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Pricing Percolation Model と価格‐販売量推移曲線モデルの関係

価格と販売量の関係を調べるモデルとして良く知られている価格‐販売量反応モデル

(価格反応モデル、需要モデル等とも呼ばれる)には、古くからたくさんの研究がある。本

論文で提案した PP モデルと価格‐販売量推移曲線モデルは、この価格‐販売量反応モデ ルとは異なるものである。表24は、これら3つのモデルを、

①製品とデータの捉え方、

②使用目的

の2つの視点で、その差異を整理したものである。

価格‐販売量反応曲線は、ある任意の一定時点における同一製品の価格と販売量の関係 を曲線で表しているところに特徴がある。この価格‐販売量反応曲線の形状がどのような ものであるかに関するこれまでの実証は、必ずしも十分なものではない。これを用いる際 は、直線を含めた下に凸の減少関数を想定するのが一般的である。価格の効果を探る場合、

その推定に際して、線形の場合は回帰モデル、それ以外の場合にはロジット・モデルが用 いられことが多い。価格‐販売量反応モデルを適用する財の価格を共有する消費者の異質 性が高いと、その価格に対する反応が、その異質性の影響を受けたものになり、本来の価 格反応ではなくなる恐れがある。そのため価格反応モデルを適用する財の集計水準には十 分注意する必要がある。電子部品の場合、スペックにより使用される回路・機器が大きく 変わるため、カテゴリーレベルの集計水準に価格‐販売量反応モデルを適用しても何の価 格反応を見ているのか分からない。したがって電子部品の場合、価格‐販売量反応モデル は、個別の1つの製品(単一のスペックを有す製品)の価格と販売量を対象とすべきモデル である78

PPモデルと価格‐販売量推移曲線モデルは、製品カテゴリー79の価格と販売量を対象と している。これが価格‐販売量反応モデルとの大きな違いである。また PP モデルは、あ る時点における商品カテゴリーを構成する個別製品の価格と販売量を対象としているのに 対して、価格‐販売量推移曲線モデルは、経時的な商品カテゴリーの平均価格と販売量を 対象としており、これが両者の大きな違いである。

78 一般消費者向けの製品では、ブランドレベルに価格‐反応モデルを適用した研究が 多数ある [23]。

79 製品カテゴリーは、様々な水準で定義できる。例えば、セラミックコンデンサーという水準、

その中の静電容量特性の水準、1005サイズの水準…等。

131 表 24 各モデルの比較

図 62 価格‐販売反応曲線、価格‐販売量分布、価格‐販売量推移曲線の関係

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PP モデルの価格‐販売量分布と価格‐販売量推移曲線モデルの価格‐販売量推移曲線 は、同一の販売データから試行錯誤を重ねながら電子部品の価格と販売量の関係性を調べ ている過程で見出したものである。したがって両者のモデルの間には密接な関係が存在し ている。もちろん経済学やマーケッティング・サイエンスの価格理論の基礎を成す価格‐

販売量反応モデルとも密接な関係がある。

62 は、これら3つのモデルの関係性を図にしたものである。6章で取り上げた電子 部品等を製品カテゴリーの例として、図 62 を説明する。セラミックコンデンサーやチッ プ抵抗等の製品カテゴリーの価格‐販売量推移曲線[図中ピンクの平面。6章から8章参 照]における平均価格は、時間とともに図 62の矢印の方向に下落し、同時に販売量は増加 する。セラミックコンデンサーの場合、まだピークに達していないが、フィルムコンデン サー、磁気ヘッド、フロッピー・ディスク、磁気テープ等は、ある平均価格で販売量がピ ーク・アウトし、その後衰退期に突入し現在に至っている。この価格‐販売量推移曲線の ある時点の平均価格と販売量は、その時点の(製品カテゴリーを構成する個別製品群の)販 売データから作成(作成法は 24 ページ、2.1.2 参照)した価格‐販売量分布(ブルーの平面。

2章から5章参照)から平均価格と総販売数量として得られる。

この価格‐販売量分布のある1つの階級(価格帯)に入る(製品カテゴリーを構成し1つ の品番を持つ)個別製品の販売量は、その個別製品の持つ価格‐販売量反応曲線 [7] [20]

[67] [23][図中グレーの平面]に従って、その時点の均衡価格80により売買された量と考えら

れている。

このように1つの製品カテゴリーは、ある時点で、3つの階層で価格と販売量の関係が 定義できる。

1. 製品カテゴリーの平均価格と総販売量の関係

2. 製品カテゴリーを構成する個別製品群が形成する価格‐販売量分布

3. 製品カテゴリーの個別製品群を構成する1つのスペックを有す個別製品の価格と 販売量の関係

本論文は、この3つの階層で価格‐販売量の決定メカニズムが働いていることを指摘し整 理した最初の論文と考える。また現時点において、電子部品の価格は、これらの3階層に 限られるものと考えられる。

80 均衡価格とは、完全競争市場において需要と供給が釣り合った時の価格で、需要曲線と供給 曲線の交点の価格である [94]。

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