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DRM Ring

SiO 2 mask

Siト

1µm

図4.2.5 エッチング後にBHF(3%HF溶液)処理を施した Siトレンチ断面形状

Single-Si 1µm

SiO

2

mask

Mask Si

Si

Deposition film

Mask Si

Si

Deposition film

図 4.2.6 対向するマスク端面までの距離が大き

なSiトレンチのエッチング形状

Clx+によるSiO2のエッチングは物理スパッタと解釈されている[76]。したがって、SiO2がエッ チングされることによりOが放出される。実験装置では、ウェハ(4インチ径)の周辺部のカソー ド表面(φ300mm)は石英板で保護しており、ウェハのマスクSiO2およびカソード表面の石英 板のエッチングによるO放出量はそれぞれのエッチング速度から2cc/minと見積もられる。また同 時に放出されるSiCl、SiClx といったエッチング生成物[77]がSiやマスクのSiO2から生成される。

これらはプラズマ中で分解し、一部は気相中の酸素により酸化されて[78]イオン衝撃の少ないト レンチ側壁にプラズマCVDのように厚い堆積膜を形成する。

この現象を確認するために、Cl2(38cc/min)にO2(2cc/min)を添加してエッチングを試みた。

図4.2.7にBHF処理前の断面形状を示す。側壁のシリコン酸化膜の厚さが増加していることがわ かり、上記のモデルが妥当であることが確認された。

以上では塩素ガスを使用したが、次に比較のためFを含むCBrF3を使用してSiトレンチエッチ ングを試みた。エッチング形状を図4.2.8に示す。Cl2ガスを使用した時のような側壁堆積膜は は っきりとは観察されずに、トレンチ上部ではほぼ垂直のエッチング形状が得られている。

エッチングガスにCl2とCBrF3を使用した時の違いは次のように考えられる。CBrF3の場合は、

主なエッチング種はCFx+イオンであり、SiO2をイオン支援化学反応によりエッチングし、揮発 性の高いSiFxがエッチング生成物となる。Si-Fの結合エネルギーは592kJ/molであり、Si-Cl

(397kJ/mol)より高く、SiFxの解離にはSiClxの場合より高いエネルギーが必要となる。

さらに、FとOの電気陰性度を比較すると、それぞれ4.0、3.5であることから、SiはO原子より F原子と反応しやすいことがわかる。しかし、O原子はCl原子(電気陰性度3.0)と比較するとSi と化合物を形成しやすいため、Cl2ガスを使ったエッチングではシリコン酸化物を生成しやすい。

SiFxの場合は比較的安定なため、O原子とも反応が進まず、シリコ酸化物の堆積膜を生じにくい ものと理解される。ところが、CBrF3ガスを使用した場合は、強固なフロロカーボン膜が側壁に

図4.2.7 Cl2(38cc/分)にO2(2cc/分)を添加し てエッチングした形状(BHF処理前)

図4.2.8 CBrF3を使用してエッチングしたSiトレンチ形状 形成され、その膜が側壁を保護して垂直な形状が得られていると考えられる。

図4.2.4に示したエッチング形状からさらにエッチングが進行すると、形状はV字型となりエッ チングは停止してしまう。微細なトレンチを形成するためには側壁堆積膜を制御し減少する必要 がある。そこで、エッチング中のウェハ温度を20℃から70℃へ上昇させてトレンチ上部の堆積膜 形成を抑制することを試みた。

図4.2.9にウェハ温度70℃の条件でCl2プラズマでエッチングしたトレンチ形状を示す。堆積膜 で保護されていたトレンチ側壁にアンダーカットが発生している。温度を高めると堆積膜が形成 されずに、対向するマスク端で反射したイオンが側壁を衝撃するためにこのようなアンダーカッ トが発生したものと思われる[79]。さらに、この同じウェハにおいて、マスク開口幅の大きな部 分を観察すると、図4.2.10のように大きなパターンではアンダーカットは生じていない。これは

図4.2.9 ウェハ温度70℃の条件でCl2プラズマでエッチングした形状

対向するパターンから反射するイオンがない上に、パターン側壁は堆積種が入射する立体角が大 きいため堆積速度が高く、写真のように厚い堆積膜が形成されたため、70℃においてもアンダー カットが発生しなかったと考えられる。

CBrF3ガスを使用して、ウェハ温度70℃で加工したエッチング形状を図4.2.11に示す。図4.2.8 では薄く強固なフロロカーボン膜が側壁を保護して垂直のエッチング形状を得たが、ウェハ温度 を上昇させた場合はCl2ガス同様にアンダーカットが発生した。この結果はウェハ温度を上げた ことによりフロロカーボン堆積種の吸着確率が低下し、堆積膜厚が減少したためと考える。また、

トレンチの上部側壁はほぼ垂直形状となっていることから、上部には堆積種が多く供給されるが、

トレンチの内部への供給量は減少していることが推測できる。CBrF3ガスの場合も大きな開口幅 のパターンではアンダーカットの発生はなく、堆積種が多く供給されるためであると推論してい る。

