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博 士 ( 工 学 ) 岩 路 善 尚 学 位 論 文 題 名

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 岩 路 善 尚

学 位 論 文 題 名

半 導 体 電 力 変 換 装 置 の PWM 制 御 に 関 す る 研 究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  電 力 用 半 導 体 デ バ イ ス の 発 達 に 伴 い 、 イ ン バー 夕、 コン バ一 夕 等の 半導 体電 力 変 換装 置が 急 速に 普及 した 。そ の 応用 範囲 は、 産 業分 野を はじ め、 交 通輸 送分野、

家 庭 電 器 、 電 子 装 置 用 電 源 、 無 停 電 電 源 等 に 及ぷ 。特 に、 イン バ 一夕 を用 いた 交 流 電 動 機 の 可 変 速 駆 動 は 、 交 流 電 動 機 の 制 御 性を 大幅 に改 善す る と同 時に 、省 エ ネ ル ギ ー 、 保 守 の 省 力 化 が 達 成 で き る た め 、 産業 界に 与え た影 響 は大 きい 。し か し 、 こ れ ら 半 導 体 電 力 変 換 装 置 が 発 生 す る 高 調波 に基 因す る各 種 の障 害が 問題 に な っ て い る 。 そ こ で、 高調 波の 少ナ ょ いPWMパ ルス パタ ーン を作 る こと によ って 、 イ ン バ 一 夕 で は 駆 動 電 動 機 の ト ル ク 脈 動 や 電 磁騒 音の 低減 、コ ン バー タで は誘 導 障 害等 の高 調 波障 害の 除去 が重 要 な研 究課 題と な る。

  半 導 体 電 力 変 換 装 置 の 開 発 と 同 時 に 、 制 御 用マ イク 口プ ロセ ッ サも 急速 な進 歩 を 遂 げ た 。 当 初 、 シ ス テ ム 制 御 の 領 域 で 用 い られ てい たマ イク ロ プロ セッ サは 、 そ の 後 の 処 理 能 カ の 高 性 能 化 に よ っ て 、 よ り 変換 回路 動作 に近 い 部分 への 適用 が 可 能 に な っ た 。 こ れ に よ り 、 パ ワ ー エ レ ク ト ロニ クス 分野 は、 新 しい 局面 を向 か え る 。 す な わ ち 、 そ れ ま で ア ナ 口 グ 回 路 で 行 っ て い たPWMパ ル ス の 発 生 が 、 マ イ ク ロ プ ロ セ ッ サ を 用 い た デ ジ タ ル 回 路 に よ って 実現 可能 にな っ た。 その 結果 、 従 来 の ア ナ 口 グ 回 路 で は 実 現 の 困 難 で あ っ たPWMパ ル ス パ タ ー ン の 低 ひ ず み 化 や 、 制 御 目 的 に 応 じ たPWM方 式 の 実 現 等 、 ソ フ ト ウ ェ ア の 融 通 性 を 活 か し たP WM制 御 が 可 能 と な る 。 し か し そ の 一 方 で 、 デ ジ タ ル 回 路 に 適 し た 各 種PWM 式 の 基 本 的 な 特 性 、 評 価 方 法 等 、 理 論 的 な 考 察が 不十 分で あり 、 フア ルタ ー等 回 路 パ ラ メ ー タ の 決 定 に は 、 実 験 や シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に 頼 っ て い る 部 分 が 多 い 。   本 論 文 は 、 こ の よ う な 観 点 か ら 、 マ イ ク 口 プ 口 セ ッ サ に よ る 最 適 なPWMパ ル

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算法を研究し、まとめたものである。本論文は、ソフトウェアによるPWMパル スの発生という点で一貫しており、その基本的な技術は空間ベクトルを用いたP WM制御法である。

  本論文におけるPWM方式の大きな特徴は、負荷の口ーパス特性を考慮した上 でPWMパル ス を作 成 してい る点にあ る。従来 のPWM方式がPWM波 形自身に 含まれる高調波成分を重視していたのに対し、本論文では負荷の特性を考慮レ、

負荷電流に含まれる高調波に相当する評価指数を定義して、その最小化を行って いる。これによって、誘導電動機等を駆動した際に出力電流に含まれる高調波成 分 は 最 小 化 さ れ 、 ト ル ク 脈 動 や 、 電 磁 騒 音 の 低 滅 が 可 能 と な る 。   第1章では、半導体電力変換装置を研究する意義、本研究の目的等について述 べている。

  第2章 では、電 圧形PWMイン バ一夕を取り上げ、本論文で扱うPWM方式の 基本となる考え方とPWMパルスパターンの位置による最適化法にっいて述べて いる。まずはじめに、アナログ回路でのPWM方式の代表である三角波比較方式 について、その動作を説明し、提案する方式との相違点を明確にする。次に、本 論文におけるPWM方式の基本的な考え方である空間ペクトル法について述べる。

