V A
N P
Cathode
Anode
S N S
Dense plasma region
Polyimide film
Plasma
DC power supply Low pass filter
RF RF
V A
N P
Cathode
Anode
S N S
Dense plasma region
図3.4.3 カソードに設けたプローブと計測方法
I
iPI
iNI
ePI
eNProbe current (mA)
-200 -100 0 100 200 300
Probe voltage (V) 80
60 40 20 0 -5
P region N region
Probe current (mA)
-200 -100 0 100 200 300
Probe voltage (V) 80
60 40 20 0 -5
P region N region
図3.4.4
N
、P
位置におけるI-V特性生成される。しかし、N位置ではE x B ~ 0であり、さらにカソードからの2次電子も磁界に沿 ってバルクプラズマへ離散するため、プラズマ密度は低くなると考えられる。IiN < IiP はプラズ マ密度の差によるものと考える。高密度のP位置で電子電流が僅かに少ないのは、平行磁界によ り電子のカソード(プローブ)への侵入が抑制されるためと考えられる。したがって、P位置で は電子の閉じ込め作用がさらに電子密度を高めていると考える。一方、イオンは質量が大きくラ ーマー半径が長くなるために磁界で補足される効果は電子に比べ少なく、プラズマ密度が電流量 に対応したと考えられる。
図3.4.5にカソード表面の自己バイアス電圧(Vdc)の分布を測定した結果を示す。矢印で示し たP位置ではVdc値が低い。これはVdc値がカソードへ流れ込む正負電流のバランスで決まり、平 行磁界領域ではイオン電流が多くなるが電子電流は磁界により抑制され、その結果低いVdc値と なる。一方、垂直磁界領域ではカソードに垂直な磁界に沿って電子が容易に流れ込み、イオン電 流が少なく、表面が負に大きく帯電し、Vdc値が大きくなる。
以上から図3.4.1で示した耐圧の劣化した容量の位置は、Vdc値の最大(N極付近)と最小(磁 極間)に相当することがわかった。リング磁石の磁界により形成された密度分布を持つプラズマ に接するウェハの表面電位が上記のように決まることが理解できたが、絶縁破壊はSi基板とn+
poly-Si電極間の電位差がSiO2の破壊電圧を超えるストレスを受けた時に発生すると考えられる。
そこで、次にSi基板の電位について調査した。
まず、プラズマに処理をする前の評価用ウェハからMOS容量を含む二つのチップを切り出し、
それを1µm厚のSiO2膜を形成したSiウェハ(4Ω・cm、p型、(100)基板)上のN、P位置に貼り付 けた。このSiウェハを前述と同様にリング型磁石を使ったArプラズマに暴露し、容量の絶縁耐圧 を評価したところ、全く劣化が起きていなかった。これは各チップの周辺部がプラズマに晒され
0 50 100 Distance from center (mm)
-V dc (V)
100 80 60 40 20 0
0 50 100 Distance from center (mm)
-V dc (V)
100 80 60 40 20 0
図3.4.5 カソード表面の自己バイアス電圧(Vdc)の分布
たり、SiO2膜がリークするなどしてSi基板の電位が表面電位とほぼ同一となったためと推測でき る。それぞれ絶縁膜上で孤立したチップは照射損傷を受けない。したがって、ウェハの電位が耐 圧劣化の現象を理解する上で重要である。
3-4-3 ウェハポテンシャルの計測
薄いSiO2膜にかかる、表面電極と基板間の電位差を知るために、プラズマに晒されたウェハの ポテンシャルの測定を試みた。まずMOS容量を含むチップが形成されたSiウェハの裏面SiO2膜 を緩衝HF溶液で除去し、図3.4.3に示したカソード表面に設置した。ウェハの裏面はそれぞれの プローブと導電性エポキシ樹脂で接続した。
図3.4.6に、Arマグネトロンプラズマに晒したウェハのポテンシャルを計測した結果を示す。
RF電力を徐々に上げていきながら、N、P位置のプローブで計測した垂直磁界領域および平行磁 界領域のSi基板の電位の変化を調べた。それぞれの位置でのVdc値(ウェハ表面電位に対応)も 点線で示した。まず、RF電力をゼロから250W まで徐々に増加させ、次に続けて低下させてゼ ロへ戻した。RF電力がおよそ10Wでプラズマが点火し、二つのプローブは垂直磁界領域のVdc(N) とほぼ等しい電位(-70~-80V)を示した。ここで垂直磁界領域(N位置)の容量が破壊され ていなければ、表面電位の平均的な値程度のもっと低いポテンシャルを示すと考える。
したがって、放電開始の瞬間に垂直磁界領域の容量は破壊されていると考えられる。RF電力 を増加していくと、平行磁界領域(P位置)の基板ポテンシャルが、矢印①のように低下し-18V
Substrate potential (V)
0 100 200
RF power (W)
-100 -80 -60 -40 -20
P
① N
②
③
