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O1-4 禁煙外来治療

ドキュメント内 第10回日本禁煙学会学術総会抄録集PDF版 (ページ 77-98)

レセプトデータで見る

禁煙とうつ病エピソードの関連について

ふじ

たか

九州大学大学院医学系学府医療経営・管理学専攻

原野 由美1)、馬場園 明2)

1)九州大学大学院医学系学府医学専攻、2)九州大学大学院医学研究院医療経営・管理学講座

【目的】たばこ税増税や禁煙外来の対象者拡大などにより、喫煙者における禁煙の関心が高まってきて いる。その一方で、禁煙が、精神症状に影響を与えることも懸念されている。本研究では、禁煙がう つ病エピソードの発症に影響を与えるかどうかを検証する。

【方法】全国健康保険協会福岡支部のレセプトデータを使用し、2010年度から2014年度の5年度全ての 健診を受けた被保険者を対象とした。曝露群は、禁煙者(2010年度喫煙あり、2011年度から2014年度 全てで喫煙なしと回答した者)で、対照群は、非喫煙者(2010年度から2014年度全てで喫煙なしと回 答した者)、および喫煙者(2010年度および2014年度に喫煙ありと回答した者)とし、2011年度の健 診受診日以降2015年3月までにうつ病エピソードによる受診を調査し、ロジスティック回帰分析を行っ た。なお、2011年度健診日以前にうつ病エピソード、気分障害、神経症性障害、統合失調症による診 療開始がある者は除外し、年度内に複数回の健診受診がある者は早い時期のものを使用した。

【結果】対象者は131,316名で、そのうち禁煙者3,388名、非喫煙者83,520名、喫煙者44,408名であった。

うつ病エピソードによる受診は、対照群を非喫煙者とした場合、喫煙状況OR1.00(95%信頼区間0.77-

1.29)、年齢OR0.89(95%信頼区間0.79-1.91)、標準報酬月額OR1.07(95%信頼区間0.96-1.19)で有意差 がみられず、性別はOR1.12 (95%信頼区間1.00-1.25)で女性が有意に高かった。対照群を喫煙者とし た場合、喫煙状況OR1.08 (95%信頼区間0.84-1.40)、年齢OR0.87 (95%信頼区間0.75-1.02)、標準報 酬月額OR1.15 (95%信頼区間0.98-1.34)で有意差がなく、性別はOR1.33(95%信頼区間1.09-1.61)で女 が有意に高かった。

【考察】うつ病エピソードの発症について、禁煙群のオッズ比は対照群と比較して有意差はないという 結果が得られた。一方で、性別では女性の方が有意に高かったが、この分析では多変量解析をもちい たために性別を考慮した結果となっている。禁煙とその他の精神疾患の発症の関連性についても今後 検証が必要である。

O2-1

喫煙と精神疾患・周術期

多彩な身体合併症を有する精神疾患患者の 多重依存治療

むら

しま

よし

首都大学東京大学院人間健康科学研究科ヘルスプロモーション学域

【目的】精神疾患罹病患者の場合、多重依存が多く、治療は難渋する。特に原疾患である統合失調症に 加えて、多彩な身体合併症も有している事が多い。このような場合どの症状から手をつけていくかは 治療の正否を分けるポイントとなる。その治療手順について報告する。

【方法】【結果】症例 38歳男性

原病歴24歳妄想幻覚状態にて初発、再発再燃を繰り返していたが、寛解時30歳に結婚。妻の助言 もあり、当院初診。

現症 幻聴のため、多重依存に落ちいっており、ニコチン;Blinkman指数60x12=720、 アルコール;

8-12drinks/day、スロット依存。

検査 γGTP=1200, LDL=220, HDL=40, TG=360, HbA1c=7.4 BMI=32

治療経過 原疾患治療 減薬し、パリペリドン(PAL)単剤経口を経て、PAL-LAIで病的体験は消失。内 服薬がなくなり、病識も芽生えてきた為、内科治療に移った。メトホルミン1500mg, DPP4iから始めた が、妻の食事療法により、6ヶ月でHbA1c=6.5まで低下。Strong statin, ω3脂肪酸を投与, 運動療 法も行ない3ヶ月で LDL=120, HDL=70, TG=100まで低下。「体が軽くなって調子が良くなった。健康 はいいですね」と言い始めたので、依存治療に取りかかった。妻の協力を得て、外出時事現金はもた せない。いつも行くパチンコ屋の前は通らない帰宅ルートを作り習慣化させた。これにより、ギャン ブル依存消失。次にアルコール依存、アカンプロセート投与。本人の希望により認知行動療法CBTを行 なった。この結果「依存物質であるアルコール、ニコチンやめれば体が楽になる、やはり依存物質は やめるべきだ」という認知再構成に成功。禁煙治療 過去の失敗からは禁煙開始からイライラ易怒性 を呈していたからである。D2受容体のpartial agonistであるAPZOD24投与を追加。これが感情の不安 定さを取り除き、3回目にして無事禁煙治療成功へと導けた。

【考察】多彩な身体合併症を有する精神疾患患者の多重依存治療を進めるにあたっては、まず精神疾患 を安定させ、次に内科治療を通じて身体満足度を上げた後、依存治療に入る。まず環境調整、CBTを利 用して依存の認知再構成を行なった後、個別の依存離脱反応に対応し禁煙治療に導くのが有効と分か った。

