7 ME 機器の標識,表示及び文書
8.5 分離
自動放電が合理的に可能でなく,開閉カバーが工具を使わなければ開けられない場合は,手動放電がで きる手段でもよい。コンデンサ又はその接続した回路は,表D.1の図記号24で表示し,また,手動放電の 手段は,技術解説で説明する。
(試験)
適合性は,次の試験によって確認する。
ME機器を定格電圧で作動させ,次に電源を切る。正常な使用時に取り付いている開閉カバーをできる だけ迅速に開ける。その直後,接近可能なコンデンサ又はその回路部分の残留電圧を測定し,かつ,蓄積 電荷を計算する。
手動放電の手段を技術解説で説明している場合は,それを含んでいる部分及び表示を調査して確認する。
- 表6で規定した試験電圧で,8.8による耐電圧試験に適合する。
- JIS C 6950-1の絶縁協調の要求事項に適合する。
操作者保護手段を構成する沿面距離及び空間距離は,次のいずれかによる。
- 表13~表16で規定した限度に適合する。
- JIS C 6950-1の絶縁協調の要求事項に適合する。
操作者保護手段を構成する保護接地接続は,次のいずれかによる。
- 8.6の要求事項に適合する。
- JIS C 6950-1の保護接地の要求事項及び試験に適合する。
JIS C 5101-14に適合する1個のYコンデンサ(Y1又はY2だけ)は,一つの操作者保護手段と同等で
あるとみなす。操作者保護手段を二つのコンデンサの直列で構成する場合は,それらは同じ種類(両方共 にY1とするか,又は両方共にY2とするかのいずれか)とし,かつ,同じ公称静電容量をもつ。コンデン サは,それらを使用している保護の種類(すなわち,一つ又は二つの操作者保護手段)に対する耐電圧を 満たす。Y1コンデンサは,二つの操作者保護手段として使ってもよい。
(試験)
適合性は,ME機器の物理的及び電気的な構成を調査し,接触可能部分が,8.4で規定した限度値を超え ることを防ぐ手段は,絶縁,沿面距離,空間距離,部品のインピーダンス又は保護接地接続のいずれかで あるかを特定して,確認する。
注記 そのような箇所は,一般的には大地電位と異なる部分と接触可能部分又は装着部との間の絶縁 を含んでいる。しかし,例えば,浮いた回路と大地又は他の回路との間の絶縁をも含むことが できる。“絶縁経路の調査”は,附属書Jにある。
そのような箇所は,次のいずれかによって決定する。
- 固体絶縁は,操作者保護手段に対し8.8の耐電圧試験に合格するか,又はJIS C 6950-1の絶縁協調の 要求事項に適合する。
- 沿面距離及び空間距離は,操作者保護手段に対し8.9の規定に従っているか,又はJIS C 6950-1の絶 縁協調の要求事項に適合する。
- 絶縁,空間距離又は沿面距離と並列に接続した部品は,4.8及び8.10.1に適合する。
- 保護接地接続は,操作者保護手段に対し8.6の要求事項に適合するか,又はJIS C 6950-1の保護接地 の要求事項に適合する。
さらに,上記の各々に適合する場合の故障は単一故障状態とみなし,適合しない場合の故障は正常状態 とみなす。
保護手段は,許容限度からの超過を保護するME機器の部分との関係から分類する。装着部又は4.6に よって装着部と同じ要求事項に従う必要があると特定した部分の保護は,患者保護手段である。その必要 がないと判断した場合は,操作者保護手段である。
動作電圧は,8.5.4に従って,検査,計算又は測定によって決定する。
正常状態及び単一故障状態において,接触可能部分又は装着部と他の接触可能部分,装着部又は大地と の間に現れる電圧,電流又はエネルギーは,検査若しくは計算によって,又は必要な場合は,適切な条件 での測定によって決定する。
8.5.2 患者接続部の分離
8.5.2.1 *F形装着部
F形装着部の患者接続部は,他の装着部の患者接続部を含め,全ての部分から最高電源電圧と等しい動 作電圧に対する一つの患者保護手段と同等な手段によって分離し,かつ,最高電源電圧の110 %を加えた 状態で規定した患者漏れ電流の限度値に適合する。
単一のF形装着部は,複数の機能を含んでいる可能性があるが,その場合,その機能間の分離は,要求 しない。
同じ又は別の機能の患者接続部の相互間(例えば,心電図電極と血圧カテーテルとの間)で電気的な分 離がない場合は,これらの患者接続部は一つの装着部として扱う。
複数の機能が全て一つの装着部内にあるとみなすか,又は複数の装着部であるとみなすかは,製造業者 が定義する。
BF形装着部,CF形装着部又は耐除細動形装着部としての分類は,一つの装着部の全体に適用する。
(試験)
