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博士(工学)阿部学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博 士 ( 工 学 ) 阿 部 学 位 論 文 題 名

J 日日

積層された平板および扁平殻の非線形振動に関する研究 学位論文内容の要旨

  複 合 材 料 の 中 でFRP(Fiber Reinforced Plastics)に 代 表 さ れ る 繊 維 強 化 複 合 材 料 は , 比 強 度 と 比 剛 性 に 優 れ て お り , 腐 食 が 生 じ な い こ と な ど の 特 性 を 有 し て い る こ と か ら , 広 く 工 業 分 野 で 用 い ら れ て い る , 特 に , 軽 量 化 が 性 能 向 上 に 重 要 な 役 割 を 果 た す 航 空 機 や 宇 宙 機 器 の 分 野 で は 広 く 使 用 さ れ て お り , 現 在 で は 旅 客 機 の 主 要 部 品 と し て 使 用 さ れ る ま で に な っ て い る . こ の よ う に 繊 維 強 化 複 合 材 料 の 需 要 が 増 加 す る に っ れ ,FRPの も う ー つ の 特 徴 で あ る 異 方 性 に 関 す る 考 慮 が 必 要 と な り , 静 特 性 の み な ら ず 動 特 性 を も 十 分 に 把 握 す る 必 要 性 が 高 ま っ て き て い る . ま た , 近 年 の 工 業 分 野 に お け る 機 械 の 高 速 化 , 軽 量 化 あ る い は エ ネ ル ギ ー コ ス ト の 低 減 の 観 点 よ り , 構 造 部 材 は 厚 肉 か ら 薄 肉 の も の へ と 変 わ っ て き て お り , 非 常 に 振 動 が 生 じ 易 い 状 況 と な っ て い る . し た が っ て , 今 後 ま す ま す 用 途 が 拡 大 す る で あ ろ う 繊 維 強 化 複 合 材 料 か ら な る 薄 肉 構 造 物 の 振 動 特 性 を 理 解 す る こ と は 工 学 的 か つ 工 業 的 に き わ め て 重 要 で あ る . こ の よ う な 状 況 を 踏 ま え , 本 研 究 で は 繊 維 強 化 複 合 材 料 か ら な る 平 板 お よ び 扁 平 殻 を 取 り 上 げ , そ の 非 線 形 振 動 の 解 析 法 と 振 動 特 性 に 関 す る 基 礎 的 研 究 を 行 っ た . 特 に , 複 合 材 料 の 非 線 形 振 動 挙 動 の う ち で 最 も 現 象 が 明 ら か に さ れ て い な い 内 部 共 振 に 着 目 し , こ の 共 振 に 及 ぼ す 積 層 形 態 な ど の 影 響 に つ い て 詳 細 に 検 討 し た .   本論文は全5章で構成されている.以下にそれぞれの章の概要を具体的に示す,

  第1章は緒論であり,本研究の目的と意義および各章の概要について述べた.

  第2章 で は , 周 辺 が 単 純 支 持 さ れ た 薄 肉 の 積 層 長 方 形 板 の 内 部 共 振 現 象 を 解 明 し た . こ こ で は ,

(i) 振 動モ ー ド (1,1) , (1,3) の 固有 振動数wl 甜2が3c01 C02なる 関係を 有する 場合, (め 振動モ ード(1,2),(2,1)の固有振動数が縮退する場合,および(iii)振動モード(1,1),(1,3),(3,1)の固有 振 動 数 の1 の2 甜3が2L02 t01十 甜3と な る 場 合 の3種 類 の 内 部 共 振 を 扱 っ た . な お , 振 動 モ ー ド(m,n) はx, ツ 方 向 の 半 波 数 が そ れ ぞ れm,nの モ ー ド を 意 味 す る . こ の 目 的 の た め , ハ ミ ル ト ン の 原 理 よ り 導 か れ る 運 動 方 程 式 に ガ ラ ー キ ン 法 を 適 用 し , そ れ ぞ れ の 内 部 共 振 解 析 に 対 す る モ ー ド 方 程 式 を 導 出 し た . こ の 方 程 式 に 摂 動 法 の 一 種 で あ る 多 重 尺 度 法 を 適 用 し , 各 主 共 振 付 近 の 定 常 状 態 に お け る 振 幅 , 位 相 お よ び 外 力 振 動 数 と の 関 係 式 を 求 め た . こ こ で , 本 研 究 で は 多 重 尺 度 法 に 基 づ く 解 の 精 度 を 向 上 さ せ る た め , 新 た な 離 調 度 を 提 案 し た . そ し て , 本 研 究 で 提 案 し た 離 調 度 お よ び 従 来 ま で 用 い ら れ て い る 離 調 度 に よ る ニ つ の 解 析 結 果 と , モ ー ド 方 程 式 を 直 接 数 値 積 分 し た 結 果 を 比 較 し , そ の 妥 当 性 と 有 効 性 , あ る い は 問 題 と な る 点 を 検 討 し た , そ し て , 3colー の2の 内 部 共 振 を 解 析 す る 場 合 , 従 来 用 い ら れ て い る 離 調 度 で は 数 値 積 分 か ら は 得 ら れ な い 偽 の 振 動 が 求 め ら れ る が , 本 研 究 で 提 案 し た 離 調 度 に よ っ て は こ の よ う な 振 動 は 得 ら れ ず , 非 常 に 有 効 で あ る こ と を 明 ら か に し た . 一 方 , 問 題 点 と し て は ,2t02ー の1十 甜3の 場 合 に 見 ら れ る よ

