Lower chip
40um
Upper chip Cu plug
Solder bump
Lower chip
図4.7.7 スルーホールを使用して接続した2つのチップ
の断面写真
4-7 まとめ
本章ではマグネトロンRIEを使った先端プロセスの研究開発について議論をした。
Siトレンチエッチングでは、当初 比較的圧力の低い10-3 Torr台でCl2ガスを使用してプロセス を開発したが、エッチング速度、形状、選択比などを両立させるために、臭素、フッ素、酸素の 混合ガス系を採用した。超高アスペクト比トレンチの加工では、数々の形状異常が観察されたが、
マグネトロンRIEの磁界強度によるイオンエネルギーとプラズマ密度の最適設定によって実用化 を達成した。
ゲート電極(n+ poly-Si)の加工では、Cl2ガスのマグネトロンプラズマ中でウェハ温度を0℃以 下に冷却することで、SiO2に対して高い選択比を得られることを発見し、その機構を追及し、
SiOxClyのような不飽和なエッチング生成物がSiO2膜表面だけに選択的に堆積する現象を見出し
た。BaFなど他の材料についても選択堆積することから、イオン性結合を持つ材料に対して、最 表面でクーロン引力により堆積が促進されるモデルを立てた。また、SiCl4ガスをわずかに添加し てエッチング生成物と同様の堆積種をプラズマ中で生成することでさらに高い選択比が得られ ることを確認した。
配線材料として使われているAl/Si合金の高精度加工をCl2ガスのマグネトロンRIEを 10-3
Torr台の低い圧力で使うことで達成した。これは、Cl2ガスと自然に反応をおこすAlでは異方性
エッチングのために厚く側壁保護膜形成する条件で行ってきたが、ガス圧力を下げることで精度 の高いエッチングが実現できることがわかった。また、堆積性のガスを添加することで、テーパ 形状の加工が可能であり、スパッタなどにより層間絶縁膜を埋めこみが容易になる。実際に2層 配線を製作してその効果を確認した。
コンタクトホールの加工では、SACプロセスの構築とその微細化の過程で発見したアスペクト 比に依存したエッチング速度低下や選択比が低下する。その原因を、微細なホールを通過するイ オン種やラジカル種を計測することで推定し、チャージアップによるイオンエネルギーの低下と 軌道の偏向、さらに堆積種のホール内輸送から、ではFを多く含み、吸着確率の低いラジカルが 穴底まで到達しやすい。プラズマへの酸素添加でアスペクト比依存性が緩和し、フロロカーボン 系堆積膜の減少がチャージアップを少なくしていることがわかった。
地球温暖化ガス(PFC)の排出量を削減する技術として、一度エッチングチャンバから排気した ガスの一部をチャンバへ戻す実験を行い、全流量の80%を循環させても、同等のプロセス性能が 得られた。このことは、ガスの利用率の低さ(排気されたガスにエッチングガスが多く残ってい る)と見掛け上のガス滞在時間が短くなったことに起因している。
最後に高密度実装技術への応用として、SF6/O2ガスによる超高速Si基板のエッチングを検討し、
励起周波数を上げ、ガス圧力を高くすることで大量のFが発生し、高速エッチングが可能となる ことがわかった。酸素により形状を制御しながら、50μm/分以上の高速エッチングが実現した。
高密度プラズマを少ない堆積のチャンバ内で形成できるという特長を生かして、今後も種種の応 用が検討されると考えられる。
第 5 章
ドライエッチング技術の効率的技術開発
5-1 はじめに
半導体デバイスの高集積化の進展に伴い、微細かつ高アスペクト比の構造を加工する技術が ますます必要とされている。さらに、デバイスの高速化、低消費電力化のため従来の配線材料か ら低誘電率材料や高融点金属など種々の新規材料、あるいは新たな素子構造の加工に迅速に対応 できるプロセス技術が要求される。その一方で、地球温暖化対策などの環境対応も重要な課題で ある。従来のような経験的な条件出しの繰り返しに依ってこれらの課題を解決するためには、膨 大なリソースと時間を要することとなる。
特に、多品種少量生産の場合はプロセスの試験評価のためだけに大口径ウェハを大量に消費す ることは許されず、短期間に条件を確立しなければならない。また、実際の生産装置で一番問題 となることとして、プロセス性能の長期間に亘っての再現性や機差(同一仕様の装置でありなが らプロセス特性が有意に異なる現象)が挙げられる。したがって、デバイス生産に対応できる精 度の高いプロセスをすばやく開発し、その性能をモニターし維持する機能が必須となる。その実 現には、外部設定パラメータ(ガス圧力、RF 電力など)と内部パラメータ、エッチング結果の 相関を科学的に理解し、制御する手法の構築が欠かせない[119-121]。
このような課題認識の中で、技術研究組合 超先端電子技術開発機構(ASET)では1996年か ら5年間にわたり「超先端プラズマ反応計測・分析・制御技術」のテーマで、実際の製造装置を用い て可能な限り定量的に解析することにより、フロロカーボンプラズマによるSiO2膜エッチング の機構と装置制御手法を追及した。5種類のエッチングチャンバを導入し、例えば図 5.1.1に示 すように、プラズマや化学種の計測装置をプロセス性能への擾乱がないように接続し、徹底的な 計測、評価を実施した[120]。本章ではその成果の一部を示し、将来の制御性のよい高性能装置、
