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Siew Te Wong

ドキュメント内 ナ津壺€晢ソス_ナクaナ・カ.ec6 (ページ 67-74)

写真9.1:ボルネオ熱帯雨林で木にもたれて休むマレーグマの亜成獣

Photo by Siew Te Wong

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図9.1:マレー半島の森林地帯における重要な3地域 Kawanishi et al.(2003)に基づく

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図9.2:サバ州の森林分布

している。クマの痕跡を用いた

()以 外の研究者はすべて、カメラトラップ法によるデータから 生息密度を推定した。

()は、

 国立公園(マレー半島)で

と推定した。しかし、

()は、手法の欠 点 が あ る た め こ の 密 度 は 信 頼 で き な い と し て い る。

()はサバでは

(未発表)は、サバのウル・セガマ森林保護区(インドネ シア側のボルネオ島)では

() は、カヤン・メンタラン国立公園(ボルネオ島)では

、ブランガン森林保護区では

と推定し ている。生息地が縮小(生息地への脅威の項を参照)して いることを考えると、マレーグマ個体群は急速に減少して いると考えられる。

個体群に対する脅威

 非合法な狩猟と貿易、森林の択伐、個体群の分断、そし て生息地破壊の複合効果は、マレーシアにおけるマレーグ マ個体群の主な脅威となっている。しかしながら、こうし た要因がどのように死亡率や個体数の増減に影響を及ぼし ているかはわかっていない。

 マレーグマの狩猟は、マレーシアでは厳しく禁止されて いる。しかしながら、場当たり的な密猟は、法的強制力が ないため、いまだに起こっている。多くの許可された狩猟 あるいは密猟活動は、パッチ状の森林に隣接したアブラヤ シ(

)農園で行われている。狩猟の対象種は、

イノシシ、ヒゲイノシシ、スイロク(ミズジカ)であるが、

狩猟者達は撃つ機会にめぐまれれば、ためらいなくクマを 撃つ。日中アブラヤシ農園に隣接したパッチ状森林に隠れ ており、夜にアブラヤシ農園で採食するクマたちは、撃た れやすい。アブラヤシ農園はクマたちにとって、ちょうど ワナのようなものである。また農園周辺のパッチ状の森林 は個体のたまり場となっている。場当たり的な密猟に加え て、過去数年間にタイやカンボジア、ベトナムなどからよ く組織された外国人密猟者によって密猟が行われ、国立公 園やマレー半島の保護地域におけるマレーグマを含むマ レーシアの野生生物の生存に脅威となっている。マレーグ マの肉と掌は利用価値があり、またそれほど一般的ではな いが、マレーシアのいくつかの都市では旅行者や地元の 人 々 に と っ て の 珍 味 と な っ て い る(

私信)。マレーグマの爪と犬歯は、悪霊を取り払うと 信じられており、サバの宝石商や骨董店で依然として販売

第9章:マレーシア

凡 例

森林以外 森林 主要都市 国境

森林を含む保護地域 IUCNカテゴリーⅠ・Ⅱ IUCNカテゴリーⅢ・Ⅳ

南シナ海

ブルネイ・ダムサラーム国 ブルネイ・ダムサラーム国

カリマンタン サラワク

ブルネイ・ダムサラーム国

図9.3:サラワク州の森林分布と伐採契約地域

されている。サラワクでは伝統的な生活様式を続け、自家 消費のためにこうした野生生物を合法的に捕獲する必要の ある原住民には、狩猟の許可がなくても撃つ権利が認めら れている(

)。この管理されていない狩猟のた めに、サラワクのマレーグマは肉や胆のう、爪、歯の商取 引のために過剰に撃たれ、非常に少なくなっており、多く の地域で絶滅している(

)。

生息地の特徴

 マレー半島とボルネオ島の熱帯雨林は、高い生物多様性 を有することで有名であり、地球上でもっとも多様な生態 系の

つである。こうした熱帯雨林では、フタバガキ科の 樹木が優占している。マレー半島では、最も生産性の高い 低地のフタバガキ科の森林は、都市化と農業的利用により 失われた(主にアブラヤシ農園とゴム農園)。年には、

