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7 ME 機器の標識,表示及び文書

9.1 ME 機器の機械的ハザード

ME機器の設計及び製造に対する一般要求事項については,箇条4及び15.3を参照する。

19は,機械的ハザードを扱う項目を示す。

19-該当するハザード,危害及びその他

項目 該当する細分箇条 押し潰し 9.2,9.4及び9.8 せん断 9.2及び9.8

切傷 9.2,9.3及び9.8

巻込み 9.2 挟込み 9.2

突刺し又は突通し 9.2,9.3及び9.8 摩擦又は擦りむき 9.2及び9.3 飛散物 9.5 高圧流体の放出 9.7

落下 9.8

不安定性 9.4 衝撃 9.2及び9.8 患者の移動及び位置決め 9.2及び9.4 振動及び騒音 9.6

9.2 *動く部分に関わる機械的ハザード 9.2.1 *一般

動く部分をもつME機器は,附属文書に従って正しく設置され,かつ,使用されたとき又は合理的に予 見できる誤使用をされたときでも,動く部分に関連するリスクを受容できるレベルまで低減するように,

設計,製造及び配置をする。

動く部分に接触することに起因するリスクは,接近のしやすさ,ME 機器の機能,部品の形状,運動の エネルギー及び速度,並びに患者の利益を考慮した上で,リスクコントロール手段を用いて受容できるレ ベルに低減させる。

動く部分を備えたME機器が,その意図した機能を遂行するために,関連するリスクにさらすことが必 要な場合は,リスクコントロール手段を組み込む(例えば,警告など)ことによって,その残留リスクを 受容可能なレベルにする。

注記1 磨耗部品に対する要求事項は,15.2に規定している。

注記2 JIS T 14971:20126.2及び6.5を参照する。

9.2.2 トラッピングゾーン

9.2.2.1 一般

該当する場合は,トラッピングゾーンをもつME機器は,次の一つ以上の要求事項に適合させる。

9.2.2.2に規定する隙間

9.2.2.3に規定する安全距離

9.2.2.4に規定するガード及びリスクコントロール手段

9.2.2.5に規定する連続的な操作

上記9.2.2.2~9.2.2.5のリスクコントロール手段を実施した結果,ME機器又はそのMEシステムの意図

する使用と矛盾する場合は,該当する動きの制御は,9.2.2.6に適合させる。

9.2.2.2 隙間

トラッピングゾーンの隙間が表 20 の中で規定した寸法に適合する場合は,機械的ハザードは,存在し ないとみなす。

注記 一般に成人用の寸法を適用することが望ましい。しかし,子供専用に設計した装置の場合は,

子供用の寸法を適用することが望ましい。

20-受容できる隙間†) 身体の部位 成人用隙間

a mm

子供用隙間 a mm

実例

全身 >500 >500

a

頭 >300 又は<120

>300

又は<60 a

脚 >180 >180

a

足 >120 又は<35

>120 又は<25

a

爪先 >50 >50

a

50 max.

腕 >120 >120 a

手,手首,拳 >100 >100 a

指 >25 又は<8

>25 又は<4

a

†) この表中の値は,JIS B 9718:2013を引用した。

9.2.2.3 安全距離

操作者,患者及び他の人がトラッピングゾーンから離れている距離がJIS B 9718:2013の規定した値を超 える場合は,機械的ハザードは,存在しないとみなす。その距離は,操作者,患者及びME機器の近傍に いる他の人が,正常な使用時又は合理的に予見できる誤使用時に居ると予測した位置から測定する。

9.2.2.4 *ガード及び他のリスクコントロール手段

9.2.2.4.1 トラッピングゾーンへの接近

トラッピングゾーンに対するガード又は他のリスクコントロール手段(例えば,電気機械的な)が次の

場合,機械的ハザードは,存在しないとみなす。

- 丈夫な構造とする。

- 容易にガードを避けたり又は機能しないようにできない。

- 新たな受容できないリスクが生じない。

注記 この細分箇条で扱うリスクコントロール手段(例えば,電気機械的な)は,衝突の検出又は衝 突回避システム,例えば,光障壁及び類似のフィードバック制御器を含むことを意図する。