O2-2

喫煙と精神疾患・周術期

精神科デイケア通所者への禁煙教育による 意識継続性の検討

~認知行動療法を成功させるために~

やま

西

にし

まこと

医療法人陽和会 南山病院

安里 元貴1)、宮城 武志1)、大濵 純子1)、譜久原 弘1)、譜久原 朝和1)

1)医療法人陽和会 南山病院

【目的】統合失調症のような精神疾患を有する患者の中には、認知機能障害を発症することも報告され ており、禁煙支援に向けた教育の成果やその持続期間が懸念されていた。当院精神科デイケアでは禁 煙支援に認知行動療法(リラプス・プリベンション)を実践しているが、患者本人がタバコの害につ いて理解して行動することが必須条件となる。本研究は、精神疾患を有する患者に禁煙教育を実施し、

その禁煙意識を高く継続できるかを検討し、禁煙教育の効果を考察することを目的とした。

【方法】当院精神科デイケアにおいて2015年6月に実施した禁煙教育講演前後の加濃式社会的ニコチン 依存度調査票(KTSND)の結果と、1年経過後に再度KTSNDを施行した結果を合わせて評価する。

【結果】禁煙教育講演前後の全体のKTSND平均値が、有意な改善を認めたことは第9回日本禁煙学会学術 総会にて報告している(13.05点→11.00点)。2016年度のKTSNDの平均値は、講演前と有意差はつかな いものの11.91点(p=0.372)であった。設問別で比較すると、「タバコは嗜好品」が講演前と今年度 とで有意に低値を維持していた(1.74点→1.19点)。また、喫煙状況別で比較すると、非喫煙群では

「タバコを吸うこと自体が病気」が講演後から今年度にかけて点数が増加し(0.48点→1.08点)、前 喫煙群では「タバコにはストレス解消作用がある」および「タバコは頭の働きを高める」の設問とKTSND 平均値においても点数の増加を認めた(各々0.92点→1.91点、0.64点→1.23点、10.68点→14.00点)。

【考察】非喫煙者のタバコの害に対する考えは、直接本人に影響を及ぼす受動喫煙に対しては意識でき ていたが、喫煙行為自体には無関心になりやすいことが示された。前喫煙群では、特にタバコを合理 化・正当化するような意識が強く、全体的に点数が増大したと考えられる。全体としてはタバコを美 化する傾向にはなく、禁煙教育講演後から1年以上経過後も意識を保っていられることが示された。精 神疾患を有する患者も健常者と同様に禁煙教育を実施すれば意識を改善することは可能であり、意識 の継続性も示されたが、タバコの誤った効能効果の認識を正すには継続的に教育を実施していくこと が必要であることが示唆された。

O2-3

喫煙と精神疾患・周術期

喫煙者のニコチン依存度と関連する因子の検討

つき

もり

みず

京都女子大学 家政学部 食物栄養学科

西河 浩之2)、金地 研二2)、宮脇 尚志1,2)

1)京都女子大学 家政学部 食物栄養学科、2)洛和会東寺南病院健診センター

【目的】喫煙は、がんや循環器疾患、脳血管障害、COPD(慢性閉塞性肺疾患)など、さまざまな疾患の 危険因子である。たばこに含まれるニコチンは気道刺激性、循環器毒性を有する上に、喫煙による急 激な血中濃度上昇によって、依存症を発症させる物質であり、この依存性が禁煙を困難にする理由の1 つである。しかし、ニコチン依存度と喫煙関連因子を検討した調査は少ない。そこで本研究では、健 診者を対象として喫煙に関する問診票を用い、喫煙者のニコチン依存度と喫煙関連因子を検討するこ とにより、効果的な禁煙指導の一助にすることを目的とした。

【方法】2013年5月から2016年5月の間に某病院の人間ドックを受診した者のうち、喫煙に関する問診調 査を実施した1166名(男性1044名、女性122名、平均年齢50.0±7.2歳)を対象とした。喫煙に関する 問診項目として、厚生労働省の「喫煙に関する質問票」及び日本人間ドック学会の「人間ドックにお ける喫煙に関する標準問診」を用い、喫煙の有無、本数、年数、ニコチン依存度(TDS)、禁煙の関心 度、禁煙に対する自信を調査した。服薬の有無、飲酒に関する問診項目は、特定健康診査の「標準的 な質問票」を用いた。調査項目とニコチン依存度との関連を検討した。

【結果】喫煙者201名(17.2%)、過去喫煙者431名(37.0%)、生涯非喫煙者534名(45.8%)であっ た。1日の喫煙本数、喫煙年数(10年以上)、及びブリンクマン指数の増加に伴い、ニコチン依存度は いずれも有意に上昇した。ニコチン依存度が上昇するほど、禁煙の関心度が高い傾向を示した。また ニコチン依存度の上昇に伴い、禁煙に対する自信は有意に低下した。過去1年間の禁煙経験の有無とニ コチン依存度に有意な関連を認めなかった。服薬(糖尿病、高血圧、脂質異常症)の有無と禁煙の関 心度に有意な関連を認めなかった。重回帰分析の結果、1日の喫煙本数はニコチン依存度の有意な寄与 因子であり、また年齢の上昇は禁煙の関心度の寄与因子である傾向を示した。

【考察】ニコチン依存度の上昇は1日の喫煙本数及び喫煙年数の増加、並びに禁煙に対する自信の低下 と関連することが示唆された。ニコチン依存度の点から考えると、喫煙開始後できるだけ早い時期に 禁煙指導を行うことが効果的であると考えられる。

O2-4

喫煙と精神疾患・周術期

ドキュメント内 第10回日本禁煙学会学術総会抄録集PDF版 (ページ 77-98)