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第四章 不定語から構成される α-GIC

4.2. 前提

もし(11b)にあるdou(都)をyou(有)の先頭位置に移動すれば、(12a)のように、容認可能にな る。この場合、必ず複数の人が存在していることを想定した上で、その人たちの値が問わ れている。(12b)は、(12a)と同じ意味解釈ができる。ところが、you(有)の代わりに、wulun(无 论)が共起すると、このような操作が適用できない。

(12) a. 都 有 [谁] [抬 起 了] [一 架 钢琴] 呢 ?

Dou You 誰 持ち上げる Asp 一 Cl ピアノ Ne

誰と誰が、それぞれ、一台のピアノを持ち上げたの?

b. 都 [谁] [抬 起 了] [一 架 钢琴] 呢 ? Dou 誰 持ち上げる Asp 一 Cl ピアノ Ne

誰と誰が、それぞれ、一台のピアノを持ち上げたの?

c. *都 无论 [谁] [抬 起 了] [一 架 钢琴] 呢 ?

Dou Wulun 誰 持ち上げる Asp 一 Cl ピアノ Ne

以上のような現象をまとめて、本章では、以下のような問題の解明に取り組む。

(13) 不定語は、いかにして存在量化、全称量化、そして疑問解釈を生むのか?

(14) 疑問を表すマーカーma(吗)とne(呢)は、どのようなもので、どう働くのか?

(15) you(有), wulun(无论)は、どのようなものか?不定語平叙文解釈、不定語疑問

文解釈とどう関わるのか?

もっとも、その前提として、以下の問題を解かなければならない。

(16) そもそも不定語とは、どのようなものだろうか?

(18) 叙述関係で結ばれる二つの構成素は、主部 (A=Topic)と、述部 (B=Predicate) になる。

(19) 叙述関係が構築される条件8

a. 叙述関係を誘発 (induce) する要素

b. 関連構成素がQR (Quantifier Raising)する操作

(20) 集合が叙述関係の主部になると、連続的スキャニング (Sequential Scanning)操

作が行われなければならない。

(21) 連続的スキャニングとは:

集合のメンバーが述部と叙述関係によって逐一結ばれる操作である。

(22) 連続的スキャニングを経て構成された新しい構築物同士は、元々の集合にあ

った関係によってつながれる。

4.2.2. 集合

(23) 等位接続句 (Coordinating Conjunctions):

a. AND集合:and関係で結ばれる構造(連結等位接続)

b. OR集合:or関係で結ばれる構造(選言等位接続)

(24) 非等位接続句 (Non-Coordinating Conjunctions):

WITH集合:with関係で結ばれる構造(連結非等位接続)

(25) orには、排他的選言 (exclusive disjunction) のor (eor) と包含的選言 (inclusive

disjunction) のor (ior)の2種類の異形態がある。

4.2.3. α-GIC

(26) Item1位置とItem2位置に生起する構成素に素性 (feature) のF[m-unit]と

F[n-unit]を付与 (assign) する範疇αがある。

8 ここでいう二つの条件は、同時に満たす必要はない。いずれか一つを満たせば、叙述関係が構 築される。

(27) α-GICそのものは、叙述関係、修飾関係を介してほかの構成素とMergeでき るが、普通直接述語の項としてθ-roleの付与を受けることができない。

(28) α-GICにおいて、Item1しか、述語の項として、θ-roleの付与を受けることが

できない。

(29) Item1がθ-roleを付与されると、Item2は主部へQRしなければならない。

(30) α-GICが主部位置に生起した場合、Item1は述部にある空範疇φと同一指標を

持つことができる。

(31) Item1が述部の部分と同一指標を持つと、Item2は叙述関係を誘発する要素の

checkを受けなければならない。

(32) αは、音形を持たないものであり、PFにおいて、AND集合、OR集合、WITH

集合の主要部に投射して、音形的に具現化する。

α-GICは、α-and-GIC, α-with-GICとα-or-GIC、3種類ある。

(33) α-or-GIC (QP version)の基底形:

(34) α-or-GICは、OR集合に含まれるorの性質によって、α-eor-GICとα-ior-GIC

がある。

(35) eor関係は、and関係に変換されなければならない。

(36) ior関係は、and関係に変換されてはいけない。

(37) α-and-GICの基底形:

(38) α-with-GICの基底形:

4.2.4. you(有)とwulun(无论)

4.2.4.1. you(有)

また、you(有)を以下のように仮定する。

(39) Youは、項を一つとる機能範疇 (functional category) である9

9 本論文でさすyou(有)は、劉月華 (1988)の「“有”字句(“有”構文)」や木村 (2011)の「存 在文」のyou(有)とは違うタイプのものである。木村 (2011)は、「存在文」のyou(有)を以下のよ

(40) you(有)は、Youの音形の具現形であり、事物の存在を表す。

(41) Youのc統御領域には、α-or-GICが生起しなければならない10

4.2.4.2. wulun(无论)

(42) wulun(无论)は、そのc-command領域にあるORE集合に含まれるeor関係をand

関係に変換しなければならない。

(43) eor関係をand関係に変換できるのは、wulun(无论)タイプの要素しかない。

(44) wulun(无论)によってand関係へ変換された集合は、dou(都)によるcheckを受

けなければならない。