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第 6 章 断面積およびエネルギーの測定 60

6.3 コンプトン散乱の微分断面積の測定

6.3.2 同時計測の同時性

と求められる。

この図6.22からNaI検出器1で検出されたエネルギーと3.1節で求めたコンプトン散 乱における反跳電子のエネルギーがおよそ一致していることがわかる。NaI検出器2で 検出されたエネルギーとコンプトン散乱後の光子のエネルギーがおよそ一致しているこ ともわかる。

このことはγ線がNaI検出器1でコンプトン散乱したときに反跳電子に与えたエネル ギーがそのままNaI検出器1で検出されていることを示す。また、散乱された光子はNaI 検出器2で全吸収されるが、そのときのエネルギーがNaI検出器2で検出されているこ とも示す。NaI検出器1で検出されたエネルギーは理論値より20-30 keV程度ずれている が、エネルギー較正のズレなどがその原因として考えられる。

プを用いて見ると、θが30の場合には図6.39、θが90の場合には図6.38となった。黄 色の信号はトリガーに用いているCoincidenceからの信号で、青、赤の信号はそれぞれ NaI検出器1およびNaI検出器2からの信号である。これらの信号を比較すると散乱角 θ= 30のときは2つの検出器からの信号の波高が違うのに対して、散乱角θ = 90のと きはほとんど変わらない。この理由は6.3.1で説明したようにNaI検出器1およびNaI検 出器2で検出されるエネルギーが図3.2のような角度依存性をもつからである。図3.2か らわかるように、θ= 30では散乱された光子と反跳電子のエネルギーの差が大きい。そ れに比べて、θ = 90でのエネルギー差は小さい。θ = 30のような波高の異なる信号が

Discriminatorでデジタル信号に変換されると、スレッショルド電圧の位置に対する信号

のタイミングが異なると考えられる。そのためθ = 30では波高の高いNaI検出器2の信 号が早く、波高の低いNaI検出器1の信号が遅く変換される。このことが時間差のピー ク値に角度依存性の原因であると考えられる。

図 6.23: θ = 30のときのtdc-1 tdc-2 channelのヒストグラム。

図 6.24: θ = 45のときのtdc-1 tdc-2 channelのヒストグラム。

図 6.25: θ = 60のときのtdc-1 tdc-2 channelのヒストグラム。

図 6.26: θ = 75のときのtdc-1 tdc-2 channelのヒストグラム。

図 6.28: θ = 30 のときのエネルギー ピークの範囲についてとった tdc-1 tdc-2 channelのヒストグラム。

図 6.29: θ = 45 のときのエネルギー ピークの範囲についてとった tdc-1 tdc-2 channelのヒストグラム。

図 6.30: θ = 60 のときのエネルギー ピークの範囲についてとった tdc-1 tdc-2 channelのヒストグラム。

図 6.31: θ = 75 のときのエネルギー ピークの範囲についてとった tdc-1 tdc-2 channelのヒストグラム。

図 6.32: θ = 90 のときのエネルギー ピークの範囲についてとった tdc-1 tdc-2 channelのヒストグラム。

図 6.33: θ = 30 のときのエネルギー ピークの範囲についてとった tdc-1 tdc-2 channelのヒストグラム。

図 6.34: θ = 45 のときのエネルギー ピークの範囲についてとった tdc-1 tdc-2 channelのヒストグラム。

図 6.35: θ = 60 のときのエネルギー ピークの範囲についてとった tdc-1 tdc-2 channelのヒストグラム。

図 6.36: θ = 75 のときのエネルギー ピークの範囲についてとった tdc-1 tdc-2 channelのヒストグラム。

図 6.37: θ = 90 のときのエネルギー ピークの範囲についてとった tdc-1 tdc-2 channelのヒストグラム。

図 6.38: 散乱角θ = 90 のときの検出器からの信号。黄、青、赤色の信号はそれぞれ Coincidence、NaI検出器1、NaI検出器2からの信号である。横軸は1目盛り20 nsであ る。青と赤の信号の縦軸は1目盛り10 mV、黄色の信号の縦軸は1目盛り500 mVであ る。青と赤の信号の波高は近い。

図 6.39: 散乱角θ = 30 のときの検出器からの信号。黄、青、赤色の信号はそれぞれ

Coincidence、NaI検出器1、NaI検出器2からの信号である。横軸は1目盛り20 nsであ る。青と赤の信号の縦軸は1目盛り10 mV、黄色の信号の縦軸は1目盛り500 mVであ る。青と赤の信号の波高は離れており、赤の方が大きい。

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