825

(2)

うに,この内部共振によって生じる三モード応答が数値積分結果より準周期的な応答であること が確認され,周期解としての解析解と矛盾することが挙げられる.このように妥当性が十分に検 討された解析解を用いて,繊維配向角,層数などの積層バラヌータや材料の異方性が内部共振現 象に与える影響が調べられた.さらに,縮退した振動モード持つ積層平板の応答において,ホッ プ分岐により安定性を失ったニモード応答が準周期的な振動となり,ついにはカオス振動に移行 す る こ と も ポ ア ン カ レ 断 面 お よ び り ア プ ノ フ 指 数 を 用 い て 明 ら か に し た .

  

3

章では,板の面外方向のせん断変形の影響を考慮に入れた,厚肉積層平板の分数調波振動 を解析した,はじめに,一次せん断変形理論を用いて積層平板の運動方程式を導出した.本章で は,板の 面外方 向に作用 する調 和励振カ の振動数

Q

が 基本振動 モードの固有振動数甜のほぼ

3

倍であるときの応答を調べるので,周辺が単純支持された板の変位をこの振動モードの固有関数 で近似した,次いで,運動方程式にガラーキン法を適用してモード方程式を導き,多重尺度法に より分数調波振動を調べた.ここで,多重尺度法による分数調波共振をより適切に解析するため,

新たな離調度を採用した,そして,数値計算例において,本研究で提案した離調度による解析結 果が妥当かつ高精度であることを示した.また,繊維配向角,層数などの積層パラヌ一夕や材料 の異方性がこの共振現象に及ぼす影響を調べるとともに,板厚比とせん断変形の影響も考察した,

さ ら に は , 分 数 調 波 応 答 に 及 ぽ す 面 内 の 境 界 条 件 の 影 響 を 明 ら か に し た .

  

第4 章では,積層扁平殻の一次(対称),二次(非対称)振動モードの非線形自由振動特性およびニ つの非対称振動モードの固有振動数甜

2

の3 がC02 003 なる関係を有するときの内部共振現象を 調べた,ここでも,面外方向のせん断変形の影響を検討するため,古典殻理論と一次せん断変形 理論のそれぞれの場合に対する運動方程式を導出した.はじめに,周辺単純支持された対称ク口 スプライ積層扁平殻の振動特性を調べるため,扁平殻の変位をここで扱う振動モードの線形固有 関数の和で近似し,モード方程式を導いた.このモード方程式より,二次振動モードが励振され るときは必ず一次振動モードとの連成振動が生じ,殻の非対称振動モードの解析には一次振動モ ードを考 慮に入れることが必須であることを明らかにした.一次振動モードの振動特性はガウ ス・ルジャンドル法,二次振動モードはシューテイング法によって数値的に調べ,殻の曲率半径 や厚さなどの形状パラメータが非線形自由振動および内部共振現象に与える影響を明らかにした.

次に,周辺が固定された積層扁平殻の振動特性を調べた.ここでは,リッツ法による線形振動解 析により得られる固有関数を用いて扁平殻の変位を近似した.最終的に,周辺単純支持の場合と 同様な形をしたモード方程式が導出され,先に行われたと同様の手法によって非線形振動特性が 調べられた.なお,リッツ法では試験関数を級数で近似するので,線形振動解析のみならず非線 形振動解析の精度もこの試験関数の項数に依存することとなる.数値計算例において,リッツ法 で用いられる試験関数の項数を増加することにより,線形振動数のみならず非線形振動数や内部 共振による応答も収束することを示し,リッツ法により求まる固有ベクトルを用いて扁平殻の変 位を近似した非線形振動解析が妥当なものであることを示した.このように解析結果の妥当性を 十分に検討して,周辺固定積層扁平殻の曲率半径や厚さなどの形状パラヌータや積層形態が非線 形自由振動および内部共振現象に与える影響を明らかにした.

  

第5 章は結論であり,本研究を通じて得られた成果を取りまとめた.