プロセスを効率的に開発していくための研究開発の手法について論じる。
~
~ Si top plate
Quartz ring
27.12 MHz
Bottom electrode 800kHz
Si wafer (200mm) White cell
~
~ Si top plate
Quartz ring
27.12 MHz
Bottom electrode 800kHz
Si wafer (200mm) White cell
図5.1.1 二周波励起型RIE装置に接続した計測装置群。
左は断面図、右は上面から見た配置図 3D OES : Atom density distribution µwaveinterferometer : Electron density
QMS : Ion, atom
Floating probe : Electron energy
Solid laser Laser for LIF IRLAS detector : CFx density
distribution
CCD for LIF : CF, CF2atom distribution Spectrometer
o r
o r A V
3D OES : Atom density distribution µwaveinterferometer : Electron density
QMS : Ion, atom
Floating probe : Electron energy
Solid laser Laser for LIF IRLAS detector : CFx density
distribution
CCD for LIF : CF, CF2atom distribution Spectrometer
o r
o r A V
5-2 プロセスの内部パラメータの把握と制御 5-2 プロセスの内部パラメータの把握と制御
プラズマ中の活性種の組成は、用いる原料ガスの種類と解離反応、及び壁との相互作用を理 解することで、ある程度予測が可能になってきている。原料ガスのプラズマ中での電子衝突回数
(τNe<σv>)が解離反応の進行度の目安になる。ここで、τ はガスのプラズマ中での滞在時間、
Neは電子密度、σ は衝突解離断面積であり、Ne<σv> は次式で表されように、電子エネルギー
ε
で
ε
Th (電子衝突解離の下限エネルギー)から∞まで積分したものであり、電子がガス分子に衝突するレートである。 ν(ε) は電子速度、f(ε) は電子エネルギー分布関数である。
プラズマ中の活性種の組成は、用いる原料ガスの種類と解離反応、及び壁との相互作用を理 解することで、ある程度予測が可能になってきている。原料ガスのプラズマ中での電子衝突回数
(τNe<σv>)が解離反応の進行度の目安になる。ここで、τ はガスのプラズマ中での滞在時間、
Neは電子密度、σ は衝突解離断面積であり、Ne<σv> は次式で表されように、電子エネルギー
ε
で
ε
Th (電子衝突解離の下限エネルギー)から∞まで積分したものであり、電子がガス分子に衝突するレートである。 ν(ε) は電子速度、f(ε) は電子エネルギー分布関数である。
∫
σ(∞
Rcoll = Ne
ε
) ν(ε
) f(ε
) dε
= Ne<σv>Rcoll = Ne σ(
ε
) ν(ε
) f(ε
) dε
= Ne<σv>ε
Th
この電子衝突回数が解離反応にどのように関係しているかを調べた。Arの発光分光測定から見 積った<σv>値から求めた電子衝突回数(τNe<σv>)に対し、QMSで計測したC4F8ガスの解離度
を図5.2.1に示した。装置は電極間隔の狭い2周波励起の平行平板型RIEを使用して、C4F8ガス
にArあるいはXeを大流量に添加した条件で計測した [122] 。
この電子衝突回数が解離反応にどのように関係しているかを調べた。Arの発光分光測定から見 積った<σv>値から求めた電子衝突回数(τNe<σv>)に対し、QMSで計測したC4F8ガスの解離度
を図5.2.1に示した。装置は電極間隔の狭い2周波励起の平行平板型RIEを使用して、C4F8ガス
にArあるいはXeを大流量に添加した条件で計測した [122] 。
実験ではガス流量、RF電力をパラメータとしているが、それらに関わらずC4F8ガスの解離は
τNe<σv> と相関を持つことがわかる。最も一般的な計測手段であるプラズマ発光分光とNe計測
からガスの解離度を見積り、中性種フラックスを予測できることを意味している。これに加え、
ウェハへの供給フラックスとして重要であるイオンフラックスもやはりNeと電子温度あるいは ウェハバイアスのRF供給系のモニターから見積ることができる。
実験ではガス流量、RF電力をパラメータとしているが、それらに関わらずC4F8ガスの解離は
τNe<σv> と相関を持つことがわかる。最も一般的な計測手段であるプラズマ発光分光とNe計測
からガスの解離度を見積り、中性種フラックスを予測できることを意味している。これに加え、
ウェハへの供給フラックスとして重要であるイオンフラックスもやはりNeと電子温度あるいは ウェハバイアスのRF供給系のモニターから見積ることができる。
図5.2.1 Arの発光分光測定とNeから見積った電子衝突回数(τNe<σv>)
とC4F8ガスの解離度の関係