マレー半島の

%(

)が、アブラヤシ農園とし て利用された(

)。さ まざまな状況下の森林(全土の約

%)は、ティワングサ 山系、グレート・タマンネガラエコシステム、そして南部 森林地帯など、標高の高い山地や国立公園、その周辺の森 林でみられた(図

)。これら

ヶ所の地域はマレー半島 だけではなく、東南アジアのすべてのマレーグマの生息範 囲における、もっとも重要な生息地である。

 サバでは、低地性フタバガキ科森林の約

%が市街地あ るいは農地(主にアブラヤシ農園)へ変えられてきた。

年には、サバの約

%(約

)がアブラヤシ農 園として利用されていた。この数字は、近い将来増加する と予想される。サバの約

%(

)が森林として 残されている(図

)ものの、その

%(国土の

%)

のみが何らかの形で保護されているにすぎない(

)。残存する森林の

%(国土の

%)

が伐採予定地で、そのほとんどは択伐されたか

年まで に伐採される予定の、商業的森林保護区である(

)。

 サラワク州政府によれば、サラワクの

%以上が自然林 に覆われている(図

)(

)。しかし、たっ た約

%(

)が、国立公園や自然保護区、野生生 物保護区としてなんらかの保護形態をとっているにすぎな い(

)。長期間の土地利用計画を考慮し て、サラワク州政府は

::政策をとっている(万

は農地と居住地、万

は商業的森林、万

は 保 護 区)(

)。年 に は、サ ラ ワ ク の

%(

)がアブラヤシ農園のために使われ、こ の割合は、次の数年間で倍になるであろう。現在では、商 業的森林の

のほとんどは著しく伐採されている。

生息地への脅威

 森林破壊は、マレーシアのマレーグマが直面するもっと も深刻な脅威である。これらの森林は、林業生産にとって 高い価値があると評価されており、現在急激に皆伐されて 農園や人間の居住地にとって変えられつつある。択伐もま た、多くの原生林を二次林へ変えた。マレーシアでは、輸 出による外貨獲得を通じて国の収益を生み出す戦略基盤の

つとして林業を考えている。つまり、マレーシアは現在、

熱帯の広葉樹林の世界一の生産国であり輸出国である。伐 採は、マレーシアにおいて、いくつかの保護地域を除く低 地の森林に影響を与える。年間の森林破壊率は

年から

年の間に約

%はね上がり、結果 として

年以来、毎年森林の

%、平均して

が失われている(

)。それに対して、その他の東南 アジアの国々は、年代に年間森林の

%、つまり

を失ったのみである(

)。伐採活動は、マ レーグマの生息地を縮小させるだけでなく、伐採期間中に 整備される林道網を通じて密猟者の森林への侵入を許した。

 マレーグマは、伐採された森林においても確認されてい る(

)が、原生林を二次植生に変えること のクマへの影響は知られていない( )。マレーシ アに残存した森林のほとんどは、選択的に伐採されてし まったか、あるいは近い将来伐採される予定になっている ため、マレーグマは将来、伐採された森林に大きく依存す ることになるだろう。高い択伐率でわずかな木しか残って いない状態の林、乱暴な伐採方法によってひどく損傷して しまった林から、まだ多くの大径木が手つかずで残ってお りあまり攪乱されていない林まで、一口に「伐採林」といっ ても、それが指す林の状態はさまざまである。状態の良い 伐採林は、たいてい、急峻な地形の林か、影響緩和伐採法 のような環境にやさしい伐採が行われた比較的小さな面積 の林である。サラワクの多くの場所で見られる伐採でひど く損傷した森林をマレーグマが利用するかどうかは非常に 疑問である。

人間とクマの関係

クマの地域固有の呼び名

 マレー語でマレーグマは、ハチミツがおそらくクマの大

好物であるため「

」すなわち「ハチミツグマ」

である。中国系マレーシア人の間では、おそらく犬のよう に身体サイズが小さく体毛が短く頭部が小さいという理由 からだと思われるが、「犬グマ」と訳される「

」 として知られている。またマレーグマは、脅威にさらされ ると大声をあげるため、そう呼ばれる。

人間との軋轢

 マレーシアでは、スマトラトラ、アジアゾウ、ボルネオ オラウータンの方がマレーグマより人間との軋轢が大き い。アブラヤシ農園周辺に生息しているマレーグマはアブ ラヤシの種子を採食することが知られている(