(試験)

適合性は,15.3の該当する試験(外装)によって確認する。

9.2.2.4.2 固定ガード

固定ガードは,工具を使わないと取り外せない構造で,確実に固定できるものとする。

(試験)

適合性は,検査によって確認する。

9.2.2.4.3 可動式ガード

工具を使わないで開くことができる可動ガードは,次による。

- ガードが開いている場合でも,ME機器に取り付いている。

- トラッピングゾーンに接近可能な場合は,動きを停止させるインタロック装置を備え,かつ,ガード を開くとその動きを停止させる。

- 一つの部品が欠如又は故障した場合は,始動をできなくし,かつ,動く部分を停止させる。

(試験)

適合性は,ME機器の調査及び適用可能な試験を実施することによって確認する。

9.2.2.4.4 他のリスクコントロール手段

他のリスクコントロール手段(例えば,電気機械的な)は,次のように設計し,かつ,制御システムに 組み込む。

- 動く部分は,人が接触できる範囲にある場合は,動き始めてはならない。

ME機器の動く部分が動き始めた場合は,トラッピングゾーンに到達したときに,動きを停止させる。

- リスクコントロール手段が,単一故障状態で無効となった場合は,例えば,一つ以上の緊急停止装置

(9.2.4参照)を備えるか,又はそうでない場合は,ME機器を単一故障安全とする(4.7参照)など,

別のリスクコントロール手段を備える。

(試験)

適合性は,必要な場合は,次によって確認する。

ME機器の検査。

- 構造及び回路の検査。

- 該当する試験の実施。必要な場合は,単一故障状態下での試験の実施も含める。

9.2.2.5 *連続的な操作

トラッピングゾーンへの接近を制限できない場合は,トラッピングゾーンは,次を満たせば,機械的ハ ザードは存在しないとみなす。

a) 動きが操作者の視界内にある。

(試験)

適合性は,調査によって確認する。

b) ME機器又はその部分は,操作者が制御器を連続的に操作したときだけ動かすことができる。ただし,

操作者がその操作を中断することで危害を防止できる。

注記 適切な位置決めが可能であり,かつ,受容できないリスクを生じない質量及び速度の場合は,

手動の動きもこの要求事項に適合するとみなす。

(試験)

適合性は,調査によって確認する。

c) 連続的な作動システムが,単一故障状態で無効となった場合は,例えば,一つ以上の緊急停止装置(9.2.4 参照)を備えるか,又はそうでない場合は,ME機器を単一故障安全とする(4.7参照)など,別のリ スクコントロール手段を備える。

(試験)

適合性は,必要な場合は,次によって確認する。

ME機器の検査。

- 構造及び回路の検査。

- 該当する試験の実施。必要な場合は,単一故障状態下での試験の実施も含める。

9.2.2.6 *動きの速度

ME機器の部分又は患者の位置を決める動きの速度は,ME 機器に接触すると受容できないリスクを生 じる可能性がある場合は,操作者が,その動きを適切に制御できるように制限する。

動きを止めるため,制御器を操作した後に生じる行き過ぎ(停止距離)によって,受容できないリスク が生じてはならない。

(試験)

適合性は,必要な場合は,次によって確認する。

- 行き過ぎ(停止距離)の計算及び評価の調査。

- 機能試験。

注記 行き過ぎ(停止距離)の計算及び評価は,リスクマネジメントファイルの一部である。

9.2.3 *動く部分に関わる他の機械的ハザード

9.2.3.1 意図しない動き

制御用の操作器スイッチ,レバーなどは,意図しないで偶然に動かないように,配置する,くぼませる 又は他の手段で保護する。ただし,ユーザビリティエンジニアリングプロセスの結果から,意図する患者 に対して他の方法が必要な場合(例えば,特別な扱いが必要な患者)又はそれらが動いても受容できない リスクが生じない場合を除く。

