受動喫煙ゼロレストランで“おもてなしを”
テラスを含む全面禁煙へ
山
やま
下
した優
ゆう子
こ株式会社グローバルダイニング
執行役員渉外・リスク管理担当ウエディングオペレーションディレクター
グローバルダイニングでは、「カフェ ラ・ボエム」「モンスーンカフェ」「権八」「ゼストキャン ティーナ」など運営する店舗(シガーバーを除く)におきまして、テラス席も含め全面的に禁煙を推進 しております。
弊社は、2010年2月25日の厚生労働省の通達を契機に、同年の3月1日より全館禁煙に取り組んでまい りました。今までは館内を対象としておりましたが、禁煙法を早くから施行している世界各国の受動喫 煙対策を模範とし、健康増進法25条及び労働安全衛生法を推進すべく、この度テラス席も含め全面的に 禁煙を推進する事が決定いたしました。
昨今、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、受動喫煙防止条例等の議論が なされていますが、飲食業界では未だ全面禁煙は難しいとされており、空間分煙や時間分煙を対応策と して取り組んでいるレストランが多いのが現状です。
そのような中、弊社では、お客様と従業員の健康を第一に考え、専門機関のアドバイスをもとに、受 動喫煙による健康被害について正しく学び理解する事で、受動喫煙の危険に晒さない徹底した環境作り に努めてまいります。
その結果として、テラス席を有する店舗のうち、モンスーンカフェの代官山店と麻布十番店や、カフ ェ ラ・ボエムの白金店と自由が丘店については全面禁煙に取り組んでおります。また、今年5月にオー プンした恵比寿の新店舗については開店と同時に全面禁煙とさせていただきました。
世の中のすべての人に健康と喜びを提供することをモットーに、安全な環境と食事に心温まるサービ スを提供させていただくことを真摯に追求し、ご利用のお客様にとって居心地の良いレストランを目指 し、今後も努力を惜しまず続けてまいります。
【禁煙に関する弊社の歩み】
1980年代 オフィス内を禁煙に
1990年代 空間分煙・時間分煙に取り組む
2007年9月 応募者に対し弊社の禁煙活動への賛同を入社の条件とする
シンポジウムⅡ
全社員禁煙から得られたもの
~組織作りのダークホース~
鈴
すず
木
き達
たつ夫
おアクロクエストテクノロジー株式会社 組織価値経営部 シニアマネージャー
当社は、2000 年から、社内は禁煙とし、喫煙者は採用しない、という方針を打ち出している。
当時、社長をはじめ、喫煙者が全社員の30%。しかし、受動喫煙被害の他、喫煙者だけが何度も休 憩することの不公平さや、喫煙者のみが固まりコミュニケーションの偏りが生じてしまう点にも懸念が あった。
そこで、月に一度の全社員会議において、喫煙による問題を何か月にも渡って話し合い、結果、全 社禁煙にすることが決定した。
とはいえ、決定後すぐに、禁煙できるわけではなく、次のような取り組みを、皆で話し合って決め、
徐々に禁煙してもらうことになった。
・喫煙所に行く場合、タイマーを7分にセットしてフラグを立てて行き、7分以内に戻らなければペナル ティとして1000円を懇親会費に寄附
・喫煙所に行っている間にその人へ電話が来たらペナルティ1000円
・喫煙者は採用しない
その結果、喫煙率は徐々に減っていき、2011 年に、ゼロとなった。
成功の秘訣は、喫煙者、非喫煙者を交えて、何度も話し合いを繰り返したからである。上から一方的 に取り組みを決めても、このようにはいかない。
この禁煙活動を通して、社員の結束力が、より高まった。
シンポジウムⅡ
「社会的責任・社会貢献」というイメージ戦略
誰のための奨学金か?
~日本のタバコ産業による教育戦略~
村
むら
田
た陽
よう平
へい近畿大学文芸学部文化・歴史学科 准教授
本発表では、日本たばこ産業(JT)が実施している教育奨学金制度の狙いを検討することで、この 制度が、いったい「誰のための」教育支援になっているのかということを明らかにしたい。
具体的には、JT が CSR(企業の社会的責任)活動の一環として実施している「JT アジア奨学金」(1998 年~)および「JT 教育奨学金」(2014 年~)に注目し、これらの制度の概要と問題点を、奨学生や JT 関係者などの諸言説から検討した。その結果、この奨学金制度は、「学生の教育支援」という側面よ りも、内外の若い世代(高学歴層)に対する「タバコ産業のイメージ向上」という側面を大きな目的 にしていることが明らかになった。いわば、教育奨学金の給付という社会貢献活動の名目に隠された、
JT の真の狙いが浮き彫りになったといえる。
ただし、2005 年に発効した FCTC(タバコ規制枠組み条約)の第 13 条においてタバコ産業のスポン サーシップが明確に禁止されているように、JT の奨学金制度は条約違反に該当しかねないものである。
受動喫煙対策をはじめ、FCTC を遵守する姿勢がみられない JT による奨学金制度は、まさに「学生」の ためというよりも「タバコ産業」のための生き残り戦略を新たに教育分野で展開しているといって過 言ではない。そして、このような JT の諸活動を日本政府が事実上黙認しているという日本社会特有の 構造的問題も、決して見逃してはならない今後の大きな課題であろう。