三相電力変換器の場合、空間ペク卜ルを用いることで、三相の出力波形の対称性 を容易に考慮でき、零相成分を削除できる利点がある。この章では、サンプリン グ周期(PWMパルスを作成する周期)を一定とし、その中でパルスの位置を変 数に取り、評価指数の最小化を行い、PWMパルスパターンの最適化を行ってい る。このようにして得られたパルスパターンは、出力位相角指令に対しては複雑 な依存性を示すものの、出力振幅指令に対しては線形となるため、位相角に対す るテーブルさえ準備すれば、極めて簡単な演算により任意位相、任意振幅のPW M制御が可能になる。

  第3章では、出力波形の改善をより大幅に行うために、出力位相角に依存させ て、サンプリング周期を変化させている。第2章で提案した評価指数は、出力位 相角に対して強い依存性を示している。そこでこの位相角に対する依存性を低滅 することで、ト―夕ルとしての評価指数を改善しようというのがこの章の目的で ある。具体的には、変調波関数とその周波数変調率を定義して評価指数を最小化 し、PWMパルスパターンの最適化を行う。この手法をキャリア周波数変調法と 呼び、出力電流のひずみ率、低次高調波成分、誘導機駆動時のトルク脈動の改善

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  第4章 は 、 電圧 形PWMコ ン バー タの制 御法と 、回路パ ラメ一 夕の決定 法につ いて 論じている。コンバータは、三相交流電源から直流電源を得る電力変換装置 であ り、入 力力率を1、 正弦波状の入力電流を達成すると同時に、出力直流電圧 を一 定に制 御するこ とを目 的としている。正弦波状の入力電流を得るため、第2 章 で 述 べ たPWM方 式 を 導入 し て い る。PWMコ ン バ ータ は 、 制御 対 象 が複 雑 で ある ため、これまではシステムのコントローラ設計を重視して研究が進められて きた。本章では、最適レギュレー夕技法を用いたコントローラの設計法と同時に、

回路 パラメータの決定法を提案している。回路パラメータは、装置の大きさ、高 調波 含有率等を左右する値であり、重要視されるべきものである。ここでは、ひ ずみ 特性因子を定義し、それを用いたひずみ率の計算法を提案し、ひずみ率から 回 路 パラメ ータの決 定を行 っている 。ひずみ 特性因 子は、各PWM方 式が持っ て いる 固有の 因子であ り、そ の原点は、第2章で提案した評価指数の考え方に基づ いて いる。ひずみ特性因子によって、実験やシミュレーションを行うことなく、

簡便で汎用性の高いひずみ率の計算が可能になる。

  第5章は 、半導体 電力変 換器におけるスイッチング周波数の高周波化に伴う問 題を論じている。電圧形インバ一夕の場合、半導体デバイスのOFF時間の遅れによ る電 源短絡を防止するため、アーム短絡防止期間を設ける必要がある。この期間 は通 常サンプリング周期に比べて十分短い値に設定されるため無視できたが、ス イ ッ チング 周波数の 増加に 伴い、出 力波形の ひずみ の原因と なる。 また、PWM 制御 に用いるマイクロプロセッサにおいては、パルス発生の基準となるタイマー の分 解能の影響が、スイッチング周波数の増加と共に無視できなくなる。これら に つ いて 、 ソ フ トウ ェ ア 上の 補 償 法、 な ら びに 新 し いPWM方式を 提案する 。   第6章 は 、 ひず み 特 性因 子 を 基に、本 論文に おけるPWM方式 を総合的 に評価 している。まず初めに、ひずみ特性因子による誘導機駆動時の出力電流ひずみ率、

トル ク脈動 率の計算 法を述 べ、ひず み特性 因子の物 理的意味を説明し、各種PW M方 式の 比 較 を 行う 。 さ らに 多 重PWM方式に おけるひ ずみ特性 因子を 求め、そ の特性変化を比較する。

  第7章で は各章の 特徴と 得られた結果をまとめ、今後の研究課題について述べ

(4)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教 授 教 授 教 授 助教授

土谷 深井 長谷川 福田

武士 一郎     z 昭治

学 位 論 文 題 名

半 導 体 電力 変 換 装置 のPWM制 御 に関 する研 究

  半導体電力変換装置を用いることにより、省エネルギーや省保守が達成できる ため、製 造産業分野や交通輸送分野等に広範囲に用いられている。その主要な制 御 方 法 は パ ル ス 幅 変 調 法(PWM)で あ る 。 し か し 反 面 、PWM制 御 は 高 調 波 の 電圧や電 流を発生するという問題を抱えている。そこで、できるだけ高調波の少 ないPWMパ ルスパ 夕一ンを 作成し 、高調波 障害の除 去を行 うことが 、重要 な研 究課題である。

  本 論 文は、 このよ うな観点 から、 最適なPWMパル スパター ンの作成 方法と 、 その評価 方法、ならびに高調波によるひずみ成分の計算法を提案し、論じたもの である。本論文は7章より構成されている。

