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特別企画Ⅰ

ドキュメント内 第10回日本禁煙学会学術総会抄録集PDF版 (ページ 53-59)

産業看護分野における禁煙支援

やけ

独立行政法人労働者健康安全機構 北海道中央労災病院治療就労両立支援センター 保健師

治療就労両立支援センターは全国に9ヵ所あり、予防医療活動と治療就労支援活動を実施しておりま す。予防医療活動では、働く人々の健康増進・維持のため、依頼をいただいた企業を訪問して健康測 定、健康相談、講習会などを実施し、健康づくりのお手伝いを行っています。また、これらの活動を 通じて得たデータを分析・評価することにより、より効果的な予防法・指導法を開発することを目的 とした調査研究にも取り組んでいます。

産業看護分野における禁煙支援については、保健師が個別相談や講習会及び調査研究を担当してい ます。本日は、これまでに得た知見のうち、職場の喫煙室及びその周辺の空気環境測定、働く人々の 呼吸器症状と肺年齢測定との関係、職場や勤労者を対象としたタバコについてのアンケート結果等に ついてお伝えしようと考えております。

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特別企画Ⅰ

学校保健、喫煙防止教育における看護師の役割

まつ

なみ

よう

山形大学医学部看護学科助教

健康日本21では、禁煙支援や禁煙教育、受動喫煙の防止、喫煙の健康影響に関する知識の普及などの 取り組みが明記されている。学校教育においては喫煙防止に関する指導が学習指導要領に導入され、小 学校「体育」、中学校・高等学校「保健体育」において喫煙と健康との関わりについて指導するよう明 記がなされている。未成年者への喫煙防止教育は、養護教諭、学校医、保健師、薬剤師等により実施さ れており、教育によるタバコに関する認識や知識の増加や、喫煙開始を抑制する効果が先行研究で報告 されている。

看護職には、患者等への禁煙支援やタバコが健康にもたらす影響について正しい知識を持ち、その普 及を推進し、受動喫煙から非喫煙者を守る役割がある。看護職は、解剖・生理・薬理学を習得した医学 的専門家であるだけでなく、“人を看る”という独自の視点をもち、患者に身近な存在で日常的に保健 指導を担う職業である。そのため、学校保健、防煙防止教育でも大いに役割発揮が期待される。

さらに、看護職を目指す後輩たちへの教育も看護師の重要な役割である。看護学生の喫煙防止教育や 禁煙教育のさらなる推進に取り組む必要がある。日本看護協会による2013年「看護職のタバコ実態調査」

報告書によると、看護職の喫煙率は 7.9%と国民の喫煙率を下回るものの喫煙の害や受動喫煙の害の認 識については不十分と報告されている。また、習慣的喫煙経験者の約 8 割が 18~22 歳に喫煙を開始 し、約 5 割が喫煙開始の動機として「友達が吸うため」を挙げていることから、看護学生時代からの タバコを吸わないための教育・対策が重要である。しかしながら、看護基礎教育におけるタバコに関す る教育や対策は、教育機関によって異なるのが現状である。筆者らの調査では、教育機関における敷地 内禁煙と入学後の喫煙防止教育の違いが看護学生のタバコに関する知識や認識に影響する可能性が明 らかとなっている。

本セミナーでは、学校保健、防煙防止教育、そして看護職の後輩育成における看護師の役割について 参加者の皆さんと共に考えたい。

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特別企画Ⅰ

妊婦の禁煙を取り巻く状況からみえてきたもの

~助産師として妊婦の禁煙支援を考える~

かみ

やま

と き 江

富士吉田市立病院 助産師

助産師は、女性のライフサイクルに寄り添い、女性の健康に対応する専門家である。特に妊娠、出 産、育児は、ライフサイクルの中で重要な位置を占める。身体的変化とともに、精神的、社会的にも 変動を遂げながら生活を営む。

多くの女性は妊娠を機会に禁煙する。この機会を逃さずに禁煙が維持できるように支援することは、

女性の健康を維持する上でも重要な機会と考える。妊娠を機会に禁煙した状況を継続できるよう看護 を提供することは、子育てを行う母親が将来のある子どもの健康を安全に守ることができ、また自ら の健康を意識し、管理にしながら生活できることに繋がると考える。女性の健康を支援する助産師と して、この節目を母子ともに大切に受け止め禁煙維持を支援していくことは意義が深いと考える。

