日本経営品質学会誌オンラインVol. 6 No. 1:1-2(2012)
Copyright (c) 2012 Japan Association for Performance Excellence
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巻頭言
Preface
日本経営品質学会誌オンライン 編集委員 清家 彰敏 Akitoshi Seike 経営品質に関する理論と手法は、企業経営から地方自治体の経営、大学経営へと拡がっ ている。企業において成功した理論と手法が地方自治体、大学の経営に適用可能かどうか、 適用妥当性も含めて論議があるところである。例えば、企業経営が顧客満足と従業員満足 の達成度を売上高、利益率で最終的に測定、評価しうるのに対して、地方自治体において は地域住民、学生の満足度の達成が必ずしも税収、授業料収入によって測りするかどうか、 はかるべきかどうかの結論が出ていない。しかし、地方自治体の役割は、それまでの政府 の委任事務をこなす機関から自律した地方政府としての役割を期待されるように変わって きている。また大学も学生定員を割って、経営が成り立たない事例も参詣されるようにな ってきた。 今回経営品質学会誌には、地方自治体における経営品質について投稿論文1篇と大学の 経営品質について研究ノート1篇を掲載することになった。 投稿論文、山岡泰幸、秀島栄三著の「経営品質における情報マネジメントの視点から見 た地方自治体の施策満足度調査に関する研究」は地方自治体における経営品質を、問題に している。そのためのツールとして、市民ニーズのモニタリングのための施策満足度調査 の重要性が増してきた。本論文は、経営品質向上プログラムにおける情報マネジメントの 視点から、施策満足度調査と施策立案の循環過程の評価モデルを構築し、実例と評価モデ ルを比較することで改善点を浮かび上がらせ、的確な施策の立案に資する施策満足度調査 のあり方を提案している。 経営品質向上プログラムにおける情報マネジメントが、地方行政における経営品質向上 に適用可能であることを示し、今後の地方自治体における経営品質理論と手法の適用を試 みようとする後学に対する先駆けとなるものである。 研究ノート、加藤淳著の「短期大学における事務ミス誘発要因に関する研究」は大学のヒュ ーマンエラー研究といった経営品質の追求を行っている。ヒューマンエラー研究は、送電 所、航空管制システム、原子力発電所など、高度な安全を要求される産業システムを中心 とした研究が注目されてきた。しかし、金融、病院、放送、広告代理店、大学などにおけ るヒューマンエラーが実は経営上の大きな問題となってきた。 短期大学の事務処理の中で発生し得る事務ミスの事例を整理、それらを引き起こすエラ ー誘発要因との因果関係を結びつけることで、エラー誘発要因の傾向と特性を体系化し、清家 彰敏:巻頭言
Copyright (c) 2012 Japan Association for Performance Excellence 2 事務ミス防止のための課題を「見える化」した。事務ミスに関するヒューマンエラー研究 において、新たな知見を提供し、大学における経営品質の視点の適応妥当性を問い、また 産業システム以外の広範囲な分野へのヒューマンエラー研究の必要性をも示唆した。今後 の研究の拡がりを期待したい。 経営品質の理論と手法は、企業経営は勿論、地方自治体、大学など社会のあらゆる領域 の「仕事の品質向上」に貢献できるものである。意欲的な投稿論文、研究ノートの登場を 期待したい。