Vdc(P)
Vdc(N)
Substrate potential (V)
0 100 200
RF power (W)
-100 -80 -60 -40 -20
P
① N
②
③
Vdc(P)
Vdc(N)
図3.4.6
N
、P
位置のプローブで計測したそれぞれの位置のウェハのポテンシャルのRF電力に対する変化
程度になる(②)。これはP位置の表面電位(Vdc(P))と一致する。次に、RF電力を低下してい
くと、170W 程度より低くなっても矢印③のようにポテンシャルは低くVdc(P)の値のままである。
このように一度プラズマに晒して図3.4.6のデータを得たウェハを用い、再度同じようにRF電 力を増加、低下させながらプラズマに晒してポテンシャルを計測すると、一回目のようにP位置 の計測値がヒステリシスを示すことはなく、その値は最初からVdc(P)~-18V に近い値を示し、
10~250WのRF電力領域ではほとんど変化しない。RF電力170Wあたりでの変化(矢印①)は一 度だけしか起らず、したがって、平行磁界領域の容量の破壊に対応した現象と理解できる。一方、
垂直磁界領域では、このようなヒステリシスは全く観察されず、最初からVdc(N)の値にほぼ一致 する。このことからN位置ではプラズマ点火から瞬時に容量が破壊されていると考えられる。
3-4-4 絶縁耐圧劣化のモデル
以上の実験結果から次の破壊モデルを提案する。この実験ではSiウェハは測定回路に回路や計 測器のインピーダンス(10MW程度のdcインピーダンスと推定される)を介して接続されている ため、放電開始の瞬間までは基板のポテンシャルは接地レベルに維持されている。放電が開始し た瞬間に垂直磁界領域の表面電位は-70Vに上昇するため、瞬間的に薄いSiO2膜の上下にこの電 位差が発生する。10nmのSiO2膜に対して70V は70MV/cmの電界になり、瞬間的に破壊された ものと推定される。さらに、測定回路系がdcインピーダンスにより、接地電位から-70Vまで昇 圧 す る に は7µAの 電 流 を 要 し 、 放 電 開 始 時 の 表 面 電 位 上 昇 に 伴 い 発 生 し たFN
(Fowler-Nordheim)電流では不十分であったと考える。したがって、垂直磁界領域の容量は放 電開始時に瞬間的に破壊されたと考えた。
N位置のSiO2膜が破壊され、Si基板とプラズマが導通すると電子が流れ込み、基板のポテンシ ャルはその位置のVdc値で決定される。Vdc(N)はRF電力とともに僅かに上昇する。これにより、
P位置での表面電位と基板電位の差が充分大きくなるか、電位差に起因した電子電流によりSiO2
膜が劣化して絶縁破壊に至ると考えられる。しかし、RF電力が低い段階から、N位置の容量が破 壊したために、P位置の基板電位と表面電位の差は50V程度もあることになり、RF電力が170W まで破壊に至らなかった理由は不明である。考えられる理由として、電界の方向が表面(プラズ マ側)でプラスとなりプラズマから電子が流れ込まない方向であったことがある。
実際のエッチング時には今回実験に使用したプローブは無いが、放電開始時にN位置表面で急 激に蓄積された表面負電荷によりSiO2膜下に正電荷が誘起される結果、真性破壊電圧を超える電 圧が瞬時に発生、あるいは大量の電子電流により破壊に至ることが予想される。N位置で容量が 破壊されれば基板電位が上昇し、P位置においても破壊が生じてくることになる。したがって、
ウェハ上に平行磁界と垂直磁界の領域が同時に存在することでMOS容量の耐圧劣化が生ずるこ とがわかった。
3-4-5 磁界分布の改善
以上の結果を踏まえて、ウェハ付近全体に一方向の平行磁界が形成されるように磁界分布を改 善するためにプレーナ型の磁石を設計した。図3.4.7にプレーナ型磁石を使用したマグネトロン RIE装置の構成とウェハ付近の磁束分布を示す。中心の磁界強度は12mTに設定している。ウェ ハエッジでの磁束とウェハ表面の角度は最大12°である。この磁界分布により照射損傷を大幅に 低減することが可能となった。前節で詳細にみたリング型磁石は、Cl2ガス50mTorr、RF電力1kW の条件で、ゲートSiO2膜厚10nm、アンテナ比3.3 x 105 のMOS容量を加工した場合、12~20%
の絶縁破壊を生じた。(図3.4.1で44%が耐圧劣化しているが、実際のエッチングプロセスでは、
絶縁物のレジストをマスクにプラズマに晒されるために若干緩和される。)プレーナ型磁石を用 いた装置では同様の条件でほぼ破壊をゼロにすることができる。この磁石の採用により、マグネ トロンRIEが実用化され、φ150mmウェハ世代から量産工場に導入し、n+ poly-Si、Si、SiO2、 メタルなどのエッチングに使用できるようになった。
しかし、さらに大口径(~φ300mm)のウェハの加工や照射損傷に厳しいデバイスの製造に
RF
S N
Wafer Cathode
B
Pump
RF RFS N
Wafer Cathode
B
Pump
図3.4.7 プレーナ型磁石を使用したマグネトロンRIE装置
の構成とウェハ付近の磁束分布
Center plane of magnet