SiCl 3 SiCl 4SiO2 Plate
B. ラジカル種の計測
図4.5.24 CP、マイクロCPを通過したイオン電流量のアスペクト比依存性.
置かずに直接プラズマに晒した表面であるが、組成は酸素添加の有無にあまり依存せず、SiO2に 薄いフロロカーボン膜が形成されながらエッチングが進んでいるためと考えられる。
酸素添加のない場合(a)、アスペクト比4あたりまではC、Fが急激に増加し、表面がフロロカ ーボン膜で覆われていることがわかる。これは酸素なしではCF、CF2が多く、これらのラジカル がある程度はホール底まで輸送される中で、ホール底へ到達するイオンが少ないために、堆積膜 厚が増加したと考えられる。ところが酸素を添加した場合は、アスペクト比の変化に対して、表 面の元素組成の変化がなく、アスペクト比10の底においてもSiO2上に薄いCF膜が堆積した状態 が維持されている。酸素の存在によりCF、CF2が少なく、CF3 の相対濃度が高まったために、
たとえイオン電流量が減少しても堆積膜が成長しにくくなっていると理解できる。
以上、CPを利用して、高アスペクト比のホールを通過するイオン種およびラジカル種を計 測し、アスペクト比が高くなった時にコンタクトホールのエッチングが停止し、酸素をわずかに 添加するとエッチストップが解消される現象を解明しようと試みた。その結果から、高アスペク ト比ホールの底では、ホール内壁の帯電に起因してイオン電流量が減少、さらにラジカル種のC/F 比の高いラジカル種もホール底まで供給されるために堆積をおこしやすくなると考えられる。
一方、酸素を添加すると、ラジカル種のC/F比が低くなり、よりFを多く含むラジカルが底まで 供給される。さらに、酸素のない場合に比べてホール内の堆積膜成長が少なく、フロロカーボン 膜に起因した帯電を緩和する作用があるために、ホール底でのイオン電流量の減少が緩和され、
エッチングが進むと理解できる。
酸素添加によりエッチストップは解消されるが、図4.5.10に示したようにホール底でのSi3N4膜 のエッチング速度が上がり、選択比が大幅に低下することとなる。したがって、エッチストップ 現象と選択比はトレードオフの関係にあると言え、両立させるためには、アスペクト比にあわせ た詳細なプラズマ組成の制御が必要になる。
4-6 地球温暖化ガス排出量削減技術の検討
本節では、半導体製造で使用される地球温暖化ガス(PFC:Per-fluoro Compound)の使用量 の削減[109]を、エッチングチャンバから一度 排気されたガスの一部を再びチャンバへ戻して使 用する方法[110]をC4F8/CO/Ar混合ガスを使ったSiO2のコンタクトホールエッチング[111]に適 用した結果を示す。
図4.6.1は実験装置の概略図である。実験にはDRMマグネトロンRIE装置を使用した。エッチ ングチャンバを排気するターボ分子ポンプ(TMP)と後段のドライポンプの間に圧力調整用のバ ルブ(V1)を設けた。ガス循環ラインの圧力(P2)をバルブで調整することでエッチングチャンバ(圧 力P1:40mTorr)に戻すガスの流量(Q2)が決まる。チャンバにはQ1の流量のプロセスガスを導入 し、Q2を排気系から戻すため、エッチングチャンバの全流量はQ1+Q2である。また、外部へ排 出されるガス流量はQ1となる。
ガス循環率(Q2/Q1+Q2)はV1バルブを調整することで 0~80%の間で変化させることができた。
したがって、新規に導入するガス流量Q1は通常の20%まで下げることができる。
一度エッチングチャンバを通過したガスを戻すことによるエッチングプロセスへの影響をま ず調べた。図4.6.2はガスの循環率を変えたときのSiO2のエッチング速度とSiに対する選択比であ る。Q1として導入したガス流量は C4F8 : 3sccm CO : 6sccm Ar : 36sccmであり、Q1は45sccm である。したがってQ2は 循環率50%の時に45sccm、80%の時は180sccmとなる。
SiO2のエッチング速度はガス循環率を上げると僅かに上昇する。また、選択比も同様の傾向を 示す。このことは一度プラズマを通過し排気されたガスには まだ充分なエッチングガス(C4F8) が含まれていることを示唆している。また、選択比が上昇したのはガス循環によりエッチングチ ャンバへの実質的な流量が増加し、プラズマ中でのガスの滞在時間が短くなり、ガスの分解が抑 制され、Siのエッチング種となるFが増加していないことを示している。したがって、少ない導 入ガス流量で大流量プロセスと同等の性能を得ることが可能となる。
Dry Pump
P1
TMP
P2 Gas circulation lineGas circulation line Input gas
Q2
Q1+Q2
V1 : Pressure V1 : Pressure control valve control valve
plasma
Q1 Q1
Magnet
Dry Pump
P1
TMP
