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第 5 章 実験の準備 50

5.2 ADC のキャリブレーション

まず使用するCAMAC ADCのエネルギー較正を行った。5.1節で示した同時計測回路 のCoincidenceにおいて、Discriminator 1またはDiscriminator 2からの信号のうち、片 方の信号のみでトリガーをとることによって測定した。計測時間は300 secである。

まず、NaI検出器1で測定されたエネルギースペクトルを図5.4–5.8に示す。NaI検出 器2で測定したエネルギースペクトルは5.3節で示す。エネルギースペクトルの詳しい 説明は6.2節で行う。各図の赤い部分はRootと呼ばれるプログラムでフィットした結果 である。エネルギー較正に使用するのは光電吸収ピークであり、各図の赤くフィットし た部分である。フィットの方法も5.3節で示すが、このフィットによって光電吸収ピーク

におけるADC Channelが誤差を含めわかる。各図には線源の光電吸収ピーク以外にも

1000 ch付近ピークが見えているが、40Kの発するγ線によるものである。付録Dでこの ことを説明している。ADC Channelの0 chにおいて大きな計数がみられる。この係数は pedestalが原因であると考えられる。Pedestalとは、ADCに対してアナログ信号の入力 がなく、Gate信号のみが入力されているときの積算電荷を示すものである。

図5.4: NaI検出器1で測定した137Cs線源のエネルギースペクトル。赤い部分は662 keV の光電吸収ピークである。

図 5.5: NaI検出器1で測定した22Na線源の エネルギースペクトル。赤い部分は511 keV の光電吸収ピークである。

図 5.6: NaI検出器1で測定した22Na線源の エネルギースペクトル赤い部分は1275 keV の光電吸収ピークである。

図 5.7: NaI検出器1で測定した60Co線源の エネルギースペクトル赤い部分は1173 keV の光電吸収ピークである。

図 5.8: NaI検出器1で測定した60Co線源の エネルギースペクトル赤い部分は1333 keV の光電吸収ピークである。

エネルギー較正の式は一般に次式のように線形に近似される:

Energy (keV) =p0+p1×(ADC Channel) 。

Rootでフィットしたときに得られる誤差はp0p1の誤差σp0σp1 である。そのため、エ ネルギーの誤差∆Eを以下のように伝搬させて得る:

2E =σp20 + (ADC Channel)2×σ2p1 。 ただし、共分散cov(p0, p1)の項は無視した。

NaI検出器1のエネルギー較正は図5.9であり、較正式は次式で与えられた:

Energy (keV) =(0.07613±6.469) + (1.419±0.01338)×(ADC-1 Channel) 。 (5.1) 同様にNaI検出器2のエネルギー較正は図5.10であり、較正式は次式で与えられた:

Energy (keV) = (12.58±1.963) + (1.448±0.004138)×(ADC-2 Channel)。 (5.2) ただし、どちらのエネルギー較正でもフィットしたときのreduced χ2が大きくなってし まったので、パラメータの妥当な誤差の値を得るために各点での誤差を増やしている。

NaI検出器1の較正では各点の誤差を12倍、NaI検出器2では各点の誤差を4倍した。

図 5.9: NaI検出器1のエネルギー較正

図 5.10: NaI検出器2のエネルギー較正

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