適合性は,検査,8.7.4 の漏れ電流試験,8.8.3 の耐電圧試験,並びに関係する沿面距離及び空間距離の 測定によって確認する。
注記 F形装着部と他の部分との間の分離手段は,最高電源電圧に対するこれらの試験,及び8.5.4で 規定したそれぞれの回路内に存在する電圧に対する試験の両方を実施する。後者の電圧の大き さによって,いずれの試験セットの方が,より厳しいかが決まる。
過度の電圧からの保護を備える目的で,F 形装着部の患者接続部と外装との間に接続する保護装置は,
実効値500 V以下で作動してはならない。
(試験)
適合性は,保護装置の動作電圧の試験によって確認する。
8.5.2.2 *B形装着部
保護接地していないB形装着部の患者接続部は,保護接地していない金属の接触可能部分から一つの患 者保護手段によって分離する。ただし,次の場合は除く。
- 金属の接触可能部分が,装着部に物理的に接触していて,装着部の一部とみなすことができ,かつ,
- 金属の接触可能部分が電圧の発生源又は許容限度を超える漏れ電流源と接触する可能性が無視できる ほど小さい。
(試験)
適合性は,検査,8.7.4 の漏れ電流試験,8.8.3 の耐電圧試験,適切な沿面距離及び空間距離の測定,及 びリスクマネジメントファイルへの調査によって確認する。
8.5.2.3 *患者リード線又は患者ケーブル
患者リード線又は患者ケーブル上の電気的接続用のコネクタが,
- 患者から離れた側のリード線の端末にあり,かつ,
- 最高電源電圧に等しい動作電圧に対して,全ての患者接続部から一つの患者保護手段によって分離さ
れていない導電性部分を含んでいる場合は,患者接続部が患者と接触している間,その部分が大地又 は危険の可能性のある電圧と接続できない構造とする。
注記 この細分箇条の中の“その部分”という表現は,“全ての患者接続部から分離していないコネク タの導電性部分”を指している。
そのコネクタは,特に,該当するコネクタは,次による。
- その部分は,直径100 mm以上の平らな導電性の板に接触できてはならない。
- コネクタピンと上記の平らな表面との間の空間距離は,少なくとも0.5 mmとする。
- 電源ソケットに差し込むことができる場合は,その部分は,少なくとも1.0 mmの沿面距離,1 500 V の耐電圧及び8.8.4.1に適合する絶縁手段で,電源電圧の部分と接触しないように保護する。
- 図6の標準テストフィンガと同じ寸法の関節のない真っすぐなテストフィンガを,10 Nの力で接近で きる開口に対して最も不利な位置で挿入したとき,その部分と電気的に接触してはならない。ただし,
電源ソケット又は平らな表面以外(例えば,角又は端)と接触しても,受容できないリスクが生じな いことをリスクマネジメントプロセスにおいて実証した場合は除く。
(試験)
適合性は,上記の試験及び調査によって確認する。
8.5.3 *最高電源電圧
最高電源電圧は,次によって決定する。
- 電源(商用)への接続手段をもつ内部電源ME機器,及び単相又は直流の電源(商用)から給電する ME機器の最高電源電圧は,最高定格電圧である。ただし,定格供給電圧が100 V未満の場合は,最 高電源電圧は,250 Vである。
- 多相ME機器の場合は,最高電源電圧は,中性線電圧に対する最高定格の相である。
- その他の内部電源ME機器の場合,最高電源電圧は,250 Vとする。
8.5.4 *動作電圧
各保護手段の動作電圧は,次によって決定する。
- ME 機器への入力供給電圧は,定格電圧とするか,又は該当する絶縁若しくは部品が受ける電圧の測 定値が最も高くなる定格電圧範囲内の電圧とする。
- リップルをもった直流電圧の場合は,動作電圧は,ピーク対ピークリップルが平均値の10 %を超えな い場合は平均値とし,10 %を超える場合はピーク電圧とする。
- 二重絶縁を構成する各保護手段の動作電圧は,二重絶縁の全体にかかる電圧である。
- 大地に接続しない患者接続部の動作電圧は,患者を(故意又は偶然を問わず)接地する状況を正常状 態とする。
- F 形装着部の患者接続部と外装との間の動作電圧は,装着部の任意の部分の接地を含め,正常な使用 時に絶縁の両端に現れる最高電圧とする。8.5.2.1も参照する。
- 耐除細動形装着部の場合,動作電圧は,除細動電圧が存在する可能性があるが,それを考慮しないで 決定する。8.5.5及び8.9.1.15も参照する。
- コンデンサをもつモータで,巻線とコンデンサとを接続した点と外部導線用端子との間に共振電圧が 生じる場合,動作電圧は,共振電圧に等しいものとする。