11 過度の温度及び他のハザードに関する保護
13.2 単一故障状態
13.2.1 一般
13.2.2~13.2.13で規定した単一故障状態を適用する場合,8.1 a)で規定した正常状態は,最も不利な組合
せに適用する。
13.2.2 電気的な単一故障状態
この単一故障状態に対する要求事項及び試験は,8.1による。
13.2.3 ME機器の変圧器の過熱
この単一故障状態に対する要求事項及び試験は,15.5による。
13.2.4 サーモスタットの故障
この単一故障状態に対する要求事項及び試験は,過負荷の状況に対して,13.2.13及び15.4.2による。
サーモスタットは,短絡又は開放のいずれか好ましくない方とする。
13.2.5 温度制限器の故障
この単一故障状態に対する要求事項及び試験は,過負荷の状況に対して,13.2.13及び15.4.2による。
サーモスタットは,短絡又は開放のいずれか好ましくない方とする。
13.2.6 液体の漏れ
ME機器は,単一故障状態で流出した液体が,受容できないリスクを発生させない構造とする。
密閉した再充電可能な電池は,漏れた場合でも僅かな量の液体しか流出しないので,この要求事項は,
適用しない。
ME機器の適切な試験条件の決定は,リスクマネジメントプロセスを用いる。
(試験)
適合性は,リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。
13.2.7 危険状態になる可能性がある冷却の障害
ME機器は,意図するように作動させるために,冷却システムが故障しても単一故障安全を保つように 設計する。
(試験)
可能性がある冷却の障害を模擬する。その例を,次に示す。
- 換気用ファンをロックする。
- 外装の上面及び側面の開口を通しての換気は,上面の開口を覆うか又はME機器を壁に寄せて配置す る。
- フィルタの詰りを模擬する。
- 冷媒の流れを止める。
前述の13.1.2で規定した限度を超える温度は,不適合とする。
適合性は,上記,及び可能な限り11.1の試験方法によって確認する。
13.2.8 動く部分のロック
ME機器は,動く部分がかじりを起こした場合は,単一故障安全を保つように設計する。
(試験)
ME機器が,次のいずれかに該当する場合は,動く部分をロックする。
- 装着部を含め,かじりやすい動く接触可能部分をもっている。
- (自動又は遠隔制御するME機器を含め,)不在使用することが多い。
- ロータをロックしたときのトルクが,全負荷時のトルクよりも小さいモータを一つ以上もっている。
ME機器が,二つ以上の動く部分を備えている場合は,一度に一つだけをロックする。単一故障状態に おいて複数のモータが同時にロックされる可能性がある場合は,全てのモータを同時にロックする。詳細 な試験は,13.2.10を参照する。
13.2.9 *モータ用コンデンサの切離し及び短絡
ME機器は,モータ用コンデンサを短絡及び開放している間,単一故障安全を保つように設計する。
(試験)
適合性は,次の試験によって確認する。
補助巻線の回路にコンデンサをもつモータは,ロータをロックした状態でコンデンサの短絡又は開路を 交互に行い,13.2.10に従って作動させる。コンデンサの電圧は,一方を開路して測定する。測定した電圧 が定格値を超えた場合は,不適合とする。
モータが,IEC 60252-1に適合したコンデンサを備え,かつ,そのME機器の不在使用(自動的又は遠 隔制御を含む。)を意図していない場合は,コンデンサの短絡試験は,行わない。
追加の試験は,13.2.10を参照する。
13.2.10 *モータ駆動のME機器の追加試験
(試験)
13.2.8及び13.2.9の単一故障状態におけるそれぞれの試験については,13.1.2に規定した例外を考慮し,
モータで駆動するME機器を冷状態から始めて,定格電圧又は定格電圧範囲の上限値で,次の時間作動さ せる。
a) 次のいずれも,30秒間。
- 手持形ME機器
- 手でスイッチを“入”の状態に維持することが必要なME機器
- 手で物理的な負荷状態を維持することが必要なME機器
b) 人が付いて使用することを意図するME機器で上記a)以外については,5分間(“人が付いて使用する”
とは,操作者のいないときに作動する自動又は遠隔操作のME機器を除く。)。
c) 上記a)又はb)以外のME機器で,タイマによってその作動を終了する場合は,そのタイマの最長時間。
d) 上記以外の全てのME機器は,熱安定に必要な時間。
巻線の温度は,規定した試験時間の終了時,又はヒューズ,感熱遮断器,モータ保護装置及び同等なも のが作動したときの温度とする。
温度は,11.1.3 d)に従って測定する。
温度が表26の限度値を超えた場合は,不適合とする。
表26-*モータ巻線の温度の限度値
単位 ℃
ME機器の種類 絶縁の種類
A種 B種 E種 F種 H種
タイマを備え,かつ,人が付いて使用するME機器 及び30秒間又は5分間作動させるME機器
200 225 215 240 260
その他のME機器
- インピーダンス保護の場合:最高値 150 175 165 190 210
- 保護装置による保護の場合
・ 最初の1時間以内に作動する:最高値 200 225 215 240 260
