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ミニシンポジウム

ドキュメント内 第10回日本禁煙学会学術総会抄録集PDF版 (ページ 64-67)

市民活動としての訴訟

かた

やま

りつ

萱場健一郎法律事務所 弁護士

1.タバコ対策のきっかけ

子供の頃からタバコが嫌いで、小学生の時には、「他人の快楽のためにどうして周りの人が我慢し なくてはならないのか?」と強く疑問に思っていたところ、父親の紹介で伊佐山芳郎弁護士と「嫌煙権 訴訟」を知り、受動喫煙は人権侵害であるという明確な回答を得た。このことをきっかけに、将来は弁 護士になってタバコに関する訴訟をしたいと思うようになり、本当にそうなってしまった。

2.タバコ対策を進めていく上での考え方

当初は、受動喫煙を念頭に、喫煙者対非喫煙者という構図で捉えていた。しかし、「本当に悪いの は誰か?」「一番笑っているのは誰か?」という視点で考えてみると、喫煙者も大きな意味では被害 者であり、タバコ産業や政府に対する訴訟こそ根本的かつ効果的な方法であると考えるようになり、

元喫煙者を原告とする東京タバコ訴訟原告団に加わった。受動喫煙防止という明確な人権侵害の救済 を第一優先としながらも、最終的にはタバコ産業や政府の責任を問うことを目指しつつも、少しでも タバコフリーを前進させるには何が効果的かということを常に念頭に置いて、立場に拘らずに柔軟に 対応したいと考えている。

3.現在、行っているタバコ対策の現状

日本禁煙学会や神奈川会議等を通じて、他職種の専門家や市民活動との協同を図りつつも、専門領 域である以上、基本的には、訴訟や法的紛争における代理人としての活動を担当することが多い。

現在は、日本版医療費回収訴訟の検討会を立ち上げ、昨年始まった韓国における医療費回収訴訟の 原告弁護団とも連絡を取り、我が国でも同様の訴訟を提起するべく検討中である。

4.今後の展望および問題点

職場における受動喫煙被害については、訴訟等を通じて受動喫煙被害対策が雇用主の安全配慮義務 の一内容として認められるようになってきている。しかし、より根本的な解決のためには、タバコ産 業そのものの責任を問う必要がある。また、「多様性」を強調したタバコ産業の分煙キャンペーンと も戦う必要がある。そのためには、専門家や熱心な市民活動の方々との協同にとどまらず、タバコ問 題に関心のない一般市民にこそ関心をもってもらい、タバコ製品(有害性や依存性)やタバコ産業を めぐる利権構造について理解してもらうことで、より大きな社会運動として裾野を広げていく必要が ある。そのような社会的情勢の影響により、訴訟においてタバコ産業に少額でも賠償責任があるとの

ミニシンポジウム

行政との協働

~市民の立場から~

すず

たか

ひろ

ちょうふタバコ対策ネットワーク 副代表 兼 事務局長

1.タバコ対策のきっかけ

もともと「嫌煙者」であったが、タバコ問題首都圏協議会の定例会にたまたま参加したことをきっ かけとして、タバコ問題について勉強したところ、様々な社会問題に複雑に絡み合っており、かつ一 部の人間が自らの利益のために多くの人の命と健康と生活を犠牲にしていることを知り、怒りと使命 感を強く感じたことがタバコ対策の活動をはじめたきっかけである。

その後はタバコ対策の活動を通じて、様々な異業種の方々や地域の方々との出会いがあること、活 動が着実に実績になっていくこと、タバコ対策を通じて様々なビジネススキルが向上し本業にも良い 効果が出ていることが、タバコ対策の活動を継続するモチベーションにつながっている。

2.タバコ対策を進めていく上での考え方

当初は、喫煙者や行政を「敵」として戦う姿勢をもち法的手段に訴える活動もしたが、その後喫煙 者もタバコ利権の被害者であると認識を改め、また行政とも協働していくことが長期的にタバコ対策 を進めていくうえで重要であると理解し、活動スタイルを「協働」へ転換した。

