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4 Price Percolation Model による価格変動メカニズム分析

4.2 景気循環の価格変動への影響

4.2.3 結果と考察

24(a)、(b)は、それぞれセラミックコンデンサーと水晶デバイスのシミュレーション

の結果である。なお2003年8月の価格を1として指数化して作図した。両図の太線が、各 部品カテゴリーの

z

tの推移を示している。一方細線は、シミュレーションの結果である。

シミュレーションの結果と

z

tの推移は、若干のタイムラグがあるものの、両者の推移は 極めて似ている。

我々は、シミュレーションの結果と実データの交差相関を調べてみた、セラミックコン デンサーの場合、シミュレーションの結果は、実データに対して2か月先行して推移して いるこが分かった。これは、価格交渉の対象となる期間が、四半期、半年、1年と、色々 あるため、価格交渉時点の景気の影響が実データの価格の変化として観測データに表れる のに時間がかかることによるものである。

これに対して水晶デバイスの場合、実データがシミュレーションの結果に対して 6か月 先 行 し て い る 。 水 晶 デ バ イ ス は 、 一 般 的 に 受 注 生 産 的 な 傾 向 が あ る 。 そ の よ う な

44 この

P

0は、限られた時間内での試行錯誤により、実データの推移に最も近い結果を得られ る値を選択した。そのため、今回設定した値より最適な値がある可能性がある。

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は、本シミュレーションの結果から(3)と(4)式を用いて算出した。

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(b)

図 24 シミュレーションと実データの推移比較 (a)セラミックコンデンサー (b)水晶デ バイス

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傾向を持つ水晶デバイスメーカーは、およそ2006年頃まで、アメリカ合衆国における住宅 バブルによる世界的な好況期の下で、需要拡大を期待して生産能力をおおはばに増やした。

2007年になると、その生産能力過剰問題を解消することを目的に、販売量の拡大を目論み、

それまでほぼ一定の価格で推移していたクロック用水晶発振子、民生用水晶発振子、音叉 型水晶発振子等の値下げを開始した。これが景気後退よりも先行して平均価格が下落した 原因の1つとして考えられる。

シミュレーションと実データの統計分析の結果から、景気循環が価格変動に対して、次 のように影響していると考えられる。

景気拡大期において電子機器メーカーは、多くの顧客が高機能で高価な電子機器を買う と期待する。そのため彼等は、機能向上のための研究開発により多くの投資をする。した がって、景気拡大では、最大の実現難易度、つまり顕在化確率Pが上昇する。そのため電 子機器メーカーが購入する電子部品の価格分布は、高価格帯の販売量比率が増加するよう に変化する。その結果、電子部品の平均価格は上昇する。

逆に景気後退期では、電子機器メーカーは、機器の機能の改良よりもコスト削減と価格 のダウンを優先する。そのため、Pは小さくなる。これに伴い電子部品の価格分布は、高 価格帯の販売量比率が減少するように変化する。その結果、平均価格は下落する。

成熟し陳腐化した電子機器は、通常安価である。このような電子機器の場合、電子機器 メーカーは機能の向上よりコストと価格のダウンを優先し、過剰な機能を取り除くことに 努める。その結果、Pは小さくなる。

以上議論をベースとして、我々は、景気変動が価格分布の変化をもたらし、それが平均 価格の変化となって表れていると結論付ける。

一般的に経済学では、価格の変動は、需要・供給モデルを用いて説明される。例えば、

景気循環に伴う1つの財の価格の上昇は、需要曲線が右上方向へシフトし、その結果、需 要曲線と供給曲線の均衡点が高価格方向にシフトすることにより価格が上昇すると説明さ れる。この均衡点のシフトにより価格変動を説明する場合、観測データを用いて需要・供 給曲線を推定する必要がある。しかしそのためには、需要と供給に影響すると想定される 外生変数が必要なため、観測された販売データだけでは、需要・供給曲線を推定すること ができない [57]。さらにこの推定の際、しばしば識別問題 [57]と呼ばれる問題に遭遇し、

推定不能に陥る場合がある。これに対して我々のモデルは、部品カテゴリーの総販売金額 のような景気の状態を内包している販売データを用いて、景気変動に伴う価格分布の変動 を直接シミュレートするため、シンプルで頑健であるといえる。

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