P2 Gas circulation lineGas circulation line Input gas
Q2
Q1+Q2
V1 : Pressure V1 : Pressure control valve control valve
plasma
Q1 Q1
Magnet
図4.6.1 ガス循環方式エッチング装置の構成図
200 220 240 260 280 300 320
0 20 40 60 80 100
Gas circulation ratio (%)
Etch rate (nm/min)
25 30 35 40 45 50
SiO
2selec tivity over Si Q1 = constant
200 220 240 260 280 300 320
0 20 40 60 80 100
Gas circulation ratio (%)
Etch rate (nm/min)
25 30 35 40 45 50
SiO
2selec tivity over Si Q1 = constant
図4.6.2 ガス循環率を変えたときのSiO2のエッチング速度 とSiに対する選択比の変化
図4.6.3に ガス循環率が80%の場合と ガスを循環しない場合に C4F8ガス流量を変化させた時 のエッチング速度の変化である。COとArの流量は、プラズマによる損失がないと仮定して、80%
循環の場合に 循環なしの場合の5分の1に設定した。これによりチャンバを通過するガスの全流 量はほぼ等しくなる。
図に示すように、80%循環のC4F8 流量3sccmの条件と循環なしの6sccmで同等の特性が得られ た。循環なしの場合にC4F8 を6sccm導入した状態は、80%循環した時は1.2sccm導入したの場合 と同等になるが、プラズマ分解やエッチング反応での消費があるために、3sccm導入することで 同等の特性が得られたと考えられる。このことはガスを循環させることで、PFC使用量は半分、
COとArについては5分の1の使用量で同等のプロセスを実現できることを意味する。
図4.6.3のA、Bで示した条件で、実際の0.5µm径のコンタクトホールをエッチングして形状を 観察した写真を図4.6.4に示す。パターン底のSiとの選択比を求めるために 300%のオーバーエッ チングを行っている。どちらもテーパ角度は86°であり、形状は全く一致している。また、ホー ル底部でのSiに対する選択比は、循環率80%で37、循環なしは35であり、同等の結果を得た。φ
200mmウェハ内の均一性はAが±5.4%、Bは±5.0%であった。写真では循環率80%のレジストエ
ッチング量がやや多く見えるが、極端に長いオーバーエッチングを行っているために僅かな差が 強調されているものと考えられる。
ガス循環により、パーティクルや汚染物質がチャンバに混入するのではないかという懸念があ
80% Gas Circulation Q1 =C4F8/CO/Ar=
x
/6/36sccm150 200 250 300 350 400
2 3 4 5 6
C
4F
8Flow Rate, x (sccm)
Etch rate (nm/min)
7
equivalent process
Conventional RIE
Q1 =C4F8/CO/Ar=
x
/30/180 sccmA A B
80% Gas Circulation Q1 =C4F8/CO/Ar=
x
/6/36sccm150 200 250 300 350 400
2 3 4 5 6
C
4F
8Flow Rate, x (sccm)
Etch rate (nm/min)
7
equivalent process
Conventional RIE
Q1 =C4F8/CO/Ar=
x
/30/180 sccmA A B
図4.6.3 ガス循環率80%と循環しない場合のエッチング速度
のC4F8ガス流量依存性
るが、0.2µm以上のサイズのパーティクル量を比較したところ全く差がなく 低いレベルを維持で
きること、汚染レベルも低く 同等であることを確認した。最後にガスのコストを計算し比較す ると、80%循環では、循環なしの38%まで低減することができることがわかった。
ガス循環システムは、C4F8以外のC5F8 [112] C3F6 [113,114]あるいはC2F5I[115]などのCF 系ガスを使用したSiO2コンタクトホールの加工においても、温暖化ガスの排出抑制、ガスコスト の低減、さらに排気ガス処理コストの低減が可能であると考えられる。
SiO
2A Si B
0.5 µmResist
SiO
2A Si B
0.5 µmResist
図 4.6.4 循環率 80% (A)、循環なし(B)の場合のエッチン グ形状
4-7 Si の超高速エッチング
4-7-1 はじめに
本節では、シリコンプロセスの微細化や性能向上の限界を突破する技術として注目されている 高密度実装技術[116,117]の中で、特にチップ積層構造の形成において必要となる高速のSiエッチ ングプロセスをDRMマグネトロンRIE装置を使用して開発した結果を示す。
