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特別企画Ⅱ

ドキュメント内 第10回日本禁煙学会学術総会抄録集PDF版 (ページ 59-64)

歯科からの禁煙支援

たか

なお

ひさ

日本歯科医師会常務理事

禁煙支援を歯科が行う本来の意義は、COPDやがん対策のためだけではない。たばこの煙が、口腔に 対して直接的に悪さをする。すなわち、歯周病や齲蝕に対して悪影響をもたらすためである。もちろ ん、全身への影響を、考えて歯科からの健康支援の一環でもある。

たばこに含まれる様々な物質が最初に触れる(進入する)口腔領域で、口腔の健康に及ぼす悪影響は 多々報告されている。喫煙が歯周病の治療の予後、また予防にも大きな影響を及ぼすことを考えると き、たばこの進入口である口の健康を扱っている専門家として歯科医師、歯科衛生士が禁煙支援をし ない理由はない。禁煙支援の対象者は、歯科疾患を主訴として来院する歯周病が主たる疾患である人々 である。

歯科医療機関では、喫煙を開始する若い年代の患者を診る機会が多く、喫煙による健康被害を認識さ せることができる。 喫煙の悪影響を患者本人の口腔を見せることにより、認識させることができ、そ れから全身への話に発展できる。 味覚、口臭など禁煙支援に身近な話題がある。前歯部など直接見え るところの審美性から禁煙支援に結び付けやすい。とくに、歯科衛生士は、歯科保健指導を通じて、

習慣付けに関する患者教育に慣れている。歯周病指導の際のブラッシングが禁煙開始後の「口さみし さ」を代償するものとして利用できる。

多職種合同シンポジウム 〜 タバコのない社会を目指して 〜

特別企画Ⅱ

タバコのない社会を目指して

~薬剤師会の取り組み~

龍 岡 健 一

た つ お か け ん い ち

東京都薬剤師会理事

1997年以降、多くの医療関係学会・団体により喫煙に対する提言、宣言が行われる中、日本薬剤師会 では2003年に禁煙運動宣言を採択し、専門職である薬剤師によるたばこ対策の検討・実施を進めてきて いる。FCTC発効の翌年2006年には「薬局・薬店ではタバコの販売を行わない」との宣言を追加した。

全国の薬局での実態については、2009年の国立がん研究センター研究所、日本薬剤師会の共同による 調査では、薬局薬剤師の喫煙率は約15%(2011年の類似調査では約10%)と推計され、多くの都道府県薬 剤師会で禁煙の啓発、支援活動が行われていることが報告された。薬局でのたばこ販売に関しては、同 主体の2011年の報告では、不明回答9.2%に留意の必要があるものの「たばこ販売をしていない」の回 答が87.6%であり、「している(自動販売機を含む)」が3.2%であった。

一方、東京都薬剤師会では2011年よりe-ラーニングと試験、支援実施例の審査による煙支援薬剤師 認定制度を設け普及に努めている。また、2013年よりオブザーバー、2015年からは委員として東京都歯 科医師会等とともに東京都医師会タバコ対策委員会に参加し、医師、歯科医師、看護師、学校教諭、弁 護士などの広範な職種間連携、情報共有の実現を得て大きな進展となった。

都内区市においても行政と地区薬剤師会との連携による禁煙支援事業が広く展開されていることを 港区と練馬区を例に紹介する。

薬局薬剤師による禁煙支援業務は未だ十分でないという指摘もあるが、2025年に向けた構想である健 康サポート薬局の要件には禁煙支援が盛り込まれるなど、今後の活動は加速していくと考える。

多職種合同シンポジウム 〜 タバコのない社会を目指して 〜

特別企画Ⅱ

東京都看護協会におけるタバコ対策の 取り組みについて

~2013年看護職の喫煙率は7.9%~

おお

はし

すみ

東京都看護協会常務理事

2013年公益社団法人日本看護協会看護職は、会員5,819人を対象に煙草実態調査を実施した。回答者 の基本属性は、平均年齢41.8歳(女性42.0歳、男性36.5歳)、性別「女性」96.0%、「男性」3.5%、

