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1 序論

1.4 本章のまとめ

本章では、ビジネス戦略に関する従来研究やSimon等が提案している6項目の価格戦略 [5]が、汎用電子部品の競争優位戦略創出を目的とした応用に対して可能性があるか吟味し た。その結果、戦略創出ためのアプローチとして2つの可能性があることを示した。

1つは「製品ラインのプライシング」の視点から、汎用電子部品にとってビジネス環境 変化に強い製品ラインの構成とはいかなるものか。さらにいかなる製品ライン構成が、企 業業績向上・安定化にとって有利なのか等を追求していく第1のアプローチである。これ を製品ラインアプローチと呼ぶことにする。このアプローチでは、景気循環や市場拡大を 考慮した品揃え戦略の創出を行い、さらに価格戦略創出の基礎となる価格変動メカニズム を分析し、その理解を深める。

もう1つは長期的時間軸を考慮したプライシングの視点から、金額がピークに達して 1

~2 期経た時点で「価格‐販売金額推移曲線」を推定し、そこで得られたパラメータを用 いて、その価格‐販売数量推移曲線を推定することにより、販売数量が最大となる価格や

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その最大販売数量を予測したり、需要の価格弾力性を推定し価格下落による需要増を予測 したりすることにより、事業運営に活用する第2のアプローチである。これを長期的時間 軸考慮アプローチと呼ぶことにする。このアプローチでは、諸戦略創出のための手法とし て、確度の高い製品ライフ・サイクルのステージの新しい識別法の提案、本論文で定義し た成熟期の長さを推定する指標の提案、最大販売数量の予測法等の提案を行う。

本論文では、この2つのアプローチで議論を進めて行く。

1.5 本論文の構成

本論文の構成は以下の通りである。

1章の序論では、本論文の目的を概観し、さらに研究の背景と従来研究をレビューする ことにより本論文全体の導入としている。そこでは、2、3章の汎用電子部品の製品ライ ンアプローチ価格戦略創出とそこで用いる価格形成過程モデル構築、4章の価格形成過程 モデルを活用した価格変動メカニズムの分析、さらに6、7章の長期的時間軸考慮アプロ ーチによる価格戦略創出とそこで用いる価格‐販売量推移曲線モデル構築等の意義と根拠 を与えている。

2章から5章は、製品ラインアプローチによる検討結果について述べている。2章では、

汎用電子部品の価格形成過程の数理モデルとして、Price percolation modelを構築し、その 構造を明らかにした。さらに3章で、ビジネス環境の変化である景気循環と市場拡大を想 定したシミュレーションを行い、有利な品揃え戦略を検討し、実証的検討と合わせ、最終 的に、ビジネス環境変化に強い製品ラインのあるべき姿を提案した。

4章では、シミュレーションと実証研究の両面からビジネス環境の変化の価格変動に与 える影響を調べ、価格変動のメカニズムについて論じた。

6章から8章は、長期的時間軸考慮アプローチによる検討結果を展開している。6章で は、新製品普及モデルと価格変動モデルの結合により価格‐販売量推移曲線モデルを構築 し、実データを用いてモデルの評価を行った。さら7章で、その活用法を提案している。

例えば、価格‐販売金額推移曲線が価格‐販売数量推移曲線に対して先行して推移する性 質を利用し、金額が最大となる価格から、数量が最大となる価格と最大販売数量を予測す る方法や、製品のライフ・サイクルのステージの客観的同定法について提案している。

9章では、Price percolation modelと価格‐販売量推移曲線モデルの関係を示し、3つの 階層で価格‐販売量を決定するメカニズムが働いていることを論じた。

最後に10章で本論文の結論と今後の課題を議論している。

本論文の構成を図7に示す。

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図 7 本論文の構成