826

(3)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教 授    山 教 授    岸 教 授    三 助 教 授    小

田    元 田 路 也 上    隆 林 幸 徳

学 位 論 文 題 名

積層された平板および扁平殻の非線形振動に関する研究

   複 合 材 料 の な か で 、 FRP(Fiber Reinforced Plastics) に 代 表 さ れ る 繊 維 強 化 複 合 材 料 は 、 比 強 度 と 比 剛 性 に 優 れ 、 複 雑 な 形 状 の 成 形 が 容 易 で あ る こ と や 腐 食 が 生 じ な い こ と な ど の 特 徴 を 有 し て い る こ と か ら 、 産 業 界 で 盛 ん に 用 い ら れ て い る 。 特 に 、 軽 量 化 が 性 能 向 上 に 重 要 な 役 割 を 果 た す 航 空 機 や 宇 宙 機 器 の 分 野 で は 広 く 採 用 さ れ て い る 。    本 論 文 は 、 繊 維 強 化 複 合 材 料 か ら な る 平 板 お よ び 扁 平 殻 の 非 線 形 振 動 の 解 析 法 と 振 動 特 性 に 関 す る 基 礎 的 な 研 究 を 行 な っ た も の で あ り 、 そ の 主 要 な 成 果 は 次 の 3 点 に 要 約 さ れ る 。

  (1) 周 辺 が 単 純 支 持 さ れ た 、 薄 肉 積 層 長 方 形 板 の 3 種 類 の 内 部 共 振 現 象 を 取 り 扱 う た め 、 ハ ミ ル ト ン の 原 理 に 基 づ い て 導 か れ た 運 動 方 程 式 に ガ ラ ー キ ン 法 を 適 用 し 、 そ れ ぞ れ の 内 部 共 振 現 象 に 対 す る モ ー ド 方 程 式 を 誘 導 し 、 本 研 究 で 提 案 し た 離 調 度 を 用 い た 多 重 尺 度 法 を 適 用 し 、 各 主 共 振 近 傍 の 定 常応 答を 解析 した 。数 値計 算 の結 果、 繊維 配向 角、

層 数 な ど 積 層 バ ラ ヌ 一 夕 や 材 料 の 異 方 性 が 内 部 共 振 現 象 に 及 ぼ す 影 響 を 明 ら か に し た 。   (2) 板 の 面 外 方 向 の せ ん 断 変 形 の 影 響 を 考 慮 し た 、 厚 肉 積 層 平 板 に 作 用 す る 調 和 励 振 カ の 振 動 数 が 板 の 基 本 振 動 モ ー ド の ほ ぽ 三 倍 で あ る と き の 分 数 調 波 振 動 を 論 じ た 。 こ の た め 、 一 次 せ ん 断 変 形 理 論 を 用 い て 積 層 平 板 の 運 動 方 程 式 を 誘 導 し 、 ガ ラ ー キ ン 法 を 適 用 し て モ ー ド 方 程 式 を 導 き 、 提 案 し た 離 調 度 を 用 い た 多 重 尺 度 法 を 採 用 し て 分 数 調 波 現 象 を 解 析 し た 。 数 値 計 算 の 結 果 、 こ こ で 提 案 し た 離 調 度 を 用 い た 解 析 結 果 が 妥 当 か つ 高 精 度 で あ る こ と 、 ま た 積 層 パ ラ ヌ ー タ や 材 料 の 異 方 性 が こ の 共 振 現 象 に 与 え る 影 響 な ら び に 板 厚 や せ ん 断 変 形 の 影 響 を 明 ら か に し た 。

  (3) 周 辺 が 単 純 支 持 ( あ る い は 固 定 ) さ れ た 積 層 扁 平 殻 の 一 次 ( 対 称 ) 、 二 次 ( 非 対 称 ) 振 動 モ ー ド の 非 線 形 自 由 振 動 特 性 、 お よ び 扁 平 殻 の ニ つ の 非 対 称 モ ー ド の 固 有 振 動 数 が ほ ぼ 等 し い と き の 内 部 共 振 現 象 を 論 じ た 。 こ の た め 、 扁 平 殻 の 変 位 を 線 形 関 数 で 近 似 す る こ と に よ ル モ ー ド 方 程 式 を 導 出 し 、 こ の 方 程 式 を 解 い た 結 果 、 非 対 称 モ ー ド が 励 振 さ れ る と き は 必 ず 一 次 振 動 と の 連 成 振 動 が 生 じ る こ と 、 お よ び 殻 の 曲 率 半 径 や 厚 さ な ど 形 状 バ ラ メ ー タ が 非 線 形 自 由 振 動 お よ び 内 部 共 振 現 象 に 及 ぽ す 影 響 を 明 ら か に し た 。    こ れ を 要 す る に 、 著 者 は 、 積 層 さ れ た 平 板 お よ び 扁 平 殻 の 非 線 形 振 動 に 関 す る 解 析 法 と 振 動 特 性 を 論 じ 、 こ の 種 の 構 造 要 素 の 振 動 に 関 し て 有 益 な 知 見 を 得 た も の で あ り 、 機 械 振 動 学 の 進 歩 に 貢 献 す る と こ ろ 大 な る も の が あ る 。

   よ っ て 著 者 は 、 北 海 道 大 学 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と 認 め る 。

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