工ネルギ一収支,コスト収支,環境影響面か ら評価を行い,都市ごみからRDFを生産する施設の特徴,課題などを明らかにした。また,
得られた結果は,ごみの資源化有効利用施設としてのRDF生産施設の計画およぴ運転管理 において有益な知見であり,ごみ処理施設面からみて都市ごみRDF生産はごみ焼却と肩を 並べうる有効な中間処理方法となり得ることを示した。
学位論文審査の要旨 主 査 , 教 授 田 中 信 壽 副 査 教 授 落 藤 澄 副 査 教 授 工 藤 一 彦 副査 助教授 松藤敏彦
学 位 論 文 題 名
都 市ごみ 固形燃料生産に関する研究
まず 、@ プラス チックを除く可燃ごみ、@厨芥を除く可燃ごみ、◎紙・プラスチックの 一 部 、 @ プ ラ ス チ ッ ク の み 、 ◎ 事 業系 ご み を 各 々 原料と する5つ のRDF施設 にお いて 、 RDF性 状 な ど の 変 動 特 性 を 約1年 に わ た っ て 測 定 を 行 い 、 安 定 し た 良 好 な 性 状 のRDF が 生 産 さ れ て い る こと を確か め、 各実 施設 の物 質収 支も 明ら かに して いる 。ま た、RDF 貯 蔵 時 の 腐 敗 を 防 ぐ た め に は 厨 芥 を含 む ご み か ら 生 産 し たRDFでは 含 水 率 を10%以 下 に する べき こと、 原料ごみに含まれるプラスチック量が多いほど塩ピ含有率が高いことな どを明らかにしている。
さ ら に 、 各 実 施 設の エネル ギー 評価 を行 い、 都市 ごみRDF生 産は エネ ルギ ー的 に有 効 な 熱回 収技 術であ ることを示し、っづいて各施設のコストを調査して搬入ごみ量当たりの コストでは同規模のごみ焼却施設とほぽ同じコストであることを示している。しカゝし、R DF熱 量 当 た り の コ ス ト か ら み てRDFを 商 業 的 に 生 産 す る 工 場 と して の 実 現 可 能 性は 乏 しいことを示している。
ま た 、RDF燃 焼 時 のぱ いじ ん及 ぴ燃 焼灰 中重 金属 につい て文 献調 査や 分析 を行 い、 ぱ い じん に関 しては サイクロンやバグフイルタ―による集塵が必要であること、プラスチッ ク に 含 ま れ る 塩 ピ 量に よって は塩 酸ガ ス対 策が 必要 であ るこ と、 またRDF中 の重 金属 量 は可燃ごみより少ないことなどを明らかにしている。
最 後 に 、RDF施 設 のご み原 料を 、@ 厨芥 、紙 、プ ラスチ ック など の全 可燃 ごみ 、@ 厨 芥 を排 除し た分別 可燃ごみ、◎プラスチックを排除した分別可燃ごみに設定するシナルオ を 考え 、物 資収支 、コスト、エネルギー収率、揮発性塩素量を、種々の人口規模や分別協 力 度に つい て計算 を行い、人口規模が小さくなるとコスト増やエネルギー収率の悪化が起 こ るこ と、 厨芥排 除を 進め ると ごみ 処理 コス トは 増加 する こと 、プ ラスチ ックを50%以 上 排除 する と塩酸 ガス対策を行わなくてもよいが多く排除するとエネルギー効率が悪化す る こと 、高 い含水 率の厨芥を原料ごみにしたり、ごみの乾燥効率が悪いとエネルギー効率 が負となる可能性があることなどを明らかにしている。
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