(試験)

適合性は,ME 機器の検査によって確認し,かつ,制御が主要操作機能の一部の場合は,ユーザビリテ ィエンジニアリングファイルの調査によって確認する。

9.2.3.2 行き過ぎエンドストッパ

ME 機器の部分が行き過ぎる(動きの範囲限界を超える)場合は,防止する。エンドストッパ又は他の 停止手段を,動きの範囲を制限する最終的手段として備える。

そのような手段は,正常な使用及び合理的に予見できる誤使用において,意図する負荷に耐える機械的 強度をもつ。

(試験)

適合性は,ME機器の検査及び次の試験によって確認する。

ME機器は,次のいずれかによる。

- 安全動作荷重を受ける。

- 負荷を受けない。

- 最も厳しい試験結果を生じるであろう中間レベルの負荷を受ける。

各エンドストッパ又は他の機械的手段に対して,可動部を,表33に示す繰返し数,作動速度及び試験条 件で駆動する。要求されるエンドストッパ又は他の機械的手段は,試験の完了後に,意図した機能を行う ことができる。

33-行き過ぎエンドストッパ試験の試験条件

構造 繰返し数 試験条件

1. モータ駆動:範囲制限システムを備えない†)。 6 000 最大速度で動作させる。

2. モータ駆動:非独立式の範囲制限システム(複 数可)を備えている†), ††)

50 スイッチを全て同時に不作動にして,最大 速度で動作させる。

3. モータ駆動:二つ以上の独立式の範囲制限シ ステム(複数)を備えている†), ††)

1 スイッチを全て同時に不作動にして,最大 速度で動作させる。

4. 手動で駆動又は手動で駆動し電動アシストす る。

50 任意の速度(合理的に予測可能な誤用を含 む)で動作させる。

†) 範囲制限システムは,停止作動に必要な全てのコンポーネントからなる。例えば,(1)リミットスイ ッチ,(2)検知回路,及び(3)関連の機械的な駆動装置である。

††) 独立式の範囲制限システムとして通用するには,注†) の中の基準に加えて,各システムは次の両方に 適合しなければならない。

1. システムは,直接モータの電源を切ることができる。すなわち,スイッチ又はモータ制御回路は モータの回転子又は固定子の電流又は両方の電流を遮断する。

2. システムは,一つの範囲制限システムの機能不全が操作者にとって明白になる手段を備える。こ れは聴覚,視覚に訴えるもの,又はその他認識可能な指示計でもよい。

9.2.4 *緊急停止装置

一つ以上の緊急停止装置をもつ必要がある場合は,次に適合する。

a) 緊急停止装置は,リスクを受容できるレベルまで低減できる。

b) 緊急停止装置は,危害を確実に防ぐために操作者が接近でき,かつ,操作ができる。

c) 緊急停止装置の操作部は,操作者が容易に接近できる。

d) 緊急停止装置の操作は,ME機器の通常の操作の一部としない。

e) 緊急の切替え手段及び停止手段の操作は,新たな危険状態を発生させず,かつ,当初の危険状態を除 去するのに必要な完全な操作の完了を妨げない。

f) 緊急停止装置は,モータの停止電流などの可能性を考慮し,関連する回路の全負荷を遮断できる。

g) 動きを停止する手段は,単一操作によって作動する。

h) 緊急停止装置は,他の制御器と明確に,かつ,容易に識別できる赤色の操作部を備える。

i) 機械的な動きを遮断又は開放する操作部は,その表面又は直近に表D.1の図記号18又は“停止”とい う単語を表示する。

注記 操作部が全ての動力を遮断するスイッチである場合は,上記の表示に対する要求事項への適 合は不要である。

j) 緊急停止装置は,作動させたら,それと異なる意図的な操作をしない限りME機器を動かない状態に