今回、妊婦の禁煙支援から見えてきた妊婦の禁煙を取り巻く状況を紹介し、助産師の立場から禁煙 支援について考えてみようと思う。

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特別企画Ⅰ

【第2部 禁煙セミナー】

禁煙支援における体重のコントロール:最新の知見から

たに

ぐち

椙山女学園大学 看護学部助教

禁煙時の体重増加は、禁煙を試みる喫煙者のモチベーションを下げ、禁煙継続者の再喫煙のリスク となる。禁煙支援に携わる看護職にとって、対象者の体重増加を最小限に抑えることは、大きな課題 である。

禁煙時の体重増加に関する欧米からの先行研究では、禁煙後1年でおよそ4~5kgの体重増加が報告さ れている。日本人を対象とした我々の研究では、禁煙治療終了後1年で全体のおよそ25%は3.5kg以上 の急激な体重増加を起こしており、ある一部の対象において急激に体重増加が起こることが示唆され た。このように、身体の小さい日本人を始めとしたアジア人においても、禁煙後の体重増加を抑える ことは課題であると考えられる。

現在報告されている禁煙後の体重増加に関する先行研究は、体重増加がどの程度起きるかといった 観察研究はすでに少なく、その体重増加をどうやったら抑えられるかといった介入を比較する研究が 主流である。2012年のCochrane Database of Systematic Review では、禁煙後の体重増加を予防する 介入に関するメタアナリシスが報告されている。その中の一部は、我々看護職が禁煙支援と同時に行 う体重増加の予防介入に用いることの出来る内容が含まれている。特に、対象者に合わせた運動や食 事、毎日の体重モニタリングなどを組み合わせた個別化された体重への介入の効果について、12ヵ月 後の体重が何もしない場合に比べて-2.58kg抑制する効果があったこと等は、利用しやすい報告である。

また、運動のみによる介入は何も介入をしない場合に比べて、禁煙治療終了時の体重抑制効果はみら れなかったが、長期的(1年後)の体重抑制効果がみられたとの報告もあった。

本セミナーでは、これらの報告を踏まえて、禁煙支援における効果的な体重コントロール方法につ いての私見を述べたい。

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特別企画Ⅰ

禁煙支援を行う看護師に期待すること

ごう

いわお

堺市立総合医療センター 呼吸器内科部長

禁煙を支援している看護師、あるいは禁煙支援を志そうとしている看護師は、「デキる」看護師で あるということを伝えたいと思う。

まず、禁煙支援を行う看護師は、自らの働きかけが患者の行動を大きく左右することから、患者の 行動の結果を考えて動こうとする。私自身は、直接的にタバコにより発症するCOPDや肺がんを診療す ることが多かったため、少しでも苦痛に悩む患者や家族を減らしたい思いで禁煙治療を行うようにな ったが、看護師の関与の有無が成否を左右するのでは無いかと感じるようになった。医師だけの支援 よりも看護師であるからこそ患者に1対1で患者の生活に対する介入ができる面があるのである。

外来であれば、問診時に短い介入が可能である.看護師による助言があった場合には15−20%もの患 者が禁煙できる一方で、ない場合の禁煙はたったの3%であるという報告がある。看護師の持つ潜在的 パワーがいかに大きいか理解できる。

外来でもそうであれば、入院中に複数の看護師の関わりがあれば、一層禁煙ができそうであるが、

残念ながらそうではないようである。そこには、比較的一般にみられる看護師の組織の問題・マイン ドセットの問題があるように思われる。 しかしながら、そのような問題にも関われる仕組みについて は、禁煙支援を行う看護師は、禁煙支援を学ぶ過程で実はすでに知っているはずである。組織のマイ ンドセットの問題が理解できれば、同僚の看護師が禁煙支援を本当にできない障壁を突破する方略も 実施可能になる。

一方、禁煙支援を行う上で、様々な疾患を喫煙の影響という視点から捉えることが可能となる。そ の効果は、ほぼ全領域に及ぶと言って良い。禁煙支援の取り組みはOJTとしてジェネラルの視点をもつ ことができる実践なのである。

さらに、禁煙支援を学ぶ上で、グローバルヘルスの視点ももつことができるようになる。喫煙につ いて、国際的には、他国は、どうしているのか、その社会的な背景を知ることは、21世紀の看護師が 求められる技能を発揮していく上で大きな力となるであろう。

セミナーでは、さらに、実際の支援の場面でどのようなやり取りをすることが有効なのか、医師と の役割・業務の分担についてなど考察を述べつつ 、皆様の意見も少し伺いながら「デキる」看護師の 像が明確になればと考えている。

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ドキュメント内 第10回日本禁煙学会学術総会抄録集PDF版 (ページ 53-59)