図4.7.1にチップ積層の高密度実装技術の例を示す。(a)は、チップを単純に積層し、ワイアボ
ンディングによって接続したパッケージであり、現在の小型大容量メモリーカードなどに実際に 使用されている。既存の技術を組み合わせて高い容量を実現しており低コストであるが、チップ 間で高速にデータを転送する高速デバイスやシステム化SIP:System In Package)には向かない。
(b)はウェハレベルで接合するために接続工程で高いスループットが得られるが、接続技術自体 が難しく 高い歩留まりを得ることが課題である。(c)はプリント板とチップを接続するスルーホ ールと配線層をSi基板に作りこんだインターポーザと呼ばれる基板を使用した高密度実装モジ ュール[118]であり、SIPモジュールとして高性能化が可能であるが、インターポーザの製造コス トが課題である。
(d)は理想的なチップ積層方式であり、チップレベルで接合するためチップやウェハのサイズに 依存せず、良品のチップを選択して使用できる特長がある。放熱性に優れ、高速化が可能である が、パッケージ工程前に良品チップを選別する技術(KGD:Known Good Die) が必要である。
(b)~(d)はSi基板にスルーホールを形成して、そこへ金属を埋めこみプラグを形成するため、
Wafer Through plug
Chip Through plug Interposer Chip Through plug
Wire bonding Chip
(a) (b)
(c) (d)
Wafer Through plug Wafer Through plug
Chip Through plug Chip Through plug Interposer Chip Chip Through plug
Interposer Through plug Wire bonding
Chip Wire bonding Chip
(a) (b)
(c) (d)
図4.6.1 チップ積層の高密度実装技術の比較
(a)ワイアボンディングによるチップの単純積層、(b)ウェハ積層、
(c)インターポーザを使用した高密度実装モジュール、(d)多チップ積層
そのコストとプラグの面積(エリアペナルティ)も課題として挙げられる。
チップ積層(COC : Chip On Chip)技術のプロセスフローを図4.7.2に示す。まず、通常のウ ェハプロセスでLSIの素子、配線層を形成する。その後に、チップを貫通するためのホールをエ ッチング技術により形成し、それをメタル(例えばCu)のプラグで埋め込む。この工程におい て、表面の配線層とCuスループラグの接続を行う。次に、ウェハの裏面から研磨によりウェハ は薄厚化していく。チップスループラグを裏面に出すように薄膜化した後にダイシングによりチ ップ個片を切り出す。この切り出したチップを他のチップにハンダのバンプを介して積層する。
この一連のプロセスでは、深いホールのCuめっき埋め込み技術、高速のウェハ研磨(薄厚化)
技術、薄いウェハのダイシング技術、薄片チップのハンドリング、接続技術など多くの課題が残 る。その中でも鍵となる技術がスループラグの形成であり、特にエッチングと埋めこみ(Cuめっ き)の生産性が重要である。エッチング技術では、従来Siのエッチング速度は~2µm/min程度 に留まり、ウェハを貫通する数十~百µmのホールを形成する場合の生産性は著しく低い。そこ で、スルーホールの高速エッチングをDRMマグネトロンRIEを使用して検討した。
4-7-2 超高速 Si エッチング
エッチングガスはSF6にO2を添加して、高いエッチング速度を得るために、高ガス圧力、高RF 電力の条件で検討した。図4.7.3にSiとマスクに使用したSiO2のエッチング速度のRF周波数依存 性を示す。Siのエッチング速度は周波数を上げるほど増加しており、13.56MHzの 33.2µm/min から40.68MHzでは50.3µm/minまで上昇する。SiO2のエッチング速度は逆に1.80 µm/minから
1.07 µm/minまで減少傾向を示し、選択比は18から47へ向上した。これらの変化はプラズマ密
度の上昇と対応するものと推定できる。
(ウエハプロセス)
•
LSI(素子+配線層)形成•
チップスループラグ形成 -Siエッチング-メタル埋め込み
•
ウエハ薄膜化ダイシング (チッププロセス)
•
チップ積層良品チップ
素子及び配線
チップスループラグ
ハンダ
(ウエハプロセス)
•
LSI(素子+配線層)形成•
チップスループラグ形成 -Siエッチング-メタル埋め込み
•
ウエハ薄膜化ダイシング (チッププロセス)
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チップ積層良品チップ
素子及び配線
チップスループラグ
ハンダ
図4.7.2 チップスループラグを用いたCOC技術のプロセスフロー