)が、マレーグマは生息数がわずかであり、捨てら れ地面に落ちた種子のみを食べるため、農園の所有者はク マの採食に対して寛容である。にもかかわらず、農園で働 く者たちはいつも、特にクマが家の近くで採食するように なると、クマに出会ったときの身の安全を考える。そのた め地元の行政府、あるいは村住民たちは、作物被害のため ではなく、身の安全のためにクマを殺すのである(

)。

現在の管理システム

マレーグマの法的位置づけ

 マレーグマはマレーシアも加盟している野生動物相の絶 滅危惧種の国際取引に関する会議(

)において、附 属書Ⅰに登録されている。マレーグマの国際取引、あるい はその身体の一部の取引は、正式な許可なしには禁止され ている。

 マ レ ー グ マ は、マ レ ー 半 島 に お け る 野 生 生 物 保 護 法

()(

)とサバ野生動物保全 法(

)のもと「完全な保護種」とし て登録されている。狩猟、捕殺、飼育、商業取引は禁止さ れている。

 サラワクでは、マレーグマは、野生生物保護令() で保護種として登録されている。マレーグマの飼育、狩 猟、捕殺、生け捕り、商取引、輸出入さらに体の部位の所 有には、許可が必要である(

)。そ れにもかかわらず、ペットとして飼育されているクマは数 知れず、また

年代後半に法律が実施される前からクマ を所有していた者がいるため、サバとサラワクでは少数だ が合法的に飼育されている。

マレーグマに関わる行政府、研究者、NGO のリスト  マレーシアでは、つの地理的に異なった地域ごとに、

異なる行政府がマレーグマ保全のために責任をもってい る。それらは、マレー半島野生動物・国立公園局、サバ州 野生生物局、サラワク林業局である。世界自然保護基金

(マレーシア)や野生生物保全協会(マレーシ アプログラム)、マレーシア自然協会()などの、い くつかの国際的あるいは地域的な環境保全

が設立さ

れ、ここ数

年間に多くの野生生物種の保全プログラムを 確立し実行してきた。しかし、や公的な教育プログ ラムは、これまでマレーグマ保全に焦点を当てたことはな かった。著者は、これまでマレーグマの研究と保全活動に 活 動 的 に 参 加 し た 唯 一 の マ レ ー 国 籍 の 研 究 者 で あ る

)。

提 言

 マレーグマは、いまだにマレーシアと東南アジアでは もっとも関心をもたれていない大型哺乳類である。マレー グマは、過去数年間ボルネオで生態に関する研究がいくつ か行われてきたにもかかわらず、依然としてもっとも未知 のクマである(

印刷中

印 刷 中

)。マレーシアでは、あまり強制力のない 法津上の保護以外に特別な管理行動は何もとられてこな かった。クマの分布や個体群動態、個体群の傾向、飼育さ れているクマの数、人為的な死亡、商業取引活動、あるい はクマの身体の部位の利用に関して、何も信頼できる調査 はない。さらに、マレーグマに特に着目した保全、あるい は一般人を対象にした教育のプログラムや、保全のための 生息地管理計画は何もない。また、適切な林業がどこでも ふつうに行われているわけではない。つまり、森林地帯 は、農園の発展のために皆伐されているし、多くの伐採の 実施は持続的ではない。マレーグマに関する基本的な情報 の欠如と残存する森林を保護する政府の関与の欠如は、マ レーシアのマレーグマの保全努力とその長期的な存続を阻 害する大きな要因となっている。

 マレーシアのマレーグマの保全と管理のための提言は、

以下のとおりある。

()分布図の作成と生息状況調査:残存するパッチ状の森 林における、マレーグマの生息の有無に関する国レベル の分布調査。調査では、

)マレーグマの長期的な存続に とって障害となる生息地要因とマレーグマ保全ユニッ

第9章:マレーシア

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