職種「保健師」15.5%、「助産師」14.4%、「看護師」52.4%、「准看護師」12.4%、「その他」0.8%

結果、看護職の喫煙率は7.9%であった。喫煙率が国民の喫煙率を下回っている一方、喫煙に対する認 識が依然として低いことなどの課題も明らかとなった。

●看護職の喫煙率は7.9%(女性7.2%、男性29.5%)であった。

今回調査結果では、看護職の喫煙率は男女ともに国民の喫煙率を下回っていた。

●タバコの害に関する認識は、肺がんやぜんそく、気管支炎、肺気腫といった呼吸器疾患や、喉頭が ん、動脈硬化、妊婦への影響などでも7~9割程度にとどまり、胃潰瘍(35.6%)、歯周病(48.3%)

への害を認識しているものは半数以下だった。

●これまで習慣的に喫煙した経験のある回答者全員(現在は喫煙していない人も含む)に、その開始 年齢を尋ねたところ、20~29歳が最も多く66.8%だった、一方、20歳未満も28.3%だった。

●喫煙者の34%が、中~高程度のニコチン依存度だった。

出典 公益社団法人 日本看護協会 広報部 2014年6月3日 公益社団法人東京都看護協では、上記看護職の実態を踏まえ以下の禁煙推進を実施している。

●看護職・看護学生に対して

総会および看護研究学会、看護学生学会での禁煙へのインフォメーションとしてリーフレットの配布。

社会経済福祉委員会主催の「禁煙サポーター研修」の開催 ●地域住民に対して

・例年「看護の日」に関連して開催する東京都看護協会主催「看護フェスタ」での、東京都医師会村松 弘康先生の講演。

・はじめて出産を経験する夫婦「両親学級」(年間約500名参加)に対する次世代育成支援事業の実施。

妊娠中の喫煙の害について、特に胎児の脳を傷つける可能性があることを、妊婦と家族にしっかり伝 える必要がある。妊婦自身への禁煙支援と並行して、妊婦を受動喫煙から守るために、夫や家族にも 協力を求めている。 東京都民の健康を支援する看護の職能団体として、都内に従事する看護職が喫煙 に対する正しい知識 を身につけ、タバコのない社会を目指したい。

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特別企画Ⅱ

小学校における喫煙防止教育について

ひさし

のり

東京都足立区立寺地小学校 主任養護教諭

現在、勤務する小学校は、敷地内全面禁煙の環境にある。しかし、数年前まで運動会などの行事の際 には、保護者のために敷地内において喫煙場所を設置していた。ここ数年において、保護者の理解を得 て、常に敷地内全面禁煙に至っている。

喫煙防止教育という言葉ができる以前の何十年も前から、保健指導や保健学習として、たばこの害を 児童に指導してきている養護教諭はいる。公立学校のすべての養護教諭が実践できるかというと、各学 校事情に応じて違うが、指導すべき必要性があったからこそ、平成4年、小学校においても「保健」の 教科書ができるようになったのである。

教科書の内容については、時間を設けてしっかりと指導することになっている。教科書ができたこと によって、たばこや飲酒、薬物などの健康への害という指導ができることになったのである。教科書は 担任が指導することになっている。養護教諭以外の教職員でも「保健」の教科書の内容については、知 識としてしっかりと把握している状況になる。たばこについては、6年担任が体育の授業の中で指導し ている。指導時間45分に対し、指導内容がたくさんあるため、充分に指導内容を伝えきれてはいないが、

教科書として保護者も目にする状況にある。以前よりは、身近な情報として親への啓発もしやすくなっ てきている。

また、最近は、インターネットなどでたくさんの情報が得られる。しかし、何が医学的に正しいのか をしっかりと見極める力を持たなければならないと思う。タバコ対策委員会に参加していることで、電 子タバコについて正しい知識を得る機会となり、教科書だけでなく、現在問題となることも伝える必要 があると思う。

数年前だが、喫煙をしている保護者が倒れた。心臓疾患を患い手術で命拾いをしたが、保護者が倒れ てからその児童は保健室に毎日来ては親の命を心配し、学習する気持ちを持てず不安な日々を過ごして いた。喫煙している保護者には、自分の命が危険になるというだけでなく、我が子がどれほど親を心配 するかまた、子供の命に危険を与えていることもしっかりと認識してほしいと思う。

保健室では、親の飲酒や喫煙、虐待など、家庭の様子を垣間見ることができる。親や児童自らが依存 性のあるものに対してどう向き合うか、健康であることの大切さを知り、日々健康で過ごす実践をして いけるよう学校教育をしっかりとしていかなければならないと痛感している。

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