・ 最初の1時間経過後に作動する:最高値 175 200 190 215 235
・ 最初の1時間経過後に作動する:算術平均値 150 175 165 190 210 注記 この表の温度限度は,JIS C 6950-1:2012の表B.1(対応国際規格では,IEC 61010-1:2001 [22])
を引用した。
13.2.11 高酸素濃度雰囲気で使用するME機器の部品の故障
これらの単一故障状態に対する要求事項及び試験は,11.2.2に示してある。
13.2.12 機械的ハザードを生じる可能性がある部分の故障
これらの単一故障状態に対する要求事項及び試験は,箇条9及び15.3に規定している。
13.2.13 過負荷
13.2.13.1 *一般的な過負荷試験条件
13.2.13.2~13.2.13.4の試験の後,試験環境温度の3 ℃以内に温度を下げた状態で,ME機器は,安全を
維持する。
(試験)
適合性は,ME機器の調査又は該当する試験(8.8.3によるモータの絶縁の耐電圧試験など)によって確 認する。
保護手段として信頼できる熱可塑性材料の絶縁(8.8参照)については,13.2.13.2~13.2.13.4の試験の間 に測定した絶縁物の温度よりも25 ℃高い温度で,8.8.4.1 a)に規定したボールプレッシャ試験を実施する。
13.2.13.2 加熱素子をもつME機器
加熱素子をもつME機器の試験は,次による。
(試験)
a) 加熱素子をもつME機器の適合性は,次によって確認する。
1) 加熱素子をもつ一定温度に制御される ME 機器のうち,“加熱素子が組み込まれて触れることがで きない状態か若しくは人が付かないで作動することを意図するか”,又は“そのサーモスタットの接 点間にヒューズなどで保護していないコンデンサを接続した”ME機器については,13.2.13.2 b)及 び13.2.13.2 c)の試験による。
2) 加熱素子もつ非連続作動(運転)定格のME機器については,13.2.13.2 b)及び13.2.13.2 c)の試験に よる。
3) 加熱素子をもつその他のME機器については,13.2.13.2 b)の試験による。
同一のME機器に二つ以上の試験を適用する場合は,これらの試験を連続して実施する。
試験のいずれかで,非自己復帰形感熱遮断器が作動したとき,加熱素子若しくは意図的に弱くした 部分が破壊したとき,又は熱安定に到達する前に電流が自動復帰の可能性がない状態で中断されたと きは,加熱時間を終了する。しかし,中断が,加熱素子又は意図的に弱くした部分の破壊によって生 じた場合,試験は,第二サンプルで繰り返す。第二サンプルにおいて,加熱素子又は意図的に弱くし た部分が開路した場合,それ自体では不適合としない。しかし,いずれかのサンプルが,13.1.2 に規 定した条件に適合しない場合は,不適合とする。
b) 加熱素子をもつME機器は,11.1に規定した条件で試験する。ただし,十分な熱放散をしない状態で,
電源電圧は,定格電源電圧の90 %又は110 %のいずれか不利な方とする。
非自己復帰形感熱遮断器が作動した場合,又は熱安定に到達する前に電流が自動復帰の可能性がな い状態で中断した場合は,加熱時間は終了する。電流の中断が発生しない場合,ME 機器は,熱安定 に達したら直ちにスイッチを切ってほぼ室温まで冷却する。
非連続作動(運転)のME機器の場合,試験時間は,定格作動時間に等しいものとする。
c) ME機器の加熱部分は,11.1に規定したようにME機器を定格電源電圧の110 %の供給電圧及び正常 状態で作動させて試験する。試験条件は,次による。
1) 感熱遮断器を除き,正常状態で温度制限に寄与する全ての制御器は,作動しないようにしておく。
2) ME機器が,二つ以上の制御器を備えている場合は,それらを順次作動しないようにする。
3) ME 機器は,定格作動時間にかかわらず,定格デューティサイクルで熱安定に到達するまで作動さ せる。
13.2.13.3 モータをもつME機器
(試験)
a) モータをもつME機器の適合性は,次によって確認する。
1) ME機器のモータ部分については,適合性は,該当する場合,13.2.8~13.2.10,13.2.13.3 b),13.2.13.3
c)及び13.2.13.4によって確認する。交流42.4 Vピーク又は直流60 V以下の電圧をもつ回路に接続
したモータで,かつ,小形であるために又はモータの設計上の制約のために,正確な温度測定がで きないと判断した場合は,13.2.9及び13.2.10への適合性を決定するため,温度測定に代わって次の 試験を採用することができる。
モータは,次の全ての特性をもつ一層のチーズクロス(綿布)で覆う。
- 漂白した綿材
- 質量1 kg当たり26 m2~28 m2
- 一つの方向に1 cm当たり13本の糸,及びその他の方向は1 cm当たり11本の糸 試験中又はその終了時におけるチーズクロスの発火は,不適合とする。
2) 加熱部分も含むME機器は,規定の電圧で最も不利な条件を作り出すように,モータ部分及び加熱 部分を同時に作動させて試験する。
3) 同一のME機器で二つ以上の試験を適用する場合は,これらの試験を連続して行う。
b) モータは,次のいずれかの場合は,過負荷保護の作動を確認する。