  第1章 では、 半導体電 力変換 装置を研究する意義、本研究の目的等について述 べている。

  第2章 で は 、 電 圧 形PWMイ ン バ ー タ を 取 り 上 げ 、 本論 文 で 扱うPWM方 式 の 基本 と なる 考え方 と、PWMパルス パターン の位置に よる最 適化法に ついて 述べ てい る 。 サン プ リ ング 周 期(PWMパ ルスを作 成する 周期)を 一定とし 、その 中 でパルス の位置を変数に取り、高調波電流の実効値に相当する評価指数の最小化 を行 い 、PWMパル スパ夕一 ンの最 適化を行 っている 。この ようにし て得ら れた パルスパ夕一ンは、出力位相角指令に対しては複雑ナょ依存性を示すものの、出力 振幅指令 に対しては線形となるため、位相角に対するテープルさえ準備すれば、

極め て 簡 単な 演 算 によ り 任 意 位相 、任 意振幅の 出力波 形が実現 可能に なる。

  第3章 では、 出力波形 の改善 をより大幅に行うために、出力位相角に依存させ て、サン プリン グ周期を 変化さ せ、パタ―ンの最適化を行っている。第2章で用 いた評価 指数は、出力位相角に対して強い依存性を示している。そこで、この位 相角に対 する依存性を低減することで、トータルとしての評価指数を改善しよう

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というのがこ の章の目的である。具体的には、変調波関数とその周波 数変調率を 定 義し て評 価指 数を 最小 化 し、PWMパル スパ ター ンの 最 適化 を行 って いる 。こ の手法をキャ リア周波数変調法と呼び、出力電流のひずみ率、低次高 調波成分、

誘導機駆動時 のトルク脈動の改善が可能になる。

  第4章 は 、 電 圧 形PWMコ ン バー タの 制御 法と 、回 路 パラ メ一 夕の 決定 法に つ いて論じてい る。コンバータは、三相交流電源から直流電源を得る電 力変換装置 で あり 、人 力力 率を1、正弦波状の入力電流を達成す ると同時に、出力直流電圧 を 一定 に制 御す るこ とを 目的としている。正弦波状の入力電流を得るため、第2 章 で 述 べ たPWM方 式 を 導 入 し て い る 。PWMコ ン バ 一 夕 は 、 制 御 対 象 が 複 雑 で あるため、こ れまではシステムのコント口一ラ設計を重視して研究が 進められて きた。本章で は、最適レギュレー夕技法を用いたコン卜口ーラの設計法と同時に、

回路パラメー タの決定法を提案している。回路パラメータは、装置の 大きさ、高 調波含有率等 を左右する値であり、重要視されるべきものである。こ こでは、ひ ずみ特性因子 を定義し、それを用いたひずみ率の計算法を提案し、ひ ずみ率から 回 路パ ラメ 一夕 の決 定を 行 って いる 。ひ ずみ 特性 因子 は、 各PWM方式 が持 って い る固 有の 因子 であ り、 その原点は、第2章で提案し た評価指数の考え方に基づ いている。ひ ずみ特性因子によって、実験やシミュレ―ションを行う ことなく、

簡便で汎用性 の高いひずみ率の計算が可能になる。

  第5章 は、 半導 体電 力変換装置におけるスイッチン グ周波数の高周波化に伴う 問 題を 論じ てい る。PWM制 御で は、 スイ ッチ ング 周波 数 の高 周波 化に 伴い 、そ れまで無視で きたア―ム短絡防止期間や、マイクロプ口セッサーのタ イマーの分 解能の影響が 大きくなり、出力波形のひずみの原因になる。これらに ついて、ソ フ トウ ェア 上で の補 償法 、 なら びに その 影響 を受 け難 い新 しいPWM方 式を 提案 している。

  第6章 は 、 ひ ず み 特 性 因 子 を基 に、 本論 文に おけ るPWM方式 を総 合的 に評 価 している。ひ ずみ特性因子による誘導電動機駆動時の出力電流ひずみ 率、トルク 脈 動率 の計 算法 を述 べ、 ひ ずみ 特性 因子 の物 理的 意味 を説 明し 、各 種PWM方式 の 比較 を行 って いる 。さ ら に多 重PWM方 式に おけ るひ ず み特 性因 子を 求め 、そ の特性変化を 比較している。

  第7章 は結 論で あり 、以 上の まと めと 今後 の研 究課 題 につ いて 述べ てい る。

  以上 のよ うに 、本 論文 は 半導 体電 力変 換装 置のPWM制 御時 の最 適な パル スパ ターン作成法 、ならびに解析法に関して、多くの有用な知見を与えるものであり、

パヮーエレク ト口ニクス、ならびに電気機器工学に貢献するところ大 である。よ っ て 、 著 者 は 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 の あ る も の と 認 め る 。

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