Single Si 1µm

SiO2mask

+ +

Single Si 1µm

SiO2mask

+ +

図4.2.10 ウェハ温度70℃の条件でCl2プラズマでエッチングした形状。

マスク開口幅の大きな部分を観察した。

Single Si SiO2

0.5µm

+ +

Single Si SiO2

0.5µm

+ +

図4.2.11 CBrF3ガスを使用して、ウェハ温度70℃で加工した形状

4-2-3 エッチング形状制御の要因

前節までに、エッチングの形状に特に影響を与える要因として、ガス圧力(斜め入射イオン)、

ウェハ温度(パターン側壁の堆積膜生成)について示した。さらに、本節ではウェハ表面の帯電 による形状異常について議論する。

ウェハ上においてパターン粗密部の境界部分あるいはウェハ周辺部などの表面の条件が変化 する部分ではエッチング形状がテーパ状となったり、斜めに傾いたりする現象が発生することが よく知られている。図4.2.12にパターンが密集した部分と粗密部の境界でのエッチング形状を比 較した結果を示す。ウェハの半分が覆われるようにSiO2膜を形成し、さらに中央部にSiO2の 0.8µm幅のライン状 (L&S : Line & Space) のマスクを形成した。これをCl2ガス圧力100mTorr、

RF電力1W/cm2の条件でエッチングした結果である。

パターンの集中している部分(写真右側)ではエッチング形状はほぼ左右対称であるが、左側 がSi基板表面が露出したL&Sの端部(写真左側)ではパターンが斜めに形成され、エッチング深 さも異なる。マスクのエッチング速度も速くなっているためにパターンが細っている。右写真で パターン底部が蛇行している現象あるが、これについての原因は後に論じる。

プラズマに晒されたウェハ表面の電位はプラズマとウェハでの荷電粒子の供給バランスで決 定されてくると考えられる。プラズマからの電子、イオン供給に、ウェハ表面の二次電子の発生 が加わるために、表面材料に応じて電位が異なることが予想される。そのために、SiO2表面とSi

Si SiO

2

Si SiO

2

図4.2.12 パターンが密集した部分(右)と粗密部境界(左)でのエッチング形状の比較

表面では電位が異なり、その電位差によりイオン軌道が曲げられたのではないかと推論できる。

そこで、図4.2.13に示すように、低抵抗基板にDCバイアスを印加しながら エッチングする模 擬的な実験を試みた。

マグネトロンRIEでは、磁石で磁界を与え、さらに磁石を回転させて均一なエッチングを行っ ている。また、プラズマ励起のRF電力はウェハを載せたカソード電極に印加している。また、

チャンバ内壁は基本的にアルミナなどの絶縁膜で覆われるため、ウェハへDCバイアスを与えた 場合にプラズマポテンシャルが変化する可能性がある。そこでこの実験では、磁界の影響を排除 し、さらにウェハへのDCバイアス印加を容易にし、さらに接地電位に維持したメタル(ステン レス鋼)のチャンバを使用することで、系を単純化するために、ヘリコン波励起のプラズマエッ チング実験装置を使用した。

ヘリコン波励起プラズマのウェハ位置付近での電子密度は約1011cm3 程度に設定した。ウェ ハはDCバイアスを与えた電極へ導電性ペーストを使って固定した。プラズマポテンシャルは30V であり、ウェハへのDCバイアス印加の有無では大きな変化はなかった。

エッチングにはCl2ガスを使用した。Siウェハには+30~-60Vのバイアス電圧を与え、プラズ マポテンシャル(30V)との差がイオンエネルギーに近い値であるとして考えた。一方、マスク のSiO2膜表面は帯電により基板とは異なる電位になると考えられる。ヘリコン波励起プラズマの ダウンフロー領域を使用しているため、シース電圧は小さく、表面電位はプラズマポテンシャル より数ボルト少ない程度と推測される。

図4.2.14にエッチング形状の傾きをバイアス電圧毎に 大きなスペース部からの距離について 調べた結果を示す。まず20µmに亘りスペース部からの影響があること、-60V バイアス以外は スペース部に近づくにしたがい エッチング形状の傾きが大きくなることがわかる。広いオープ ンスペースから4 µmほどの距離までのパターンはマスクがエッチングされ有意な角度を計測で きなかった。

Large space (>10µm)

Distance form pattern edge

Inclined angle

SiO2mask

Si

+30 ~ -60 V

Large space

(>10µm)

Distance form pattern edge

Inclined angle

SiO2mask

Si

+30 ~ -60 V

図4.2.13 マスクと基板の電位差によるエッチング形状への

影響を調べる実験方法

距離15 µmの位置におけるエッチング形状の傾き角度を図4.2.15にまとめた。バイアス電圧が プラス側へなるほど 傾きがほぼリニアに大きくなっている。バイアスがプラスになるほどプラ ズマからのイオンを減速するため、帯電したSiO2マスク表面とオープンスペース部(Si)基板の 電位差による電界の影響を強く受けたと理解できる。

Distance from large space (µm)

0 5 10 15 20 25 95

90 85 80 75

Inclined angle ( )

°

+30 V - 30 V

0 V - 60 V

Distance from large space (µm)

0 5 10 15 20 25 95

90 85 80 75

Inclined angle ( )

°

Inclined angle ( )

°

+30 V - 30 V

0 V - 60 V

図4.2.14 形状の傾きのバイアス電圧、大きなスペース部からの距離依存性

Bias voltage (V)

30 0 - 30 - 60 90

85

80

75

Inclined angle ( )

°

Bias voltage (V)

30 0 - 30 - 60 90

85

80

75

Inclined angle ( )

°

Inclined angle ( )

°

図4.2.15 形状の傾きのバイアス電圧依存性

ドキュメント内 ドライエッチング技術に関する研究 (ページ 113-123)