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第二章 「和」,「或」,「还是」から構成される α-GIC

2.4. 分配解釈と集団解釈

2.4.1. dou(都)との共起

2.4.1.1. He-and-GICの場合

まず、(84)は、he(和)がdou(都)と共起して、分配解釈になる例である。

15 吕叔湘等 (1980)は、wulun(无论)について、以下のように述べている。また、wulun(无论)と似

ているものには、bulun(不论)とbuguan(不管)もある。

(i) [连]用于有表示任指的疑问代词或有表示选择关系的并列成分的句子里,表示在任何条 件下结果或结论都不会改变。后边有“都”或“也”呼应。 [吕叔湘等 (1980):p.424]

[連詞]任意指定を表す疑問代名詞、もしくは、選択関係を表す並列成分が含まれる文 に用いられ、いかなる条件の下でも結果、結論が変わらないことを表す。後半には、

「都」「也」が後続することが多い。

16 c統御とc統御領域は、Reinhart (1976)の定義を使用する。

(i) a. c統御 (c-command):

Node A c(constituent)-commands node B if neither A nor B dominates the other and the first branching node which dominates A dominates B. [Reinhart (1976): p.32, (36)]

b. c統御領域 (c-command domain):

The domain of a node A consists of A together with all and only the nodes c-commanded by A. (OR: The domain of a node A is the subtree dominated by the first branching node with dominates A. [Reinhart (1976): p.33, (38)]

(84) [张三 和 李四] 都 [φ 抬 起 了] [一 架 钢琴] 。cf. (1a) 張三 He 李四 Dou 持ち上げる Asp 一 Cl ピアノ

張三と李四は、それぞれ一台のピアノを持ち上げた。

(67)によると、(84)にある「张三和李四」には、α-and-GICとα-with-GICの2つの可能性が

あり、それぞれ(85)と(87)の2種類のLFとなる。

(85) He-and-GICとしての「张三和李四」のLF:

仮に、(85)のHe-and-GICがdou(都)とMergeすると仮定すると、(84)から、(86)のようなLF

ができるはずである。

(86) (84)のLF1:

Dou(都)によるcheck 項位置に生起するφと同一指標を持つ

(86)においては、[张三和李四]のMergeの相手がdou(都)であるため、(76), (16a),(15)により、

叙述関係が構築され、[张三和李四]が主部となる。

(76) Douは、叙述関係dou-predicationを作る要素である。

(16) 叙述関係が構築される条件:

a. 叙述関係を誘発 (induce) する要素

(15) 叙述関係で結ばれる二つの構成素は、主部 (A=Topic)と述部 (B=Predicate)に

なる。

一方、Douの c 統御領域には、空範疇のφが生起しているため、(17)が守られなければな らない。

(17) 述部に生起する空範疇φは、主部要素と同一指標を持たなければならない。

α-GICには、(25)の特性があるので、「抬起了」の項の位置に生起するφが、(85)にある音

形を持たない「(一个人)」と同一指標を持つことになる。

(25) α-GICが主部位置に生起した場合、Item1は述部にある空範疇φと同一指標を

持つことができる。

そうすると、(26)の条件を満たさなければならなくなる。

(26) Item1が述部の部分と同一指標を持つと、Item2は叙述関係を誘発する要素の

checkを受けなければならない。

つまり、Item1である「张三and李四」は、Douによるcheckを受ける必要がある。

(78) Douは、Item2において、AND集合が含まれていることをcheckできていな

ければならない。

AND集合である「张三and李四」は、(78)を満たしている。そして、(18)~(20)の操作が行 われることになる。

(18) 叙述関係の主部になる集合は、連続的スキャニング (Sequential Scanning)とい

う操作を受けなければならない。

(19) 連続的スキャニングとは:

集合のメンバーが述部と叙述関係によって逐一結ばれる操作である。

(20) 連続的スキャニングを経て構成された新しい構築物同士は、元々の集合にあ

った関係によって結ばれる。

その結果、(86)を読み下すと、「一个人抬起了一架钢琴(一人の人が一台のピアノを持ち 上げた)」という event があり、そのような人は、「张三」にも当てはまれば、「李四」

にも当てはまるという意味になり、分配解釈ができるようになる。

2.4.1.2. He-with-GICの場合

しかし、(85)と違って、もし、(87)のような構造の「张三和李四」が(84)に生起していた ら、容認できなくなる。そのLFは(88)となる。

(87) He-with-GICとしての「张三和李四」のLF:

(88) (84)のLF2:*

(88)が容認できないのは、(78)の違反によるものである。

(78) Douは、Item2において、AND集合が含まれていることをcheckできていな

×

ければならない。

(87)のItem2は、[1-ClP-NP]であり、Douが必要とするAND集合ではないため、(78)の条件

に合致していない。

2.4.1.3. Huo-or-GICの場合

また、α-or-GICが生起する(89)の場合も、(88)と同様の理由で、dou(都)と共起できない。

(89) *[张三 或 李四] 都 [φ 抬 起 了] [一 架 钢琴] 。cf. (2a) 張三 Huo 李四 Dou 持ち上げるAsp 一 Cl ピアノ

(90) Huo-or-GICとしての「张三或李四」のLF:

(78) Douは、Item2において、AND集合が含まれていることをcheckできていな

ければならない。

つまり、(90)のItem2は、[张三or李四]であり、Douが必要とするAND集合ではないので、

(78)の条件が満たせずに、容認できなくなる。

(91) (89)のLF:*

同様の理由で、(92)も(78)の条件が満たせないので、容認できない。

(92) *[张三 还是 李四] 都 [抬 起 了] [一 架 钢琴] 。 cf. (3a) 張三 Huo 李四 Dou 持ち上げるAsp 一 Cl ピアノ

ところが、(89)と違って、(92)の文頭にwulun(无论)17が生起すると、容認できるようになる。

(93) 无论 [张三 还是 李四] 都 [抬 起 了] [一 架 钢琴] 。 cf. (4a) Wulun 張三 Haishi 李四 Dou 持ち上げるAsp 一 Cl ピアノ

張三にしても、李四にしても、それぞれ、一台のピアノを持ち上げた。

これは、(39)と、(82)のwulun(无论)の制約があるからである。

(39) eor関係は、and関係に変換されなければならない。

(82) wulun(无论)は、そのc統御領域にあるeor関係をand関係に変換しなければ

17 吕叔湘等 (1980, p.424)では、wulun(无论)について、以下のように記述されている。

(i) 所总括的对象前可以用连词“不论、无论、不管”。(総括対象の前に、連詞「不论、

无论、不管」が現れてもよい。)

a. 不论大小工作,我们都要把它做好。(ことの大小を問わず、真面目に取り掛からなけ ればならない。)

b. 无论干什么事情,他都非常认真。(どんなことをやろうとしても、彼はとても真面目 に取り組んでいる。)

c. 不管刮风下雨,我都坚持练习游泳。(風が吹こうが、雨が降ろうが、私はスイミング を続けている。) [吕叔湘等 (1980): p.105)]

×

ならない。

(94) (93)のLF:

その結果、(93)は、(86)とほとんど同様になり、分配解釈がとれるようになる。一方、(95) は、(40)の制約により、(82)の条件が満たせないので、容認されない。

(95) *无论 [张三 或 李四] 都 [φ 抬 起 了] [一 架 钢琴]。cf. (6a) Wulun 張三 Huo 李四 Dou 持ち上げる Asp 一 Cl ピアノ

(40) ior関係は、and関係に変換されてはいけない。

(96) (93)のLF:*