自らの影響力と時間と金には限りがあることから、まずは理解を得られそうな団体・人物からアプ ローチして関係を構築し、内部から変えていくスタイルをとっている。その代表的な取り組みが、行 政との協働である。

3.実施しているタバコ対策

医学等の専門性や肩書きのない一般市民であるが、本業で培ってきた企画・管理業務のキャリアを 活かし、組織においてどのように根回し・立ち回りをすれば、効果的にタバコ対策を実現できるのか の提言やサポートを行っている。

特に行政と効果的に連携するにためは、いくつか押さえておかなければならないポイントがあるた め、シンポジウムにおける発表において述べていきたい。

4.今後の展望および問題点

タバコ対策の業界は新しいようで古く、いまだ上から目線の批判的な活動や場当たり的な活動を行 っているケースもあるが、今後は戦略的かつ協働的なアプローチも必要と考える。

ミニシンポジウム

脳卒中・認知症予防による健康寿命延伸

—禁煙支援を中心とするリスク管理—

はし

もと

よう

いち

ろう

熊本市民病院 首席診療部長 / 神経内科部長

わが国では男性10年、女性13年が亡くなる前に健康ではない期間があり、健康長寿の延伸が大きな課 題となっている。現在の死因は、①がん、②心臓病、③肺炎、④脳血管疾患(脳卒中)となっており、

喫煙はこれら全ての原因になり、喫煙にて寿命が約10年短くなり、喫煙者はさらに介護期間が長くな ると報告されている。

2013年の調査では要介護5(寝たきり)の原因として、①脳卒中などの脳血管疾患34.5%、②認知症 23.7%、③高齢による衰弱(フレイル)8.7%、④骨折・転倒7.6%などがある。①脳卒中の予防、脳卒 中発症時に救急車などにより早期受診して救急治療を受けて後遺症を可能な限り少なくすること、そ の後のリハビリテーションを十分に行うこと、②認知症の予防と介護、③フレイル・サルコペニア・

ロコモに対する食事療法や運動療法(リハビリテーション)を行うことと骨折・転倒の予防などで健康 寿命の延伸が可能となる。

喫煙と脳卒中の関係は、①能動喫煙は脳卒中の危険因子で用量に依存して増加、②中年層で最大の相 対危険度を示し、高齢者では低下、③脳梗塞(約2倍)とくも膜下出血(約3倍)の危険因子、④脳出血 の危険因子としては確立されていない、⑤女性喫煙者、特に経口避妊薬使用や前兆のある片頭痛など の危険因子を持つ場合は毒性が高くなる、⑥禁煙で脳卒中の危険度は低下する、⑦受動喫煙も脳卒中 の危険因子(1.25倍)となり、受動喫煙に安全なレベルは存在しない、⑧受動喫煙防止法で脳卒中の入 院が16%減少し、死亡が32%減少ということが挙げられる。

脳卒中の危険因子である高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、心房細動があったり、治療が不十分だ とアルツハイマー病になりやすいと言われている。また当然のことながら脳卒中の予防が血管性認知 症予防になる。2013年のメタ解析では、脳卒中既往の有無にかかわらず、心房細動が認知症や認知機 能低下と関連することが認められた。ただし認知症の病型別解析を行うと、アルツハイマー病につい ては心房細動との有意な関連はみられなかったが、血管性認知症では心房細動との有意な関連が認め られた。逆に心房細動が血管性認知症よりもアルツハイマー病の発症に強く関与するという報告も散 見される。ワルファリンを内服するとしないよりも認知機能低下が少ない、ワルファリンのTTRがよい 症例に比して悪い症例は認知症が増加する報告もある。最近は、ワルファリンの問題点を改善するた めに登場した直接経口抗凝固薬(DOAC)を積極的に使っている。DOACの積極的活用と禁煙、血圧管理に

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