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第 6 章 断面積およびエネルギーの測定 60

6.2 吸収断面積の測定

6.2.1 NaI 検出器1つによる測定

図 6.1: 実験のセットアップを上から見た図。137Cs線源からのγ線は鉛でコリメートさ れてからNaI検出器1に入射する。γ線はNaI検出器1内で角度θのコンプトン散乱をす るとNaI検出器2に入射する。l1はNaI結晶の中心と137Cs線源の距離である。

図 6.2: 実験のセットアップを側面から見た図。厚さ5 cmの鉛によってγ線はコリメー トされる。その後、γ線は円柱形のNaI結晶に入射する。

図6.3: 実験のセットアップを正面(線源側)から見た図。γ線は鉛と鉛の間に空いた1 cm の隙間を通る。

図 6.4: 線源、鉛およびNaI検出器のNaI結晶の詳細な位置関係。NaI検出器1の頭部と 鉛の距離はD2である。NaI検出器1の先端とNaI検出器のNaI結晶と間にはD3の距離 がある。

図 6.5: 137Cs線源のNaI検出器1で測定したエネルギースペクトル。エネルギー較正も 兼ねているので、図5.4と同じ図だが、ピークを見やすくするためにADC-Channel方向 に拡大している。

図 6.6: 137Cs線源のNaI検出器1で測定したエネルギースペクトル。エネルギースペク トルの各要素の意味をわかりやすくするためにバックグラウンドを取り除いている。こ れにより光電吸収ピーク、多重コンプトン事象だけでなく、コンプトン散乱および後方散 乱ピークも確認できる。

により465 chのエネルギーを調べると、

659.759±8.97538 (keV)

であり、662 keVに対応していることがわかる。

20-340 chに広がる平らな計数分布はコンプトン連続部と呼ばれる。検出器内でγ線が

コンプトン散乱して検出器外へ出て行くと、γ線の一部のエネルギーを与えられた反跳 電子が検出される。図3.2に示したように反跳電子のエネルギーは0-477 keVに渡って連 続的な分布を持つ。コンプトン散乱のエネルギーの最大値(コンプトンエッジ)を330 ch 程度と考えると、そのエネルギーは、

479.078±7.83222 (keV)

であり、おおよそ反跳電子のエネルギーの最大値とあっている。

100-140 ch付近のピークは後方散乱ピークと呼ばれ、γ線が周囲の物質で一度散乱して

から検出器で光電吸収されるために生じる。ピークのエネルギーは散乱角180程度のコ ンプトン散乱により散乱された光子のエネルギーとなる。入射光子のエネルギーが662 keVのときは、およそ184 keVである。実験値のピークを120 chとすると、そのときの エネルギーは、

178.278±6.6528 (keV)

であり、おおよそ散乱された光子のエネルギーとあっている。

340-450 ch付近の光電吸収ピークとコンプトン連続部の間にある計数分布は連続コン

プトン事象による寄与で発生する。この事象はγ線が検出器内でコンプトン散乱を複数 回した後、検出器外へ出て行くことである。γ線は複数回散乱によってエネルギーを反跳 電子へ与えるのでコンプトン連続部より大きなエネルギーが検出される。

図6.7のように光電吸収ピークをフィットすることによってピークの計数を決めること ができる。フィットによって得られたピークの範囲の面積は1.198×105であった。4 chを 1 binとしてヒストグラムを作成したので、ピークの計数は4で割って2.995×104 counts であり、計数率は99.83 counts/secである。

図6.7: 137Cs線源のNaI検出器1で測定したエネルギースペクトル。図6.5をフィットし た図である。。バックグラウンドは取り除いていない。エネルギー較正も兼ねているので、

図5.4と同じ図だが、ピークを見やすくするためにADC-Channel方向に拡大している。

赤い線がフィットの線である。黒い線がフィットのときに用いた一次関数の線である。

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